• 更新日 : 2026年9月10日

年末調整の計算方法は?還付金シミュレーション

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Point年末調整還付金はどう計算する?

年収から控除を差し引いて年税額を出し、天引き済みの税額との差額を精算します。

  • 手順を追えば自分でも検算できる
  • 控除が多いほど還付金は大きくなる
  • 国税庁の計算シートで確かめられる

令和8年分は控除額が変わるため、前年と同じ計算では金額が合いません。

年末調整の計算方法は、国税庁が提供する計算シートなどを活用すれば、ご自身の給与や控除の情報を入力するだけで、還付金や追徴税額を検算できるようになります。

この記事では、計算の仕組みから確認手順、ケース別のシミュレーション、便利なツールまでを解説します。

年末調整の計算方法は?税額が決まる流れ

年末調整の計算は、年収から段階的に控除を差し引いて所得税額が確定するまでの流れを理解しておきましょう。

年収と所得の違い

年末調整における年収は1年間の給与や賞与を合計した総支給額、所得はそこから給与所得控除を差し引いた金額です。税金の計算のもとになるのは所得のほうです。

年収に含まれるのは、基本給や残業代、賞与のほか、住宅手当や役職手当などの各種手当です。一定額以下の通勤手当や出張旅費は非課税のため、年収には含めません。

所得から課税所得を算出する

課税所得は、所得から個人の事情に応じた所得控除を差し引いて計算します。扶養控除社会保険料控除など、所得控除は全部で16種類あります。

これらを適用することで税の負担が調整されます。実際に所得税率をかけるのは、この課税所得の金額です。

課税所得から年税額を確定する

課税所得に税率をかけて所得税額を出し、住宅ローン控除などを差し引いた金額が年税額です。税率は所得に応じて5%から45%まで段階的に上がります。

住宅ローン控除のような税額控除は、算出した税額から直接差し引きます。年末調整は、この年税額と、すでに給与から天引きされている源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。差額がプラスなら還付、マイナスなら追加徴収になります。

参照:No.2260 所得税の税率|国税庁

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年末調整の計算に使う4つの申告書

年末調整の正確な計算は、従業員から提出される4種類の申告書から始まります。書類に記載された内容が、所得から差し引ける控除額を決める根拠になります。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(全員提出)

扶養控除や障害者控除といった人的な控除額を決める書類で、原則として全従業員が提出します。 配偶者の有無、扶養親族の人数や年齢、同居の有無、障害の有無などを記入します。

この1枚で、扶養控除、配偶者控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の金額が決まります。扶養する家族がいない人も、提出しなければ年末調整を受けられません。

参照: A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

基礎控除申告書などの兼用様式

本人の所得に応じた控除額を決める書類で、該当する従業員が提出します。正式には「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」といいます。

1枚の様式に4つの申告書がまとまっており、基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除の額が決まります。

令和8年分の基礎控除額は次のとおりです。

合計所得金額 基礎控除額(令和8・9年分)
489万円以下 104万円
489万円超 655万円以下 67万円
655万円超 2,350万円以下 62万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円

参照:基礎控除|国税庁

給与所得者の保険料控除申告書

支払った保険料に応じた控除額を決める書類です。 生命保険や地震保険に加入している人、国民年金やiDeCoの掛金を自分で支払った人が対象です。

申告できるのは、生命保険料控除地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の4種類です。支払いを証明する控除証明書を添えることで、支払額に応じた控除が適用されます。

参照: A2-3 給与所得者の保険料控除の申告|国税庁

住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローン控除の額を決める書類で、2年目以降に年末調整で控除を受ける人が対象です。初年度は年末調整では対応できず、本人が確定申告を行います。

この控除は他の所得控除と異なり、算出した所得税額から直接差し引く税額控除です。そのため還付金額への影響が大きくなります。

令和8年度税制改正により、適用期限が令和12年12月31日まで5年延長されました。

参照: 住宅ローン減税|国土交通省
参照:住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!|国土交通省

年末調整の計算方法を確認する手順は?

