• 更新日 : 2025年12月5日

【社労士監修】変形労働時間制とは?種類や残業代の計算方法、就業規則の記載例など徹底解説!

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変形労働時間制とは、業務に合わせて従業員の労働時間を変えられる制度です。柔軟な働き方が可能になり、時間外労働を減らす効果が期待できます。1年・1カ月・1週単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制があり、それぞれの期間の合計労働時間を計算して運用します。36協定や裁量労働制と混同しないよう、きちんと理解しておくことが大切です。

変形労働時間制とは?

労働基準法では、労働時間を1日8時間・1週40時間(特例措置対象事業場は44時間)を原則の労働時間の限度と定めています。これがいわゆる法定労働時間です。しかし、事業の種類によっては忙しい時期が決まっており、1年間の内ですべての日・週で法定労働時間を守ることが困難なときもあるでしょう。このような場合に変形労働時間制を導入をすることで対応ができるようになります。

変形労働制とは

変形労働時間制とは、一定期間の労働時間の1週間当たりの平均が法定労働時間を超えない範囲内になるように設定し、業務の繁閑に応じて特定の日や特定の週に1日8時間・1週40時間を超えても働けるようにすることができる制度です。

変形労働時間制には以下の4つの種類があり、労使協定や就業規則などでルールを定めることで導入することができます。

  1. 1年単位の変形労働時間制
  2. 1カ月単位の変形労働時間制
  3. 1週単位の非定型的変形労働時間制
  4. フレックスタイム制

参考:労働時間:変形労働時間制(変形労働時間制)|徳島労働局 

フレックスタイム制との違いは?

フレックスタイム制は、労働者が労働を開始する時間と労働を終える時間を、自由に決めることができる制度です。フレックスタイム制でない場合は、労働者は会社に決められた始業時間に労働を開始し、会社に決められた終業時間に労働を終了する必要があります。フレックスタイム制では労働開始時間と労働終了時間を労働者が自ら決めることができ、柔軟な働き方が可能になります。

フレックスタイム制についての詳細は、次の記事を参照してください。

ほかの3つの変形労働時間制は、労働開始時間や労働終了時間を労働者が決めることはできません。始業時間や終業時間は会社が決定します。

裁量労働制との違いは?

裁量労働制は、実際の労働時間に関係なく、一定の時間を働いたとする制度のことです。特定の業務では、働いた時間とは関係なく労働の成果が得られる場合があります。そのような業務について裁量労働制を用いることで、より実態に即した報酬としたり、柔軟な働き方ができるようにしたりすることができます。

しかし、一方で裁量労働制は、結果として労働者に対する負荷が大きくなりやすいとい言った問題点も指摘されています。裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があります。

裁量労働制についての詳細は、次の記事を参照してください。

裁量労働制では、一定の時間、働いたとみなされるため、労働時間の正確な把握が行われないのに対し、変形労働時間制はみなし労働時間ではなく、実際に働いた時間が労働時間とされるため、労働時間の正確な把握が必要になります。

36協定との違いは?

36協定とは、時間外労働をさせるために締結する労使協定です。労働基準法で定められている1日8時間、1週40時間の労働時間を超えて労働者を働かせる際に必要な規定で、労働基準法第際36条に規定されていることから「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

36協定が締結されていなければ、会社は労働者に時間外労働をさせることはできません。変形労働時間制でも労働者に時間外労働をさせるには、36協定の締結が必要です。

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変形労働時間制とシフト制の違い

シフト制とは、企業が1週間や1カ月など一定期間ごとに作成した勤務表などでシフトを組んで、従業員がそのシフト表通りに勤務する形態を指します。そのため、シフト表が作成されるまでは労働日や労働時間が明確ではなく、労働の義務がある日時を特定することができません。企業が働いてほしい日時に、それぞれの従業員の勤務の時間割を入れ、シフト表が完成して初めて具体的な労働日や労働時間が確定します。

ただし、シフト制では原則の法定労働時間を守る必要があり、法定労働時間を超えてシフトを組むことができません。業務が忙しいために残業をする際には、原則通り、法定労働時間を超えた時間に対する時間外労働の割増賃金の支払いが必要です。毎週少なくとも1回の休日が確保できなければ、休日労働の割増賃金も発生します。

変形労働時間制のメリット・デメリットは?

