• 更新日 : 2022年1月25日

年末調整の訂正や年末調整後の修正の仕方について

会社員の場合、11月~12月初旬頃に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書」「給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」(以下、年末調整書類とする)が配布され、記入・提出を求められます。

※2019年までは「配偶者特別控除申告書」という1つの様式でしたが、2020年からは税法改正に伴い「配偶者控除等申告書」の中に「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が追加されました。

この書類に記載された内容を基に、会社は「年末調整」を行っています。

年末調整書類の中の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、前年の年末にその時の現状を記載した書類を一度提出しており、実際に年末調整をする際、再度記載が求められます。
1年の中で、お子様が就職されて扶養でなくなったり、お子様を出産されて扶養家族が増えたなどの事情により、扶養状況が変わっていることを考えて、再度訂正ができるようにしています。

今回は、この時の年末調整書類の修正の仕方 および 実際の年末調整が完了してしまった後、年末調整書類に記載した内容が間違っていたと気が付いた場合の対処についてお話します。

年末調整書類の修正方法

年末調整書類の訂正に際しては、修正液の使用は認められていません。
正しい訂正方法は以下の通りです。

  1. 間違えた個所に二重線を引く
  2. 二重線の上部(または下部)に訂正分を記載

年末調整書類の記入は、以下のページを参考に確実に行って、訂正がなるべく生じないようにしましょう。

なお、令和3年4月1日以降、税務官庁への提出書類には押印を省略することができるようになりました。ここで問題となるのが、押印不要制度に伴い、訂正印を押すべきかどうかという点です。
訂正印の是非については現在法的な決まりはありませんが、仮に押印不要の書類に押印してあっても内容や効力、取扱いに変わりはないとされています。
押印しても問題ないのであれば、押印がないと後から指摘されるよりあらかじめ押しておいた方がよいでしょう。

修正が必要なケースは?

年末調整で一度申告した内容に修正が必要なケースについて、いくつか事例を紹介します。

扶養家族の人数が変わった

前年末に一度、年末調整書類を提出してからの1年間に結婚・出産などで家族が増えたり、別居していた両親と同居し扶養家族が増えたりした場合には、扶養家族の人数を変更修正しなければなりません。
年末調整の基準日は、その年の12月31日です。
ここで注意したいのは、12月31日までに子供が産まれた場合です。平成23年以降、扶養控除の適用条件に変更があり、16歳未満の子供は所得税の控除対象外となりました。つまり、16歳以上でない限り扶養控除の対象にはなりません。

しかし、共働き夫婦でそれぞれの年収が850万円を超えているようなケースでは「所得金額調整控除」に影響が出てきます。
新生児であっても「23歳未満の扶養親族」に該当しますので、夫婦ともに「所得金額調整控除」の修正が必要になります。
年末調整後に再婚し、扶養することになった子供が16歳以上といった場合は、扶養控除の適用が可能になるため、年末調整の修正が必要です。

配偶者の年収が変わった

収入が一定額以下の配偶者は世帯主に扶養されているとみなされ、世帯主の所得税が軽減される制度が「配偶者(特別)控除」です。
配偶者控除の対象となるための条件は、1年間の所得の合計が48万円以下であることです。(2019年分以前は、配偶者の年間所得が38万円以下の場合に対象 )対象となる配偶者が給与所得者であれば、これに給与所得控除の55万円を加えた「年収103万円以下」ならば配偶者控除の適用対象となります。
しかし、前年末の年末調整書類記載時は見込み額となる為、1年の間に配偶者の収入が増えた場合には103万円を超えてしまうこともありえます。その場合は修正が必要です。(2020年分以降は基礎控除48万円、給与所得控除55万円に変更されますが、合計控除額が103万円のため、引き続き給与収入103万円以下なら所得税はかかりません。)

※配偶者控除については以下の記事をご覧ください。

生命保険料控除や介護保険控除等を忘れていた

単純に記載を忘れた場合や、保険会社から届く保険料控除のハガキが見つからず申告をあきらめたものの提出後にハガキが発見された場合には、修正が必要です。

年末調整後に保険に加入した

これは、新たに保険に加入した場合です。年末調整書類の提出後に新たな保険に加入した場合には、当然修正が必要となります。
なお、加入は10月だったが保険会社からの証明書が届かず記載できなかった場合も修正により控除を受けることができます。

年末調整完了後に間違いに気づいたら…再調整の方法

会社が年末調整をする際、配布された書類に正しい情報を記載することが望ましいですが、実際の年末調整が完了してしまってから、記載した内容の間違いに気づくということもあるかもしれません。
その場合の対処方法を見ていきましょう。
年末調整完了後、会社側で内容を修正できる期間は、翌年1月31日までです。会社の経理等に報告し、修正を依頼します。
ただ、会社は源泉所得税の納付(一般なら1月10日まで、納期の特例なら1月20日まで)を行いますので、源泉所得税の納付額も修正しなければなりません。
その他にも源泉徴収票の再出力、給与支払報告書の再作成など会社に面倒をかけることになりますので、できれば自分で修正したいと思う方もいるでしょう。
自分で修正したいという方は、確定申告で修正するという選択肢があります。

確定申告による修正

「年末調整と確定申告は何が違うの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。どちらも税務署へ申告するという点は同じです。
税務署への申告を、会社に行ってもらうのが年末調整で、自身で行うのが確定申告です。申告方法は源泉徴収票と所定の用紙(国税庁のサイトより入手可能)があれば比較的容易に行うことができます。
確定申告の概要と手順については、以下の記事でご確認いただけます。

年末調整の書類は正しく記載しましょう

1年に1回、年末に行われる年末調整ですが、会社から配布された年末調整書類について、なんとなく提出しているという方も多いのではないでしょうか。
この年末調整書類は、実は年末調整を行うための情報が詰まっている、とても大切な書類です。
内容が間違っていたということになると、後から経理担当者による年末調整作業のやりなおし、または自分での確定申告という作業が発生します。
そんなことにならないよう、今年の年末調整の際には記入要領などを参照し、正しく記載することを心がけましょう。

よくある質問

年末調整の修正とは?

年末調整の際に提出した「扶養控除等申告書」等に間違いがあり、一度精算した所得税(年税額)に差額が生じた際、正しい所得税に再計算し直すことです。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整を修正しなければならないケースは?

配偶者控除や扶養控除といった「人的控除」の間違いや、生命保険料控除や損害保険料控除といった「保険料控除」の間違いなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整の修正方法は?

会社で年末調整のやり直し(再調整)をしてもらうほかに、自分で確定申告書を提出して修正する方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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