• 作成日 : 2022年12月9日

医療保険とは?社会保険との違いはある?

医療保険とは?社会保険との違いはある?

「医療保険」や「社会保険」という言葉をよく耳にしますが、その違いについて意識して考えたことがない方は多いのではないでしょうか。

医療保険は保険制度の名称ですが、社会保険は医療保険を含めた公的保険制度の総称です。ここでは、医療保険の基本を解説するとともに、高額療養費制度など入院や病気の際に役立つ給付の種類を紹介します。

医療保険とは?

医療保険とは、病気や怪我で医療が必要になったときに、医療保険に加入する被保険者が拠出した資金や国が補助する公費負担などを財源にかかった医療費の一部を補助し、被保険者が負担する医療費を軽減する制度です。医療保険に加入することで、病院や怪我でかかる診察費の自己負担が1割〜3割に軽減されます。自己負担の割合は、年齢や収入によって異なります。

また、医療機関や窓口で支払う医療費の自己負担額が1ヵ月の上限を超えた場合に、家計の医療費負担が重くならないよう、超えた額が支給される「高額療養費制度」と呼ばれる制度もあります。

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医療保険と社会保険に違いはある?

医療保険と社会保険の違いは、保険制度の名称か制度の総称かという点にあります。医療保険のように、被保険者が保険料を支払い、国が補助する公費負担も財源に加えて給付を行い、被保険者へかかった費用の一部を負担する仕組みを、一般的に社会保険といいます。つまり、医療保険は「社会保険」の制度の一つです。社会保険の代表的なものには、医療保険のほかに以下のものがあります。

「社会保険」という言葉は、ときには上述の保険制度のいずれかを指して使われることがありますが、「社会保険」という名前の保険制度があるわけではなく、公的保険制度の総称にあたります。

なお、企業で「社会保険」という言葉を使用する場合には、狭義の社会保険である「医療保険(健康保険)」「厚生年金保険」「介護保険」などを意味するのが一般的です。より広い意味では、これに「労災保険」や「雇用保険」などの労働保険も含めた公的保険制度のすべてを「社会保険」と呼んでいます。自営業者や無職の方が加入する「国民健康保険」「国民年金」、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度なども「社会保険」の制度に含まれます。

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医療保険の種類

日本では、国民全員がなんらかの公的医療保険に加入するという国民皆保険制度をとっています。国民皆保険制度において、医療保険は大きく2つに分類されます。

  • 国民健康保険(地域保健):自営業者、農業従事者、無職の方が加入するもの
  • 被用者保険(職域保険):企業勤めの方や公務員が加入するもの

日本国民は、自分の働き方や年齢によって加入する医療保険の制度が異なります。被用者保険には、中小企業を対象としたもの、大企業を対象としたもの、公務員を対象としたものと複数に分かれます。

被用者保険の種類

  • 組合管掌健康保険(健保組合):被保険者数700人以上の大企業や同種同業種の企業により組織された団体が運営する、加入企業の従業員とその扶養家族を対象とした健康保険
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ):主に中小企業の従業員とその扶養家族を対象とした政府が運営する健康保険
  • 共済組合:国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員等を対象とした健康保険
  • 船員保険:全国健康保険協会が運営(2010年から)する船員を対象とした健康保険

参考:我が国の医療保険について|厚生労働省

ほかにも、75歳以上の高齢者を対象とした「後期高齢者医療制度」があります。職種や年齢などによって加入できる医療保険の種類は異なり、給付の範囲もそれぞれの医療保険で異なるため、自社で加入する医療保険の種類やその特徴を知っておくことは大切です。

国民健康保険
(地域保健)
被用者保険に加入している勤労者以外の国民
(農・漁業、自営業、自由業、無職の方など)
被用者保険
(職域保険)
健康保険
(健康保険組合も含む)
大企業・中小企業に勤務する方
船員保険船員
共済保険国家公務員、地方公務員、私学の教職員
高齢者医療後期高齢者医療制度75歳以上の方など
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医療保険で給付される費用

医療保険に加入している被保険者は、病院にかかった際、窓口で保険証を掲示すれば少ない自己負担額で必要な医療を受けることができます。これは、医療保険から医療費が給付されているからです。診察だけではなく、薬、手術、入院などにかかった費用や、限度額を超えて医療費が高額になった方に対しても、医療保険の給付があります。医療保険の主な給付には以下のものがあります。