変形労働時間制とは、業務量に合わせて労働時間を変えることが可能な制度です。導入することで柔軟な働き方が可能になりますが、デメリットもあります。

変形労働時間制のメリット

変形労働時間制のメリットには、人件費のムダをカットできる点が挙げられます。労働基準法では、労働時間は1日8時間、1週40時間と定められています。業務量に合わせる場合でも、基本的に1日8時間・1週40時間の労働時間を超えて働かせることはできません。時間外労働をさせる場合には、時間外労働時間に対する割増賃金の支払いが必要になります。

しかし変形労働制を導入すると、業務量に合わせて労働時間を変えることが可能になります。多忙なときは労働時間を長く、そうでないときは労働時間を短く設定することで残業時間が削減でき、余計な人件費支出を抑えることができます。

変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制のデメリットは、管理が難しい点です。変形労働時間制でない場合は、1日8時間を超える労働時間・1週40時間を超える時間を残業時間として、一律に時間外労働に対する割増賃金の計算ができます。

しかし変形労働制では、労働時間について労働者一人ひとり割増賃金が発生するかどうか判定する必要があります。変形労働時間制の対象者かどうか、変形労働時間制の対象期間はいつかを把握し、給与計算に反映させなければなりません。管理が大変で手間がかかる点が、変形労働時間制のデメリットです。

変形労働時間制の労働時間の上限時間は?

法定労働時間の総枠(労働時間の上限)とは、変形労働時間制を導入する一定期間が週平均40時間以内になる上限時間のことです。

つまり、変形労働時間制を適用する期間の総労働時間がこの上限時間を超える場合には、1週間あたりの労働時間が平均40時間以内にならないことを意味します。

なお、フレックスタイム制は、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間を時間外労働の時間数にカウントします(清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制は除く)。

変形労働時間制の労働時間の上限時間の計算方法

上限時間は以下の計算式で計算します。

上限時間 = 1週間の労働時間(40時間) × 対象期間の暦日数/7日

※労働者数10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業などの特例措置対象事業場の場合、1カ月単位の変形労働時間制や清算期間が1カ月以内のフレックスタイム制では、1週間の労働時間は44時間で計算します。

 

【1年単位の変形労働時間制】

対象期間の法定労働時間の上限 = 40時間×対象年の日数/7日

1年が365日の場合:40時間 × 365日/7日 = 2,085時間42分
1年が366日の場合:40時間 × 366日/7日 = 2,091時間24分

【1カ月単位の変形労働時間制】

対象期間の法定労働時間の上限 = 40時間×対象月の日数/7日

1カ月が28日の場合:40時間 × 28日/7日 = 160時間
1カ月が29日の場合:40時間 × 29日/7日 = 165時間42分
1カ月が30日の場合:40時間 × 30日/7日 = 171時間25分
1カ月が31日の場合:40時間 × 31日/7日 = 177時間8分

※特例措置対象事業場は1週間の労働時間は44時間で計算する必要があります。

【1週単位の非定型的変形労働時間制】

1週間の労働時間は40時間となります

【フレックスタイム制】

清算期間における法定労働時間の総枠=40時間×清算期間の日数/7日
1カ月 2カ月 3カ月
清算期間の日数 法定労働時間の総枠 清算期間の日数 法定労働時間の総枠 清算期間の日数 法定労働時間の総枠
31日 177.1時間 62日 354.2時間 92日 525.7時間
30日 171.4時間 61日 348.5時間 91日 520.0時間
29日 165.7時間 60日 342.8時間 90日 514.2時間
28日 160.0時間 59日 337.1時間 80日 508.5時間

※清算期間が1カ月以内の場合、特例措置対象事業場は1週間の労働時間は44時間で計算する必要があります。

変形労働時間制における残業代の計算方法

変形労働時間制では特定の日や特定の週に1日8時間・週40時間を超えて働くことがあるため、残業代の計算が複雑でわかりにくいと思う人が多いでしょう。変形労働時間制における残業代の計算方法について解説します。

割増率とは?

