- 更新日 : 2024年10月7日
内部告発があった場合の対応フローとは?無料テンプレートつき
内部告発が発生した場合、どのようなフローで対応したらよいか、わからないという方もいることでしょう。本記事では、内部告発の基本的な定義から、告発を受けた場合の具体的な対処法、再発防止策までを網羅し、解説します。組織としての信頼を守るために必要な対応ポイントも説明しているので、参考にしてみてください。
目次
そもそも内部告発とは?
内部告発とは、組織内部の人間が、所属する組織の不正や違法行為を外部の監督機関や報道機関などに通報する行為です。
内部告発は公益保護を目的として行われ、組織の不祥事や隠蔽を明らかにする重要な手段となっています。また、内部告発については、公益通報者保護法があり、組織は公益の保護とともに、通報者が報復行為や解雇、不当な処分を受けることなく安心して通報できる環境を整えることが求められます
内部告発があった場合の対応フローは?
以下は内部告発があった場合の対応フローです。
内部告発の受付
内部告発を受付けた際は、まず告発内容の概要を把握し、受付記録を作成します。内部告発受付の段階で告発者の個人情報保護に十分注意を払い、匿名性を確保することが重要です。
また、告発者に対して、今後の対応プロセスについて説明し、必要に応じて追加情報の提供を依頼します。
告発内容の確認
告発内容について、詳細な確認を行います。告発内容の確認段階では、告発の信憑性や緊急性を評価し、必要に応じて追加情報の収集を行います。他にも、告発内容が法令違反や企業倫理に反するものかどうかを精査し、調査の必要性を判断します。
被告発者の特定と疑惑関係の解明
告発内容に基づいて、被告発者を特定し、疑惑の関係性を解明します。被告発者の特定と疑惑関係の解明の過程では、客観的な証拠の収集や関係者へのヒアリングを行い、事実関係を明確にします。調査の際は、被告発者の権利も尊重し、公平性を保つことが重要です。
一次報告と対応の検討
調査結果に基づいて一次報告書を作成し、経営陣や関係部署に報告します。一次報告と対応の検討の段階では、報告書に調査の経過、判明した事実、問題点などを記載します。報告を受けたうえで、組織としての対応方針を検討し、必要に応じて外部専門家の助言を求めましょう。
最終報告と対応の決定
最終報告書には、調査結果の詳細、問題の原因分析、再発防止策などを含まれます。さらなる調査や検討を経て、最終報告書を作成しましょう。
経営陣は最終的な対応を決定することとなり、被告発者への処分、組織改革、外部への公表などが含まれる場合があります。
被告発者への処分と再発防止策の実施
決定された対応に基づき、被告発者への処分を実施します。同時に再発防止策を具体化し、組織全体に展開します。これには、業務プロセスの見直し、内部統制の強化、従業員教育の実施などが含まれます。
内部通報者のフォロー
告発者の保護は、健全な内部告発制度を維持するうえで極めて重要です。内部告発者に対して、調査結果や対応策について可能な範囲でフィードバックを行います。また、告発者が不利益を被っていないか確認し、必要に応じてサポートを提供しましょう。
経過と対応の記録と保管
内部告発の経過と対応の記録は、将来的な監査や法的問題に備えて重要となる可能性が高い書類です。内部告発の受付から対応完了までの全プロセスを詳細に記録し、適切に保管しましょう。他にも、対応の効果を検証し、必要に応じて追加の改善策を実施するための基礎資料としても活用されます。
内部告発があった場合の対応に使える無料テンプレート
通常、内部告発は組織において頻発するものではありません。むしろ、本来、あるべきものではないでしょう。そこで、実際に内部告発があった場合に対応に苦慮するケースが多いものと思われます。無料テンプレートを使えば、大事な手順を間違わず、漏れなく進めることができます。
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内部告発があった場合の対応フローで重要なポイントは?
