- 更新日 : 2021年10月7日
住民税が非課税になる条件と受けられる恩恵のポイントまとめ

住んでいる地域のために徴収される税金に住民税があります。その住民税が非課税になる場合があるのを知っていますか?この記事では、住民税の課税方法や非課税になる要件や、非課税世帯が得られる恩恵などについて解説します。
目次
住民税とは
住民税とは、1月1日に住所がある都道府県、市町村に納める税金のことを指し、「道府県民税」(東京都は都民税)と「市町村民税」(東京23区は特別区民税)の2つが含まれます。
なお、個人・法人ともに地方自治体から行政サービスを受けているため、住民税は個人・法人どちらも対象となっており、個人に課されるものは「個人住民税」、会社等の法人に課されるものは「法人住民税」と呼ばれています。
「法人住民税」が非課税になるのは、
- 公共法人(地方公共団体やその組合など)
- 収益事業を行わない公益法人(学校法人、宗教法人など)
など一定の場合に限られます。
今回は個人住民税の非課税について解説します。
法人住民税について詳しく知りたい方には、以下の記事をご確認ください。
「均等割」と「所得割」
住民税は、1月1日の時点でその地域に住所がある人を対象に、「均等割」と「所得割」の2種類が徴収されます。
均等割
「均等割」とは、全ての納税義務者から均等に税金を徴収するものです。平成26年度から令和5年度までの標準税率は、市町村税が3,500円、道府県税が1,500円(特別区民税、都民税も同額)となっています。ほぼ全ての自治体でこの標準税率が採用されていますが、この標準税率に加え、環境保全等のため、森林環境税として道府県税に300円から1,200円程度追加している自治体が多いです。この均等割は、非課税の条件を満たさない限り、全員が一定の額を納めます。
所得割
「所得割」は、納税義務者の前年の所得によって次のように決まります。
税率は、市町村民税が6%、道府県民税が4%(指定都市の区域内などの場合は、市町村民税が8%、道府県民税が2%)です。この標準税率は、均等割と同様、自治体ごとに設定することができ、豊岡市(市民税と県民税で10.1%)や横浜市(市民税と県民税で10.025%)のように増額している自治体や、名古屋市(市民税と県民税で9.7%)のように減額している自治体もあります。
また、この所得割は場合により非課税になります。
個人住民税が非課税となる要件
個人住民税は、以下のいずれかの条件を満たすと「均等割」「所得割」ともに非課税になります。
- 生活保護を受けている
- 未成年者、障がい者、寡婦、ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下(所得が給与所得のみの場合は、給与収入が204万4000円未満)
- 前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下
例えば、東京23区では次の式で計算されます。
*21万円は被扶養者がいる場合に加算されます。
**令和3年度から加算されます。
では、東京都内で扶養家族のいない人がパートをして、100万円の給与収入がある例をみてみましょう。
100万円から給与所得控除55万円(給与所得額に応じて控除額が変わります)が差し引かれ、所得は45万円となります。45万円というのは、上記3. に当てはまるので「均等割」「所得割」ともに非課税です。
つまり、パートで個人住民税がかからないようにするためには、給与の合計が100万円以下(東京23区の場合。各自治体で異なります。)である必要があります。このように、100万円は個人住民税の壁ともいえるでしょう。所得税が課税になるいわゆる「103万円の壁」よりやや少なくなっているので注意が必要です。例えば、102万円の給与をもらった場合、所得税は課税されませんが、住民税は課税されます。
住民税非課税世帯とその恩恵
非課税世帯とは、世帯全員の住民税が非課税であることを指します。この住民税非課税世帯には、低所得者を救済する目的で受けられる恩恵が多く用意されています。
1.国民健康保険料が軽減される
所得により、国民健康保険料が軽減されます。東京都23区内では、所得に応じて2割から7割の減額となっていますが、各自治体によって取り扱いが異なるため、自分の住所地の自治体の制度を確認してください。
2.介護保険料が軽減される
令和元年10月より、65歳以上の約3割にあたる住民税非課税世帯の介護保険料が、所得段階ごとに軽減されます。
3.高額療養費が軽減される
70歳未満の場合、同じ医療機関で1ヵ月に支払う自己負担限度額が35,400円になります。但し、異なる医療機関を受診した場合も医療費を合算できるケースや、過去12ヵ月以内に3回以上上限に達した場合はさらに自己負担額が軽減される仕組みなどがあります(平成29年8月以降の受診に関して)。
4.高等教育の修学支援制度やNHKの受信料が免除される
令和2年4月より、住民税非課税世帯などを対象として、大学等の入学金や授業料が減免されます。
この他にも、住民税非課税世帯には、自治体ごとに以下のような恩恵が用意されています。
- 入院中の食事の自己負担額の軽減
- がん検診費用の自己負担金の免除
- 予防接種の自己負担金の免除
- 0歳から2歳までの子どもの保育料の免除
このように、住民税非課税世帯には多くの恩恵が用意されているので、当てはまる世帯の方はうまく活用しましょう。
非課税世帯を対象とするサービスは地域によって異なる
住民税の非課税世帯は、各種の恩恵が受けられることをまとめました。
市町村により、取り扱う行政サービスや申請方法が異なるため、利用にあたっては市役所等によく聞いておきましょう。また、所得税と異なり、住民税は前年の所得によって決定するため、収入に変化があった場合は注意しましょう。
参考

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よくある質問
住民税とは?
納税者が1月1日に住所がある都道府県や市町村に納める税金のことです。 詳しくはこちらをご覧ください。
住民税の非課税要件は?
次のいずれかを満たせば、住民税が非課税となります。 (1)生活保護 (2)未成年者、障がい者、寡婦、ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下 (3)前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下 詳しくはこちらをご覧ください。
住民税の非課税世帯への恩恵とは?
国民健康保険料や65歳以上の介護保険料が軽減されたり、高額医療費制度においても軽減を受けることができます。さらに、高等教育や保育料の支援制度などもあります。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。