労働基準法では、法定労働時間を超えた時間や休日・深夜に労働したときの割増率が定められています。

時間外労働とは、1日8時間・1週40時間(特例措置対象事業場は44時間)の法定労働時間を超えて働くことです。従業員が法定労働時間を超えて働いた時間に対して、時間外労働の割増賃金の支払いが必要になります。また、1週間に1回または4週間を通じて4日以上の法定休日に労働をした場合には休日労働に対する割増賃金、22:00~5:00の深夜の時間帯に労働をした場合には深夜労働に対する割増賃金の支払いも必要です。

【割増率】

  • 時間外労働の割増率:25%以上(月60時間を超える時間外労働は50%以上)
  • 休日労働の割増率:35%以上
  • 深夜労働の割増率:25%以上

変形労働時間制では、時間外労働に対する割増賃金の計算方法に大きな違いがあります。対象となる一定期間の1週間あたりの労働時間が平均40時間を超えないようにする制度であるため、時間外労働の時間数は以下の手順で計算します(フレックスタイム制は除く)。

【時間外労働時間数の計算手順】

①1日の時間外労働

勤務表やカレンダーなどで8時間を超える時間を定めた日についてはその定めた時間、それ以外の日については8時間を超えた時間を時間外労働として数える

②1週間の時間外労働

勤務表やカレンダーなどで40時間を超える時間を定めた週についてはその定めた時間、それ以外の週については40時間を超えた時間を時間外労働として数える

※①で時間外労働として計算した時間は控除する

③一定期間が終了した際

その対象期間の法定労働時間の総枠(労働時間の上限)を超えた時間が時間外労働になる

※①と②で時間外労働として計算した時間は控除する

所定労働時間での相殺はできない

変形労働時間制であらかじめ1日8時間や1週40時間を超える時間を定めた場合、その定めた時間が所定労働時間になります。そのため、1日の所定労働時間を、月曜日は10時間、火曜日は6時間などと、日によって異なる時間を設定することが可能です。しかし、1日8時間働く予定の日に10時間働いたからといって、翌日の所定労働時間を8時間から6時間に変更して2時間分が相殺できるわけではありません。

所定労働時間1日や1週間の時間外労働の時間数を計算する際には、先に説明した「時間外労働時間数の計算手順」の①②で計算し、最終的に③の一定期間が終了した時点で法定労働時間の総枠を超えていれば、超えた時間が時間外労働になります。

1日8時間働く予定の日に10時間働いた場合は、2時間分の時間外労働の割増賃金が発生します。1日6時間働く予定の日に8時間働いた場合、法定内残業として2時間分の働いた分に対する賃金が発生するものの、その日の時点では時間外労働の割増部分は発生しません。しかし、その週の所定労働時間を40時間に設定していれば、1日8時間の法定労働時間の範囲内だったとしても、週の労働時間が42時間となり、②の1週間の時間外労働が2時間発生する可能性があります。

また、このケースでは、その週の時点で1週40時間の法定労働時間の範囲になっていたとしても、③の一定期間が終了した際に対象期間の法定労働時間の総枠の範囲内になるかを最終的に精査する必要があります。その際、2時間分が法定労働時間の総枠を超える場合には、2時間分の割増賃金が発生します。

詳しくはこちらにも時間外労働(割増賃金)の考え方が掲載されていますので、参考になるでしょう。

参考:1か月単位の変形労働時間制|厚生労働省

ケーススタディで簡単に理解!変形労働時間制の残業時間

変形労働時間制の残業時間の計算方法を具体的にイメージできるように、1カ月単位の変形労働時間制の残業時間の計算方法を中心に見ていきましょう。

1カ月単位の変形労働時間制

1カ月の所定労働時間が172時間(対象期間の法定労働時間の上限は177.1時間)のケースで詳しく見てみましょう。

1週目:所定労働時間40時間

曜日 所定労働時間 実労働時間 残業時間
日曜日 休日 0時間 0時間 週40時間以内となり、残業もない
月曜日 8時間 8時間 0時間
火曜日 8時間 8時間 0時間
水曜日 8時間 8時間 0時間
木曜日 8時間 8時間 0時間
金曜日 8時間 8時間 0時間
土曜日 休日 0時間 0時間