年末調整の計算は、5つの手順で進めます。始める前に1月から12月までの給与明細を用意し、総支給額、社会保険料の合計額、源泉徴収税額の合計額を集計しておきましょう。

1.給与所得を算出する

最初に、年収から給与所得控除を差し引いて給与所得を求めます。給与所得控除は、会社員のみなし経費にあたるものです。令和8年分の早見表は次のとおりです。

給与等の収入金額(年収) 給与所得控除額
2,200,000円以下 740,000円
2,200,001円〜3,600,000円 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円〜6,600,000円 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円〜8,500,000円 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

参照: No.1410 給与所得控除|国税庁

令和7年分までは190万円以下で65万円が最低保障額でしたが、令和8年分は220万円以下で74万円に引き上げられました。なお収入金額が660万円未満の場合は、この表ではなく「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で所得を求めます。

2.所得控除の合計額と課税所得を出す

社会保険料の全額に、生命保険料控除や扶養控除、基礎控除などを足し合わせます。この合計額が大きいほど、最終的な税額は小さくなります。

給与所得から所得控除の合計額を差し引くと課税所得になります。計算結果の1,000円未満は切り捨てます。

3.年調年税額を算出して精算する

課税所得を所得税の速算表にあてはめ、復興特別所得税(2.1%)を加算します。そこから住宅ローン控除などの税額控除を差し引いた金額が年調年税額です。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円以上330万円未満 10% 97,500円
330万円以上695万円未満 20% 427,500円
695万円以上900万円未満 23% 636,000円
900万円以上1,800万円未満 33% 1,536,000円
1,800万円以上4,000万円未満 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

参照: No.2260 所得税の税率|国税庁

最後に、集計しておいた源泉徴収税額の合計から年調年税額を差し引きます。結果がプラスなら還付、マイナスなら追加徴収です。年調年税額の100円未満は切り捨てます。

なお令和9年1月1日以後に生じる所得からは、復興特別所得税が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税1%が新設されます。合計の付加税率2.1%は変わりません。

【ケース別】年末調整の還付金シミュレーション

年収500万円で、家族構成や控除内容が異なるモデルケースを比べてみましょう。

共通する前提は次のとおりです。

項目 本シミュレーションの前提
対象年分 令和8年(2026年)分
年収 500万円(いずれのケースも共通)
給与所得控除 500万円×20%+44万円 = 144万円
給与所得 500万円 - 144万円 = 356万円
基礎控除 104万円(本則62万円+特例42万円)※合計所得489万円以下のため
社会保険料 75万円(年収から算出した概算額)
源泉徴収税額 扶養親族の人数などに応じた概算額。ケースごとに設定

基礎控除は、令和8年分と令和9年分にのみ適用される特例加算42万円を含めた金額で計算しています。給与所得控除の最低保障額74万円も、本則69万円に特例5万円を上乗せした金額です。年収500万円のケースでは最低保障額を使わないため、計算には影響しません。

社会保険料と源泉徴収税額は概算額のため、実際の金額は加入する健康保険や扶養の届出状況によって変わります。

参照:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

ケース1:独身・扶養親族なし

扶養する家族がいない単身者のケースです。所得控除が社会保険料、生命保険料、基礎控除のみとなる基本形です。

  • 年収: 500万円
  • 社会保険料: 75万円
  • 源泉徴収税額: 15万円
  • 生命保険料控除: 4万円
項目 金額
年収
社会保険料
源泉徴収税額
500万円
75万円
15万円
給与所得 500万円 - 144万円 = 356万円
所得控除の合計 75万円(社保)+4万円(生保)+104万円(基礎控除)= 183万円
課税所得 356万円 - 183万円 = 173万円
年調年税額 173万円×5%×102.1% = 88,300円(100円未満切り捨て)
還付金 15万円 - 88,300円 = 61,700円

