• 更新日 : 2024年12月13日

給与支払明細書とは?書き方・記入例や自分で手書きする場合の注意点も解説

給与支払明細書とは、給与の支給額や控除内容を記載した重要な書類です。

そのため、適切な管理と法令に準じた発行が必要です。

本記事では、給与支払明細書の基本情報やその他類似書類との違いを解説します。

合わせて、給与支払明細書の書き方や手書きする場合の注意点なども紹介するので、人事業務の効率化とトラブル回避にぜひお役立てください。

給与支払明細書とは

給与支払明細書とは、会社が従業員に支払う給与の内訳を記載した書類のことです。

具体的には、基本給や残業代などの収入、所得税や社会保険料などの控除額、そして最終的に振り込まれる金額などが明記されています。

給与支払明細書は、従業員が受け取った給与が正しいかを確認するうえで、重要な書類です

なお、給与以外の支払いに関する明細書については、「支払明細書とは?意味や書き方、領収書・請求書との違い、無料テンプレートも」で詳しく解説しています。

次項で、給与支払明細書とよく混同される他の書類との違いを解説します。

給与支払明細書と源泉徴収票の違い

給与支払明細書と源泉徴収票は、どちらも給与に関連した書類ですが、役割が異なります。

給与支払明細書は毎月発行され、給与の支給額や控除内容を示すもので、従業員が給与の詳細を把握するために使われます。

一方、源泉徴収票は毎年1度、年末調整後に発行される書類で、その年の総所得や源泉徴収額を記載したものです。

源泉徴収票を見ることで、1年間の総所得や支払った税金額が確認できます。

給与支払明細書と給与支払報告書の違い

給与支払明細書と給与支払報告書も、役割が異なる書類です。

給与支払明細書は従業員向けに発行され、毎月の給与内容を記録したもので、支給額と控除額を詳細に示します。

一方、給与支払報告書は各市区町村に対して企業が提出するもので、住民税の課税額を算定するために使用されます。

つまり、給与支払明細書が従業員向けであるのに対し、給与支払報告書は市区町村向けの書類である点が大きな違いです。

給与支払明細書と給与支払証明書の違い

給与支払明細書と給与支払証明書は似ていますが、用途が異なります。

給与支払明細書は従業員が給与の支給額や控除額を毎月確認するための書類であり、通常の給与支払い時に発行されます。

一方、給与支払証明書は、住宅ローンの審査や住宅ローン以外の大口融資などで必要とされる場合に発行され、特定の期間に支給された総給与額を証明するものです。

また、転職や育休など、何かしらの事情により源泉徴収票だけでは正しい収入状況が把握できない場合も、給与支払証明書を活用できます。

給与支払明細書のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

給与支払明細書の書き方・記入例

給与支払明細書の基本記載項目は、下記の通りです。

項目詳細
従業員情報氏名、社員番号、部署などを記載
支給内容基本給、残業代、通勤手当、役職手当などの給与項目を細分化し、それぞれの金額を記載
控除内容社会保険料(健康保険、厚生年金保険など)、所得税、住民税などの控除項目を明記し、それぞれの控除額を記載
差引支給額支給額の総計から控除額を差し引いた、実際に支払われる金額を記載
支給日給与が支払われる日を記載
会社情報会社名、所在地、連絡先などを記載

給与支払明細書の作成手順は、下記の通りです。

  1. 勤怠データの集計:出勤日数、遅刻早退、残業時間などを正確に集計
  2. 給与計算:基本給、残業代、各種手当などを計算し、総支給額を算出
  3. 控除額の計算:社会保険料、所得税などの控除額を計算
  4. 差引支給額の計算:総支給額から控除額を差し引き、実際に支払う金額を計算
  5. 明細書への転記:計算結果を給与明細書に転記