2週目:所定労働時間38時間

曜日 所定労働時間 実労働時間 残業時間
日曜日 休日 0時間 0時間
月曜日 6時間 6時間 0時間
火曜日 6時間 6時間 0時間
水曜日 7時間 7時間 0時間
木曜日 7時間 7時間 0時間
金曜日 8時間 9時間 1時間 1日8時間を超えるため1時間は時間外労働
土曜日 4時間 7時間 3時間 3時間のうち2時間は1日8時間・週40時間以内のため法定内残業
1時間は1日8時間以内だが、週40時間を超えるため時間外労働

3週目:所定労働時間42時間

曜日 所定労働時間 実労働時間 残業時間
日曜日 休日 0時間 0時間
月曜日 6時間 6時間 0時間
火曜日 8時間 8時間 0時間
水曜日 8時間 8時間 0時間
木曜日 10時間 10時間 0時間
金曜日 10時間 11時間 1時間 1日8時間かつ所定労働時間を超えるため時間外労働
土曜日 休日 0時間 0時間

4週目:所定労働時間36時間

曜日 所定労働時間 実労働時間 残業時間
日曜日 休日 0時間 0時間
月曜日 6時間 6時間 0時間
火曜日 6時間 6時間 0時間
水曜日 8時間 8時間 0時間
木曜日 8時間 8時間 0時間
金曜日 4時間 6時間 2時間 1日8時間・週40時間以内のため以内のため法定内残業
土曜日 4時間 6時間 2時間 1日8時間・週40時間以内のため以内のため法定内残業

5週目:所定労働時間16時間

曜日 所定労働時間 実労働時間 残業時間
日曜日 休日 0時間 0時間
月曜日 8時間 8時間 0時間
火曜日 7.1時間 8時間 0.9時間 1日8時間・週40時間を超えないが、4週目までに法定内残業が6時間あり、0.9時間は月の法定労働時間の上限を超えているため時間外労働

参考:1か月単位の変形労働時間制|厚生労働省

時間外労働時間数の計算手順に従って、①1日の時間外労働、②1週間の時間外労働、③一定期間が終了した際の手順で見ていくと、対象期間の法定労働時間の総枠(労働時間の上限)を超えた時間が0.9時間発生することがわかります。時間外労働になる時間は対象期間が終了した際にも精査する必要があるため注意が必要です。

1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制も、1カ月単位の変形労働時間制と同様に、時間外労働時間数の計算手順に従って計算します。1カ月単位の変形労働時間制よりも対象期間が長期になるため、③の一定期間が終了した際の精査する期間のスパンが長くなると考えればよいでしょう。

1週間単位の非定型的変形労働時間制


1週間単位の非定型的変形労働時間制は、導入できる企業が労働者数30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店に限定されます。
所定労働時間は、1週間のうち繁忙日を長く、他の日を短く設定します。1日の労働時間は、10時間を限度に設定します。労使協定では1週間の労働時間を40時間以内に定め、40時間を超えた時間について割増賃金を支払います。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、労働者自身がその枠内で日々の始業及び終業の時刻を自主的に決定する働き方です。清算期間における総労働時間の内、その清算期間の法定労働時間の総枠を超えた時間を時間外労働の時間数にカウントします(清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制は除く)。

清算期間の総労働時間(清算期間の所定労働時間)が160時間、1カ月の法定労働時間の総枠が171.4時間(清算期間が30日)で180時間働いた場合、11.4時間が法定内残業、171.4時間を超える8.6時間が割増賃金の支払いが必要となる法定外残業となります。

清算期間が1カ月を超える場合の時間外労働の計算では、週平均50時間を超えた時間分も時間外労働としてカウントする必要があります。詳しくはこちらを参照しましょう。

参考:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

変形労働時間制の導入方法は?

