- 更新日 : 2026年7月3日
女性が使える「生理休暇」とは?休暇中は無給?取得のための手続きも解説!
労働基準法第68条にもとづく法定休暇で、請求があれば就業規則の記載がなくても対応義務が生じます。
- 正社員だけでなくパートや契約社員も取得できる
- 取得日数に上限を設けることは認められない
- 有給か無給かは企業の裁量で決められる
申請を拒否すると30万円以下の罰金が科されるため、就業規則で扱いを整えておきましょう。
生理休暇は、労働基準法で定められた法定休暇です。従業員から請求があった場合、企業は適切に対応する必要があります。一方で、有給・無給の判断や取得日数、診断書の要否など、実務上の扱いに迷う企業も少なくありません。
本記事では、経営者や人事労務担当者に向けて、生理休暇の基本ルールから、就業規則への定め方までを解説します。さらに、取得しやすい職場づくりのポイントや、不正取得が疑われる場合の対応も紹介します。
目次
生理休暇とは?
生理休暇とは、生理による体調不良で就業が著しく困難なときに取得できる、法定休暇です。就業規則への記載がなくても、労働者から請求を受けた企業には、対応義務があります。
労働基準法第68条における生理休暇
生理休暇の根拠は、労働基準法第68条です。同条では、以下のように定めています。
生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、対象者を就業させてはならない
生理休暇は、企業が任意で設ける福利厚生ではありません。請求があれば、法律上認めなければならない休暇です。
企業が生理休暇の取得を拒否すると、労働基準法違反となります。違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。
生理休暇の対象者
生理休暇の対象は、生理日の就業が著しく困難な女性労働者です。正社員はもちろん、契約社員やパートタイマー、アルバイトなど、就業形態にかかわらず取得できます。
雇用形態や勤続年数を理由に、対象から外すことはできません。また、派遣社員の場合は、派遣元の就業規則や勤怠処理にも関わります。
派遣先で混乱を防ぐため、申請先や連絡方法を事前に整理しましょう。なお、企業独自の体調不良休暇では、性別を問わない制度設計も可能です。
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生理休暇の取得条件と日数
生理休暇は、生理の影響で通常どおりに働くのが難しい場合に限り、取得できる休暇です。企業は、取得日数や申請単位を就業規則で整理し、担当者による対応差を防ぎましょう。
「就業が著しく困難」な場合に取得できる
生理休暇は、生理による症状で、就業が著しく困難な場合に取得できます。該当する主な症状は、以下のとおりです。
- 生理痛
- 腹痛
- 腰痛
- 頭痛
- 貧血
- 吐き気
- 強いだるさ
生理による症状には個人差があるため、企業側が設けた基準のみで休暇の可否を判断するのは、不適切です。
実務では、本人から「生理による体調不良で勤務が困難」と申請を受けた時点で、生理休暇として対応しましょう。診断書や詳細な症状説明を義務化すると、申請の心理的負担が大きくなるため、配慮が必要です。
生理休暇の日数上限に規定はない
生理休暇の取得日数に、法律上の上限はないため、「月1日まで」「年間12日まで」など、取得自体に上限を設けることはできません。
また、生理の周期や症状の重さは、人によって異なります。毎月の取得が必要なケースもあるため、給与の支払いに影響がないよう、有給休暇とは別の処理が必要です。たとえば、「有給とする日数を月1日までとし、以降を無給」と定める方法が考えられます。
半日・時間単位での取得もできる
生理休暇は、1日単位だけでなく、半日や時間単位の取得が可能です。午前中だけ症状が重い場合や、通院後に出社できる場合もあります。
半日・時間単位の生理休暇申請を認めると、従業員は体調にあわせて、働き方を調整できます。企業側も、急な欠勤による業務調整を抑えやすくなるでしょう。
勤怠システムを使う場合は、「生理休暇」「体調管理休暇」などの申請区分を用意します。時間単位で入力できる設定にすると、給与計算もしやすくなるでしょう。
生理休暇中の給与と欠勤の扱い
生理休暇中の給与は、法律で支払いが義務づけられていません。生理休暇中の給与支給や欠勤控除、評価への影響は、就業規則で明確にする必要があります。
生理休暇の有給・無給は企業の裁量次第
生理休暇を有給にするか無給にするかは、企業の裁量で判断できます。労働基準法第68条は、休暇中の賃金支払いまでは規定していません。
