• 更新日 : 2024年12月13日

休職とは?簡単ガイドつきで分かりやすく解説

休職とは、労働者個人の事情で勤務先の雇用関係を維持しながら一時的に休む制度であり、事業所ごとに規定を定めています。会社から休職をすすめられた人や自ら休職しようと考えている人は、休職中の待遇などに疑問を抱くこともあるでしょう。本記事では、休職について給与や税金など、簡単なガイドつきで分かりやすく解説します。

目次

休職とは?法的な定義はある?

休職とは、自社の従業員が業務に従事させられない状況となった場合に、一時的に仕事を休む制度です。雇用主は、休職が必要な従業員に対し、労働契約を維持したうえで労務への従事を免除または禁止します。

休職と欠勤・休業の違いは?

休職は、欠勤や休業と同じ仕事を休む処理ですが、それぞれ異なる性質を持っています。詳細は以下の通りまとめました。

休職欠勤休業(会社都合)休業(自己都合)
概念勤務先が従業員に対して労働義務を免除する制度勤務先が稼働している日に休む処理勤務先の都合で従業員の就業を不可能に(拒否)する処理勤務先が従業員に対して労働義務を免除する長期休業の制度

  • 育前産後休業
  • 育児休業
  • 介護休業
法律上の定義特になしなし不可抗力(災害など)の休業以外は、従業員が休業期間に受け取れた賃金の100%の支払請求か60%以上の休業手当において定められている

労働基準法第65条

育児介護休業法第5条育児介護休業法第11条において定められている

就業規則への明示休職制度を定めた場合は就業規則に明示が必要必要必要必要

休職期間は?定めはある?

休職の期間は、法的に定められていません。ただし、各事業所が就業規則などに定める場合は、事業所ごとの判断に委ねられます。

休職は、法的に定義されていない制度です。しかし、各事業所が定める場合は雇用契約を交わす際に書面などで、休職についての事項を明示しなければなりません。

休職願(ワード)のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

休職の主な種類①私傷病休職

休職には、その目的や内容に適した種類があります。休職の種類のうち、私傷病休職は、雇用する従業員が私的な事情でケガや病気をした場合の療養期間として充てる休職制度です。

私傷病の従業員を雇用する使用者は、休職期間として定めた期間に、休職している従業員の復職が可能か判断をしなければなりません。

使用者による補償や公的保険による所得保障

私傷病休職中の従業員は、基本的に仕事に従事していないため、使用者による補償は受けられません。例えば、使用者からの休職命令の発令中(労働義務の免除中)は、年次有給休暇の申請ができなくなります。

その分、私傷病休職中は公的保険による所得補償が受けられます。公的保険による所得保障は、社会保険(健康保険)から支給される傷病手当金は、業務外のケガや病気を対象とした療養期間に支給されます。支給の対象期間は、連続する3日間の待期期間を満了した4日目以降から、最長で1年6カ月までの期間です。給料の支払いがない期間に適用されます。

解雇の制限

私傷病休職中の解雇は、労働者の雇用喪失により不利益となるため、簡単にはできない処置と考えられます。休職者が在籍する事業所は、配置転換や復職支援を検討することが求められます。

休職期間が満了となった場合は、医療機関の診断をもとに復職か解雇かを慎重に判断する必要があります。

休職の主な種類②私傷病休職以外の休職

休職には、私傷病休職以外にもいくつかの種類があります。

事故欠勤休職

休職の中には、自己都合による長期休職を目的とした事故欠勤休職があります。事故欠勤休職は、業務以外の事情(私的な理由や事故により就労不能になった場合など)で何らかの長期欠勤が必要な場合に活用します。

自己啓発休職

自己啓発休職とは、自己啓発・資格取得などに集中して取り組む期間や、海外への留学などの能力開発に充てる休職です。従業員の能力開発を目的に、学習に充てる期間が該当します。

出向休職

出向休職とは、自社従業員を関連会社ないしは他社に出向させ、その期間を休職扱いとする制度です。

起訴休職

起訴休職は、従業員が刑事事件などで起訴されて就業できなくなったときの休職制度です。企業は、従業員が何らかの犯罪の嫌疑をかけられた場合、企業の社会的な信用問題にも関わるため、企業側として早めに休職処理をすること推奨されています。