変形労働時間制を導入する際は、労使協定の締結や就業規則への記載といった手続きが必要です。1カ月単位・1年単位の変形労働時間制によって手続き方法は異なるため、注意が必要です。

労使協定を締結する

1年単位の変形労働時間制を導入する際に必要とされるのが労使協定の締結です。1年単位の変形労働時間制は労使協定を締結した上で、就業規則に記載しなければなりません。

1カ月単位の変形労働時間制を導入する際は、労使協定の締結か、就業規則への記載のどちらかが必要とされます。就業規則への記載を行わない場合は、労使協定の締結が必要です。

就業規則に記載する

1年単位の変形労働時間制を導入する際は労使協定を締結した上で、就業規則への記載を行う必要があります。

1カ月単位の変形労働時間制を導入する際に必要とされるのは、労使協定の締結か、就業規則への記載のどちらかです。労使協定を締結しない場合は就業規則への記載を行わなければなりません。

変形労働時間制の就業規則の記載例

変形労働時間制はそれぞれ必要な手続きや定める事項が決まっています。厚生労働省や各都道府県労働局のホームページには、変形労働時間制に関する就業規則例や労使協定例などの様々なツールが掲載されています。導入の際には参考にするとよいでしょう。

ここでは変形労働時間制の特徴や注意点を整理するとともに、就業規則の記載例をいくつか紹介します。

変形労働時間制の種類や注意事項

1カ月単位の変形労働時間制

対象者 対象業務や対象労働者に制限なし
制度や労働時間の範囲 1カ月以内の期間を平均して、法定労働時間以内とすれば、業務の繁忙期・閑散期に合わせて特定の日・週で法定労働時間を超えて労働させることが可能
特例措置対象事業場の場合は1週間の平均労働時間を44時間以内とすることが可能
定める事項・手続き・注意点 対象期間における各日・週の労働時間などを労使協定または就業規則で定める

【就業規則で導入する際に定める事項】
・1カ月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が週40時間(44時間)を超えない旨
・変形期間及び変形期間の起算日
・対象労働者の範囲
・変形期間の各日の始業及び終業時刻
・休憩時間、休日その他
労使協定で定める場合は労働基準監督署への届出が必要
特定した労働日・労働日ごとの労働時間は原則として変更することはできない

1年単位の変形労働時間制

対象者 対象業務や対象労働者に制限なし
1日10時間・1週52時間の労働時間の上限あり
制度や労働時間の範囲 1カ月超1年以内の期間を平均して、法定労働時間以内とすれば、業務の繁忙期・閑散期に合わせて特定の日・週で法定労働時間を超えて労働させることが可能
特例措置対象事業場でも1週間の平均労働時間は40時間以内としなければならない
定める事項・手続き・注意点 就業規則に1年単位の変形労働時間制を採用する旨を定め、各労働日の始業・終業の時刻、休憩時間、休日について規定する。
対象期間における労働日・労働日ごとの労働時間数などを労使協定で定める
労使協定は労働基準監督署への届出が必要
変形期間の途中で変更することや中止することができない

1週単位の非定型的変形労働時間制

対象者 常時使用する労働者が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店のみ導入可能
制度や労働時間の範囲 1週間の労働時間40時間以内の範囲で、1日10時間を上限に労働させることが可能
定める事項・手続き・注意点 1週間単位の労働時間が40時間以下となることや、この時間を超えた場合に割増賃金を支払うことなどを労使協定に定め、就業規則にも同様に規定する
労使協定は労働基準監督署への届出が必要

フレックス タイム制

対象者 対象業務や対象労働者に制限なし
制度や労働時間の範囲 1カ月~3カ月以内の一定期間(清算期間)や総労働時間を定め、労働者自身がその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定する
期間終了時に1週当たり40時間を超える分は時間外労働となる(清算期間が1カ月以内の場合、特例措置対象事業場の場合は1週間の平均労働時間を44時間で計算する)
定める事項・手続き・注意点 就業規則にフレックスタイム制を導入する旨を規定し、労使協定に対象とする労働者の範囲・清算期間・清算期間中の総労働時間などを定める
1カ月を超える期間の場合、労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要あり

就業規則の記載例を紹介

厚生労働省が作成した就業規則の記載例を紹介します。

1年単位の変形労働時間制の規程例

(労働時間及び休憩時間)

第19条 労働者代表と1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を締結した場合、当該協定の適用を受ける労働者について、1週間の所定労働時間は、対象期間を平均して1週間当たり40時間とする。

2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者について、1週間の所定労働時間は40時間、1日の所定労働時間は8時間とする。

