• 作成日 : 2023年2月28日

就業規則変更届の書き方・記入例・提出方法 – 様式についても解説!

就業規則変更届とは、就業規則を変更する際に労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。厚生労働省から要件を満たした様式が提供されていますが、法令で規定された書式等はありません。この記事では軽微な修正でも届け出が必要なのか、逆に変更箇所が多い場合などで書ききれない時はどうしたらよいのかなど記入例を交えて紹介します。

就業規則変更届とは?

就業規則変更届とは、就業規則を変更する際に作成し労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。提出時には、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見書も添付しなければなりません。
そもそも、常時10名以上の従業員を雇用する事業所は、労働基準法によって就業規則の作成が義務付けられています。常勤であれば雇用形態を問わないため、パートやアルバイトなども含まれる点に注意が必要です。作成した就業規則は、意見書を添えて労働基準監督署に提出しなければなりません。
ここでは、就業規則の変更方法や変更のタイミング、意見書の概要、就業規則変更届の様式について紹介しましょう。

就業規則の変更方法

冒頭でもお伝えしたとおり、就業規則を変更する場合は就業規則変更届と意見書を作成し、労働基準監督署に提出しなければなりません。就業規則の具体的な変更方法は下記の通りです。

  1. 変更箇所を検討する
    まず、就業規則の変更箇所を検討し、新たな条文を作成しましょう。就業規則の記載事項は法令に則り、合理的な内容でなければなりません。変更内容に問題がないことを確認したら、取締役会で承認を得てください。
  2. 労働者代表による意見書を作成する
    次に、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聞いて、意見書を作成しましょう。意見書に記載する事項については後述します。
  3. 就業規則変更届を作成する
    最後に、就業規則変更届を作成しましょう。就業規則変更届の記載事項については次章で詳しく紹介します。
  4. 必要書類を労働基準監督署に提出する
    意見書と就業規則変更届が作成できたら、労働基準監督署に提出しましょう。具体的な提出期限は定められていませんが、遅滞なく提出することが求められています。故意に提出を怠った場合は30万円以下の罰金が科されるため気をつけましょう。

就業規則はどういったタイミングで変更する?

就業規則を変更するタイミングとしてまず挙げられるのが、労働関連法の改正および施行です。労働基準法や労働契約法、労働組合法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法などがこれに該当します。前章で紹介したとおり、就業規則の記載事項は法令に則った内容でなければならないため、労働関連法が改正されたタイミングで改正内容にあわせて変更しなければなりません。
続いてよくあるタイミングは、社内の実態と就業規則の内容にギャップが生じた場合です。労働条件と実際の就労状況にズレが出てきた場合は、実態に合わせて速やかに就業規則を変更しましょう。
さらに、就業規則を変更するタイミングとしては、会社の成長に伴う労働環境の変化や、経営状況の悪化に伴う労働条件の変更などが挙げられます。また、トラブル防止やリスク回避など、企業防衛の意味合いで就業規則を変更することもあるでしょう。
ここで挙げたのは一例ですが、就業規則はさまざまなタイミングで改定しなければなりません。必要なタイミングで遅滞なく変更することが重要です。

参考:中小企業のための就業規則講座|厚生労働省

変更の際の「意見書」とは何?

就業規則を変更して労働基準監督署に就業規則変更届を提出する際には、必ず労働者代表による意見書を添付しなければなりません。労働者の過半数からなる労働組合がある場合は労働組合の、労働組合がない場合は労働者を代表する者の意見書が必要です。意見書には所定の書式やフォーマット等はありませんが、一般的には下記の内容を記載しなければなりません。

  1. 記入した日付
  2. 宛名(会社名・社長名)
  3. 就業規則の変更に対する意見
  4. 労働組合の名称もしくは労働者代表の役職・氏名
  5. 労働者代表の選出方法

就業規則意見書

引用:就業規則意見書|東京労働局

なお、労働者代表を会社側が指定することはできません。労働基準法に規定された管理監督者、いわゆる管理職ではない労働者の中から、過半数代表者を選出することを明示したうえで、投票・挙手・回覧など民主的な方法で選出する必要があります。就業規則を変更する場合は、労働者代表の意見を聞き意見書作成することが労働基準法で義務付けられているため十分注意しましょう。

参考:労働基準法(第九十条) | e-Gov法令検索

就業規則変更届に決まった様式はある?