したがって、無給として扱っても、福利厚生として有給化しても構いません。令和2年度雇用均等基本調査によれば、有給とする事業所は約3割です。
また、無給とする場合は、欠勤控除の計算方法を就業規則に明記する必要があります。月給制なら「月給÷所定労働日数」、時間単位なら「時間単価×取得時間」など、基準をそろえましょう。有給とする場合も、対象日数や支給額は、規程への記載が必須です。
生理休暇を理由とした不利益評価のリスク
生理休暇の取得を理由として、従業員を不当かつ不利に扱う対応は避けましょう。取得しただけで人事評価を下げるような対応は、トラブルにつながりかねません。また、昇進対象から外したり、懲戒の理由にしたりする対応も不適切です。
一方で、無給扱いとして給与を控除することは、直ちに違法にはなりません。賞与計算上、欠勤日として扱う場合も、就業規則への明記が必要です。
控除や評価への影響が大きいと、実質的な取得抑制とみなされます。評価項目と勤怠控除を分けて対策しましょう。
企業が生理休暇を整備するメリット
生理休暇の整備は、法令対応にとどまらず、職場環境の改善にもつながります。制度を使いやすく整えることは、従業員の健康管理や定着率の向上に直結します。
法的リスクを回避できる
労働基準法第68条により、企業は生理休暇の請求を受けた対象者を就業させてはなりません。したがって、制度を整備すると、申請拒否や不適切な勤怠処理による法的リスクを抑えられます。
使用者の義務は、就業規則への記載の有無にかかわらず発生します。就業規則・申請フロー・給与処理のルールを整え、対応を一元化しましょう。担当者によって対応が変わると、従業員の不信感につながります。
離職防止につながる
生理休暇を取得しやすい職場づくりは、従業員の離職防止にもつながります。症状が重い従業員にとって、体調不良を言い出しにくい職場環境は、負担になりかねません。
無理に出勤を続けると、業務効率の低下や、メンタル面の不調を招きます。企業が休みやすい制度を整えれば、従業員は安心して勤務を続けられるため、定着しやすくなるでしょう。
人手不足の職場こそ、目先の人員確保だけでなく、中長期的な定着を見据えた制度設計を進める必要があります。
健康経営・女性活躍を推進できる
生理休暇の整備は、健康経営や女性活躍推進にも役立ちます。生理にともなう不調は、働く女性の健康課題のひとつです。
制度の整備によって、従業員の健康に配慮する企業の姿勢を示せるでしょう。また、管理職や人事担当者が正しい知識を持てば、ハラスメントにあたる発言も防ぎやすくなります。
単に制度を設けるだけでは、職場の理解は広がりません。研修や社内周知とあわせて取り組み、体調に応じて働きやすい職場をつくりましょう。
生理休暇の申請で配慮すべきポイント
生理休暇が申請しにくい状態では、利用が進みません。就業規則や評価制度、年次有給休暇への影響を周知し、従業員が安心して申請できる環境を整えましょう。
就業規則の整備と従業員への周知
生理休暇の申請ルールは、就業規則や社内規程に明記し、従業員に周知する必要があります。以下の項目を簡潔にまとめて、社内ポータルや勤怠システムに掲載しましょう。
- 対象者
- 取得条件
- 申請方法
- 申請単位
- 給与の扱い
- 勤怠区分
詳しい症状を上司に伝える申請は、申請者の精神と、工数双方の負担になります。必要最小限の情報で申請できる仕組みを整えましょう。
人事考課・昇進への影響
人事考課や昇進の判断において、生理休暇の取得が、不利な扱いにつながらないと明記しましょう。取得日数だけを見て「欠勤が多い」と判断すると、制度利用を躊躇することが想定されます。
人事評価は、成果や役割、勤務態度などの基準に沿って行うものです。生理休暇の取得自体を評価低下の理由にすると、法的リスクにつながりかねません。
また、業務調整が求められる場面でも、本人の体調に配慮しましょう。業務分担や在宅勤務の可否を検討し、管理職にはハラスメント的な発言を控えるよう、教育を徹底します。
年次有給休暇への影響
生理休暇と年次有給休暇は、別の制度として扱いましょう。生理休暇を取得しただけで、年次有給休暇の日数を減らすのは不適切です。また、本人が希望した場合を除き、会社側が一方的に年次有給休暇へ振り替えることもできません。
生理休暇を出勤扱いとする場合は、年次有給休暇を付与する要件である「出勤率」の計算において、整理が必要です。取得しやすさを重視するなら、出勤扱いも選択肢に入ります。
就業規則で生理休暇に関して定めるべき内容
就業規則で定める内容は、以下のとおりです。