3 1日の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。

①   通常期間

始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

②   特定期間(1年単位の変形労働時間制に関する労使協定で定める特定の期間をいう。)

始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

③1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。

始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

(休日)

第20条 1年単位の変形労働時間制の適用を受ける労働者の休日については、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定の定めるところにより、対象期間の初日を起算日とする1週間ごとに1日以上、1年間に  日以上となるように指定する。その場合、年間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。

2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の休日については、以下のとおり指定し、月間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。

① 日曜日(前条第3号の特定期間を除く。)

② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)

③ 年末年始(12月  日~1月  日)

④ 夏季休日(  月  日~  月  日)

⑤ その他会社が指定する日

1カ月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例

(労働時間及び休憩時間)第19条 1週間の所定労働時間は、  年  月  日を起算日として、2週間ごとに平均して、1週間当たり40時間とする。

2 1日の所定労働時間は、7 時間 15 分とする。

3 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合において業務の都合によるときは、    が前日までに通知する。

始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

(休日)

第20条 休日は、次のとおりとする。

① 日曜日

②   年  月  日を起算日とする2週間ごとの第 2 土曜日

③ 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)

④ 年末年始(12月  日~1月  日)

⑤ 夏季休日(  月  日~  月  日)

⑥ その他会社が指定する日

2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。

引用:モデル就業規則について|厚生労働省

フレックスタイム制の規程例

フレックスタイム制の規定例は、フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引きのみ掲載されています。参考にするとよいでしょう。

フレックスタイム制の規程例

引用:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚⽣労働省

変形労働時間制を導入する際の注意点は?

変形労働時間制は必要な手続きを経て、正しく導入することが大切です。間違いやすい点や気をつけるべき点を理解し、注意しましょう。

所定労働時間が法定労働時間の上限を超えていないか確認する

1年単位・1カ月単位変形労働時間制での所定労働時間は、1日8時間・1週40時間を超えない範囲としなければなりません。残業時間の計算で説明した1年間・1カヵ月間の日数を7で割り、40をかけた数値が、1年単位・1カ月単位の所定労働時間の上限です。時間を分に変える際も間違いやすいので、注意が必要です。

就業規則をもとに残業時間を計算する

就業規則で残業時間の規定を定めている場合、就業規則に基づいた計算が必要になります。規定の有無や内容を確認し、就業規則を無視した残業時間計算とならないよう、注意します。

マネーフォワード クラウド勤怠は変形労働時間制にも対応!

複雑で面倒な変形労働時間制の管理は、ソフトに任せると効率よく、スムーズに行えます。マネーフォワード クラウド勤怠は、変形労働時間制の設定が可能な勤怠ソフトです。あらかじめ起算日などの「就業ルール」、始業時間・終業時間・勤務時間などの「勤務パターン」を設定し、対象となる従業員へ適用させることで変形労働時間制での勤怠管理が可能になります。

シフト状況や日次の勤怠状況もわかりやすく表示され、効率のよい管理が可能です。所定外勤務時間・法定外勤務時間の集計も自動で行われます。

変形労働時間制は、管理が難しい制度ですが、勤怠ソフトでの自動化・効率化が可能です。対応しているソフトを選んで、変形労働時間制の管理に活用してみてはいかがでしょうか。

変形労働時間制の導入でワークライフバランスを実現しましょう

変形労働時間制を導入すると、業務に合わせて従業員の労働時間を設定できます。忙しい月には労働時間を長く、そうでもないときには労働時間を短く設定することで、残業時間を少なくすることが可能です。時間外労働の割増賃金が抑えられ、不必要な人件費のカットにつながります。

また変形労働時間制は柔軟な働き方を可能にし、ワークライフバランスの実現にもつながります。難しい管理はソフトに任せることができるので、変形労働時間制の導入を検討してみましょう。

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よくある質問

変形労働時間制とは何ですか?

従業員を繁忙期には長時間労働にする代わりに、閑散期には短時間労働にするというように、業務に合わせて労働時間を調整できる制度のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

変形労働時間制のメリット、デメリットを教えてください。

変形労働時間制のメリットは余計な人件費をカットできる点、デメリットは管理が難しい点が挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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