- 更新日 : 2023年10月27日
中間管理職とは?役割や平均年収、板挟みなどのストレス対策、育成方法
中間管理職とは「ミドルマネジメント」とも呼ばれ、部下を育成しマネジメントする管理職であると同時に、さらに上位の管理職の部下としての役割を持つ役職のことです。板挟みのポジションであるため、ストレスを抱えやすい立場ともいえます。中間管理職の役割やストレス対策、育成のポイントなどをまとめました。
目次
中間管理職(ミドルマネジメント)とは?
中間管理職は「ミドルマネジメント」とも呼ばれ、部下をマネジメントする管理職でありながら、さらに上位の管理職の部下としての役割を担う役職のことです。その名称の通り、上下に挟まれた立場であることが特徴です。
中間管理職を含む管理職には、他に「最高経営者層」「監督者層」があります。どこからどこまでが中間管理職に当たるのか、また、それぞれの主な役職や仕事内容を解説します。
最高経営者層(トップマネジメント)の主な役職
「トップマネジメント」とも呼ばれる最高経営者層に該当する主な役職は、代表取締役や取締役、役員などです。会社全体の方針の決定を行う、組織の根幹を担う役割といえるでしょう。
中間管理職(ミドルマネジメント)の主な役職
中間管理職の役職には、本部長や部長、支店長、課長などが該当します。経営陣と現場のパイプ役を担い、経営陣の決定を現場に伝えるとともに、その方針に沿って業務を円滑に遂行できるように、監督者層の指揮を取る役割を担います。経営に対する責任を負う最高経営者層と異なり、経営に対する責任は持たないことが一般的です。
監督者層(ロワーマネジメント)の主な役職
監督者層は「ロワーマネジメント」とも呼ばれ、係長や主任、チーフなどを指します。中間管理職層の指示のもと、実際に現場メンバーの指揮を取るのが監督者層の役割です。
中間管理職の年代や男女比率、平均年収
ここでは、中間管理職の年代や男女比率、平均年収を確認しましょう。独立行政法人労働政策研究・研修機構による「ユースフル労働統計2022」によると、中間管理職のうち課長については、大卒者では「50~54歳(21.6%)」が最も多いことがわかります。次いで「45~49歳(21.2%)」という結果になっています。
また、リンクトインジャパン株式会社が2020年に行った調査では、日本の中間管理職以上の男性比率は83%にものぼり、男女平等の実現は困難と考える人も40%を占めるという結果になりました。
中間管理職の平均年収は、総務省統計局による「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果から算出すると、部長級が約944万円、課長級が約784万円でした。
参考:ユースフル労働統計2022|独立行政法人労働政策研究・研修機構
日本女性の仕事と生活に関する意識調査|リンクトインジャパン株式会社
令和4年賃金構造基本統計調査|総務省統計局
中間管理職の役割
中間管理職に求められる役割は、多岐に渡ります。主な役割は次の5つです。
- 組織のマネジメント
- 上司と部下のつなぎ役
- 部下やチームの育成と管理
- 組織や部門間の連携と調整
- 生産性向上のための労働環境の確保
それぞれの内容を解説します。
組織のマネジメント
中間管理職は管理職として、組織のマネジメントを担います。部署に落とし込まれた目標を各メンバーに割り振り、進捗を把握します。業務が滞っている場合はどこがボトルネックになっているかを探り、業務フローや業務の分担の見直しを行うことも重要なミッションです。
上司と部下とのつなぎ役
中間管理職には、上司と部下のつなぎ役としての役割も求められます。経営者層の決定や意向を理解し、実行部隊である現場のメンバーにわかりやすく伝えます。経営方針をそのまま伝えるのではなく、現場のメンバーが動きやすいように、ある程度かみ砕いて伝えることがポイントです。また、現場が抱える課題を上層部に伝えるのも、中間管理職の役割の1つといえるでしょう。
部下やチームの育成と管理
