• 更新日 : 2023年10月13日

フォロワーシップとは?意味や定義を具体例をもちいて解説

フォロワーシップとは?意味や定義を具体例をもちいて解説

フォロワーシップとは、組織の成功や発展を目的にリーダーや周囲のメンバーを支援することです。組織が成果を生み出すにはリーダーシップだけではなく、フォロワーシップも欠かせません。本記事ではフォロワーシップの定義や育て方、フォロワーシップが発揮される事例、5つのタイプなどを解説します。

フォロワーシップとは?

フォロワーシップとは「組織の成功や発展のために、自律的にリーダーや周囲のメンバーに働きかけて支援すること」です。たとえば、リーダーと異なる意見を持った際に建設的に提言する、チームの成功のために周囲のメンバーに働きかけるなど、自身の置かれた立場で最大限できる行動などが該当します。

フォロワーとは、リーダーのもとでミッションを遂行する部下やチームメンバーのことです。そのため一見すると、部下やチームメンバーのみが発揮する力と捉えられることもありますが、そうではありません。リーダーを含めて、そのチーム全員に求められるものです。部下やチームメンバーがリーダーシップを発揮している場面において、リーダーが建設的な提言をしたりサポートをしたりする状況もあり得るためです。

ここでは、混同しやすいリーダーシップやメンバーシップとの違いを解説します。

リーダーシップとの違い

リーダーシップとは組織やチームをまとめ、目的の達成を目指して導く力のことです。ビジョンや方向性を示し、共有することで集団を先導します。

一方、フォロワーシップとは、リーダーが示したビジョンに共感したメンバーや部下が、自分の立場から積極的に組織やチームをサポートする働きのことです。組織を成功に導くには、リーダーシップだけでなくフォロワーシップも欠かせません。両者が相乗効果を発揮して、成果を生み出します。

メンバーシップとの違い

フォロワーシップとメンバーシップの主な違いは、「誰に対して働きかけを行うか」という点にあります。メンバーシップとは、組織やチームのメンバーが、それぞれの役割を果たし、チームに貢献することです。それに対してフォロワーシップは、周囲のメンバーに働きかける側面はあるものの、リーダーに対する支援に重きを置く力です。

フォロワーシップはなぜ必要?

フォロワーシップが必要とされる理由は、主に次の2つです。

  • 管理職の負担軽減が求められている
  • メンバーの自発性が重視されている

それぞれの理由について解説します。

管理職の負担軽減が求められている

フォロワーシップが必要とされている理由の1つとして、多くの国内企業において、人手不足により管理職の負担は増していることが挙げられます。

マネジメントだけでなく、現場の実務を担うプレイングマネージャーが増加しているため、マネジメントに投下できるリソースが減少している傾向にあります。必然的に、負担が増加している管理職をサポートするフォロワーシップが求められているといえるでしょう。

メンバーの自発性が重視されている

メンバーの自発性が重視されていることも、フォロワーシップが必要とされる理由です。ビジネスを取り巻く環境の変化が大きいため、従来のトップダウン型の組織では、その変化に対応するのが困難になりつつあります。

これまでの日本では、メンバーを力強く引っ張っていくリーダーが求められることが一般的でした。しかし、ビジネス環境が大きく変化するなかで、必ずしもリーダーの意志決定が正解とは限らなくなっているのが実情です。

そのため、さまざまなメンバーが自律的に提言し、ときにはリーダーが示す方向を軌道修正するようなフォロワーシップが重視されています。

フォロワーシップの種類

フォロワーシップの種類は、主に以下の5つに大別されます。

  • 模範的フォロワーシップ
  • 孤立型フォロワーシップ
  • 順応型フォロワーシップ
  • 消極的フォロワーシップ
  • 実務型フォロワーシップ

それぞれのタイプの特徴を確認していきましょう。

模範的フォロワーシップ

「腹心」や「右腕」と称されるのが、模範的フォロワーシップです。「模範的」という名称のとおり、単なる批判にとどまらない建設的な提言を行いながら組織に貢献する、もっとも理想的なタイプといえるでしょう。

リーダーや上司の意見が正しいと感じた際には素直に受け入れて率先して取り組む、積極的関与の傾向も高いのが特徴です。プレイヤーとしての働きだけでなく、必要に応じてメンバーに働きかけたり、まとめあげたりすることも少なくありません。

孤立型フォロワーシップ

評論家的な立ち位置で批判をするものの、積極的な関与はしないのが、孤立型フォロワーシップです。鋭い批判力や建設的な提言力は強みですが、組織の動きや必要な業務に積極的に携わらない傾向があります。

チームプレーには向かないと評価されるものの、組織に貢献することの必要性をしっかりと伝えることで、実力を伴うフォロワーに変わる可能性が高いです。孤立型フォロワーに対しては、方針やビジョンを納得できるまで説明することがポイントです。

