- 更新日 : 2026年3月31日
社会保険の出産育児一時金とは
出産は病気ではありません。そのため、健康保険は使えず、原則的には全ての費用が自己負担となります。しかし、産院での入院費など出産にかかる費用は高額で、どうしてもまとまった金額が必要になるのが現実です。こうした出産時の経済的負担を軽くしようという考えもと、社会保険から支給されるのが「出産育児一時金」です。
社会保険の出産育児一時金の詳細
健康保険法における出産とは、妊娠85日(4ヶ月)以後の分娩を指します。この場合には、28日を1ヶ月と換算するため、4ヶ月は(28日×4)85日ということになります。妊娠85日以降の出産は正式に出産したと認められ、社会保険における出産育児一時金の支給対象となります。
なお、妊娠85日(4ヶ月)以降であれば、正常分娩で無事に赤ちゃんが生まれたケースだけでなく、早産で難しい事態に陥ったケース、さらには、死産や流産(中絶も含まれる)といったケースにも適用されます。
出産において、健康保険が適用されるケース
出産費用は基本的に健康保険を使うことができません。しかし、なかには例外があります。
・帝王切開による分娩
・つわり
・流産・早産
など
このような場合は、健康保険が適用されて高額療養費の給付対象になります。
出産育児一時金の金額
社会保険の出産育児一時金は被保険者およびその被扶養者が出産したとき1児につき40.4万円が支給されます。ただし、以下の要件に該当する場合は42万円が支給されます。
・出産時に利用した医療機関が産科医療保障制度に加入している場合
この産科医療補償制度は、財団法人日本医療機能評価機構によって運営されています。これは、分娩時に何らかの理由で重度の脳性麻痺になってしまった場合、胎児と家族の経済的負担を軽くするための補償です。さらには、出産に起因する脳性麻痺に関する事例を集め、分析することによって、産科医療の向上に役立つ情報を発信しています。
なお、妊娠22週以降(85日目以上)の出産であるこの条件は、死産であっても出産育児一時金を受け取ることができます。
また、双子など多胎分娩の場合には、その胎児の数にあわせて一時金の額も増えます。産科医療補償制度の加入分娩期間で予定日通りに双子が産まれた場合、42万円が二人分、42×2の合計84万円が支給されます。
この記事をお読みの方におすすめの資料
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドをご紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
産休・育休の手続き、抜け漏れはありませんか?
産休・育休には休業前から復職時まで、職場・年金事務所・市区町村など提出先の異なる手続きが多数あります。
出生届は14日以内など期限もさまざま。時期ごとに何をどこへ提出するか、チェックリストで一覧化した本ガイドをご活用ください。
育休中のお金、要点を整理
育休中は給与が支給されないことが多い一方、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
本資料は、給付金の対象者や支給率、ボーナスの扱い、申請手続きまでをまとめた資料です。給料・賞与に関する従業員からの問い合わせ対応にもお役立てください。
産後パパ育休 7つの実務対応
就業規則の見直しから労使協定、社内書類の整備、個別周知、雇用環境整備、取得状況の公表、ハラスメント防止まで、企業が取り組むべき実務を7項目で網羅。
社労士監修の規定例や実務対応チェックリスト付きで、自社の対応状況を確認できます。
産休・育休時に使える、一時不在用の業務引継書
引継ぎが不十分なまま休業に入ると、代理担当者が対応に迷い、期限付きタスクの抜け漏れにつながります。
主要業務の手順や緊急度、連絡先、期限のあるタスクを項目ごとに整理できる引継書テンプレートで、不在中の業務をスムーズに引き渡せます。
出産育児一時金支給申請書の提出までの流れ
社会保険の出産育児一時金を受け取るためには、まず給付を希望する被保険者自身が「出産育児一時金支給申請書」を提出しなければなりません。
提出期限
2年以内(起算日は出産の翌日)
提出先
所轄の協会けんぽ、または健康保険組合
添付書類
以下のいずれかの添付を求められる場合があります。
・母子手帳
・医師の意見書
・市区町村の証明
・戸籍抄本
・住民票
出産育児一時金の支給方法
