- 更新日 : 2026年10月5日
所轄税務署とは?年末調整・確定申告の納税地との関係と調べ方を解説【令和8年分】
所轄税務署とは、納税者の納税地(原則として住所地)を管轄し、申告・納税手続きの窓口となる税務署のことです。
- 納税地は勤務地でなく住所地で決まる
- 納税地の異動届出は原則不要(令和5年以降)
- 法定調書の提出期限は翌年1月31日まで
Q. 自分の所轄税務署はどうやって調べる?
A. 国税庁サイトの「国税局・税務署を調べる」ページで、郵便番号または住所から検索できます。
所轄税務署とは、所得税や消費税などの申告・納税手続きを行う際の窓口となる、納税者ごとに定められた税務署のことです。本記事では、所轄税務署の意味や管轄税務署との関係、年末調整で使う各種申告書との関わり、そして令和8年分の年末調整で押さえておきたい最新の注意点まで、バックオフィス担当者向けにわかりやすく解説します。
所轄税務署とは?
所轄税務署とは、納税者の納税地を管轄している税務署のことを指します。国税庁・国税局の指揮監督のもとで、実際の税務行政の窓口となっている組織です。
国税庁の下には全国11の国税局と沖縄国税事務所があり、その下部組織として全国524カ所に税務署が設置されています(2026年9月時点)。「マルサ」と呼ばれる査察部門が置かれているのは国税局であり、税務署が担当する税務調査のうち査察が関わるものはごく一部にすぎません。
税務署内の部門構成
税務署には、総務課や税務広報広聴官のほか、管理運営部門、徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門などが設置されています。
確定申告書の受付や納税証明書の発行といった窓口業務は管理運営部門が担当し、相談・指導業務は個人事業者向けの個人課税部門、法人向けの法人課税部門がそれぞれ担当します。
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所轄税務署はどのように決まる?
所轄税務署は、納税者の「納税地」を管轄する税務署によって決まります。勤務地の近くの税務署ではなく、住所地を管轄する税務署が窓口になる点に注意が必要です。
所得税は国税のため全国どこの税務署にも申告できると思われがちですが、実際には納税地ごとに提出先の税務署が固定されています。
個人の納税地の原則
個人の納税地は、原則として住所地です。住所とは生活の本拠を指し、住民票の所在地とは必ずしも一致しません。他の市区町村へ転居しても住民票の異動手続きをしなければ住民票が旧住所のままになるケースがある一方、納税地の判定は客観的な生活実態に基づいて行われます。
居所地・事業所地を納税地にできる特例
国内に住所がない場合は居所地が納税地になり、単身赴任などで住所と居所が分かれる場合は、届出により居所地や事業所等の所在地を納税地とすることも可能です。
法人の場合は、登記上の本店所在地が納税地となるのが原則です。
納税地を異動・変更した場合、届出は必要?
結論として、令和5年1月1日以降の納税地の異動・変更については、原則として別途の届出書の提出は不要です。異動後・変更後の納税地は、確定申告書に記載するだけで手続きが完了します。
以前は「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出が必須でしたが、申告書の記載内容から税務署側が納税地を把握できるようになったため、令和4年度税制改正でこの届出義務が廃止されました。
年の途中で送付先を変更したい場合
年の途中で納税地が変わり、国税当局からの文書の送付先を新しい納税地に切り替えたい場合は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出することができます。
この申出書はあくまで任意提出であり、確定申告書への記載だけでも異動・変更の効力自体は生じます。振替納税を利用している場合は、変更後の所轄税務署へ改めて口座振替依頼書を提出する対応も必要です。
参考:A1-6 所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する手続|国税庁
年末調整の申告書で所轄税務署はどう記載する?
