- 更新日 : 2025年11月19日
退職証明書の発行ルールやもらい方、離職票との違い【テンプレ付】
退職証明書は、その会社を退職したことを証明するための書類で、法律にもとづいて請求できる書類です。転職先への提出や、国民健康保険への切り替え手続きなどで必要になります。しかし、「離職票と何が違うのか」「どのような場面で必要なのか」「どうやって発行してもらえばいいのか」など、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退職証明書の基本的な役割から、離職票・離職証明書との違い、具体的な発行方法、テンプレート、そして万が一もらえない場合の対処法まで、わかりやすく解説します。スムーズな手続きのために、ぜひお役立てください。
目次
退職証明書の発行ルール
退職証明書は、労働基準法第22条で定められた公的な書類で、その会社を退職したことを証明するための書類です。とくに、転職先から提出を求められたり、国民健康保険の切り替え手続きで必要になったりします。
また、退職者から請求があった場合、会社は「遅滞なく」発行する義務があります。正社員だけでなく、パートやアルバイトなど、雇用形態にかかわらず請求する権利があります。
労働者から請求があれば発行する義務
会社は、退職者から請求されていないにもかかわらず、退職証明書を自主的に発行する義務はありません。しかし、退職者から「発行してほしい」と請求された場合には、これを拒否することはできません。もし正当な理由なく発行を拒否された場合は、労働基準法違反にあたる可能性があります。
離職証明書・離職票との違い
退職時には、「離職証明書」や「離職票」といった似た名前の書類がありますが、これらは退職証明書とは目的も役割も異なります。3つの書類の違いを正しく理解し、どの書類が必要なのかをきちんと確認しましょう。
| 退職証明書 | 離職証明書 | 離職票 | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 退職した事実の証明 | 離職票を発行するための会社用書類 | 失業手当の受給手続き |
| 法的根拠 | 労働基準法 | 雇用保険法 | 雇用保険法 |
| 発行元 | 退職した会社 | 退職した会社 | ハローワーク |
| 提出先 | 転職先、市区町村役場など | ハローワーク | ハローワーク |
| 入手方法 | 退職者が会社に直接請求 | 会社がハローワークへ提出 | 会社がハローワークで手続き後、退職者に交付 |
- 退職証明書:退職者が会社に直接請求して発行してもらう、退職を証明する書類です。
- 離職証明書:会社が離職票を発行してもらうために、ハローワークへ提出する元の書類。3枚複写になっており、退職者は内容を確認して署名します。
- 離職票:失業手当の受給手続きに必ず必要な公的書類。会社がハローワークに「離職証明書」を提出することで発行され、退職者に渡されます。
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退職証明書の発行方法と流れ
退職証明書を発行してもらうための手続きは、会社に依頼するだけです。依頼するタイミングや伝え方を事前に知っておくと、よりスムーズに進められます。
依頼するタイミングと手順
退職証明書を依頼するタイミングは、退職前でも退職後でもかまいません。
- 退職前に依頼する場合:
退職日や最終出社日に受け取れるよう、事前に人事部や総務部、直属の上司に伝えておくとスムーズです。 - 退職後に依頼する場合:
電話やメールで人事部・総務部に連絡します。誰に連絡すればよいかわからない場合は、会社の代表窓口に問い合わせましょう。
発行までにかかる期間
法律では「遅滞なく」発行することと定められており、明確な期限はありませんが、一般的には請求から数日~2週間程度で発行されることが多いようです。急ぎで必要な場合は、その旨を明確に伝えましょう。
書面かPDFでの発行か
退職証明書は、原則として紙の書面で発行されます。提出先によってはPDFなどの電子データでは認められない場合があるため、基本的には原本を取り寄せるのが確実です。もしPDFでの発行を希望する場合は、事前に会社と提出先の双方に確認をとっておくとよいでしょう。
電話やメールでの依頼方法(文例)
退職後に連絡する場合、誰が何の目的で連絡してきたかを明確に伝えることが大切です。
電話で依頼する場合の伝え方
「お世話になっております。〇月〇日付で退職いたしました〇〇(氏名)と申します。人事ご担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。」
(担当者につながった後)
「お忙しいところ恐れ入ります。国民健康保険の切り替え手続きのため、退職証明書を発行していただきたくご連絡いたしました。記載していただく項目は『使用期間』と『退職の事由』でお願いいたします。郵送先は、以前お伝えしております住所で変更ございません。」
メールで依頼する場合の文例
件名:退職証明書発行のお願い(氏名)
本文:
株式会社〇〇
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇月〇日付で退職いたしました、元〇〇部所属の〇〇(氏名)です。