組合専従休職

組合専従休職は、企業の労働組合に在籍して組合活動に専従する期間の休職制度です。労働組合の専従者は、賃金の発生する就業中の組合活動を行うと、経費援助とみなされる可能性があります。そのため、組合専従者は、経費援助や寄付に該当する可能性があるため、休職扱いにして活動することが適切とされます。

公職就任休職

公職就任休職は、公務に就任した従業員が長期間にわたり職務から離れる場合の休職制度です。国会議員や地方議員などの公職に就き、企業の職務と両立させることが難しい場合に活用します。

休職中の給与は?

休職中は、出勤せず仕事も免除されるため、給与の支給や賞与・ボーナスの査定にも影響します。

給与

休職中は、実質仕事に従事していないため、給与が支給されません。休職の理由が業務外で起きたケガや病気の場合は、健康保険から傷病手当金が支給されます。先述の通り、私傷病手当金の支給は、仕事を休んだ日から連続する3日間の待期期間を満了した4日目以降から、最長で1年6カ月までが支払い対象です。

賞与・ボーナスは?

休職中の賞与・ボーナスの支給は、各事業所の判断によります。特に私傷病による休職の場合は、賞与・ボーナスを支給するに値するかを判断する指標のルールが必要です。事業所では、判断指標となるルールを定め、就業規則に記載しておきましょう。

会社により一部支給や補償制度もある

休職中は、ノーワーク・ノーペイの原則があるため給与は支給されない場合が一般的です。会社によっては、休職中に給与の一部を支給する場合や給与の補償制度を設置している場合があります。

ただし、給与の一部支給や補償制度は、休職理由が会社側の都合による休業の場合に適用されるケースが多く、私傷病休職の場合、これらの制度が適用されるかどうかは会社の判断によります。

休職中の社会保険料は?

休職中は、会社から給与が支給されません。通常は使用者側と折半で支払っていた社会保険の支払いが気になる人もいることでしょう。。給与から天引きされていた各種保険料は、休職中であっても支払う義務があります。

健康保険料

健康保険料は、休職中でも支払う義務があります。また、支払額も休職前と変わらず、会社負担分と本人負担分の折半で支払います。ただし、休職中は無給となるため、病気やケガなどで休職している場合は、支払い方法について会社と確認が必要です。病気やケガなどで休職している場合は、健康保険から支給される傷病手当金を利用して社会保険料の本人負担分を支払うことが一般的です。

介護保険料

休職中は、社会保険料に含まれる介護保険料についても支払い義務が発生します。介護保険料は、健康保険料と合わせて毎月の給与から会社負担分と本人負担分で支払っている保険料です。休職中は無給状態が考えられるため、健康保険料の本人負担分と合わせて会社が建て替え後日まとめ請求される場合もあります。

厚生年金保険料

休職中の厚生年金保険料は、健康保険料や介護保険料と同じく毎月の支払いが義務付けられています。休職中の無給状態でも会社に所属している限り、所属先の会社を経由して厚生年金保険料は支払わなければなりません。

雇用保険

休職中の雇用保険は、会社から給与が支給されない無給状態であれば支払う義務がありません。雇用保険とは、仕事をして得た給与に対して発生する保険です。休職中の無給期間であれば、支払い義務を免除されます。

休職中の税金は?

休職中は、社会保険料だけではなく給与から差し引かれる税金の支払い義務も発生します。毎月の給与から支払う必要がある税金は、所得税と住民税です。

所得税

所得税は、毎月支給される給与所得に対して納める金額が決まります。給与所得があれば、その額に応じた所得税を支払わなければなりません。ただし、休職中は給与が支給されないため、毎月の給与額が0円となるため、所得税を支払う必要がないでしょう。

住民税

給与から天引きされる税金には、住民税があります。住民税は、前年度の所得状況により支払う金額が決定する税金です。そのため、休職中は無給でも支払わなければなりません。

