• 更新日 : 2021年4月2日

確定拠出年金の節税効果

確定拠出年金の節税効果

 

確定拠出年金の加入メリットについては、「確定拠出年金の10のメリット」の項で税制上の優遇があることを紹介しました。では、確定拠出年金には実際にどのような節税効果があるのでしょうか?

今回は具体例とともに、ほかの金融商品にはない確定拠出年金ならではの大きな節税効果について掘り下げていきます。

優遇税制には3つの種類がある

確定拠出年金の3種類の優遇税制について確認しましょう。

1.掛金は非課税

確定拠出年金で拠出する掛金は非課税となります。企業型確定拠出年金における企業の拠出分は全額が損金算入、個人の拠出分および個人型確定拠出年金の拠出分は全額が所得控除扱いとなります。個人の場合、拠出した掛金の額に応じて所得税・住民税の節税になります。

2.運用益は非課税

預貯金や投資信託などの金融商品の利子や配当などの運用益は一般的に源泉分離課税(※)がありますが、確定拠出年金による運用益には源泉分離課税は発生しません。また、年金資産そのものに課税される特別法人税(年1.173%)もありますが、平成28年度まで凍結中です。

(※)源泉分離課税・・・利子所得等に年率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)を課税(一部割引債を除く)

3.老齢給付の場合の所得控除

確定拠出年金には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金としての給付があります。そのなかで、60歳から受け取る老齢給付金には、年金として受給する場合は「公的年金等控除」が、一時金で受給する場合には「退職所得控除」があります。

どれだけの節税効果があるのか

では実際に、具体例を挙げながら確定拠出年金の節税メリットについて見ていきましょう。

4.掛金の拠出による節税メリット

例えば、年間の給与所得から社会保険料などの所得控除を差し引いた課税所得金額が450万円の人がいます。この人が確定拠出年金に加入し、掛金として毎月15,000円を拠出、年間18万円を支払っている場合を考えてみましょう。

確定拠出年金ではこの18万円が非課税となり、課税対象額から除くことができます。課税所得金額が450万円の場合、所得税率(※)は20%、住民税は一律10%なので、非課税分18万円の30%が節税となります。

18万円 × 30%(所得税20%+住民税10%)= 54,000円

つまり、確定拠出年金に毎月15,000円の掛金を拠出することで、加入をせずに毎月同額を貯金した場合と比べて、節税された年間54,000円分を手元に多く残すことができます。もし、このまま確定拠出年金に20年間加入し続けた場合、実に108万円もの節税メリットを享受することができるのです。

(※)所得税率表
所得税率表

5.運用益による節税メリット

今度は、月額1万円で、運用利回りが複利で年率3%の投資信託を運用したと考えてみましょう。確定拠出年金では運用益に対する源泉分離課税(年率20.315%)は発生しません。

このケースの場合、一般の投資信託では10年後には約135万円の積み立て資産となりますが、確定拠出年金で運用すると約139万円となります。最初の差は4万円とわずかなものですが、投資信託が複利で運用される場合、その年の運用で得た利益をそのまま元本として組み入れて翌年の運用に回すことができるため、利益は雪だるま式に増加します。

そのため、
・20年後には約20万円(一般の投資信託306万円/確定拠出年金での運用326万円)
・30年後には約54万円(一般524万円/確定拠出年金578万円)
・40年後だと約120万円(一般799万円/確定拠出年金917万円)

もの差が発生します。上記のケースはあくまで一例ですが、掛金と利回りの設定次第でより大きな節税メリットを得ることが可能です。

まとめ

確定拠出年金の節税効果について、おわかりいただけましたか? もちろん、実際には運用していく上で色んな手数料や投資リスクなどを考慮しなくてはいけないので、これまでに述べた金額をそのまま得られるわけではありません。

しかし、確定拠出年金に加入せずに通常の貯金をする場合に比べて、掛金の拠出時・運用時とダブルで節税効果のある確定拠出年金の方が資産形成上のメリットが大きいことは確かです。確定拠出年金への加入を検討する方は、節税上の観点からも加入メリットを検討してみると良いでしょう。


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