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の冒頭には「所轄税務署長等」の記載欄があり、勤務先の納税地を管轄する税務署名を記入します。
「等」となっているのは、住民税に関する所轄市区町村長の記載欄も併設されているためです。従業員自身は納税地の特例を把握していないことが多いため、通常はこの欄は勤務先側が記載します。
参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
年末調整関係諸用紙にはどんな書類がある?【令和8年分の変更点】
年末調整では、従業員に記載・提出させる「年末調整関係諸用紙」が複数あります。令和7年度税制改正により特定親族特別控除が創設されたことに伴い、令和8年分以後の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載事項も変更されています。令和8年分の申告書では、一定の特定親族を含む「源泉控除対象親族」を記載します。
これらの申告書は税務署への提出は不要で、勤務先が保管します。保管期間は7年間で、起算日は提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日です。
扶養控除等(異動)申告書
扶養している親族の人数などに応じて控除額を判定するための申告書です。令和7年分からは、19歳以上23歳未満で所得金額が一定基準以下の親族を対象とする「特定親族」欄が新設されました。
基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書
正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。
令和7年度税制改正による基礎控除の見直しと、新設された特定親族特別控除(19歳以上23歳未満、合計所得金額58万円超123万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円超188万円以下)の親族が対象)に対応するため、従来の申告書に特定親族特別控除申告書が統合されました。
参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁
保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書
生命保険料や地震保険料など勤務先では把握できない保険料控除のための「保険料控除申告書」と、住宅ローン残高に応じた控除を受けるための「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」があります。いずれも従業員本人しか把握できない情報を申告する書類です。
年末調整で所轄税務署に提出が必要な法定調書は?
年末調整に関連して税務署への提出が必要な書類を「法定調書」と呼びます。年末調整関係諸用紙とは異なり、こちらは実際に所轄税務署へ提出する義務があります。
源泉徴収票の提出基準額(今後の変更に注意)
源泉徴収票は全従業員に交付が必要ですが、税務署への提出が必要なのは、法人役員は年150万円超、弁護士・税理士等は250万円超、それ以外の従業員は500万円超の支払いがある場合などに限られます。
| 対象者 | 税務署への提出が必要な支払金額 |
|---|---|
| 法人の役員 | 150万円超 |
| 弁護士・税理士など特定の業務者 | 250万円超 |
| 上記以外の従業員等 | 500万円超 |
| 扶養控除等申告書未提出者 | 50万円超 |
※上記の「弁護士・税理士など特定の業務者250万円超」は、これらの方に「給与」として支払っている場合(雇用関係にある場合)の基準です。多くの企業で一般的な、顧問弁護士・顧問税理士への「報酬」としての支払いについては、この源泉徴収票の基準ではなく「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の対象となり、提出基準額は年間50,000円超と大きく異なりますのでご注意ください。
なお、国税庁は令和9年1月以降、一定の要件を満たす場合に源泉徴収票の税務署への提出そのものを不要とする「みなし提出の特例」を導入予定です(受給者への交付義務は変わりません)。今後の年末調整実務では、自社が特例の対象となるか確認しておくことが望ましいでしょう。
参考:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁、No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等|国税庁
支払調書・法定調書合計表
一定額を超える報酬や不動産取引などがある場合、支払調書の提出が必要です。代表的なものに「報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」があります。
これらの提出状況をまとめた「法定調書合計表」もあわせて所轄税務署へ提出します。合計表には「人数」「支払金額」「源泉徴収税額等の総額」を記載します。
所轄税務署はどうやって調べる?
自分の所轄税務署は、国税庁の公式サイトから確認できます。もっとも簡単なのは、郵便番号または住所から検索する方法です。
国税庁サイトの「国税局・税務署を調べる」ページでは、郵便番号・住所からの検索のほか、地図や一覧からも所轄税務署を確認できます。
転居した場合の注意点
転居によって住民票を異動しなくても、生活の本拠が移れば納税地も移り、所轄税務署が変わることがあります。個人事業主が住所地を納税地としている場合は特に注意が必要です。
年末調整・法定調書の提出期限はいつまで?
年末調整関連の法定調書は、原則として翌年1月31日までに所轄税務署へ提出する必要があります。源泉所得税の納付期限は、納期の特例の有無によって異なります。
| 区分 | 納付期限 |
|---|---|
| 納期の特例の承認を受けていない企業 | 翌年1月10日 |
| 納期の特例の承認を受けている企業 | 翌年1月20日 |
転居や移転のタイミングによって管轄税務署が変わる場合があるため、年末調整の際は納税地に変更がないか事前に確認しておきましょう。
所轄税務署と納税地の仕組みを正しく理解しよう
所轄税務署とは、納税者の納税地を管轄する税務署のことであり、年末調整や確定申告の提出先を決める基準になります。納税地の異動・変更の届出は原則不要になった一方、年末調整書類の様式は特定親族特別控除の新設により変更されています。管轄税務署と提出書類の最新ルールを押さえ、正確な手続きを行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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