ただし、住民税の場合は社会保険料のように会社側の負担がありません。全額本人負担となります。

休職中に受け取れる手当

休職中は、すでに加入している各種保険から支給される手当が受給可能です。ここでは、休職中に受け取れる手当の制度について、金額や期間、条件などを詳しく解説しましょう。

傷病手当金

傷病手当金は、業務外で発生したケガが病気を理由に仕事を休む際に支給される手当金です。業務外で発生した傷病(私傷病)が対象となるため、会社の業務とは関係ない病気で入院し療養が必要な場合にも支給されます。

支給金額(支給開始日前の12カ月間、継続して支給されていた各月標準月額の平均額)÷ 30日×3分の2 = 日あたりの支給金額
支給期間支給開始日より通算して1年6カ月
支給条件
  • 業務外の事由によるケガや病気の療養
  • 就業不可能である
  • 連続する3日間を含めて4日以上就業できない

出典元:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金) をもとに作成

労災保険給付金

労災保険給付金(休業等給付)とは、保険給付として業務災害の場合は休業補償給付、通勤災害の場合は休業給付が支給されます。なお、労災保険では社会復帰促進等事業から保険給付と併せて休業特別支給金(給付基礎日額の20%)も支給されます。

支給金額給付基礎日額(疾病発生前3カ月間に支給された賃金総額を同期間の暦日数で割った1日あたりの金額)× 60%= 1日の支給金額
支給期間休業4日目から休業終了まで
支給条件
  • 業務上で発生した傷病
  • 複数業務が原因となる傷病
  • 通勤中に発生した傷病
  • 仕事ができず会社から賃金が支給されない

出典元:厚生労働省|労災保険給付の概要 をもとに作成

会社の規定による手当

会社によっては、独自の規定にのっとって手当金が支給される場合があります。名目や支給条件、金額、期間などは会社ごとに内容が異なるため、確認が必要です。

出産手当金

出産手当金は、出産のための休暇を取った健康保険の被保険者に支給される手当金です。

支給金額(支給開始日前12カ月間の各月標準報酬月額)÷ 30日 × 3分の2 = 1日あたりの支給金額
支給期間出産日(または出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)~出産日翌日以降56日までの範囲内で休業により給与の支払いがなかった期間
支給条件
  • 出産前に取得した給与が支給されない休暇
  • 出産後に取得した給与が支給されない休暇

※参考:全国健康保険協会「出産手当金について」をもとに作成

育児休業給付金

育児休業給付金は、1歳未満の子を養育する目的で休暇を取った場合、雇用保険から被保険者に支給されます。

支給金額休業開始時賃金日額(直近6カ月の賃金を180日で割った金額)× 支給日数 × 67%(育休開始から181日目から50%で計算)
支給期間1歳未満の子を養育する目的で休暇
支給条件
  • 1歳未満の子を養育するための休暇
  • 育児休業を取得する雇用保険の被保険者が対象
  • 休業開始日前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が12カ月以上ある
  • 育休開始日を起算日とした1カ月ごとの期間に就業日数が10日以下(または就業した時間数が80時間以下)
  • 養育する子が1歳6カ月に達するまでに労働契約の終了が決定していない(契約社員など)

出典元:厚生労働省|育児休業給付の内容と支給申請手続をもとに作成

介護休業給付金

介護休業給付金は、ケガや病気などで常時介護を必要(目安として2週間)とする家族を介護するための休業に対して、雇用保険より支給される給付金です。

支給金額休業開始時賃金日額(休業開始前6カ月の賃金を180日で割った金額)× 支給日数 ×67%
支給期間93日を限度に3回まで
支給条件介護休業の開始日前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あること(同期間中に本人の疾病がある場合は期間について緩和される場合あり)

出典元:厚生労働省|Q&A~介護休業給付 をもとに作成

休職から復帰までの流れ【従業員編】

休職制度を活用する従業員は、休職から復帰までの手順があります。こちらでは、私傷病で仕事を休む場合の休職から復帰までの流れを解説します。

休職に必要な手続きをする

休職する従業員は、会社に対して必要な手続きをしなければ休職制度が認められません。そのため、必要な手続きを済ませる必要があります。会社の上司または人事労務部署などに相談して休職に必要な手続きの説明を受けましょう。一般的な手続きについては次の通りです。