意見書と同様に、就業規則変更届にも所定の様式やフォーマットなどはありません。紙媒体でも作成可能ですが、電子媒体であれば作成・変更・保管が簡単に行えるためおすすめです。一般的には、WordやExcelなどで作成されることが多いでしょう。インターネット上には無料で利用できるテンプレートなども多数公開されているので、それらを利用するのも一つの方法です。就業規則変更届に記載しなければならない事項については、次章で詳しく紹介します。

就業規則変更届の書き方と記入例 – テンプレートをもとに解説

まず、一般的に就業規則変更届へ記載すべき事項は下記のとおりです。必要事項さえ満たしていればフォーマットは自由なので、書きやすいよう適宜変更することもできます。

  1. 記入した日付
  2. 宛名(労働基準監督署長)
  3. 主な変更事項
  4. 労働保険番号
  5. 事業所名
  6. 所在地
  7. 使用者職氏名(社長名)
  8. 業種
  9. 労働者数

就業規則(変更)届

引用:就業規則(変更)届|東京労働局

3の主な変更事項には、就業規則の変更箇所を変更前と変更後に分けて記載します。新旧対照表と呼ばれ、こちらを記載することで就業規則を全部提出するのではなく、変更した箇所のみを提出することが可能です。

就業規則変更届の提出方法

就業規則変更届は、会社の所在地を管轄している労働基準監督署に提出します。提出方法は窓口持参や郵送だけでなく、電子申請も選択可能です。電子政府の総合窓口である「e-Gov」を利用することで、24時間365日どこからでも届け出ることができます。通常年度末と年度初めは窓口が混雑するため、電子申請を積極的に利用するとよいでしょう。なお、窓口持参もしくは郵送する場合は、必要書類を2部ずつ用意する必要があります。一部は労働基準監督署の保管用、もう一部は受付印の押印後に返却されるため、会社で適切に保管しましょう。郵送の場合は、忘れずに返送用の切手および封筒を同封してください。

なお、作成および提出は場所的に独立した事業所単位で行うのが原則です。例えば本社とは別に工場や支店などがある場合は、それぞれ作成・提出しなければなりません。ただし、就業規則および変更事項の内容が本社とその他の事業所で同一、かつ同じ労働基準監督署管内に所在している場合に限り、一括届出制度を利用することが可能です。その際、意見書については事業所ごとに必要となるため気をつけましょう。また、遠隔に所在する事業所については一括届出制度が利用できないため、所管の労働基準監督署へ個別に提出しなければなりません。

参考:労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について|厚生労働省
参考:労働基準監督署へ郵便により届出を行う場合の注意点について|東京労働局
参考:就業規則 一括届出制度|厚生労働省

就業規則変更届における注意点

前章では、就業規則変更届の記載事項および提出方法についてお伝えしました。フォーマットの指定はありませんが、行政が提供している様式を利用する方も多いことでしょう。就業規則変更届作成する際、変更箇所が多岐にわたる場合は既存のフォーマットでは作成し辛いかもしれません。逆に、変更箇所が軽微な場合でも就業規則変更届を作成・提出しなければならないのでしょうか。ここでは、就業規則変更届の作成における注意点をご紹介します。

就業規則変更届の内容が書ききれない場合

変更事項が書ききれない場合は、新旧対照表を別途作成し添付する方法が認められています。フォーマットの「主な変更事項」欄には「別紙参照」などと記載し、新旧対照表を別紙として添えて提出するとよいでしょう。また、農林水産業や建設業など労働保険上の二元適用事業に該当し、労働保険番号が複数ある場合はすべて記入しましょう。行政のフォーマットには複数記入できないため、記入欄を分割もしくは追加するなどの方法で対応してください。

就業規則の変更箇所が多い場合

変更箇所が多岐にわたり新旧対照表の作成が難しい場合は、就業規則一式を提出しなおすことも可能です。「主な変更事項」欄には「全面改訂」などと記載し、新たな就業規則を添えて提出してください。

就業規則の変更箇所が軽微な場合

逆に、変更箇所が軽微な場合であっても就業規則変更届は提出しなければならないのでしょうか。結論から言うと、たとえ誤字脱字や形式的な修正であっても、就業規則を変更した場合は労働者代表の意見書を添えて就業規則変更届を提出しなければなりません。現在の条文で意図が把握できる場合は、他の改定と合わせて修正するとよいでしょう。

就業規則を変更した際は速やかに就業規則変更届を提出しよう

就業規則変更届について解説しました。就業規則変更届とは、就業規則を変更した際に作成し労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。提出時には労働者代表の意見書も必ず添付しなければなりません。作成および提出は原則事業所単位で行わなければならないため注意が必要です。なお、就業規則と変更事項の内容が本社と同じで同一管内に所在している事業所については、一括届出制度が利用できます。

就業規則変更届は特定のフォーマット等が規定されているわけではないため、変更内容に合わせて作成してください。就業規則変更届の提出は労働基準法に定められた義務であるため、就業規則を変更した速やかに提出するようにしましょう。

よくある質問

就業規則変更届とはなんですか?

就業規則を変更した際に作成し労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。労働基準法に定められた義務であるため、就業規則変更時は遅滞なく提出するようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

就業規則の変更方法について教えてください

就業規則の変更は変更箇所の検討、取締役会の承認、労働者代表による意見書の作成、就業規則変更届の作成、必要書類の提出という流れを取ります。詳しくはこちらをご覧ください。


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