ケース2:配偶者と高校生の子がいる

配偶者と16歳以上の扶養親族がいる家庭のケースです。令和8年分は、配偶者の年収が136万円以下であれば配偶者控除の対象になります。

  • 年収: 500万円
  • 配偶者の年収: 136万円以下
  • 社会保険料: 75万円
  • 源泉徴収税額: 8万円
  • 生命保険料控除: 4万円、地震保険料控除: 1万円
項目 金額
年収
社会保険料
源泉徴収税額
500万円
75万円
8万円
所得控除の合計 75(社保)+4(生保)+1(地震)+38(配偶者)+38(扶養)+104(基礎控除)= 260万円
課税所得 356万円 - 260万円 = 96万円
年調年税額 96万円×5%×102.1% = 49,000円(100円未満切り捨て)
還付金 8万円 - 49,000円 = 31,000円

ケース3:配偶者と大学生の子・住宅ローンあり

控除額の大きい特定扶養親族(19歳以上23歳未満)がおり、住宅ローン控除も適用されるケースです。大学生の子も、年収136万円以下であれば特定扶養控除の対象になります。

  • 年収: 500万円
  • 配偶者の年収: 136万円以下
  • 大学生の子供の年収: 136万円以下
  • 社会保険料: 75万円
  • 源泉徴収税額: 8万円
  • 生命保険料控除: 12万円、地震保険料控除: 5万円
  • 住宅ローン控除額: 8万円
項目 金額
年収
社会保険料
源泉徴収税額
500万円
75万円
8万円
所得控除の合計 75(社保)+12(生保)+5(地震)+38(配偶者)+63(特定扶養)+104(基礎控除)= 297万円
課税所得 356万円 - 297万円 = 59万円
年調年税額 59万円×5%×102.1% - 8万円(住宅ローン)= 0円
還付金 8万円 - 0円 = 80,000円

税額控除が所得税額を上回るため、年調年税額は0円になります。差し引ききれなかった分は、住民税から控除される場合があります。

ケース4:高校生と大学生の子がいる・住宅ローンあり

扶養親族が複数おり、その中に特定扶養親族が含まれるケースです。控除項目が増えるほど課税所得は小さくなります。

  • 年収: 500万円
  • 配偶者の年収: 136万円以下
  • 大学生の子供の年収: 136万円以下
  • 社会保険料: 75万円
  • 源泉徴収税額: 4万円
  • 生命保険料控除: 12万円、地震保険料控除: 5万円
  • 住宅ローン控除額: 8万円
項目 金額
年収
社会保険料
源泉徴収税額
500万円
75万円
4万円
所得控除の合計 75(社保)+12(生保)+5(地震)+38(配偶者)+38(扶養)+63(特定扶養)+104(基礎控除)= 335万円
課税所得 356万円 - 335万円 = 21万円
年調年税額 21万円×5%×102.1% - 8万円(住宅ローン)= 0円
還付金 4万円 - 0円 = 40,000円

ケース5:共働きで配偶者が扶養から外れている

配偶者が配偶者控除・配偶者特別控除のどちらの対象にもならない共働きのケースです。税法上は配偶者がいないものとして扱われるため、計算はケース1と同じになります。

  • 年収: 500万円
  • 配偶者の年収: 300万円
  • 社会保険料: 75万円
  • 源泉徴収税額: 15万円
  • 生命保険料控除: 4万円
項目 金額
年収
配偶者の年収
源泉徴収税額
500万円
300万円
15万円
所得控除の合計 75万円(社保)+4万円(生保)+104万円(基礎控除)= 183万円
課税所得 356万円 - 183万円 = 173万円
年調年税額 173万円×5%×102.1% = 88,300円(100円未満切り捨て)
還付金 15万円 - 88,300円 = 61,700円

同じ年収でも、控除の合計額によって還付金は3万円から8万円まで開きが出ます。控除の申告漏れがないか確認しておきましょう。なお令和8年分は、月次の源泉徴収に改正が反映されないまま年末調整で精算するため、前年より還付が大きくなるケースが増えます。

年末調整の計算を確認できるツールは?