  • 会社規定の休職に必要な申請書類の提出
  • 医師(産業医)による診断書(病気休業診断書)の作成および会社への提出
  • 会社と休職中の待遇や対応についての打ち合わせ(確認・相談)
  • 傷病手当金の申請手続きをする
  • 休職中に相談できる機関の紹介 など

休職期間中は心身ともに休める

休職期間中は、会社から業務に就くことを免除され、仕事から離れられる期間です。そのため、会社や仕事のことを忘れて心身ともに休むのが適切と言えるでしょう。

また、休職期間は、職場の上司や同僚との連絡が減ります。精神疾患で休職した場合、職場の上司など人間関係が原因といった精神疾患で休職した場合、職場からの連絡は控えるのが妥当です。

休職中の会社とのやり取りは、会社の人事労務担当者が窓口になることが考えられます。休職中の不安や心配なことは、適切な機関に相談しましょう。ちなみに、公的機関の相談先では、次の窓口が利用できます。

厚生労働省「こころの耳(電話・SNS・メールなどの相談窓口)」

医師による復帰可能の判断を得る

会社は休職中の従業員に対して病気やケガが治ってからの職場復帰の確認を求めてくるでしょう。ケガの場合は、全治何週間と診断されますが、精神疾患の場合は将来的な病状回復を確約しにくいものです。

休職者の職場復帰は、復帰後の業務遂行能力について職場と医師(産業医)による精査のうえで判断します。たとえ、本人が病状からの回復を実感していたとしても、医師の見解と職場の意向をすり合わせなければなりません。

職場復帰に向けたプランを作成する

休職中の従業員は、休職期間終了後の職場復帰について考えることでしょう。精神疾患の場合は、ケガとは違い「心の病」のため見た目では判断が難しいため、復帰する職場の理解や、復帰支援プランの作成とプランに沿った復帰への取り組みが求められます。

精神疾患で休職している場合は、早期の職場復帰はハードルが高いでしょう。そのため、傷病手当金の支給期間と照らし合わせたリハビリ出勤の導入も効果的です。休職期間中の復帰支援プランにリハビリ出勤の日を少しずつ組み込みましょう。

復職面談を行う

休職中の従業員は、復帰支援プラン(リハビリ出勤など)によって、休職前の状態まで病状が回復傾向になった場合、主治医による復職診断書の作成や復職時期を決める必要があります。リハビリ出勤で職場への出社や業務遂行が問題なくできれば、復職のための面談を行いましょう。

復職面談では、会社の在籍部署の管理責任者や人事労務担当者、産業医などが同席し、復職可否の判断をします。面談の際は、現在の体調や休職中の生活リズム、復職後に再度休職をしないための再発防止策について答えられるように準備しておきましょう。

復帰する意思を明確にする

復職面談において重要なことは、復職する意思を明確にすることです。休職者は、復帰する意思が曖昧になっていると、会社側としても復職を容認するかどうか迷う可能性があります。会社側の人員調整を考慮したうえで、復帰する意思を明確に伝えましょう。

休職から復帰までの手続き【労務担当者編】

会社の労務担当者は、休職制度を進めるにあたり、復帰までの手続きが必要です。詳細は以下の通りです。

休職に必要な書類を準備案内する

休職制度の利用には、申請に必要な書類を用意しなければなりません。会社内で作成する休職の申請書類だけではなく、休職する従業員のケガや病気を診断する主治医による証明書類(診断書)が必要です。なお、主治医による診断書の作成費用は、休職する従業員の自己負担となります。

また、労務担当者は従業員の休職開始にあたって、休職制度の説明や休職期間中の経済的な補償(傷病手当金など)、不安になったときの相談窓口などを紹介しましょう。

休職期間中のサポート

傷病による休職期間中は、自宅や入院先での療養が続きます。職場から離れた時間を過ごす休職者は、作業途中だった業務や取引先との約束などが不安になる可能性もあるでしょう。労務担当者や部署の管理責任者は、休職者の精神的安全のため、休職期間中のサポート体制について計画しておきましょう。

