• 更新日 : 2022年5月27日

所定給付日数とは?雇用保険における基本手当の観点から

所定給付日数とは?雇用保険における基本手当の観点から

自己都合による退職や会社の倒産など、失業しても生活の心配をしなくてよいよう、雇用保険では被保険者に対して基本手当(いわゆる失業等給付)を支給しています。この基本手当には、受給できる期間と所定給付日数と呼ばれる上限日数が決まっています。
ここでは、雇用保険の加入期間と退職理由により変動する所定給付日数について解説します。

所定給付日数とは?

所定給付日数とは、雇用保険に加入していた人が、離職して失業中に受けられる基本手当(失業等給付)の受給上限日数を定めたものです。

基本手当を受給する要件となる雇用保険の加入期間(被保険者期間)は、自己都合で退職した人と、それ以外の事由で退職した人とで異なり、以下のように定められています。

【失業給付の基本手当受給要件】

  1. 自己都合での退職の場合(一般の受給資格者):離職日からさかのぼり2年の間で、被保険者期間が通算して12カ月以上
  2. 倒産や解雇等の場合(特定受給資格者・特定理由離職者):離職日からさかのぼって1年の間に、被保険者期間が通算して6カ月以上

定年や自己都合により退職した人は「一般の受給資格者」、勤務先の倒産や解雇、賃金の大幅な減少や賃金の未払い、会社から退職を勧められるなど、会社都合の理由で退職した方は「特定受給資格者」となります。また、6か月や1年など有期雇用契約で働いていて、本人が希望しても契約が更新されなかった人や、病気やケガ、出産や育児、家族の看護など、正当な理由があって退職した人は「特定理由離職者」となります。

参考
基本手当について|ハローワーク インターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワーク インターネットサービス

そして、所定給付日数は、離職理由や雇用保険に加入していた被保険者期間、受給者の年齢によって、90~360日の間で決定されます。それぞれのケースにおける所定給付日数について見ていきましょう。

自らの都合により退職した場合の所定給付日数

自らの都合によって会社を退職した場合は、雇用保険の加入期間によって所定給付日数が決定されます。加入期間が10年未満の人は、90日、20年以上で150日です。受給者の年齢は関係ありません。

雇用保険の加入期間10年未満10年以上
20年未満
20年以上
所定給付日数90日120日150日

会社の都合により退職した場合の所定給付日数

倒産や解雇など、会社側の都合により退職した場合は、「特定受給資格者」に分類されます。
特定受給資格者の場合は、通常の受給とは異なり、受給者の年齢および雇用保険の加入期間によって所定給付日数が変動します。たとえば、30歳以上35歳未満で、被保険者期間が1年以上5年未満の場合、基本手当を受給できる日数は120日となります。

退職時の年齢雇用保険の加入期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日-
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

また、「特定理由離職者」であっても、一部の人は特定受給資格者と同じ日数の基本手当が受給できるケースがあります。有期雇用契約者で契約更新を希望したにも関わらず、更新がないことで離職した「特定理由離職者」で下記の条件に合致する場合は、上記と同じ日数の給付を受けることが可能です。

  1. 期間の定めのある雇用期間が満了していること
  2. 希望したにも関わらず、労働契約の更新がなく離職したこと
  3. 特定受給資格者の要件には該当しない
  4. 受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2025年3月31日の間に当てはまること

参考
基本手当の所定給付日数|ハローワーク インターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワーク インターネットサービス

障害者や就職困難な人の所定給付日数

「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」「刑法などの規定により保護観察されている人」「社会的な事情により就職が阻害されている人」などは、就職困難な人であると認められます。障害者や就職困難な人の所定給付日数は以下の通りです。

退職時の年齢雇用保険の加入期間
1年未満1年以上
45歳未満150日300日
45歳以上65歳未満150日360日

雇用保険によるさまざまな給付の所定給付日数について

雇用保険には、基本手当(失業給付)のほか、育児や介護で休業する場合など、雇用継続のためのさまざまな給付があります。以下に、各種給付金ごとの所定給付日数を見ていきましょう。

雇用継続のための各種給付金の所定給付日数

雇用継続を目的として、雇用保険に設定されている給付金は、「育児休業給付」「介護休業給付」「高年齢雇用継続給付」があります。それぞれの所定給付日数は以下の通りです。

育児休業給付:育児休業開始から、原則として子が1歳になる日の前日までを受給期間としています。1歳になる日は、法律上誕生日の前日を指しますので、「1歳の誕生日の前々日まで」と覚えておきましょう。1歳になる前に復職した場合は、復職日の前日までが支給対象期間となります。一定の要件を満たした場合、最大で子が2歳になる前日(2歳の誕生日の前々日)まで延長可能です。

参考:Q&A~育児休業給付~|厚生労働省

介護休業給付金:支給対象となる家族の介護を目的に、最長3か月を限度として支給されます。また、通算93日を限度に日数内で3回までの分割受給も可能です。ただし、同一の家族で異なる負傷や疾病により再び要介護状態になったとしても、同一家族の介護を理由に再度介護休業給付金を受給することはできません。

参考:Q&A~介護休業給付~|厚生労働省

高年齢雇用継続給付:60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者が、60歳時点の賃金と比べて、60歳以降に会社から受け取る賃金が25%を超えて減少したときに受給することができます。高年齢雇用継続給付の種類は2つ。

受給資格を得た者が、60歳以降も引き続き働く場合に、60歳になった月から65歳になる月まで受給できる「高年齢雇用継続基本給付金」と、60歳以降に退職して基本手当を受給し、基本手当を100日以上残して再就職した場合に最長2年間を限度に受給できる「高年齢再就職給付金」の2種類があります。

参考:Q&A~高年齢雇用継続給付~|厚生労働省

所定給付日数は、雇用保険の加入期間・受給者の年齢を確認しよう

失業時に支給される雇用保険の基本手当は、受給者の年齢・雇用保険の加入期間・離職理由によって所定給付日数が異なります。どれくらいの期間、失業給付を受けられるかは、人によって異なるため確認が必要です。

また、離職時だけではなく、会社に雇用されている間に受給できるさまざまな給付があります。育児や介護と仕事をうまく両立できるよう、従業員が受給できる給付金の期間や受給要件について、詳しく確認しておくとよいでしょう。

よくある質問

所定給付日数とはなんですか?

雇用保険の基本手当(失業等給付)を受ける際、その上限日数を定めたものです。所定給付日数は、雇用保険に加入していた期間、離職理由、受給者の年齢によって異なり、90日から360日の間で決められます。詳しくはこちらをご覧ください。

自己都合で退職した場合の所定給付日数はどうなりますか?

雇用保険の加入期間が10年未満の場合は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上であれば150日と、被保険者期間に応じて決められた所定給付日数を限度に基本手当を受給することが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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