- 対象者
- 取得条件
- 取得単位
- 申請方法
- 給与の扱い
- 勤怠区分
- 評価や賞与への影響
- 証明書や診断書の要否
対象者は「生理日の就業が著しく困難な女性労働者」としましょう。雇用形態によって、利用を制限するのは不適切です。取得単位は、1日・半日・時間単位のどこまで認めるかを明記します。
また、給与の扱いは、以下のいずれかを採用することになります。
- 有給
- 無給
- 一部有給
無給とする場合は、欠勤控除の計算方法まで記載しましょう。規程の作成後は、従業員向けのQ&Aも用意することで、個別の問い合わせを抑制できます。
なお、制度設計の際、取得自体に日数制限を設けてはいけません。また、診断書の常時提出も、実質的に取得を妨げる扱いとみなされます。
就業規則への生理休暇の記載例については、以下の記事も参考にしてください。
生理休暇を取得しやすい職場づくりのポイント
生理休暇の取得率を上げたい場合、規程の整備だけでは不十分です。申請時のプライバシー保護や管理職対応、相談体制まで整えると、従業員が安心して利用しやすくなります。
プライバシーを守る申請フロー
生理休暇の申請では、従業員のプライバシー保護が重要です。直属の上司に口頭で詳しい症状を伝える方法では、申請をためらう従業員もいます。
申請のハードルを下げるには、勤怠システムや人事窓口から申請できる仕組みが有効です。申請理由は「体調不良」や「生理休暇」とし、詳細な症状の入力は任意にしましょう。
また、申請内容の承認者や、閲覧者も限定すべきです。同僚に休暇理由が伝わらないよう、勤怠表示や共有範囲を見直しましょう。
ハラスメントを防ぐ管理職対応
生理休暇に関する不用意な発言は、ハラスメントにつながります。「また生理休暇なのか」「本当に必要なのか」といった発言は避けてください。
また、「忙しい日に休まれると困る」と責める発言も不適切です。本人の体調や私生活を詮索する対応も、職場の信頼を損ないかねません。管理職には、申請を受けた際の対応方法を共有し、不用意な発言を防ぎましょう。
名称変更や別名称での運用
生理休暇の名称に、抵抗感を持つ従業員は少なくありません。取得率を高めるため、「健康管理休暇」「ウェルネス休暇」「エフ休暇」などの別名称を使う企業も存在します。
名称の変更により、申請にともなう心理的な負担の軽減が可能です。ただし、名称を変えても、労働基準法第68条にもとづく法定休暇としての扱いは変わりません。名称変更を理由に、対象者や取得条件を狭める扱いは不適切です。
相談窓口や産業医との連携
毎月取得が続くなど、症状が重いケースでは、相談窓口や産業医との連携も検討しましょう。
従業員によっては、生理痛やPMS、月経困難症などにより、継続的な配慮が必要です。本人の体調を確認し、必要な支援を検討しましょう。
相談窓口を設ける場合は、以下のような選択肢を用意します。
- 人事
- 産業医
- 外部相談窓口
加えて、在宅勤務や時差出勤、業務量の調整などが可能か、あわせて検討しましょう。
不正な生理休暇取得への対応方法
不正な生理休暇取得が疑われる場合でも、企業は慎重に対応する必要があります。生理の症状には個人差があり、外見だけでは判断できないためです。
たとえば、取得頻度が多い場合や、特定の曜日に集中する場合でも、不正と決めつけないよう注意しましょう。勤怠記録を確認し、本人と面談して慎重に判断することが大切です。
面談では、体調面で必要な配慮があるかを確認しましょう。また、症状が重い場合は、産業医や相談窓口につなぐ選択肢もあります。以下のような疑いがある場合も、まずは事実確認を行ってください。
- 無断外出
- 虚偽報告
- 休暇中の就労
事実が確認できたら、本人への説明機会を設けたうえで、懲戒規程との整合性を確認しましょう。
ただし、制度の利用を抑え込む目的で、ルールを厳しくするのは不適切です。診断書の常時提出や過度な証明要求は、正当に休む従業員にも、重圧を与えるリスクがあります。不正防止とプライバシー保護のバランスを取りながら、対応を決めましょう。
よくある質問
生理休暇とは何ですか?
女性保護のために、労働基準法で付与が義務付けられている休暇です。詳しくはこちらをご覧ください。
生理休暇は無給扱いですか? それとも有給や特別休暇扱いですか?
法定休暇ですが、生理休暇中の賃金の支払いは義務付けられていません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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