主に以下の事項について、明確に決めるのが適切です。

  • 精神的に負担のかからない担当者を選定(社内でも中立的な立場の人など)
  • 休職中の事務手続きのサポート(社会保険や税金、傷病手当金の手続きなど)
  • 会社と主治医、家族で連携して病状に適した柔軟な対応

休職理由がうつ病などの精神疾患の場合は、些細な言動でも病状に良からぬ影響を与える恐れがあります。周囲の関係者は、求職者の病状への理解と柔軟な対応ができるように意識しましょう。

復帰に向けた準備・手続き

従業員が休職から復帰する際は、復帰に向けた準備や手続きが必要です。以下の通り、まとめましたので、ご参考にしてみてください。

  1. 主治医による職場復帰の可否を確認する
  2. 復帰可能であれば復職診断書の提出を求める
  3. 会社側の関係者で復職が可能か判断する
  4. 復職診断書に基づいた職場復帰支援プランを作成する
  5. 職場復帰支援プランに沿ってリハビリ出勤などで試してみる
  6. 復職面談を行い、復職意思を確認する
  7. 復職の日程や復職後の業務内容、時間などを説明し職場復帰を決定する

休職者の病状によっては、リハビリ出勤のステップを省略して復職を決定する場合もあります。

復職後の再休職や体調悪化を防止する対応

復職後は、病状の再発による再休職や体調悪化などに注意が必要です。復職後の再休職や体調悪化を防ぐには、職場における準備や対応が求められます。

  • 産業医や主治医の見解を無視した対応は避ける
  • 可能な限り元の職務に復帰させる(配置転換は最終手段とする)
  • 復帰した休職者に自然な態度で接する

復職には、職場の理解や協力が欠かせません。上司や同僚などの理解や協力を求める形で、自然な流れで復職を進めていきましょう。

休職に関するよくある質問集

ここでは、休職に関するよくある質問と回答を解説します。休職を検討している従業員には、会社に休職を申請することで印象が悪くなると考えている人もいるでしょう。

休職は、病気やケガで仕事を休む必要がある人のための職場復帰に必要な制度です。すべての労働者が活用する可能性がある点をふまえて、休職制度について正しく理解しましょう。

「休職したら終わり」って聞くけど本当ですか?

休職したら終わりではありません。私傷病による休職期間中は、就業規則で定められている休職期間が満了するまでに回復できれば、解雇される可能性は低くなります。

また、うつ病などの精神疾患により休職している人の50%以上は、もとの職場に復帰しています。

出典元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「Press Release」

「うつ病での休職はずるい」のでしょうか?

うつ病での休職は、あくまでも病気療養のための休職です。うつ病だけではなく病気やケガで休むことは、誰にでも起きる可能性があります。うつ病は、見た目では健康そうに見えるだけに、「この忙しい時期に休職するなんてずるい」と思われるのかもしれません。

ただし、うつ病と診断された人が普通に仕事をした場合、次のような状況が考えられます。

  • 注意が散漫になり小さなミスが増え、指摘されると自責の念にかられて落ち込む
  • 他人の話や周囲の状況に対しての判断力が低下する
  • 自分の意思を正しく伝えられなくなる

このような状況が予測され、周囲の業務にも影響をおよぼすため、休職は必要だと考えられます。

「休職するなら退職しろ」と言われた場合は?

メンタルの不調を察知し、休職を検討し始めた従業員が上司に休職について相談するのはいたって当然の行為です。

その上で、「休職するなら退職しろ」と言われた場合は、上司のパワハラや退職強要に該当する可能性があります。上司が休職ではなく退職を強要する場合は、次の手順で対応しましょう。

  • 退職強要にあたる言動を録音やメモなどで証拠を残しておく
  • 行政機関(管轄の労働基準監督署・労働組合)に相談
  • 法的な処置の場合は弁護士に相談

労働基準監督署や労働組合に相談した場合は、職場の労働環境の改善に動く可能性があります。ただし、法的な処置を行う場合は、弁護士への相談が必要です。

休職中に転職活動をしていいですか?

休職中の転職活動は、特に法律で制限されていません。ただし、企業によっては、就業規則で休職中の転職活動を禁止している場合もあるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。


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