• 更新日 : 2026年9月4日

有給休暇の義務化とは?年5日取得のルールと中小企業が取るべき対策とは?

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Point有給休暇の義務化、罰則と対策は?

有給休暇の義務化とは、年10日以上付与される労働者に対し、企業が年5日の取得を確実にさせる制度です。

  • 違反で労働者1人につき30万円以下の罰金
  • 大企業・中小企業ともに猶予なく2019年施行
  • パート・アルバイトも付与日数次第で対象

Q. 中小企業に猶予期間はある?

A. 猶予期間はなく、2019年4月から企業規模を問わず一斉に義務化されています。

有給休暇の義務化とは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、企業が年5日の取得を確実にさせる制度です。本記事では、有給休暇取得義務化の対象者や罰則、年次有給休暇管理簿の作成方法、そして中小企業が実務でとるべき具体的な対策までを解説します。

有給休暇の義務化とは何か?

有給休暇の義務化とは、労働基準法の改正により、年10日以上の有給休暇が付与された労働者に対して、企業が年5日の有給休暇を確実に取得させることを指します。従来は労働者本人の請求に委ねられていた有給取得を、企業側の時季指定によって補完する仕組みです。

2019年施行の働き方改革関連法

この義務化は、2019年4月1日施行の働き方改革関連法による労働基準法改正で導入されました。背景には、有給休暇の取得率が長年低調に推移していたことがあります。労働者が周囲への気兼ねから取得を躊躇する傾向が強く、制度としての有給休暇があっても実際の取得が進まない状況が課題視されていました。そこで、企業に「使用者による時季指定義務」を課すことで、確実な取得を後押しする法改正が行われています。

有給休暇の義務化の対象となる労働者の条件

義務化の対象は、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者です。正社員に限らず、パートやアルバイト、契約社員、管理監督者も条件を満たせば対象に含まれます。

雇用形態 対象となる条件
正社員・フルタイム契約社員 入社後6ヶ月経過、出勤率8割以上
週4日勤務のパート等 入社後3年6ヶ月経過、出勤率8割以上
週3日勤務のパート等 入社後5年6ヶ月経過、出勤率8割以上
週2日以下勤務のパート等 年10日に達しないため対象外

前年度からの繰越分は年間付与日数のカウントに含めない点に注意が必要です。

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有給休暇の義務化に中小企業向けの猶予期間はある?

有給休暇の義務化に、企業規模による猶予期間は設けられていません。大企業・中小企業を問わず、2019年4月1日から一斉に施行されています。残業規制など他の働き方改革関連の規定では中小企業に猶予期間が設定されたものもありますが、有給休暇の年5日取得義務についてはそうした経過措置がなく、すべての企業が同時に対応を求められた点が特徴です。

有給休暇の義務化に違反した場合の罰則とは?

義務を果たせなかった場合、企業には労働者1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。これは労働基準法第39条第7項および第120条に基づく罰則規定です。

違反は対象労働者1人ごとにカウントされるため、未取得者が複数いれば罰金額もその人数分積み上がります。実務上は、労働基準監督署からの是正指導を経て改善を求められるケースが多く、悪質性が高い場合に罰則適用に至る流れが一般的です。したがって、年次有給休暇管理簿による正確な取得状況の把握と、早期の取得促進が欠かせません。

有給休暇の義務化は企業の業績にどのような影響を与える?

有給休暇の義務化は、短期的には業務調整の負担を生む一方、長期的には職場環境の改善を通じて業績にプラスに働く可能性があります。制度への向き合い方次第で、影響の方向性が変わってくる点がポイントです。

メリット:生産性や定着率の向上につながる

有給休暇の取得が進むことで、従業員の心身のリフレッシュが図られ、業務への集中力向上や生産性改善が期待できます。加えて、休暇を取りやすい職場は従業員満足度が高く、離職率の低下や採用競争力の強化にもつながります。

リスク:属人化や人員不足で業績が低下する可能性がある

一方で、業務が特定の人材に集中している職場では、有給取得によって一時的に業務が滞るリスクがあります。繁忙期に複数人が同時に休暇を取得すると、代替要員の確保が難しくなり、納期遅延や品質低下につながる懸念もあります。管理部門にとっても、取得スケジュールの調整や勤怠記録の管理に工数がかかる点は無視できないコストです。

中小企業が有給休暇の義務化に対応するには?

中小企業が有給休暇の義務化に対応するには、取得状況の可視化、時季指定の実行、計画的付与制度の活用、管理者教育の4つをステップとして進めることが有効です。以下、それぞれの手順を解説します。

STEP1:年次有給休暇管理簿で取得状況を可視化する

まず、労働者ごとの有給休暇の基準日・取得日数・取得日を記録した管理簿を整備し、誰の取得が遅れているかを把握します。表計算ソフト(Excelなど)や勤怠管理システムを活用すると、更新漏れや転記ミスを防ぎやすくなります。

STEP2:取得が遅れている従業員に時季指定を行う

基準日から1年以内に5日の取得が見込めない従業員には、企業側が時季指定義務に基づき取得日を指定します。指定にあたっては、まず本人の希望を聴取し、可能な限り尊重したうえで日程を決めることがルールです。

参考:年次有給休暇の時季指定義務|厚生労働省

STEP3:計画的付与制度を活用する

労使協定を締結し、夏季休暇や年末年始休暇の一部を計画的付与日として設定すれば、5日を超える有給休暇について企業側があらかじめ取得日を決められます。全社一斉付与や部署ごとの交代制付与など、自社の業務実態に合わせた運用が可能です。

