- 更新日 : 2024年10月30日
アンガーマネジメントは意味ない?仕事へのメリット、やり方を解説
アンガーマネジメントは怒りをコントロールする管理方法ですが、怒りの感情はなくすことができないため、意味がないと言われることがあります。しかし、怒りを抑えることができれば、人間関係や職場関係で円滑なコミュケーションが行えるのではないでしょうか。
今回は、アンガーマネジメントがもたらす仕事へのメリットなどについて見ていきます。
目次
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメント(anger management)は、自身の苛立ちや怒り(アングリー)の感情を制御し、また、その感情を予防する管理方法です。では、アンガーマネジメントは、アンガーコントロールとは意味が異なるのでしょうか。
アンガーコントロールはアンガーマネジメントと同じ意味で使われており、主にはアンガーマネジメントと呼ばれています。
アンガーマネジメントの意味
アンガーマネジメントは、苛立ちや怒りといった感情を自身で整理し、コントロールすることが目的の心理教育または心理トレーニングのことです。1970年代にアメリカで生まれたとされており、最初は犯罪者を矯正するためのプログラムでした。
時代とともに利用目的も変わってきて、最近では会社の人間関係の問題を背景に社員研修にも使われるようになってきています。
アンガーコントロールとの違い
アンガーマネジメントと似たような言葉に「アンガーコントロール」があります。どちらの言葉も、怒りなどの感情を適切にコントロールするスキルという部分では同じです。
当初は、「アンガーマネジメント」と「アンガーコントロール」の両方の言葉が使われていたようですが、現在は「アンガーマネジメント」と言われていることが多いようです。
怒りが生まれる理由
人はそれぞれ、「こうありたい」「こうあるべきだ」という自分の理想や願望などがあります。その理想や願望のための行動が妨害された場合、「悲しい」「悔しい」「不安だ」「辛い」などのネガティブな一次感情を感じることが多くあります。
その一次感情が蓄積され、その感情があふれ出したときに、二次感情である怒りが生まれます。自身が担当している仕事や、仕事で関わることの多い上司や部下、同僚や取引先に対してあふれ出る感情から怒りが生まれる場合もあり得ます。
この怒りが、仕事や職場に影響を与えてしまうこともあるため注意が必要です。
アンガーマネジメントを知らなかったらどうなるか
アンガーマネジメントを知らないと怒りのコントロール方法がわからないため、怒りを他人にそのままぶつけてしまいます。
そうすると、自分自身はもとより回りの人たちにもストレスを与えてしまい、良好な人間関係、職場関係を築けず、生産性も下がってしまうでしょう。アンガーコントロールは、職場や仕事において重要な意味を持っているのです。
アンガーマネジメントの6秒ルール
アンガーマネジメントの一つに「6秒ルールを意識する」というやり方があります。6秒ルールというやり方は、怒りの気持ちが生まれたときに、6秒間だけ、その怒りの気持ちを外に出さないように我慢することです。
怒りの感情はそのピークが6秒間と言われており、怒りの気持ちが爆発しそうになっても6秒待つことで怒りを静めることが可能になります。
職場でのアンガーマネジメントの意味とは?
職場で苛立ちや怒りといった負の感情を持ちながら仕事をしていると、ストレスがたまり生産性が下がってしまいます。また、同様に負の感情を持った上司や部下、同僚のいる職場でも、連携や育成などの面で良好な人間関係を構築することは難しいと言えるでしょう。
怒りの感情は生理反応であり、「怒り」という感情をなくすことはできません。この負の感情は職場でも問題になるため、感情のコントロールが必要です。
そのような状況が増えてきていることから、ビジネスシーンでもアンガーマネジメントが必要とされていますので、その影響について見ていきましょう。
生産性を上げる
職場で怒ることにより、本来の仕事の時間を怒りに使ってしまうため、ストレスをためることになります。また、モチベーションや集中力が低下し結果的に生産性を下げることにもなります。
アンガーマネジメントを学んで怒りの回数を減らすことができれば、前記のような非効率的な問題が少なくなり生産性を向上させることにつながります。
人間関係を良好にする
怒りはストレスを増大させる一因になります。怒りをぶつけたほうもぶつけられたほうも決して良い気持ちにはならないので、人間関係の悪化につながります。
アンガーマネジメントにより怒りの回数を減らすことができれば、風通しの良い人間関係が構築できるようになり、人間関係が良好になるでしょう。
実践できず「意味ない」という声があるのも事実
怒りの感情は生理反応であり、「怒り」という感情をなくすことはできないため、アンガーマネジメントを学んでも意味がないのではないかという声は確かにあります。
しかし、アンガーマネジメントで実践するのは、「感情である怒りをなくす」ということではありません。「怒りという感情をコントロール」することによって、ストレスを低減させたり生産性を向上させたりして職場を良い方向に持っていこうとすることです。
決して、アンガーマネジメントが「怒り」をなくすこととイコールではないことを認識しておいてください。
