- 更新日 : 2024年9月13日
目標設定とは?立て方のコツや具体例を紹介
目標設定とは、ビジネスにおけるゴールや目的を設定することです。具体的には、販売目標や営業目標などが該当します。カスタマーサポートなどでは、顧客の視点に立って目標を立案し、クレーム発生率を抑える取り組みなども一般的です。当記事では、目標設定の概要や必要性、目標の立て方やコツ、フレームワーク、具体例などを詳しく解説します。
目次
目標設定とは?
目標設定とは、ビジネスにおけるゴールや目的を明確化し、目的を達成するために必要な方策を具体的に設定することです。営業部門における新規顧客の獲得率や既存顧客のリピート率、販売部門における売上達成率などが該当します。人事・総務・経理などのバックオフィス部門では、生産性や業務効率などを具体的な目標として設定するのが一般的です。ここでは、そもそも目標とはなにか、目標と目的の違いは何なのかについて解説します。
そもそも目標とは?
そもそも目標とは、目的を達成するための道筋や手段です。例えば、「市場シェアで1位を獲得する」という目的に対し、営業部門なら「営業活動を効率化し商談件数を増やす」「営業の質を高めて成約率を上げる」などの目標を、マーケティング部門なら「顧客分析を行いECサイトの離脱率を下げる」「ECサイトのUXを改善し購入率を上げる」などの目標が考えられます。目標は目的を達成するために必要な複数の要素を具体化したもの、と考えることも可能です。
目標と目的の違い
目標が目的を達成するための具体的な手段を意味するのに対し、目的は最終的に達成したいゴールです。ビジネスシーンでは、会社が達成を目指す全社目標とも言い換えられます。先ほどの例では、「市場シェアで1位を獲得する」ことが全社目標、すなわち会社の目的です。
全社目標を達成するため各部署・部門は組織目標を設定し、その部署・部門に属する社員は組織目標をより具体化・細分化した個人目標を設定します。会社の最終的なゴールが全社目標、全社目標を達成するための具体的な手段が組織目標や個人目標、と考えることも可能です。
目標設定はなぜ必要?
会社の目的、すなわち全社目標は、単純なアクションで達成できるものではありません。全社目標を達成するためには、より具体的で詳細な組織目標や個人目標を設定する必要があります。目的設定が必要な理由は、目的を達成するための手段を具体化・詳細化するため、と考えることも可能です。ここでは、目標設定の必要性について詳しく解説します。
目標達成のアクションが明確になる
目標設定が必要な理由として一番に挙げられるのが、目的を達成するためのアクションを具体化・明確化するためです。冒頭でも述べた通り、会社の目的である全社目標は、一つのアクションで簡単に実現できるものではありません。
目的の実現に向けて必要なステップを明確化し、取るべきアクションを具体化することが目標設定の目的です。そのため、全社目標を達成するための手段である組織目標や個人目標は、実行しやすいよう具体的に設定する必要があります。
PDCAを設定する期間・温度感を把握できる
目標設定は、PDCAサイクルを適切に回していくためにも重要な要素です。PDCAサイクルとは、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」の頭文字を取ったビジネス用語で、仕事の品質を高めるための重要な概念と考えられています。
PDCAサイクルは目的の達成に向けた進捗管理の基本形で、事前に具体的な目標を設定しておくことで「どのくらいの期間で」「どのくらいの優先順位で」PDCAサイクルを回せばよいのかを把握することが可能です。目標設定はPDCAサイクルを回す前提条件であり、期間や温度感を把握するための要素と考えられます。
従業員のモチベーション向上
達成が難しいと思われる全社目標でも、個人目標として細分化することで「努力すれば自分でも達成できるかもしれない」というモチベーションにつながります。
目標を設定する際は仕事の成果が目標の達成に直結するよう、より具体的で実現可能な個人目標を設定することが重要です。
実現可能な個人目標を設定することで、仕事の成果が目標の達成という形で可視化されるため、従業員のモチベーションは大きく向上します。
目標設定の方法・手順
目的を達成するために重要な目標設定ですが、目標の設定方法は職種や所属している部署・部門によって異なります。ここでは、目標設定の方法や手順について具体的に解説します。
① 目標にどういった種類があるか把握する
まず、目標にはどのような種類があるのかを把握しましょう。冒頭でも述べた通り、目標の設定方法は職種や部署・部門によって異なります。代表的な職種について、具体的な目標は下記の通りです。
職種 | 目標 |
---|---|
営業 |
|
マーケティング |
|
広報 |
|
技術開発 |
|
プログラマー |
|
カスタマーサポート |
|
人事労務 |
|
総務事務 |
|
➁ 目標の数値・内容を設定する
前述の通り、目標は職種や部署・部門によって大きく異なります。しかし、どの職種や部署・部門においても、より具体的で数値化が可能な目標を設定することが重要です。人事労務や総務事務などバックオフィス部門の場合は数値目標の設定が難しい場合もありますが、各部署・部門のビジネススキームに着目し、なるべく数値化が可能な目標を設定しましょう。主観に基づく定性評価ではなく、客観的な定量評価を心がけることが大切です。
③ 目標達成のための手段を定義する
目標が設定できたら、目標達成に向けた手段を定義しましょう。例えば、「バク発生率の低減」という目標に対しては「コーディング規約の策定」「クロスレビューの実施」「テスト工程の厳格化」などが具体的な手段として挙げられます。「経費の削減」という目標であれば「ペーパーレス化の推進」「水道光熱費や地代家賃の見直し」「DX化の推進」などが一般的です。目標を確実に達成できるよう、より具体的で実行しやすい手段を定義しましょう。
④ 目標達成までに期限・期間を決める