この度は、国民健康保険への切り替え手続きのため、退職証明書の発行をお願いしたく、ご連絡いたしました。
お手数ですが、以下の項目を記載の上、ご発行いただけますでしょうか。
【記載希望項目】
- 使用期間
- 退職の事由
【郵送先】
〒XXX-XXXX
東京都〇〇区〇〇1-2-3
(氏名)
お忙しいところ恐縮ですが、ご対応のほど、よろしくお願い申し上げます。
—————————————————
〇〇 〇〇(氏名)
〒XXX-XXXX 東京都〇〇区〇〇1-2-3
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:[email protected]
—————————————————
退職証明書の発行に必要な項目
退職証明書に記載する項目は、使用期間・業務の種類・会社の地位・賃金・退職の事由と法律で定められていますが、そのすべてを記載して発行する必要はありません。退職者が請求した項目のみを記載し発行するのがルールです。不要な情報が転職先に伝わるのを防ぐためにも、どの項目が必要かを確認してから依頼しましょう。
法律で定められた記載事項
労働基準法で定められている退職証明書の記載事項は以下の5つです。
- 使用期間:入社日から退職日までの期間
- 業務の種類:どのような業務に従事していたか
- 会社の地位:役職や職位など
- 賃金:退職時の給与額
- 退職の事由:自己都合、会社都合などの退職理由
とくに「退職の事由」は、自己都合退職か、解雇(会社都合)なのかを明確にする重要な項目です。解雇の場合、その理由まで記載を求めることもできます。
請求者が希望する項目のみを記載
会社は、退職者が請求していない項目を勝手に記載してはいけません。たとえば、転職先に給与額を知られたくない場合は、「賃金」の項目を除いて発行を依頼できます。事前に提出先へ必要な項目を確認し、会社にはその項目だけを記載してもらうよう明確に伝えましょう。
退職証明書が必要になる場面
退職証明書は、退職した事実や在籍期間を公的に証明する必要があるさまざまな場面で活用されます。
転職先への提出
転職先の企業から、履歴書や職務経歴書に記載された内容が正しいかを確認するために、提出を求められることがあります。とくに、前職の在籍期間や退職理由の確認のために使われることが多いようです。
国民健康保険・国民年金への切り替え
退職後、次の就職先が決まるまでの期間や、自営業者になる場合、社会保険から国民健康保険・国民年金へ切り替える手続きが必要です。この際、市区町村役場の窓口で、退職日を証明する書類として退職証明書の提出を求められることがあります。
ハローワークでの手続き
失業手当の受給手続きは基本的に離職票で行いますが、離職票の発行が遅れている場合に、仮手続きとして退職証明書が使えることがあります。
退職証明書の発行をしてもらえない場合の対応策
会社に請求しても退職証明書を発行してもらえない、または紛失してしまった場合でも、対処法があります。あわてずに対応しましょう。
発行を拒否されたら労働基準監督署へ
退職者からの請求があったにもかかわらず、会社が退職証明書の発行を拒否することは労働基準法違反です。まずは再度会社に発行を依頼し、それでも応じてもらえない場合は、管轄の労働基準監督署に相談することができます。
紛失した場合の再発行
退職証明書をなくしてしまった場合は、退職した会社に連絡すれば再発行を依頼できます。法律上、会社は退職者からの依頼があれば、退職後2年間は退職証明書を再発行しなくてはなりません。退職証明書の代わりになるもの
もし退職証明書がどうしても手に入らない場合、提出先によっては以下の書類で代用できることがあります。ただし、必ず事前に提出先に確認が必要です。
- 離職票:ハローワークで失業手当の手続きをするための書類ですが、退職日や在籍期間の証明になります。
- 雇用保険被保険者証:雇用保険に加入していたことを証明する書類です。
- 社会保険資格喪失証明書:社会保険の資格を喪失した日(退職日の翌日)が記載されています。
自分で退職証明書の作成はできない
退職証明書は、会社が在籍の事実を証明する書類のため、退職者自身が作成して完成させることはできません。自分で退職証明書を作成すると信憑性が疑われトラブルになる場合もあるからです。証明書として効力を持つためには、会社(事業主)の名称が記載され、社印などが押されている必要があります。
退職証明書の発行を円滑に進めるために
退職証明書は、退職後のさまざまな手続きで必要となる重要な書類です。労働基準法で定められた労働者の権利であり、請求があれば会社は発行する義務があります。離職票とは役割が異なるため、どちらの書類が必要なのかを提出先によく確認しましょう。
記載項目は請求者が指定できるため、不要な情報は記載しないよう依頼するのがポイントです。万が一もらえない場合は労働基準監督署に相談するなど、適切な対処法を知っておくことで、退職後の手続きを安心して進めることができるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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