以下では、内部告発があった場合の対応フローで重要な9つのポイントについて解説します。
受理と初期対応
内部告発を受けた際は、迅速かつ真摯に対応することが重要です。告発者の個人情報を保護し、告発内容の機密性を確保しながら、適切な初期対応を行いましょう。なお、この段階での対応が、その後の調査や問題解決の成否を左右します。
取り扱い体制の整備
内部告発に対応するための専門チームや委員会を設置し、明確な役割分担と責任体制を構築します。
この体制には、法務、人事、コンプライアンス部門などの関係者を含め、公平かつ専門的な対応ができるようにしておきましょう。
詳細の調査と確認
調査の過程では、被告発者の権利も尊重し、適正手続きを遵守することが重要です。告発内容について、徹底的かつ公平な調査を行います。証拠の収集、関係者へのヒアリング、専門家の意見聴取など、多角的なアプローチで事実関係を明らかにしておきましょう。
適切な対応策の決定
適切な対応策の決定には、被告発者への処分、業務プロセスの改善、組織体制の見直しなどが含まれます。対応策の決定には、法的リスク、社会的影響、組織への長期的影響などを総合的に考慮する必要があるので注意が必要です。
告発者へのフィードバック
可能な範囲で、告発者に対して調査結果や対応策についてフィードバックを行いましょう。告発者へのフィードバックにより、告発者の信頼を得るとともに、組織の透明性と誠実さを示すことができます。ただし、個人情報保護や機密情報の取り扱いには十分注意が必要です。
フォローアップと再発防止
対応策実施後も、その効果を継続的にモニタリングし、必要に応じて追加の改善策を講じます。また、類似の問題が他の部署や領域で発生していないか確認し、組織全体での再発防止に努めましょう。
文書化と報告
内部告発の受付から対応完了までの全プロセスを詳細に文書化し、適切に保管しましょう。また、経営陣や関係部署に対して定期的に報告を行い、組織全体での情報共有と学習の促進が必要です。
法的リスクの管理
公益通報者保護法に基づき、内部告発者への対応過程で生じる可能性のある法的リスクを管理します。必要に応じて外部の法律専門家に相談し、法令遵守を徹底しましょう。特に、告発者保護や個人情報保護に関する法的要件には、十分注意を払う必要があります。
教育と啓発
内部告発制度の重要性や適切な利用方法について、従業員教育を定期的に実施しましょう。また、経営陣や管理職に対しても、内部告発への適切な対応方法について研修を行い、組織全体での理解を深める必要があります。
内部告発を今後防止するために企業がとるべき対応は?
以下に内部告発を今後防止するために企業がとるべき対応を9つ紹介します。
倫理文化の構築
組織全体で高い倫理観を共有し、誠実な企業文化を醸成します。経営陣が率先して倫理的行動を示し、従業員全員が企業倫理を日常的に実践できる環境を整えなければなりません。
内部統制の強化
業務プロセスや意思決定プロセスにおける内部統制を強化し、不正や違法行為の発生リスクを低減します。定期的な内部監査や外部監査を実施し、問題の早期発見と改善に努めましょう。
透明性の確保
経営情報や業務プロセスの透明性を高め、従業員や外部ステークホルダーからの信頼を獲得します。情報開示の充実や説明責任の遂行により、組織の健全性を示すことができるのです。
従業員教育と研修
コンプライアンスや企業倫理に関する教育・研修を定期的に実施し、従業員の意識向上を図ります。具体的な事例を用いたディスカッションなど、実践的な学習機会を提供しましょう。
公平な業務環境の提供
従業員間の公平性を確保し、差別やハラスメントのない職場環境を整備します。公正な評価制度や昇進制度を導入し、従業員のモチベーション向上を図りましょう。
労働条件と福利厚生の充実
適切な労働条件と充実した福利厚生を提供し、従業員の満足度を高めます。ワークライフバランスの推進や健康管理支援など、従業員のウェルビーイング向上に努めましょう。
コミュニケーションの強化
経営陣と従業員、部門間のコミュニケーションを活性化し、風通しのよい組織風土を醸成します。定期的な意見交換会や提案制度の導入など、従業員の声を積極的に聞く機会を設けましょう。
調査と評価
定期的に従業員満足度調査や組織風土調査を実施し、潜在的な問題や改善点を把握しましょう。調査結果に基づいて具体的な改善策を講じ、継続的な組織改善を図る必要があります。
内部告発制度の整備
適切な内部告発制度を整備し、問題の早期発見と解決を促進します。告発者の保護や匿名性の確保、公平な調査プロセスの確立など、従業員が安心して利用できる制度を構築しましょう。
内部告発は企業の成長機会
内部告発と聞くと、あまりよいイメージはなく、身内からの告発は外部からのものに比べると信憑性が高いことが多い傾向です。
一方、公益通報者保護法の趣旨を踏まえ、内部告発を企業の健全性を高める重要な機会として捉えるとともに、通報者の保護を最優先に考慮することが重要です。本記事のフローを参考に、自社にとって最適な内部告発のフローを考えてみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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