社会保険における出産育児一時金の給付を受ける際には、以下に挙げる2つの支給方法から選択することができます。
直接支払制度
協会けんぽ・健康保険組合から医療機関へ、直接出産育児一時金を支払う制度です。こ保険機関と医療機関でやりとりが行われるため、被保険者が医療機関等へまとめて支払う出産費用の負担の軽減を図ることができるというメリットがあります。
なお直接支払制度に対応していない医療機関等などで出産予定の場合などは、「出産育児一時金支給申請書」の提出し被保険者ご自身で出産育児一時金を請求することも可能です。詳しくはご加入の医療保険者(協会けんぽ・健康保険組合)にご確認ください。
受取代理制度
直接支払制度と同様、医療機関が出産育児一時金の請求・受取を行う制度です。この場合、直接支払い制度では医療機関がやってくれる事前申請手続きを、被保険者本人が行なわなければなりません。
こちらを選択すると、医療機関へ手数料を支払う必要がなくなり、直接支払制度よりもお値打ちに済ませることができます。
ただし、受取代理制度は導入していない医療機関もあるので、事前に確認しておく必要があります。
資格喪失後の申請
退職などの理由で、出産時にはすでに健康保険の被保険者ではなくなっている場合であっても、次の条件にいずれも当てはまれば、社会保険の出産育児一時金を受け取れます。
1. 中断のない1年間の健康保険加入の後、被保険者ではなくなった場合
2. 出産からさかのぼって6カ月目以内のある時点まで被保険者であった場合
上の条件に当てはまらない場合でも、扶養家族になっているのであれば「家族出産育児一時金」を申請できます。受け取り金額は社会保険被保険者の「出産育児一時金」と同じですが、要件が少し違いますので、確認が必要です。また、この場合、必ずしも夫の扶養に入る必要はなく、夫の死後に親の扶養に入った子供が出産した場合も受給の対象になります。
まとめ
出産時は何かと物入りです。経済的負担を出来る限り軽減するためにも、社会保険の出産育児一時金を受け取れるよう受給手続きは忘れずに行いましょう。万が一、提出を忘れたという場合でも、出産した子どもが2歳になるまでの期間内ならば申請が可能です。また、退院後の落ち着いた時期に手続きを行うこともできます。
さらに、直接支払制度や受取代理制度については、事前に産院からどういった支給方法をとるか聞かれる場合があるため、どちらを選ぶかを事前に決めておく必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 社会保険業務
月末退社だと社会保険料がお得?退職日による違いを紹介!
社会保険料は、原則として月単位で計算されます。その際、社会保険の資格喪失日の関係で、従業員が月末退社をするケースと月末以外の「月の途中」で退職するケースとでは、給与から天引きする社…
詳しくみる -
# 社会保険業務
厚生年金の加入条件とは?加入義務のある対象企業や加入手続きを解説
法人ならびに常時5人以上の従業員がいる個人事業主は、厚生年金保険に加入する義務があります。また個人事業主は、適用業種で常時5人未満の場合および適用業種以外の場合は、任意適用事業とい…
詳しくみる -
# 社会保険業務
雇用保険受給資格者証とは?いつ・どこでもらえる?必要な場面は?
雇用保険受給資格者証とは、失業手当(基本手当)の受給資格があることを証明する書類です。雇用保険被保険者が離職し、基本手当の受給手続きを進める中で、ハローワークで交付されます。 本記…
詳しくみる -
# 社会保険業務
【記入例付き】通勤災害における様式16号の4の書き方は?提出方法まで解説
通勤災害による治療が長引く中で、「リハビリのためにもっと通いやすい病院に移りたい」「専門的な治療が受けられる病院に転院したい」と考えることがあるかもしれません。その際に必要となるの…
詳しくみる -
# 社会保険業務
傷病手当金は有給休暇を取った日にも支払われる?
仕事外のケガや病気が理由で会社を休む場合、傷病手当金を申請できます。原則として有給をとった場合、この傷病手当金は支払われません。ただし、受給までの待機期間に有給を利用するなど、いく…
詳しくみる -
# 社会保険業務
社会保険における扶養・被扶養者とは?年の途中の手続きや加入条件も解説
社会保険とは、ケガで働けなくなったり、休業中で給料がもらえなかったりするときの補償をしてくれる重要な保険です。社会保険の扶養とは、自分自身が保険に入らなくても保険給付が受けられるこ…
詳しくみる