目標の設定と手段の定義が完了したら、その目標をいつまでに達成すべきか期限・期間を決定しましょう。目標を設定したら完了ではなく、期限や期間を区切って達成率の進捗を逐一確認することが重要です。個人目標の達成度合いは通常、人事考課における評価基準の一項目として扱われます。そのため、四半期や半期、事業年度ごとに目標の達成度合いを評価するのが一般的です。
目標設定に役立つフレームワーク
定量評価ができるようなるべく数値化しやすい目標を設定するなど、目標設定にはある種のノウハウやコツが必要です。ビジネスの分野では目標設定に役立つフレームワークが多数開発されているため、ここでは代表的なフレームワークをいくつかピックアップして紹介します。
SMART
「SMART」は、コンサルタントのジョージ・T・ドラン氏が考案した目標設定の基準を示すフレームワークです。「SMARTの法則」と呼ばれ、理想的な目標は下記の5つの要素を満たすべきであると提唱しています。
- Specific(具体性):目標は具体的か
- Measurable(計量性):達成度や進捗は定量評価が可能か
- Assignable(役割設定)/Achievable(達成可能):誰がやるのか/達成は可能か
- Realistic(現実性)/Relevant(関連性):現実的な目標か/目的に関連した目標か
- Time-related(期限のある):いつまでに達成すべきか
MBO
「MBO(Management by Objectives)」は著名な経済学者ピーター・F・ドラッカーが提唱した組織マネジメントの概念で、日本語では「目標管理」を意味します。MBOでは、上司の一方的な指示に従って業務を遂行するのではなく、組織目標をかみ砕いて個人目標を設定し、自己管理によってマネジメントするのが原則です。
組織目標と個人目標をリンクすることで事業参画の意識が芽生え、組織にコントロールされるのではなく主体的かつ意欲的に仕事を進められます。
また、目標の達成度合いによって実績評価が容易となるため、人事評価制度や賃金制度への反映も可能です。
OKR
「OKR(Objectives and Key Results)」はアメリカの大手半導体メーカーIntelが提唱した目標設定・管理方法の概念で、日本語では「目標と主要な結果」を意味します。GoogleやMeta(旧Facebook)など、シリコンバレーを代表する大手IT企業が相次いで導入したことで注目を集めました。OKRでは、「達成目標」と目標の達成度合いを測定する「主要な成果」を設定することで、組織が一丸となって課題の解決に取り組みます。
目標の進捗率に基づき社員を評価することを目的としたMBOに対し、OKRは達成の難しい目標を設定して全社で共有し、社員一丸となって目標達成に向けた取り組みを推進することを目的とした概念です。
KGI・KPI・KDI法
会社が掲げる全社目標を達成するには、定量評価が可能な評価指標や行動指標を設定することが重要です。ここでは、定量的な指標として広く一般に用いられているKGI・KPI・KDIについて解説します。
- KGI
「KGI(Key Goal Indicator)」は日本語で「重要目標達成指標」を意味し、企業が目指す最終的なゴールに関する指標です。市場シェア率・売上高・経常利益などが該当します。 - KPI
「KPI(Key Performance Indicator)」は日本語で「重要業績評価指標」を意味し、KGIの達成に必要な複数の要素、すなわち中間目標に関する指標です。成約率・Webサイトアクセス数・イベント参加率などが該当します。 - KDI
「KDI(Key Do Indicator)」は日本語で「重要行動指標」を意味し、KGIにかかわるKPIを達成するために必要な行動に関する指標です。例えば、売上目標を達成するためには、成約率を上げなければなりません。成約率を上げるためには、商談件数を増やす必要があります。売上目標(KGI)にかかわる成約率(KPI)を達成するために必要な行動指標、すなわち商談件数がKDIです。
目標設定の具体例
KGI・KPI・KDI法を用いて、具体的な目標を設定してみましょう。例えば、ECサイトの売上高に関する目標設定は下記の通りです。
- KGI:四半期で100万円の売上を達成する
KGIは会社が目指す最終的なゴールです。定量評価ができるよう具体的で、実現可能な目標を設定しましょう。 - KPI:1日1万円の売上を達成する
KPIはKGIを達成するために必要な中間目標です。実現可能なKGIを設定できれば、KPIも現実的な目標となるでしょう。 - KDI:ECサイトのUXを改善し、離脱率を下げる・購入率を上げる
KDIは目標達成に必要となる具体的な行動です。ここに挙げたKDIはあくまで一例で、KPIを分析して漏れがないよう列挙しましょう。KDIは項目が多くなる傾向にあるため、効果が高いと思われるアクションから優先順位をつけて取り組むことが重要です。
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目標設定はビジネスにおけるゴールを設定すること
今回は目標設定について解説しました。目標設定とは、ビジネスにおけるゴールや目的を設定することです。混同されがちな目的は最終的なゴールを意味し、ビジネスシーンでは全社目標とも言い換えられます。人事考課における評価項目の一つとして、個人目標の達成度合いを活用するのも一般的です。
目標の設定は、取るべきアクションが明確になる、優先順位や期限・期間を把握できる、社員のモチベーション向上につながる、といったメリットがあります。目標の設定方法は職種や部署・部門によって異なりますが、定量評価ができるよう数値化が可能な目標を具体的に設定することが重要です。
目標設定はある種のノウハウやコツが必要となるため、記事の後半で紹介したフレームワークなどを活用し目標を設定してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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