- 更新日 : 2023年2月17日
入社手続き中の従業員が退職したら社会保険はどうなる?退職後の手続きも解説!
従業員は、入社日に社会保険の被保険者資格を取得します。そのため、すぐに退職した場合でも被保険者資格取得日・被保険者資格喪失日に応じて必要な社会保険料を納めなければなりません。従業員負担分を給与から控除できない場合は、別に徴収する必要があります。健康保険証を交付している場合は、回収して返還しなければなりません。
目次
入社手続き中の従業員が退職したら社会保険はどうなる?
雇い入れて間もない入社手続き中の従業員であっても、社会保険の手続きは基本的に通常どおり行います。入社日を被保険者資格取得日として資格取得手続きを行い、退職日の翌日を被保険者資格喪失日として資格喪失手続きを行わなければなりません。被保険者資格は入社日に取得し、退職日の翌日に喪失するため、入社日と退職日が同じだったとしても、社会保険への加入が必要です。
該当の従業員については社会保険料の納付が必要
社会保険の被保険者は、社会保険料を負担します。社会保険料の支払いは月単位で行われ、その月の社会保険料がかかるかどうかは月末日で判断されます。退職した従業員については、以下のように退職日によってその月の社会保険料がかかるかどうかが決まります。
1日から月末日の前日までの日に退職した場合
月末日には資格を喪失しているため、退職日の属する月の社会保険料はかかりません。
月末日に退職した場合
翌月1日が資格喪失日になるため、退職日の属する月の社会保険料がかかります。
1日から月末日の前日までの退職でも、資格取得日が同一月にある場合は「同月得喪」になるため、社会保険料がかかります。
同月得喪について
社会保険資格取得日と資格喪失日が同じ月内にあることを「同月得喪」といいます。同月得喪のあった月は、月末日に資格を喪失していても社会保険料がかかります。
同月得喪について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
退職日が決まった後に労務担当者が行う手続き
従業員が退職する日が決定した後、労務担当者は以下のような手続きを行う必要があります。
社会保険被保険者資格喪失の手続き
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を退職日の翌日から5日以内に提出します。
雇用保険資格喪失の手続き
「雇用保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌々日から10日以内に提出します。
源泉徴収票の交付
退職者に対して、速やかに源泉徴収票を交付します。
社会保険・雇用保険の資格喪失手続きには期限があるため、遅れないようにしましょう。源泉徴収票の交付や、雇用保険被保険者資格喪失後に行う離職票の送付も、速やかに行わなければなりません。
退職時に回収・提出・渡す書類
退職時に従業員から回収する書類や従業員に渡す書類、従業員から提出を受ける書類をまとめると、以下のようになります。いずれも大切な書類なので、漏れがないように注意しましょう。
従業員から回収する書類
- 保険証
- 社員証
従業員に渡す書類
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- 源泉徴収票
従業員から提出を受ける書類
- 退職届
同月得喪に注意し、入社手続き中の従業員の退職手続きを正しく行おう
従業員の退職にあたって、会社はさまざまな手続きを行う必要があります。特に社会保険や雇用保険の資格喪失の手続きには期限があるため、速やかに行わなければなりません。また源泉徴収票の交付や離職票の送付も、できるだけ早く行いましょう。
入社手続き中の従業員の退職においては、社会保険料に注意する必要があります。社会保険資格取得日と資格喪失日が同じ月にある場合は、月末日に資格を喪失していても社会保険料がかかります。同月得喪の仕組みを理解し、退職手続きを正しく行いましょう。
よくある質問
入社手続き中の従業員が退職した場合、社会保険はどうなりますか?
資格取得と資格喪失の手続きを行い、月末日に在籍していない場合でも同月得喪として社会保険料がかかります。詳しくはこちらをご覧ください。
退職者に必要な手続きの概要を教えてください。
社会保険については、被保険者資格喪失手続きと保険料の徴収・納付を行う必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
傷病手当とは?金額や条件・期間、もらえない場合の具体例を解説
病気で長期間会社を休むことになった場合、頼りになるのが健康保険から支給される傷病手当金です。傷病手当金はいつまで、いくら受け取れるのか、気になる人もいるでしょう。 本記事では、傷病手当金の支給条件や申請方法、支給金額などについて解説します。…
詳しくみる雇用保険の会社負担はいくら?計算方法や具体例、軽減する方法を解説
雇用保険は、雇用した従業員が一人でも加入条件を満たした場合、加入が必須とされている制度です。 加入後は、事業主と従業員それぞれにおいて保険料が毎月発生するため、どれくらいの負担が発生するか気になる人もいらっしゃるでしょう。 当記事では、事業…
詳しくみる健康保険の限度額とは?医療費が高額になった時
健康保険には限度額が定められており、医療費が高額になり自己負担限度額を超えた場合は高額医療費として払い戻しを受けることができます。事前に健康保険限度額適用認定証の交付を受けている場合は、外来受診時や退院時の支払いは自己負担限度額までです。こ…
詳しくみる厚生年金保険料が引かれすぎ?計算方法を解説!
会社員に支払われる給与と賞与からは、所得税(源泉徴収税)などが差し引かれています。厚生年金保険料も控除されているものの1つで、給与からは標準報酬月額に厚生年金保険料率をかけた金額、賞与からは標準賞与額に厚生年金保険料をかけた金額が天引きされ…
詳しくみる厚生年金の加入で年金が2万増える?保険料と受給額の計算方法を解説!
会社員や公務員の方が加入する厚生年金保険。厚生年金保険に加入すると、将来もらえる年金額が増加します。 厚生年金保険料は会社から受け取る給与をいくつかの等級に分けて区分した標準報酬月額によって決定されますが、厚生年金保険の年金受給額の計算方法…
詳しくみる社会保険料とは?計算方法や負担額、法改正の内容をわかりやすく解説!
社会保険制度とは、病気やケガ、死亡、出産、老齢、失業、介護などに備えて、企業や被保険者が保険料を負担して保険給付を受けることができる公的な保険制度のことです。 今回は、社会保険料を決定する基準や負担額の計算方法を解説するとともに、法改正で注…
詳しくみる