部下やチームの育成や管理も、中間管理管理職に課せられる役割です。組織のパフォーマンスを向上させるには、部下やチームの育成が不可欠です。業務を通じて部下に経験を積ませたり、適宜フォローやフィードバックを行ったりします。部下が悩んでいる様子であれば、汲み取ってアドバイスをするなど、成長をサポートする役割も担います。自分自身が、部下の見本となれるような行動を心がけることも大切です。
組織や部門間の連携と調整
中間管理職は、部門間のパイプ役としても活躍します。組織や部門間の連携および調整は、会社運営において欠かせない業務といえるでしょう。部門間の連携が必要になるのは、部門間の協力が必須となるプロジェクトの運営、業務の効率化に向けた取り組みなどです。
生産性向上のための労働環境の確保
生産性向上が実現する労働環境を整備・確保するのも、中間管理職の役割といえるでしょう。日々の目標を追い求めるだけでなく、部下がメインの業務で最大限の成果を発揮できるように無駄な業務を削減したり、組織内のコミュニケーションの活性化のための施策を実行したりします。
中間管理職が抱えがちなストレス要因と対処法
中間管理職は、組織のマネジメントをはじめ、上司と部下のパイプ役などさまざまな役割を担い、ストレスを抱えやすい立場といえます。中間管理職が抱えがちなストレス要因は、主に以下のとおりです。
- 上司と部下の板挟み
- 経営目標への責任
- 部下の育成や管理
- 部下の相談やメンタルケア
- 労働時間・業務量の増加
各ストレス要因と対処法について解説します。
上司と部下の板挟み
上司と部下の板挟みの状態になることでストレスを抱える中間管理職は、少なくありません。例えば、現場の状況の理解が不足している上司と、会社の方針を受け入れられない部下がいる場合、それぞれの意見に耳を傾けるだけでなく調整をして着地点を探さなければいけません。
板挟みの状態に疲弊しないようにするには、自身のコミュニケーション力に磨きをかけ、調整力を向上させるように意識しておくことが効果的です。また、日頃から部下と意見交換をするなどして、部下の考え方や行動の意図に対する理解を深めておきましょう。
経営目標への責任
経営目標を達成しなければならないという責任の重さも、中間管理職にとって大きなストレスになるでしょう。目標達成のために日々の業務を調整したり、部下の指導やサポートを行ったり、関係各所との連携を行ったりと、やらなくてはいけないことが山積みです。また、目標を達成できなかった場合は、その理由や改善案を上層部に説明しなければなりません。
目標達成に対するプレッシャーを、業務面からのアプローチで軽減させるのは難しい可能性があります。周囲から見て「暗い表情をしている」「普段と様子が違う」と感じられたときは声をかけるなど、中間管理職が1人でストレスを抱え込む状況を防ぎましょう。
部下の育成や管理
部下の育成や管理がストレスになっている中間管理職もいます。部下によっては指示の内容がうまく伝わらない、逆に、部下の行動が理解できずに意思疎通がはかりにくいといったケースもあるでしょう。
それぞれの部下の性格やスキル、仕事の取り組み方などを理解したうえで、指導や管理を行う必要があります。また、コーチングなどの体系的な知識を得て、指導のセオリーを身につけておくと、心理的な負担を軽減できる可能性があります。
部下の相談やメンタルケア
部下から受ける相談やメンタルケアを、負担に感じている中間管理職もいるでしょう。中間管理職は部下からみると直属の上司にあたることが多いため、相談しやすい立場にあります。そのため、業務に関する悩みだけでなく、プライベートの相談も受けることも珍しくありません。しかし、上司という立場では対応が難しく、相談を受けた上司側がストレスに感じるといったケースもあるでしょう。
上司が部下の相談やメンタルケアをするのに限界がある場合は、社内の産業医や産業保険スタッフへの相談につなげられるように、会社として相談窓口を周知しておくことがおすすめです。
労働時間・業務量の増加
