- 作成日 : 2015年9月18日
マイナンバーの社会保険への実務利用

平成28年度から国の行政機関や地方公共団体等に書類を提出する際には、社員や法人のマイナンバーを記載することになりました。ここでは、社会保険では実務的にどのように利用するのかを解説します。
社会保険へのマイナンバーの実務利用について
マイナンバーは、社会保障や税制度を効率的に運用することにより、国民がより便利に利用しやすくすることや、国民の間で制度の公平性を保つことを目的として導入されました。このマイナンバーは、国の行政機関や地方公共団体において、社会保障、税、災害対策の3つの分野で利用されることになりますが、このうち、マイナンバーを扱う社会保障における分野は大きく分けて以下3つの分野に分かれます。
2.労働分野
3.医療・福祉分野


上記1から3の分野のうち、マイナンバーを扱う行政事務は、法律等で以下のようなものが定められています。
1.年金分野
・国民年金法や厚生年金保険法における年金給付に関する事務
・国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員、共済法における年金給付に関する事務
・確定給付企業年金法、確定拠出年金法における年金給付に関する事務
2.労働分野
・雇用保険法における失業等給付、雇用安定事業、能力開発事業における事務
・労働者災害補償保険法における保険給付、社会復帰促進等事業に関する事務
3.医療・福祉分野(福祉分野は省略)
・健康保険、船員保険、国民健康保険、高齢者の医療の確保に関する法律における保険給付や保険料徴収に関する事務
・介護保険法による保険給付や保険料徴収に関する事務
また、1から3の分野のうち、民間企業がマイナンバーを扱う事務は、以下のようなものがあります。
【マイナンバーを扱う事務と提出先機関】
提出先 | 事務内容と届書の例 | 事務実施者と対象事務の例 |
---|---|---|
厚生労働大臣 (ハローワーク) | 雇用保険法による雇用保険事務 ・被保険者資格取得届等 | 事務実施者:適用事業所の事業主 対象事務例:各法による被保険者資格取得届に従業員のマイナンバーを記載 |
厚生労働大臣 (日本年金機構) | 健康保険法による健康保険の事務 ・健康保険の被保険者資格取得届等 | |
厚生年金保険法による厚生年金保険の事務 ・厚生年金保険法の被保険者資格取得届等 | ||
健康保険組合 | 健康保険法による保険給付の事務 ・健康保険組合所管の健康保険の被保険者資格取得届等 |
具体的な届出の種類と導入時期について
社会保険の各種届出では、届出用紙にマイナンバー(個人番号や法人番号)を記載して届け出ることが必要になります。今後、マイナンバーを基にした事務処理を行なうことにより、行政における手続の効率化や社会保険の適正な運営を行なうことができるようになります。
また、マイナンバーは、法律によって定められた行政手続で使用する番号で、一定の届出における確認や給付に利用します。
分野 | 主な届出書等の内容 |
---|---|
雇用保険 | 【個人番号の記載が必要な書類】 ・雇用保険被保険者資格取得届 ・雇用保険被保険者資格喪失届 等 【法人番号の記載が必要な書類】 ・雇用保険適用事業所設置届 等 |
健康保険・ 厚生年金保険 | 【個人番号の記載が必要な書類】 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 等 【法人番号の記載が必要な書類】 ・新規適用届 等 |
社会保険実務への留意事項について
社会保険実務においてマイナンバーを取り扱う上での留意事項について、いくつかの面から説明します。
1.目的外利用の禁止
マイナンバーは法律で定められた手続のみ利用することが可能ですので、法律で定められた手続以外でマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管すると罰則が課される場合があります。
例えば、事業主が社会保険手続に必要であるために、従業員からマイナンバー(個人番号)を収集したが、実際は従業員の情報を管理することを目的として入手していた場合は、目的外利用になります。
2.本人確認の徹底
事業主は、届出の作成や提出をする際、従業員からマイナンバー(個人番号)を収集する場合は、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続を行なっている者が正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要になります。
原則としては、以下1から3のいずれかの方法で確認します。
2.通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
3.個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証(身元確認)

3.マイナンバーの安全管理措置
マイナンバー(個人番号)を含む個人情報を取り扱う際は、その漏洩、滅失、毀損を防止するなど、マイナンバーを適切に管理するために必要な措置を講じなければなりません。
よって、事業主はマイナンバーを含む個人情報ファイルなどを保管する場合、安全管理措置を講じる必要がある他、正当な理由なく第三者に提供してはなりません。
保管については、個人情報ファイル等の紙媒体だけでなく、マイナンバーを管理・収集するためのシステムを新たに構築し、そのシステムと既存のシステムを連携させて事務処理を行なう等の対策もあります。
この他、事業主が委託先にマイナンバー(個人番号)を含む個人情報を取り扱う業務を委託する場合、必要かつ適切な監督を行なわなければなりません。
一方、出向や転籍等で出向先や転籍先の事業者にマイナンバー(個人番号)を提供することは認められておらず、出向や転籍する本人より出向先や転籍先の事業者に提供する必要があります。
ただし、出向元や転籍元の事業者が、出向先や転籍先の事業者と委任契約等を交わして事務の一部を委託する場合は、出向元・転籍元の事業者が本人確認を行なったうえで、出向先や転籍先の事業者に提供することは認められています。

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