アンガーマネジメントが仕事に与えるメリット
アンガーマネジメントが職場や仕事に与えるメリットについて見ていきます。
円滑なコミュニケーションが取れる
アンガーマネジメントを身につけることによって、自分の怒りだけではなく、関わっている人たちへの怒りの対処などにも対応できるようになっていきます。
それぞれがアンガーマネジメントを実践することにより、怒りを感じる頻度も少なくなり、円滑なコミュニケーションが取れるようになります。
組織の関係を良くし質を高めることができる
アンガーマネジメントを身につけることで、円滑なコミュニケーションを取れるようになると前述しました。
それは、組織間でも同様で、その関係性がよくなり、円滑なコミュニケーションを取れるようになることで、仕事の質を高めることになり、さらには生産性を上げることにつながっていきます。
社員のストレスを減らすことができる
怒りという感情はストレスにもつながります。自分自身だけではなく、怒りを向けられる側の人にもストレスがたまっていきます。
上司と部下の関係で、上司に怒りを感じたときに、その怒りを表に出せず我慢して余計にストレスがたまることもあるでしょう。アンガーマネジメントを身につけると、これらのストレスの蓄積を減少させることができるようになります。
自己肯定感が高まり成果を生み出しやすい
アンガーマネジメントは、自分の怒りの感情をコントロールすることだけではなく、相手の怒りの感情にも気づけるようになります。また、相手の価値観や考え方を理解することで、相手による対応の違いもわかるようになってきて寛容になります。
そうやってコミュニケーションを取っていくうちに、生産性も上がり、自分の視野が広がりますので、仕事の効率化につながり、また、仕事の成果を生み出しやすくなります。
ハラスメントの防止につながる
怒りの感情が攻撃的である、あるいは、高圧的である場合、それがパワーハラスメントなどのハラスメントに結びつきやすくなります。
アンガーマネジメントの実践は、怒りという感情のコントロールですので、このようなハラスメント行為が抑制され、ハラスメントの防止につながります。
今すぐ実践!アンガーマネジメントのテクニック
ここからは、怒りを抑える方法としていくつかのアンガーマネジメントのテクニックについて見ていきます。
怒りを感じたら6秒待つ
イライラや怒りを感じたら「6秒ルール」を意識してみましょう。怒りのピークは6秒と言われていますので、この6秒の間は怒りを外に出さずに待ちます。
6秒の間は、例えば、深呼吸をする、その場を離れることができるのであれば離れてみる、楽しかったことなど別のことを考えるなど、どんなことでも構いませんので行動してみましょう。
自由な思考ができない考え方を捨てる
固定観念を捨てるというのも怒りを抑える方法の一つです。人は「自分が正しいからこうするべき」という固定観念を持っていて、他の人がその考えと違っていると怒りを感じるのです。
一度、他の人の考えも受け入れて柔軟に対応してみると、新たな発見などがあって固定観念を捨てられるのではないでしょうか。
自分でコントロールできることだけに力を注ぐ
自分でコントロールできることにだけ注力するというのも怒りを抑える効果的な方法です。
例えば、電車やバスの遅れ。この問題は自分で解決しようと思っても解決できることではありません。なぜなら、電車やバスの遅れは自分でコントロールできる問題ではないからです。
この時にイライラしたり怒ったりするのではなく、「自分のせいではないので仕方がない」と受け止めるようにしてみましょう。そうすれば、怒る必要がないときには怒らないということができるようになります。
思考を停止させる
「ストップシンキング」という言葉を聞いたことはありますか。
怒りの感情を感じた時に「ストップ」と心の中で叫び、頭の中に真っ白な紙や空間を想い浮かべて、思考を止めてみましょう。思考を強制的に止めることで、余計な怒りを生むことを防ぐことができます。
これをアンガーマネジメントのテクニックとして有効な「ストップシンキング」と言います。
怒りの度合いを点数化していく
怒りを感じたときに、「今、感じた怒りは10点満点中、何点だろうか?」と怒りに点数をつけてみましょう。点数化する作業に意識を向けることで、怒りの感情を客観的に見ることができます。
また、点数化する作業を意識している間に、「6秒ルール」の6秒は過ぎてしまいます。したがって、点数をつけた後で文句や批判をすることにすれば、その頃には感情も少し落ち着いてきて衝動的な言動や行動は自然と少なくなるでしょう。
これを何度も繰り返していくうちに、自分の怒りの傾向や誰か特定の人にばかり怒りが向いていないかなどの気づきも出てくるのではないでしょうか。
アンガーマネジメントにより良好な人間関係をつくりましょう
何に怒りを感じるかは人によって異なるため、怒りを感じる感情も人それぞれです。また、怒りのタイプによっても対策が異なります。
アンガーマネジメントを学ぶことによって、自分の怒りの感情が生まれるポイントを知り、日常の中で実践していくことにより、良好な人間関係、職場環境を作っていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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