• 更新日 : 2023年9月1日

MBOとは?意味や目標管理の仕方をわかりやすく解説

MBOとは?意味や目標管理の仕方をわかりやすく解説

人事労務に携わっている方なら一度は耳にしたことがるであろう「MBO」。ですが、改めてその意味を聞かれると「目標管理制度や評価制度なのでは?」という理解の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、MBOの意味や歴史、目標設定のポイント、メリット・デメリット等をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

MBO(Managent by Objective)とは?

MBOは「Management by Objective」の略で、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した考え方です。社員それぞれがモチベーションを保ちながら、会社全体としての目標達成に向けて取り組むことができる目標管理制度として知られています。

本来ドラッカーが提唱したMBOは、社員自ら目標を決めて取り組むことでモチベーションアップを促し、それを企業の成果につなげるというマネジメント手法であり、評価手法ではありませんでした。ですが現代では、個人もしくはチームで設定した目標に対する達成率で評価を決める制度として、多くの企業で採用されています。目標管理制度は一歩間違えると社員が納得していない目標設定をされてしまい、モチベーション低下や会社への不信感へとつながりかねません。そのため、自ら目標設定をすることが重要であるMBOは多くの企業で採用されているのです。

また、MBOを実施するうえで上司と部下の話し合いを行うので、コミュニケーションの活性化が促されるという効果もあります。

略語が同じ用語・Management BuyoutとMonagement Employee Buyout

同じMBOという略語で「Management Buyout」という言葉があります。「Management Buyout」とは、会社の経営陣が金融支援を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部を買収し会社から独立する手法を指します。具体的には、グループの経営方針によって親会社が子会社や一事業部を切り離す際に、第三者に売却せず経営陣がその株式を取得し会社から独立するために用いられることが多いです。また、株式公開のメリットが薄れた上場企業が、会社自ら株式非公開に踏み切る手段として活用されることもあります。また、経営陣と社員が一体となって株式を譲り受けるケースを「Monagement Employee Buyout」と言います。

MBOの歴史

「Management by Objective」はどのような歴史で現代の普及した状況に至ったのでしょうか。続いて、MBOの歴史について解説します。

1960年代:日本で一部の大手企業が導入

1954年にドラッカーが自身の著書『現代の経営』の中で提唱したMBOは、1960年代にアメリカの企業へ広がりました。日本では、アメリカの影響を受けた一部の大手企業がMBOを導入します。しかし、この時の日本企業はMBOを評価手法としてではなく、人材育成やモチベーションアップ手法として導入しました。

1990年代:多くの日本企業が導入

バブル崩壊後の1990年代になると、多くの日本企業でMBOが導入され始めます。ちょうど日本企業が年功序列型の雇用制度から成果主義型に舵を切った時代だったため、時代とマッチし評価制度としてのMBOの導入が進みました。

2000年代:問題の顕在化と変容

日本でもMBOの導入が進むにつれて、現場では多くの弊害が出てきました。2000年代後半からは、導入企業がMBOの問題点を洗い出し、各社でカスタマイズしながら会社の理念に近づけられるように工夫をして定着させていきました。2013年時点ではMBOの導入企業は88.5%にのぼります。(労政時報調べ)

MBOを使用した目標設定のポイント

MBOにおける目標設定のポイントは5つです。

具体的でわかりやすい目標にする

「いつまでに」「どの程度」といった具体的でわかりやす目標にしましょう。具体的であればあるほど、目標達成に向けどのような行動をすべきかがクリアになります。

目標のレベルが高すぎたり低すぎたりしない

目標の内容は「今のままでは難しくても、工夫することにより達成可能な程度」にすることが大切です。「経験がない領域だが、学びながらチャレンジする」という目標を立てて、達成に向けて挑戦することが重要です。

期限を設ける

期限を設けることでスケジュールが立てやすくスピーディーに行動に移すことができ、モチベーションが上がりやすくなります。期限をしっかり決めて、いつまでに何をするかを明確にし、行動に移せるようにしましょう。

具体的な取り組み方を明記する

成果だけでなく具体的な取り組み方も明記しましょう。成果は運にも左右されますが行動は再現性があります。目標達成に向けた行動をできるだけ具体的に計画し、実行できた行動も評価することで今後の成長が期待できます。

