• 作成日 : 2022年4月15日

給与計算とは? 人事・総務・経理に必要な基礎知識を解説

給与計算とは? 人事・総務・経理に必要な基礎知識を解説

給与計算とは、文字通り従業員の給与額を計算する業務を指します。労働時間や各種手当などを計算し、求めた総支給額から、社会保険料や所得税などの税金を差し引き、手取り額を計算するというのがおおまかな流れです。

今回は給与計算の流れのほか、知っておくべき基礎知識や給与計算に関するリスクを解説します。

給与計算とは

給与計算とは、従業員の毎月の給料を計算する業務のことです。基本給に残業代や各種手当を加えた総支給額から、社会保険料や雇用保険料、所得税や住民税を差し引き、差引後支給額を算出します。

労働基準法24条では「賃金は毎月1回以上、一定の期日を決めて支払わなければならない」と定められているため、期日までに正確な金額を支払うことが重要です。

また、国に対しては所得税、都道府県や市区町村へは住民税、年金事務所には社会保険料というように、それぞれ計算して納付する義務があります。そのため、計算に誤りがないように細心の注意を払う必要があるでしょう。

給与計算の流れ

給与計算のおおまかな流れは次のとおりです。

  1. 労働時間を集計する
  2. 課税支給額を計算する
  3. 通勤手当を計算する
  4. 控除額(雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料)を計算する
  5. 源泉所得税を計算する
  6. 控除額を差し引く

ここからは、それぞれの項目でおこなう手続きの概要を説明します。給与計算の方法の詳細は、以下の記事をご参照ください。    

1. 労働時間を集計する

給与の支給額は、基本給に代表される固定的なものと、残業代や休日手当といった割増賃金などの変動的なものの2種類に分かれます。このうち、固定的なものに関しては、雇用契約書や就業規則で定められているため計算する必要はありません。

一方で、残業代や休日手当などの金額は、その月の勤怠状況によって左右するものであり、毎月計算する必要があります。

はじめに、勤務情報やタイムカードなどから、出勤日数や労働時間、残業時間を集計します。残業や休日出勤、深夜残業の時間を漏れなくカウントしましょう。

2. 課税支給額を計算する

基本給と時間外手当などの諸手当の合計額が、課税対象となる課税支給額になります。

手当には、課税対象のものと非課税対象のものがあります。課税対象となる諸手当には、時間外手当、休日手当、役職手当、資格手当、家族手当などが該当することを抑えておきましょう。

ここでは、課税対象となる諸手当を計算します。また遅刻や早退、欠勤などがあった場合には、必要に応じて基本給から減額することも忘れないようにしましょう。

時間外手当の計算は以下の計算式によって計算します。

時間外手当=時間外労働時間数✕1時間あたりの賃金✕割増率

ちなみに、1時間あたりの賃金は、月給制の場合は次のように計算してください。

1時間あたりの賃金 =月給 ÷ 1ヶ月あたりの平均所定労働時間

割増率の最低基準は下記表のように定められています。
割増率の最低基準
引用:しっかりマスター労働基準法ー割増賃金編ー|東京労働局

たとえば、時間外労働を深夜におこなった場合、両方の割増率を合算し50%以上となることに注意が必要です。

また、企業によっては、上記の基準を上回る割増率を定めているケースもあります。間違いのないよう、就業規則や労働協約を確認するとよいでしょう。

3. 通勤手当を計算する

次に、前項の課税対象に当てはまらない手当を計算します。一般的には、定期代や切符代などが該当します。

電車やバスなどの公共交通機関のみを利用している場合、15万円までが非課税になるなど、上限額があることに注意しましょう。

4. 控除額(雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料)を計算する

ここまで、支給額の計算をしてきました。ここからは、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料の控除額を算出します。

雇用保険は、厚生労働省が公表している「雇用保険料率表」を参照してください。従業員への支給額に対して、従業員負担分の保険料率を掛けて控除額を計算します。令和3年4月1日から令和4年3月31日までの雇用保険料率は従来と変わらず、一般の事業であれば従業員負担率は0.003です。

健康保険料と厚生年金保険料は、「標準報酬月額」という、保険料を算出する際の基準額に保険料率を掛けて算出します。標準報酬月額は「標準月額」を等級表に当てはめて確認しましょう。

健康保険料の従業員負担額は、次の計算式で求めます。

健康保険料(従業員負担額)=標準報酬月額×健康保険料率 ÷ 2

健康保険の運営主体には、健康保険組合と全国健康保険協会(協会けんぽ)があります。健康保険組合の保険料率は独自に定められており、協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なっているため、該当する保険料率を確認しましょう。協会けんぽの場合は、ホームページから料率を確認することができます。

厚生年金保険料の従業員負担額は、次の計算式で求めてください。

厚生年金保険料(本人負担額)=標準報酬月額 × 18.300% ÷ 2

厚生年金保険料率は、現在は18.300%で固定されています。

5. 源泉所得税を計算

源泉所得税とは、企業が従業員に代わって納める所得税のことです。年間の所得税を従業員本人が一括で納めるとそれなりに負担になるため、給与の支払いの都度源泉所得税を納める仕組みになっています。