実際の記入例は、下記の通りです。

給与支払明細書記入例

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件(社会人として働き始めてからの労働法)」

給与支払明細書を作成する際は、法令で定められた事項を漏れなく記載し、金額や氏名などの情報が正確であるかを確認しましょう。

給与支払明細書を自分で手書きする場合の注意点

給与支払明細書を自分で手書きする場合の注意点は、下記の通りです。

  • 複写式の給料支払明細書を利用する
  • 会社用と本人用の2枚を作成する
  • 給与支払明細書の電子化も検討する

次項で、それぞれの理由について詳しく解説します。

複写式の給料支払明細書を利用する

手書きの場合、複写式の給料支払明細書を利用すれば、自分で手書きの書類が作成できます。

複写式を使えば、1枚記入するだけで会社用と本人用の2部が同時に作成できるため、コピーを取る手間を省くとともに、記入漏れやミスを防げます。

また、複写式の給料支払明細書は、市販のテンプレートとしても販売されており、必要項目があらかじめ整っているため、誰でも簡単に作成が可能です。

会社用と本人用の2枚を作成する

給与支払明細書は、従業員に渡す本人用だけでなく、会社側で保管する会社用も作成する必要があります。

会社用と本人用の2枚を作成する理由は、給与トラブルが発生した際に記録として活用するためです。

たとえば、「支給額が違う」といった問い合わせがあった場合でも、会社用の控えをもとに迅速に確認・対応ができます。

複写式の給料支払明細書を使わない場合は、手書きした内容をコピーするか、必ず2枚分(会社用と本人用)用意しましょう。

給与支払明細書の電子化も検討する

手書きでの給与支払明細書作成は、簡易的で導入コストが低い一方、長期的な業務効率を考慮すると電子化も検討すべきです。

給与明細の電子化により、データの管理や検索がしやすくなり、計算ミスを防げます。

また、書類の印刷や保管にかかるコストも削減できます。

さらに、従業員はいつでもオンラインで明細を確認できるため、利便性が向上するでしょう。

最近では、低コストで導入可能なクラウド給与管理ソフトが普及しており、小規模な企業でも利用しやすい環境が整っています。

アルバイトでも給与支払明細書が必要?

給与支払明細書は、正社員だけでなくアルバイトにも必要です。

所得税法では、使用者は労働者に賃金を支払う際に、その内訳を示す書面を交付することが義務付けられています。

アルバイトや正社員といった雇用形態に関わらず、支払われた給与が正しいかを確認し、税金などの控除額を把握するためにも、給与支払明細書の発行は必要です。

特に、扶養控除医療費控除を申請する場合には、正確な収入を把握する必要があります。

そのため、アルバイトであっても給与支払明細書は交付しましょう。

給与支払明細書はどこでもらえる?

給与支払明細書は、給与が支給されるタイミングで勤務先から交付されるのが一般的です。

具体的には、紙で手渡しされる場合や電子メール、専用の給与管理システムなどを通じて交付されます。

多くの企業では、給与支払明細書を給与支給日当日に配布するのが一般的ですが、電子化が進み、オンライン上で事前に確認できるケースも増えています。

給与支払明細書が受け取れない場合や紛失してしまった場合は、勤務先の人事部や給与担当部署に問い合わせると再発行が可能です。

ただし、再発行手数料が発生する場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

給与支払明細書不交付の届出手続とは?

給与支払明細書が交付されない場合、所得税法に基づき税務署へ「給与支払明細書不交付の届出」を行えます。

この届出は、雇用主が明細書を交付しないことで、労働者の権利が侵害されるのを防ぐための制度です。

届け出には、勤務先の情報や明細書の不交付について詳細を記入し、税務署の窓口で専用の申請書を提出します。

「給与支払明細書不交付の届出」の申請後、税務署が事実確認を行い、必要に応じて勤務先に対する指導が行われます。

給与支払明細書は、賃金の正確性を確認するために重要な書類なので、

勤務先から交付されない場合は、早めに対処しましょう。

届出手続きに関する詳細は、最寄りの税務署や国税庁など公式サイトで確認できます。

給与支払明細書を正しく理解し、適切に管理しよう!

本記事では、給与支払明細書に関する基礎知識から記入例、さらには手書きで作成する場合の注意点や電子化するメリットまで幅広く解説しました。

給与支払明細書は、従業員にとって自身の給与内容を把握するための重要な書類であると同時に、企業にとっても給与計算の透明性を示す記録です。

正確に作成し適切に交付することで、従業員との信頼関係を築き、労務管理を円滑に進められます。

また、給与支払明細書の交付は、所得税法でも定められており、怠ると罰則が適用される場合があるため、必ず発行しましょう。

給与支払明細書の作成方法は、手書きや専用のテンプレート用紙などがありますが、効率化とコスト削減を両立する方法として、クラウド給与管理ソフトが便利です。

自社に最適な管理方法を採用し、従業員の満足度向上と労務管理の最適化を目指しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事