中間管理職は業務量が多く、労働時間が長くなってしまいがちです。そして、それによってストレスを抱えてしまう実態があります。プレイングマネージャーとして業務に携わるケースがあることや、テレワークや時短勤務など、働き方の多様化によってマネジメント業務が拡大していることも起因しています。
業務の多さやそれに伴う長時間労働によるストレスは、例えば生産性の低い会議を減らすなど業務改善を進めることで、軽減できる可能性があるでしょう。
中間管理職育成のポイント
中間管理職の育成ポイントは、主に以下の3点です。
- 研修の実施と定期的なヒアリング
- ジョブアサイン力をつける
- ストレスへの対処法を教える
順番に解説します。
研修の実施と定期的なヒアリング
中間管理職の育成に欠かせないものの1つとして、研修の実施と定期的なヒアリングが挙げられます。管理職研修は、管理職に求められる役割を理解し、「組織」「業務」「カネ」「ヒト」をバランスよくマネジメントするために必要なマインドの醸成や、スキルの獲得を目的として実施するのが一般的です。
中間管理職に昇格した際はもちろん、その後も適宜研修を実施するほか、定期的なヒアリングを行うことで中間管理職をサポートすることが大切です。
ジョブアサイン力をつける
ジョブアサイン力がつくように支援することも、中間管理職の育成をする際のポイントといえるでしょう。通常、ジョブアサインとは、「仕事の割り当て」を指します。
ジョブアサイン力はそこからさらに踏み込み、「達成すべき目標を踏まえて、部下に具体化した職務を割り振り、達成するまで支援すること」という意味で使われる言葉です。なんとなく業務を割り振るのではなく、部下の成長を促す業務を割り振ることも重要です。
ストレスへの対処法を教える
ストレスを抱えてしまう中間管理職は少なくありません。そのため、ストレスへの対処法を教えることも欠かせません。
ストレスが発生した際、抑え込むのではなく、ストレス要因を客観的に捉えるように意識することが求められます。そして、ストレスの要因が業務量の多さによるものであれば増員を検討したり、生産性の低い業務の見直しをしたりするように働きかけることが大切です。
また、自己肯定感とストレスへの耐性度は密接な関係にあるといわれています。中間管理職に対して、評価すべき点を積極的に伝えることで、自己肯定感を高める取り組みも有効です。
中間管理職に向いている人
中間管理職に向いている人の特徴としては、主に以下の4点が挙げられます。
- 現場感覚を持っている
- メンタルとフィジカルが強い
- 視野が広い
- 説明力と交渉力に長けている
現場感覚に欠けている中間管理職は、部下からの信頼を獲得することは難しいでしょう。現場の実態を理解し、メンバーから細かい実務の相談があった際にも、的確に回答できることが望ましいです。
中間管理職は、ストレスを抱えやすい立場であるため、心身ともにある程度の強さを持ち合わせている必要もあります。また、一般社員よりも高い視座で、会社全体の状況を踏まえて物事を判断しなければなりません。
さらに、経営層と部下のパイプ役を担うことから、それぞれに明確に意図を伝え、納得してもらう必要があります。そのため、相手の納得を得るための説明力や交渉力を備えている人材が、中間管理職に向いているといえるでしょう。
中間管理職の適切な育成法やサポートの仕方を理解しよう
中間管理職は、会社の経営層と現場の従業員をつなぐパイプ役を担う、重要な存在です。しかし、任命してすぐに、その職務を全うできる人材ばかりではありません。また、ストレスを抱えやすい役割であることにも注意が必要です。
そのため会社として、マネジメントスキルやストレスへの対処法を習得できる研修を実施したり、適宜ヒアリングを行ったりするなどのサポートを行うことが大切です。中間管理職を育てることの重要性を認識し、適切な育成やサポートを実施しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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