• 更新日 : 2021年10月8日

2021年の年末調整の変更点は?令和3年度税制改正のポイントを徹底解説!

年末調整は毎年のように税制改正の影響を受け、改正されていきます。2021年についても令和3年度税制改正により、さまざまな変更がありました。

ここでは、令和3年度税制改正における2021年の年末調整の変更点について解説します。

2021年の年末調整の変更点は?

2021年の年末調整の変更点は書類に関することが中心となっていますが、そのほかにも多くの改正が行われています。今回は多くの改正の中から、特に年末調整に与える影響が大きな4つの改正について見ていきます。

年末調整の詳細については、次の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

変更点1 税務関係書類の押印義務の見直し

2021年の年末調整の変更点のひとつめが「税務関係書類の押印義務の見直し」です。これはデジタル化推進の流れにそった変更となっており、今まで押印が必要だった多くの税務関係書類について、押印の必要がなくなりました。

年末調整に関係する書類の多くも、押印の必要がなくなる予定です。例えば「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の用紙では、「あなたの氏名」欄に前年まであった「印」の文字が消えています。

変更点2 年末調整を電子化するための事前申請の廃止

年末調整の電子化をするためには、事前に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要がありましたが、令和3年4月1日以降に年末調整の書類をデータで受けとるケースからは、この承認申請書の提出は不要となりました。

年末調整電子化の詳細については次の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

変更点3 住宅ローン控除の特例の見直し

「住宅ローン控除の特例の見直し」とは、特別特例取得に該当する住宅を取得した場合の住宅ローン控除の特例(控除期間13年)について、床面積の要件や所得要件等を見直したうえで、2年間延長するというものです。

これは新型コロナウイルスの影響で、新築や増築の契約をしても工事に遅れが生じるなどで、契約年内に住むことができない人を救済するための処置です。簡単にいうと、令和3年1月1日~令和4年12月31日までに、以下の期間で取得した住宅に住んでいる場合は、控除期間13年の住宅ローン控除が受けられるというものです。

特別特例取得
消費税率が10%の住宅で次の期間に契約が締結されているもの

種類契約締結期間
住宅の新築令和2年10月1日~令和3年9月30日
建築後使用されたことがないまたは、
既存住宅の取得や増改築
令和2年12月1日~令和3年11月30日

住宅ローン控除の特例は、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅でも適用できます。ただし、合計所得金額が1,000万円を超える年度は適用できません。

※住宅ローン控除は、控除を受ける初年度は確定申告での適用となりますが、2年目以降は年末調整での控除となります。

変更点4 退職所得課税の見直し

従業員が退職金を受けた場合は、退職所得に対して所得税がかかります。今までは、次の計算式で所得金額を計算していました。

退職所得金額=(退職金の金額-退職所得控除額)×1/2

しかし今回の改正で、勤続年数が5年以下の従業員については(退職金の金額-退職所得控除額)で計算した金額が300万円を超える場合、超えた部分については「×1/2」がなくなります。

現在、勤続年数20年未満の場合、退職所得控除額は40万円 ×勤続年数(80万円に満たない場合には80万円)となっています。この改正は、高額な退職金に対して、税負担の平準化を図るために設けられた措置です。

勤続年数が5年以下の従業員については(退職金の金額-退職所得控除額)で計算した金額が300万円を超えるケースは、あまりないかもしれません。例えば、勤続年数5年で退職金が500万円超の場合に、この改正のルールが当てはまります。念のため、この改正も覚えておきましょう。

令和3年度税制改正をもとに年末調整を電子化しましょう

令和3年度税制改正では、さまざまな改正が行われましたが、その中でも、年末調整にとって大きいのが、年末調整を電子化するための事前申請の廃止です。これにより、電子化がしやすくなっています。

年末調整の事務作業は煩雑です。事前申請の廃止を機会として、年末調整の事務作業を簡素化できる電子化を検討しましょう。

よくある質問

2021年の年末調整の変更点は何ですか?

年末調整を電子化するための事前申請の廃止や税務関係書類の押印義務の見直しなどです。詳しくはこちらをご覧ください。

住宅ローン控除の特例の見直しとはどのようなものですか?

特別特例取得に該当する住宅を取得した場合の住宅ローン控除の特例(控除期間13年)について、床面積の要件や所得要件等を見直したうえで、2年間延長するというものです。詳しくはこちらをご覧ください。

退職所得課税の見直しとはどのようなものですか?

勤続年数が5年以下の従業員で、一定以上の退職金がある場合に税金が高くなります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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