順応型フォロワーシップ

順応型フォロワーシップは、孤立型に相対する立ち位置で、批判的思考が低く、積極的関与の傾向が高いフォロワーシップです。リーダーの指示や意向を批判することなく受け入れ、積極的に業務をこなすため、「素直」「真面目」と評価されることが多いでしょう。

ただし、リーダーの指示の方向性が誤っている場合でも、軌道修正をもたらす存在にはなり得ず、「イエスマン」としてみられることもあります。また、具体的な指示がなければ動かない「指示待ち」となる可能性が高いのも、このタイプです。

消極的フォロワーシップ

消極的フォロワーシップにあてはまる場合、組織に在籍しているものの、存在価値を発揮しきれていない傾向にあります。主体性がなく大人しいため目立ちにくく、極端なマイナス評価を受けることが少ないものの、組織への貢献度自体が低いため、そもそもフォロワーと呼ぶことが適切ではないかもしれません。

業務や立場への不満などが諦めを生み、消極的フォロワーとなってしまっている可能性があります。消極的フォロワーに対しては、目標や希望、不満などを聞き出し、モチベーションの向上を図る必要があるでしょう。

実務型フォロワーシップ

実務型フォロワーシップは、消極的フォロワーシップと違い、業務範囲内の仕事はこなすものの、それ以外には積極的に関わらないのが特徴です。批判的思考・積極的思考の傾向に偏りがなく、中立的な立場を貫きます。

与えられた業務を着実にこなし、組織やリーダーへの批判を行わないため「バランスが良い」という好意的な受け止め方をされる場合もありますが、挑戦する意欲に欠けるともいえます。実務をこなす能力が高いため、現状よりも少し高めの目標を課すと、本来の実力を発揮するきっかけとなるでしょう。

フォロワーシップの身に着け方・育て方

フォロワーシップを身に着けたり育てたりするためには、上司の限界を把握することや、提言や批判を行うことを躊躇わないことがポイントです。各ポイントを解説します。

上司の限界を把握する

フォロワーシップを身に着ける上では、上司の限界を把握することが求められます。前述のように、企業やビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。価値観も急速に変化する状況下においては、上司やリーダーのみで正解を出し続けることは困難だといえるでしょう。

適切にフォロワーシップを発揮するには、各メンバーが上司やリーダーにも限界があることを認識し、サポートする必要性を理解しなければなりません。

提言や批判を行うことを躊躇わない

躊躇せずに提言や批判を行うように努めると、自然と理想的なフォロワーシップが身に着くでしょう。「リーダーはいつも正しい」と思考停止状態に陥ることなく、その判断は本当に正しいのか、その問題の本質は何かを問うことが大切です。

単に批判的な立場を取ることではありません。あえて批判的に検討することで、何事も客観的に捉える思考癖がつき、自然と適切なフォロワーシップが育つと考えられます。

フォロワーシップの具体例

ここからは、フォロワーシップの具体例を3つご紹介します。

  • 業務を積極的に引き受ける
  • 上司への提言を密に行う
  • 上司の指示をチームに適切に伝える

それぞれ確認していきましょう。

業務を積極的に引き受ける

フォロワーシップの発揮は、業務を積極的に引き受ける姿勢にみることが可能です。多忙な上司を支援するために、自分の立場において果たせる役割を判断し、自発的に行動します。メンバーが積極的に業務を引き受けることで、上司はマネジメントに専念しやすくなり、チームとしての生産性の向上が見込めます。

上司への提言を密に行う

日頃から上司への提言を密に行うことも、優れたフォロワーシップを持つメンバーが取る行動です。密な報連相を行うことで、上司はチーム内の状況を正確に判断することが可能になります。

また、上司の判断が客観的にみて誤っていると判断した際は、臆することなく発言や提案をします。上司と相対する意見を言えるのも、日頃から密に提言を行い、信頼関係が構築できているためといえるでしょう。

上司の指示をチームに適切に伝える

フォロワーシップは、上司の指示を、チームに適切に伝えるという行動によっても発揮されます。上司の指示が、常に正しくチーム内に伝わるわけではありません。メンバー全体に適切に指示が行き渡るように働きかけることで、組織の運営が円滑に行われます。

フォロワーシップは成果を生み出す組織に不可欠

フォロワーシップとは、主にチームメンバーが、組織の成功のために上司やリーダーの支援やメンバーへの働きかけを行うことです。具体的には、リーダーと異なる意見を持った場合に建設的に提言する、リーダーの指示をメンバーに適切に伝えるといった行動が該当します。

企業において注目される背景には、人手不足による管理職の負担増加や、ビジネスを取り巻く環境の変化により、メンバーの自発性が重視されていることなどが挙げられます。

フォロワーシップは5種類あり、理想的とされるのは「模範的フォロワーシップ」です。理想的なフォロワーシップを身に着ける、あるいは育てるには、上司の限界を把握することや、提言や批判を行うことを躊躇わないことなどが求められます。フォロワーシップは成果を生み出す組織に不可欠な力です。本記事を参考に、従業員のフォロワーシップ向上を目指しましょう。


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