会社の戦略や自身の役割と関連付ける

企業の経営目標や所属チームの目標を共有して、その達成に貢献できるような個人目標を設定することが重要です。マネージャーは、目標設定の際に個人の成長が会社の成長にもつながるということを伝えるようにしましょう。

MBOを使用するメリット

MBOを使用するメリットは以下の通りです。

モチベーション向上

MBOは自分で達成過程をマネジメントしながら目標を達成し、自分で評価する非常に自主性の高い制度です。あわせて、設定する目標は会社全体の目標ともリンクするため、個人の目標達成が会社の目標達成やチームの目標達成の貢献につながります。このように、MBOは社員の業務への自発的な参加と経営への参加意識を高める制度のため、社員のモチベーション向上が促進されます。

社員の能力を引き出す

「今までの方法では達成することは難しいけれど、少し工夫をすれば達成できる程度」の目標を掲げて努力する過程で、社員の能力を引き出すことができます。

MBOを使用するデメリット

MBOを使用するデメリットは以下の通りです。

プロセスが無視されがちになる

目標を設定して目標達成に向けて活動していくMBOの特性上、目標の達成/未達成にのみ注目する傾向があります。そのように成果にばかり重点をおくと、社員の自主性や頑張りというプロセスが無視されがちになるというデメリットもあります。

ノルマ管理になってしまう場合も

MBOがノルマ管理制度になってしまうと、社員のモチベーション低下につながりかねません。また、与えられた目標では会社や上司から押し付けられたという感じが拭えず、社員のモチベーションや生産性の向上にはつながらないでしょう。

目標の質が下がる傾向がある

MBOが人事考課の判断材料として導入されている場合、良い評価をを得るために達成しやすい簡単な目標設定をする傾向があります。MBOを適切に使用しないと、個々のスキルアップや企業の成長にはつながりません。

人事制度としてMBOを導入する際の手続き

企業の特色に合わせたさまざまな形で実施されているMBOですが、具体的にどのように導入すれば良いのでしょうか。導入の際には、実施フローや設ける項目など決めるといった事前の準備が必要になります。各段階ごとにその内容を解説します。

1.目標設定

まず、経営目標をもとにしたチーム目標とそれに合った個人目標を設定します。個人目標を設定する際にはマネージャーが率先して決めるのではなく、社員が主体的に設定することが重要です。自ら考えて目標を定めることで、自分の成長が組織への貢献につながるという意識をもつことができます。また、設定した目標はマネージャーが確認し、社員にとって簡単すぎないか/難しずぎないかを客観的に判断することも重要です。最終的に社員とマネージャーで、いつまでにどうなっていれば目標達成なのか共通認識をつくっておきましょう。

2.計画実行

設定した目標に向けて社員が実行します。目標達成に向けたプロセス管理として、PDCAサイクルなどを活用するのもおすすめです。数値を目安にして行動計画を立てると、マネージャーが達成度を確認しやすくなります。

3.進捗確認

日報や定期面談を設けて進捗を確認します。この際、マネージャーが助言をすることも大切ですが、社員自ら行動を振り返って目標や計画の修正が必要かどうかを検討することが重要です。社員が主体的に改善を繰り返すことで、問題解決能力を身につけることもできます。

4.評価とフォローアップ

期間の最後に目標達成について社員が自ら評価し、その後最初に決めた評価基準に基づいてマネージャーが評価を行います。重要なのは努力の量ではなく目標への達成度を客観的に評価することです。もし目標達成ができなかった場合には、目標達成ができなかった理由や次はどのようにすれば目標達成ができるのか社員に考えるように促し、気づきが得られるようにマネージャーがサポートしましょう。

MBOの導入には工夫が重要

以上、MBOの意味や歴史、目標設定のポイント、メリット・デメリット等を解説してきましたが、MBOの概要をご理解いただけたでしょうか。MBOをただ導入するだけでは評価の際にプロセスが無視されがちになったり、ノルマ管理になってしまったり、目標の質が下がる傾向にあったりとデメリットが顕在化する可能性もあります。導入する際には自社の特色・傾向に合わせたルールづくりをするなどの工夫をして、社員も企業も成長できる制度として活用しましょう。MBOの導入を検討中の方はぜひこちらの記事を参考にしてみてください


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