• 更新日 : 2025年2月3日

外国人の入社手続きについて徹底解説!注意点や入社後のフォローも解説

自社に外国人を入社させる際には、入社前後に行わなければならない手続きや気をつけたいポイントがあります。本記事では、手続きの概要や注意点のほか、外国人の入社後に行うとよいフォロー・サポートなどについても解説します。手続き漏れがないように、担当者はしっかり理解しておきましょう。

外国人の雇用前に行う手続き

外国人の雇用前に行う手続きとしては、担当業務の決定と在留資格の確認の2つがあります。

担当業務の決定

企業においては、企業と労働者双方の労働契約によって、労働者の在職中の職種を変更可能です。しかし、外国人が日本で就労する際に欠かせない在留資格は、職務内容で判断されるため、原則外国人労働者の職種変更は認められません。

在留資格で認められた職務以外に従事させた場合、不法就労にあたるため、労働者は資格外活動罪に、企業は不法就労助長罪に該当することになります。そのため、外国人が担当する職務を明確にしておくことが大切です。

在留資格の確認

外国人の在留資格について確認しましょう。在留資格とは、外国人が日本に滞在して活動を行うために必要な資格のことです。

在留資格は「在留カード」で確認できます。在留カードの表面に「在留資格の種類」「就労制限の有無」、裏面に「資格外活動許可の有無」が記載されています。

資格の種類は、主に次の3つです。

  • 就労に制限がない在留資格:日本での就労に制限を受けない。日本人同様に就労が可能
  • 就労に制限がある在留資格:定められた範囲内のみでの就労が可能
  • 就労不可の在留資格:原則就労ができない

外国人の雇用手続き【ケース別】

外国人を雇用する際に必要な手続きをケース別に紹介します。

外国人を海外で採用して日本で雇用する場合

外国人を海外で採用して日本で雇用する場合は、内定後に在留資格認定証明書の申請が必要です。在留資格認定証明書を発行後3ヶ月以内に日本へ入国しなければ、無効になってしまうため、注意してください。

在留資格認定証明書発行後は、就労ビザの取得が必要です。

日本で在職中の外国人を中途採用する場合

日本で在職中の外国人を中途採用する場合は、在留資格の変更が必要かの確認を行わなければなりません。就労資格で在留している外国人は、前職と職務内容が似通っていてもすぐに就労開始できるとは限らないためです。

たとえば、中学校の英語教師で働いていた外国人が民間の英会話学校に転職する場合は、在留資格変更になるため(教育から技術・人文知識・国際業務へ)、在留資格変更許可申請が必要になります。

在留資格変更が必要かはっきりさせるためには、就労資格証明書の取得がおすすめです。就労資格証明書を取得すれば、どのような就労活動ができるかが明確になるため安心です。

ただし、就労資格証明書の交付まで、申請から1〜3ヶ月かかる点には注意しましょう。

外国人の留学生を新卒採用する場合

外国人留学生を新卒採用したい場合は、在留資格が変更になるため、在留資格変更許可申請が必要です。在留資格変更許可申請は、就労開始する前年12月ごろから受け付けています。

なお、新卒でも就労時間が短い業務(パートやアルバイトなど)で採用する場合、継続的かつ安定的でない就労だと判断されると、就労資格が許可されない可能性もあるため注意しましょう。

外国人の入社前に行う手続き

外国人が入社する前に行う手続きについて解説します。入社前には、雇用契約書と労働条件通知書の作成が必要です。

雇用契約書と労働条件通知書の作成

日本人同様に、外国人を雇う際も雇用契約書と労働条件通知書の作成を行いましょう。口頭だけではトラブルに発展する可能性があります。

また、雇用契約書を作成する際は、在留資格を取得できたら雇用契約が成立する旨を停止条件として記載しておくことが重要です。在留資格を取得できなかった場合、在留資格がない状態で雇用関係が成立してしまうためです。

雇用契約書や労働条件通知書を作成する際は、できるだけ母国語や英語で作成してあげると外国人も理解しやすいでしょう。

外国人の入社後に行う手続き

外国人の入社後に行う手続きは、主に次の3つです。

  • 社会保険の手続き
  • 労働保険の手続き
  • 外国人雇用状況届出書の届出

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社会保険の手続き

外国人を雇用した場合でも、社会保険に加入する必要があります。社会保険協定を締結している国から派遣された場合は、年金保険への加入が免除される場合があるため注意しましょう。