残業代や諸手当を加えて社会保険料を差し引いた支給額が、源泉所得税額を求めるための基準になります。源泉所得税は、この支給額を、国税庁の給与所得源泉徴収税額表に当てはめて求めましょう。税額表は毎年更新されるため、最新のものであるか確認が必要です。

6. 控除額を差し引く

最後に、基本給に残業手当などの諸手当を加えた金額から、計算した社会保険料や税金などの控除額を差し引き、手取りの支給額を算出します。 

給与計算で知っておくべき基礎知識

前述のとおり、給与計算において社会保険料の計算をします。社会保険料を計算する際の基準となるのが「標準報酬月額」であり、標準報酬月額を算出するためには賃金支払基礎日数を正しく理解する必要があります。

また、労働基準法で定められている賃金支払いの5原則も抑えておきましょう。ここからは、賃金支払基礎日数の定義と数え方と賃金支払いの5原則の内容を解説していきます。

給与計算の基礎日数

標準報酬月額は、4、5、6月に支払った報酬の平均額から算出します。賃金支払基礎日数とは、その報酬の支払対象となった日数を指し、原則、それぞれの月において17日以上あることが要件です。

賃金支払基礎日数の数え方は雇用形態により異なります。月給制や週給制の場合は出勤日数に関わらず暦日数がそのまま賃金支払基礎日数となり、時給制や日給制の場合は実際の出勤日数を数えます。

月給制や週給制の場合でも、欠勤控除が適用される場合は、暦日数ではなく就業規則や給与規定で決められた所定労働日数から欠勤日数を差し引いて、賃金支払日数を算出しましょう。

実際に労働したかどうかは要件とされていないため、たとえば時給制や日給制の方が年次有給休暇を取得した日は、賃金支払基礎日数にカウントすることにも注意が必要です。一方で、賃金が支払われない産前産後休業や業務外の傷病による休職などは賃金支払基礎日数には含まれません。

賃金支払いの5原則

給与計算をするにあたり、労働基準法第24条の「賃金支払いの5原則」は知っておかなければならない内容といえるでしょう。賃金支払いの5原則は、その名のとおり次の5つの原則からなるものです。

  1. 通貨払いの原則
  2. 直接払いの原則
  3. 全額払いの原則
  4. 毎月1回以上払いの原則
  5. 一定期日払いの原則

1.通貨払いの原則

賃金は通貨で支払わなければならないとするもので、労働者の同意を得た場合に、口座振込みが可能になります。

2.直接払いの原則

賃金は直接労働者に支払わなければならないというものです。賃金の振込み先は家族ではなく、本人の銀行口座でなければなりません。

3.全額払いの原則

賃金は貸付金との相殺は認められておらず、全額支払いが原則です。ただし、所得税や住民税、厚生年金保険料などの社会保険料の控除は認められています。また、労使協定が締結されていれば、財形貯蓄や社宅の費用を控除することもできます。

4.毎月1回以上払いの原則

賃金は、毎月1日から末日までの間、最低でも1回は支払わなければなりません。賞与や一定期間の出勤成績を考慮して支払われる精勤手当などは、この原則の対象外です。

5.一定期日払いの原則

賃金を「毎月25日」「月末」というように一定期日に支払うことを定めているのが、一定期日払いの原則です。「毎月20日から月末までの間」というように日が特定できないものや、「毎月第3金曜日」のように変動する期日の設定は認められていない点に注意しましょう。

給与計算に関するリスク

給与計算には、注意すべき3つのリスクがあります。

  1. 労務リスク
  2. 情報漏洩リスク
  3. 税務リスク

1.労務リスク

給与計算での集計や計算にミスがあった場合、正しい残業代が支払われない可能性があります。残業代の未払いは、従業員とのトラブルだけでなく法律違反のリスクがあることに注意しましょう。

2.情報漏洩リスク

給与計算には、従業員やその家族の個人情報が必要になります。個人情報の漏洩によって、個人情報保護法違反による刑事罰を受けたり、従業員からの訴訟が発生したりするリスクがあるため、適切な情報管理をおこなわなければなりません。

3.税務リスク

給与計算の不備による税金の未納は、その後本来よりも高額な納税を求められる可能性が高まります。そのため、入力や計算は正確におこないましょう。

理解を深めて、ミスのない給与計算を行いましょう。

給与計算とは、従業員の給与額を計算する業務のことです。給与計算のおおまかな流れは、基本給に時間外手当などを加えた総支給額から、社会保険料や税金を差し引き、手取り支給額を計算するというものです。

入力や計算のミスは、残業代の未払いや税金の未納などにつながりかねません。給与計算の手順はもちろん、賃金支払基礎日数の定義や賃金支払いの5原則などを正しく理解し、ミスが発生しないように慎重に対応しましょう。

よくある質問

給与計算とは何ですか?

給与計算とは、従業員の給与額を計算する業務のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

給与計算で注意するべき点はありますか?

賃金支払基礎日数の定義や数え方、賃金支払5原則を抑えておきましょう。入力や計算ミスは残業代の未払いや税金の未納などにつながるため、注意が必要です。また個人情報の管理も慎重におこないましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

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