  • 療養の給付・家族療養費
    病院にかかったときの医療費に対して給付されます。また、被保険者の家族には家族療養費が給付されます。
  • 入院時食事療養費・入院時生活療養費
    入院時の食事費用に対して支払われる給付です。保険制度によって決められた標準負担額をもとに計算され、現物給付されます。65歳以上の方が入院する場合には、生活費の中でも療養環境にかかる費用に対して入院時生活療養費が給付されます。
  • 療養費
    療養費とは、通常の医療保険制度の範囲外の医療をやむを得ず受けなければならなかった場合に給付されるものです。例としては、国外で医療を受けたときや、被保険者証を掲示できなかったときに自費で診療を受けた場合があげられるでしょう。その場合、加入している医療保険で承認されれば、自己負担相当額を除いた金額が払い戻されます。
  • 移送費・家族移送費
    病気や怪我によって慰労することが困難な場合に、緊急で医療を受けるために搬送された際に給付されます。
  • 高額療養費
    高額療養費とは、1ヵ月の自己負担額が所得などに応じた一定の限度額を超えた際に、申請によって払い戻される給付です。事前に申請して「限度額適用認定証」を提示すれば、医療機関の窓口で支払う金額を自己負担限度額までとすることもできます。

ほかにも、業務上の事由以外の病気やケガで4日以上就業できない際に支払われる「傷病手当金」や、子どもが生まれた際に支払われる「出産一時金」、産休時に支払われる「出産手当金」などがあります。

企業の人事労務担当者としては、どのようなときにどのような種類の給付が受けられるかを知っておくためにも、医療保険の給付の種類を一度確認しておくのがよいでしょう。

参考:保険給付の種類|全国健康保険協会

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医療保険の給付に限度額はある?

医療保険でいくら給付されるかは、給付内容や被保険者の所得状況によっても異なります。たとえば、病院の診察費などに対して給付される「療養の給付」は、年齢によって以下のように給付の割合が決められています。

療養の給付

  • 義務教育就学前:8割(自己負担2割)
  • 義務教育就学後から70歳未満:7割(自己負担3割)
  • 70歳以上75歳未満:8割(自己負担2割)
  • 75歳以上:9割(自己負担1割)

※70歳以上は、所得額によって自己負担割合が異なります。

また、入院時食事療養費は標準負担額を控除した金額となりますので、被保険者は、1食につき460円の標準負担額だけ負担します。低所得者の場合には、原則として1食につき210円の負担です。65歳以上を対象とした入院時生活療養費では、食事にかかる負担額に1日につき370円の居住費を加算して負担します。

現金給付となる出産育児一時金は、原則42万円と明確に金額が定められています。傷病手当金および出産手当金は、被保険者の標準報酬月額を基準として以下のように計算します。

  • 直近12ヵ月における標準報酬月額の平均額の30分の1に相当する額を1日とし、その3分の2に相当する金額

高額療養費で設定される限度額は自己負担の上限であり、給付の額の上限ではないことにも注意しましょう。

参考:我が国の医療保険について|厚生労働省

病気や怪我のリスクに備える医療保険

保険に加入する被保険者が支払った保険料のほか、国が補助する公費負担も財源として、被保険者の支払いの一部を補助するのが社会保険です。医療保険は、社会保険の一つにあたります。

医療保険に加入していることで、被保険者の病気や怪我の際の医療費の負担を抑えることができます。国民の健康や生活の維持・促進を図るために、国全体で支える仕組みが社会保険といえるでしょう。

よくある質問

医療保険とはなんですか?

医療保険とは、病気や怪我で医療が必要になったとき、医療保険に加入する被保険者が拠出した資金と公費による補助などを財源として、かかった医療費の一部が支払われる制度です。社会保険の一つにあたります。詳しくはこちらをご覧ください。

医療保険の給付に限度額はありますか?

病院の窓口で支払う診察費などに対する療養の給付では、年齢ごとに9割〜7割の給付上限割合が設定されています。また、入院時食事療養費や入院時生活療養費など被保険者の負担額が設定されているものもあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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