- 更新日 : 2024年12月3日
年金の学生納付特例制度とは?厚生年金に免除はある?
学生でも20歳になると国民年金の加入と保険料の支払いが必要です。しかし、学生は収入がないことも多いため、学生納付特例制度で保険料の支払い猶予を受けることができます。
申請を忘れると、万が一の場合に障害年金が受け取れないということも起こり得ます。ここでは、学生が保険料の支払い猶予を受ける方法について解説します。
目次
年金の学生納付特例制度とは?
学生納付特例制度は、学生である第1号被保険者の方が申請して承認を受けることで、4月から翌年3月までの保険年度の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。猶予された保険料は、社会人になってから後払い(追納)することができます。なお、申請は毎年度ごとに必要となります。
日本では、20歳になると国民は国民年金保険に加入しなければなりません。しかし、20歳になっても学生である場合、保険料の納付の猶予を受けることができます。猶予された期間の保険料は社会人になってから後払いすれば、最終的に満額国民老齢基礎年金を受け取ることも可能です。学生納付特例制度について、以下で詳しく見てみましょう。
国民年金の学生納付特例制度
国民年金の学生納付特例制度の対象となるのは、20歳以上の学生です。大学院、大学、短大高等学校、高等専門学校といった各種教育機関に在学していることが条件となります。昼間、夜間、定時制、通信課程は問いません。学生納付特例制度を受けるには、学生本人の前年度の所得についての基準を満たす必要があります。
▼前年度の所得が基準以下であること
学生納付特例制度の特徴は、猶予を受けていた期間が年金の受給するときの「受給資格期間」に含まれる点です。65歳以降に国民老齢基礎年金を受け取るには、最低10年の受給資格期間が必要となります。
たとえば、大学生となってから20歳以降の2年間、支払いの猶予を受けていたとしても、その期間は受け取りに必要な受給期間にカウントされます。ただし、支払いを猶予されているだけですので、将来受け取る年金額には反映されません。
保険料の後払いが認められるのは、猶予を受けた期間から10年以内です。10年以内に追納することによって、将来の年金額を満額に近づけることが可能です。なお、学生納付特例制度の承認を受けた期間の3年度目以降は、期間に応じて保険料額が上乗せされます。
もし学生納付特例制度を利用せず、学生の間、保険料の納付を怠ると、受給資格期間が足りず将来年金を受け取ることができなくなったり、事故で重い障害が残ってしまった場合に受け取れる障害基礎年金が受け取れなくなったりすることがあるので、注意しましょう。
厚生年金に学生納付特例制度はある?
学生納付特例制度は、国民年金のみの制度です。厚生年金保険に加入している場合は利用できません。たとえば、日中は企業に正社員として雇用され、夜間に学校に通うケースの場合には、厚生年金保険の加入期間となりますので、給与から厚生年金保険料が天引きされます。
学生のアルバイトでも4分の3基準に該当している場合、厚生年金保険の対象になる?
勤務先の企業規模によって異なりますが、学生であっても厚生年金保険の被保険者になるケースがあります。
原則として、アルバイトやパートタイム労働者の場合、週の所定労働時間と1ヵ月の所定労働日数が正社員などフルタイムで働く労働者の4分の3以上となると、厚生年金保険の加入対象になります。
夜間の学生や休学中の方が従業員数101人以上の規模の会社で働く場合などでは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、給与の月額が8.8万円以上となるほど働くと、厚生年金保険の被保険者となる場合があります。
厚生年金保険の被保険者となっている場合には、学生納付特例制度の対象とはなりません。厚生年金保険の被保険者となっているかどうかは、給与明細で厚生年金保険料が天引きされているかどうかを見ることでも確認することができます。
学生納付特例の申請期間と手続き
国民年金の保険料の納付は20歳から始まります。もし、猶予を受けるための学生納付特例制度の申請をしないで、国民年金の保険料を未納のままでいると、障害年金を将来受け取れないといったリスクがあります。申請方法は、申請書によるものと、電子申請の2種類があります。
申請書による申請
住んでいる市町村の国民年金窓口、年金事務所、もしくは日本年金機構のウェブサイトからダウンロードするなどして申請書を入手し、必要事項を記入して提出します。提出先は、お住まいの近くの国民年金窓口や年金事務所です。提出の際は、学生証など学生の身分であることを証明する書類が必要です。
申請後、日本年金機構から「承認通知書」または「却下通知書」が届きます。承認された場合、猶予が認められるのは4月から翌年3月の1年間です。区切りの年度となるので注意しましょう。
なお、郵送での提出も認められます。また、日本年金機構が認可した学生納付特例対象校一覧の学校に在籍する学生であれば、学校での申請も可能です。
すでに20歳以上になっている場合でも、保険料の納付期限から2年を経過していなければ、今からでもさかのぼって学生納付特例を申請(申請する日からみると、2年1ヵ月前までの月の期間分)することも可能です。保険料を未納のままにしてしまっている方は、申請できるかどうかを年金事務所に相談してみるのもよいでしょう。
マイナポータルから申請する
マイナンバーカードを持っている方は、「マイナポータル」からの電子申請も可能です。マイナポータルにてマイナンバーカードの読み取りを行ったあと、必要事項を入力します。申請には、学生証などの画像アップロードが求められます。
学生納付特例を申請したのに納付書が届いたらどうする?
20歳になると同時に猶予申請をしたとしても、国民年金の資格取得の手続きは職権で行われるため、納付書が送付されることがあります。これは学生納付特例制度の申請結果が出るまでに、2〜3ヵ月を必要とするためです。
いわゆる行き違いであるため、保険料の納付は行わずにおきます。学生納付特例制度の結果通知が届くまで、納付書は保管してください。なお、納付特例制度の審査の状況を確認したい場合には、年金事務所に問い合わせを行いましょう。
なお、20歳以上の学生である子を持つ親は、子の保険料を代わりに納付することができます。その場合、親自身が社会保険料控除を受けることが可能であり、所得税の節税効果が期待できます。
20歳以上で学生の場合には学生納付特例制度を申請しよう
学生納付特例制度を申請することで、学生である間は保険料の納付が猶予されます。猶予を受けている期間も、年金受給に必要な受給資格期間とカウントされ、かつ後払いで保険料の追納が可能となるため、将来的に受け取る老齢基礎年金の受給額への影響を少なくすることが可能です。
もし特例納付制度を利用せず未納となった場合、年金額の減額や、年金そのものが受け取れなくなるという可能性が考えられます。20歳以上で学生の方は、ご自分の収入状況を考えて、学生納付特例制度を活用するのもよいでしょう。
よくある質問
年金の学生納付特例とはなんですか?
20歳以上の学生が、国民年金の保険料の納付について猶予を受けられる制度をいいます。猶予を受けるには年度ごとに申請が必要です。猶予期間の保険料は10年以内であれば後払いできます。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金にも学生納付特例はありますか?
学生納付特例制度は国民年金のみの制度です。正社員で夜間学校に通う方などは厚生年金保険の加入対象となり給与から社会保険料が天引きされます。厚生年金保険に加入している方は、対象となりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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