労働保険の手続き

外国人の場合でも、労働保険に加入する必要があります。手続きはハローワークで行い、手続き期間は被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。

届出を怠ったり、虚偽の報告を行ったりする場合、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されるため注意しなくてはなりません。

外国人雇用状況届出書の届出(雇用保険に加入しない場合)

雇用保険に加入しない場合は、外国人雇用状況届出書の届出が必要です。届出対象となるのは、日本の国籍を持たない外国人労働者で、在留資格が外交、公用以外の方です。

外国人雇用状況届出書は、雇入れの日が属する月の翌月の末日までにハローワークに届け出なければなりません。

外国人を雇用する時の注意点

外国人を雇用する時の注意点について解説します。主な注意点は、次の3つです。

注意点をあらかじめ理解しておきましょう。

在留資格の更新

注意点の1つめとして在留資格の更新が挙げられます。外国人を長期的に雇用するのであれば、在留資格の更新が必要です。

永住者以外の外国人は基本的に在留期間が定められています。そのため、許可されている就労活動を日本で継続して行う場合には、在留期間更新許可申請が必要です。

更新は在留期限の概ね3ヶ月前から申請可能なため、早めに申請するようにしましょう。

就業規則の変更

就業規則の変更を検討することも注意したいポイントです。就業規則は外国人にも適用されます。仮に外国人にあわせて労働条件を変更しなければならない場合は、就業規則の変更も必要です。

なお、外国人の母国語に対応した就業規則を作成する法的義務はありません。しかし、就業規則を外国人にも周知する意味で、母国語や英語に対応した就業規則があると便利です。

健康診断

労働者を雇い入れる際には、原則健康診断の実施が義務付けられています。外国人の場合も同様のため、注意しましょう。

外国人の中には、なぜ健康診断を受診しなければならないのか、という疑問を持つ人もいます。問い合わせがあった場合には、法律上の義務であることを説明するとよいでしょう。

また、健康診断を受診する医療機関が外国語にも対応できるかのチェックも必要です。必要であれば、担当者が同行することも検討しましょう。

外国人の入社後に行うとよいフォロー・サポート

外国人の入社後に行うとよいフォロー・サポートについて解説します。おすすめのフォロー・サポートとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 印鑑の作成
  • 携帯電話の手配・契約
  • 住民登録
  • 口座開設

印鑑の作成

外国人の多くは印鑑を持っていません。しかし、日本での生活においては何かと必要なことも多いため、印鑑作成のフォローがあるとよいでしょう。

仮に持っていた場合でも、実印登録するのに不適切である場合もありえます。たとえば、中国の印鑑は石で作られていることが多く、既定の大きさに当てはまらないケースもあります。

そのため、既に印鑑を持っている場合でも、既定のサイズに合致するかどうかの確認も含めてサポートしてあげましょう。

携帯電話の手配・契約

日本で携帯電話を契約する際は、月額制であることが一般的です。一方、海外では使い切りのSIMカードであることも多く、携帯電話を使用する際には月額でお金を払う必要があるという認識がない人もいます。まずは、携帯電話を利用する際の認識の違いについて説明してあげましょう。

また、携帯電話は本人名義で契約することが一般的です。しかし、会社として契約して貸与する方法を用いれば、個々で契約する手間を省けます。

住民登録

3ヶ月を超えて滞在する外国人の場合は、住民登録が必要です。市区町村の窓口で住民登録ができますが、外国人からすると登録の仕組みや手続きは難しいものであるためサポートしてあげましょう。

口座開設

銀行の口座も日本で生活するうえでは大切なものです。給与の受け取りや生活費の決済などで利用するため、口座開設のフォローも行いましょう。

注意点を把握して外国人の入社手続きに臨もう

外国人を国内で雇い入れる場合には、さまざまな手続きが必要です。雇用前には担当業務の決定、在留資格の確認などをしっかりと行いましょう。

また、雇用手続きもケースによって必要な手続き内容が異なります。外国人を海外で採用して日本で雇用する場合、日本で在職中の外国人を中途採用する場合、外国人の留学生を新卒採用する場合それぞれで適切な対応が取れるようになりましょう。

あわせて、入社後には印鑑の作成や住民登録、口座開設などのフォローやサポートが欠かせません。本記事を参考に、外国人労働者が気持ちよく働ける環境を整備しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事