手計算に不安がある場合は、無料で使えるツールで検算できます。用途に応じて使い分けましょう。

国税庁の年末調整計算シート

国税庁が無料で配布しているエクセル形式の計算シートです。給与や控除の情報を入力すると、年税額と過不足額まで自動で計算されます。

入力項目が多いため、手元にすべての申告書や給与明細を用意してから使うとスムーズです。マクロを含むxlsm形式のため、利用にはExcelが必要になります。

参照:年末調整計算シート|国税庁

Webのシミュレーションサイト

おおよその還付金額を手軽に知りたい場合は、Web上のシミュレーターが便利です。ダウンロードが不要で、スマートフォンからも使えます。

ただし計算が簡略化されている場合があるため、目安として利用するのがよいでしょう。正確な金額を確認したい場合は、国税庁の計算シートを使います。

給与計算ソフト(担当者向け)

担当者が多人数分を計算する場合は、給与計算ソフトの年末調整機能が有効です。申告書のデータを取り込み、給与データと連携して自動計算できるものが主流です。

クラウド型であれば、税制改正への対応も提供されます。令和8年分は控除額が変わるため、対応済みのバージョンかどうかを確認しておきましょう。

【担当者向け】計算ミスを防ぐ確認の仕組みは?

チェックリストによる手動の確認と、システムの自動チェックを組み合わせると効果的です。人為的なミスを抑え、正確な処理につながります。

チェックリストの作成と運用

過去のミス事例をもとに、独自のチェックリストを作成します。扶養親族の年齢確認や保険料控除の上限確認といった項目を盛り込みます。

全担当者で共有することで、同じミスの再発を防げます。令和8年分は控除額の変更が多いため、改正部分を項目に加えておきましょう。

相互確認と自動チェックの活用

計算担当者と検算担当者を分けると、思い込みによるミスを見つけやすくなります。手計算やエクセルで管理している場合は特に有効です。

年末調整システムには、入力ミスを警告するエラーチェック機能や、修正履歴が残る監査ログ機能が備わっているものがあります。これらを組み合わせると、確認の精度を保てます。

年末調整の計算に関するよくある疑問は?

計算結果を確認するうえで、質問の多い点をまとめました。

還付金はいつ受け取れるのか

多くの会社では、12月または翌年1月の給与と一緒に支払われます。給与明細の「年末調整還付」といった項目で金額を確認できます。

会社の給与計算のスケジュールによって時期は変わります。いつ精算されるかは、勤務先の案内で確認してください。

源泉徴収票のどこを見ればよいか

「源泉徴収税額」の欄が、最終的な年税額です。精算された金額そのものは、給与明細の「年末調整還付」などの項目で確認できます。

「給与所得控除後の金額」が給与所得、「所得控除の額の合計額」が控除の合計にあたります。この記事の手順と照らし合わせると、計算の流れをたどれます。

なぜ追加徴収になるのか

年の途中で扶養親族が減った場合や、賞与が多かった場合に起こります。毎月の源泉徴収額が、年間の所得に対して不足していた状態です。

扶養親族の増減があった場合は、扶養控除等申告書の異動の届出が必要になります。届け出が遅れると、精算額が大きくなりやすくなります。

確定申告をする場合も年末調整は必要か

医療費控除などで確定申告をする場合でも、まず勤務先で年末調整を受けるのが基本です。年末調整済みの源泉徴収票をもとに確定申告を行います。

年末調整では受けられない控除には、医療費控除、寄附金控除雑損控除などがあります。これらは確定申告で申告します。

年末調整の計算方法を理解して還付金を確認しよう

年末調整の計算は、年収から給与所得控除を引いて所得を求め、所得控除を差し引いて課税所得を出し、税率をかけて年税額を確定させるという流れで進みます。

還付金は、この年税額と天引き済みの源泉徴収税額との差額です。

令和8年分は基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられ、前年より還付が大きくなるケースが増えます。

国税庁の計算シートを使えば検算もできます。手順を理解しておけば、還付や追加徴収の理由にも納得できるでしょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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