STEP4:管理者教育と業務の属人化解消を進める

現場の管理職が制度の趣旨を正しく理解し、率先して有給休暇を取得する姿勢を見せることで、部下も取得しやすくなります。あわせて業務マニュアルの整備やタスクの共有を進め、「自分が休むと業務が回らない」という属人化の解消に取り組むことが重要です。

年次有給休暇管理簿とは?作成・保存のルール

年次有給休暇管理簿とは、労働者ごとの有給休暇の基準日・取得日数・取得日を記載した帳簿で、企業に作成・保存が義務付けられています。

保存期間は原則5年間ですが、経過措置により当面は3年間とされています。労働者名簿や賃金台帳と合わせて作成することも認められており、必要な際にいつでも出力できる形であれば、システム上での一元管理でも問題ありません。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省

パート・アルバイトも有給休暇の義務化の対象になる?

パートやアルバイトであっても、年間10日以上の有給休暇が付与されていれば義務化の対象になります。雇用形態にかかわらず、付与日数が基準を満たすかどうかで判断される点が重要です。

週の所定労働日数が少ない労働者は、比例付与により有給休暇の日数が少なくなる仕組みです。そのため、勤続年数が浅いうちは対象外でも、勤続年数の経過とともに義務化の対象に切り替わるケースがあるため、企業側は個々の付与日数の推移を継続的に確認する必要があります。

従業員が有給休暇の取得を拒否した場合はどう対応する?

従業員が有給休暇の取得を拒否しても、企業は時季指定義務に基づき取得日を指定し、5日間の取得を実現させる必要があります。取得は労働者の権利であると同時に、企業には取得させる責任がある点を踏まえた対応が求められます。

時季指定義務を行使して対応する

本人の希望を一切無視するのではなく、業務や家庭の事情を考慮しつつ、双方が納得しやすい日程で指定することが望ましい対応です。最終的に企業が取得日を決定し、記録を残すことで法令上の義務を果たしたことになります。

拒否の背景を確認し職場環境を調整する

取得を拒否する理由が、業務都合や周囲への配慮であるケースも少なくありません。代替要員の確保や業務分散を検討し、安心して休暇を取得できる環境を整えることが、根本的な解決につながります。

退職予定者や休業中の従業員にも取得義務はある?

退職予定の従業員は原則として取得義務の対象ですが、休業中の従業員には原則として取得義務は生じません。それぞれの考え方を整理します。

退職予定の従業員の場合

退職予定であっても、有給休暇が年10日以上付与されていれば取得義務の対象です。ただし、基準日から退職日までの期間が5日間の取得を実現できないほど短い場合は、義務の対象外となることがあります。

育児・介護休業中の従業員の場合

休業中は労務提供の義務自体が停止しているため、企業が時季指定を行うことはできません。復職後、基準日から1年以内に5日取得が可能な期間が残っていれば、その時点から取得義務の管理を再開する必要があります。

有給休暇の義務化に向けた中小企業の管理実態と課題

マネーフォワードでは、有給休暇の管理業務に携わる担当者を対象に調査を実施しました。現在どのようなツールを用いて有給休暇を管理しているかを尋ねたところ、最も多いのは「勤怠管理に特化したクラウドサービス・パッケージソフト」で、44.1%でした。次いで「表計算ソフト」が40.9%、「紙の台帳や書類」が25.2%となっており、手作業によるアナログな運用が依然として大きな割合を占めていることがわかります。

有給休暇管理で工数がかかる作業とは

また、管理実務において特に工数がかかっている作業について尋ねたところ、最も多いのは「半日単位や時間単位など、複雑な取得形態への対応」で、29.6%でした。次いで「繰り越し分の有効期限(時効)の管理」が28.9%、「入社時期や労働条件に応じた付与日数の算出」が28.5%と続いています。有給休暇の義務化に対応するには、従業員ごとの付与日数や期限の確実な把握が必要ですが、アナログな管理方法や複雑な計算によって担当者の業務負担が大きくなっていることが読み取れます。

出典:マネーフォワード クラウド、有給休暇の管理ツール・方法および管理実務において特に工数がかかっている作業【有給管理に関する調査データ】(回答者:お勤め先において従業員の有給休暇の管理業務に携わっている646名、集計期間:2026年4月実施)

有給休暇の義務化に適切に対応するために

有給休暇の義務化は、年10日以上付与された労働者に年5日の取得を確実にさせる制度であり、大企業・中小企業を問わず猶予なく施行されています。管理簿の整備や計画的付与制度の活用、管理者教育を組み合わせることで、罰則リスクを避けながら職場全体の有給休暇取得率向上につなげていきましょう。

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よくある質問

有給休暇の義務化とはなんですか?

有給休暇取得率が低い現状を踏まえて、2019年4月1日の改正労働基準法で、全ての会社において年に10日以上有給休暇が付与された労働者には、年に5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の義務化に伴い、中小企業が取るべき対策を教えてください

有給休暇の管理担当者が労働者の有給休暇を正しく管理すること、具体的には、法改正への対応の確認や有給休暇管理簿の作成による基準日、残日数、取得日数、年5日取得義務のある労働者の取得状況の把握などです。詳しくはこちらをご覧ください。


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