- 更新日 : 2024年10月7日
労働安全衛生法による特別教育修了証の書き方は?無料テンプレートつき
労働安全衛生規則第36条の安全衛生特別教育とは、危険または有害な業務を担当する労働者を守ることであり、事業者が実施しなければなりません。なお、安全衛生特別教育の実施に関する費用は全て事業者が負担するとともに、実施に関する記録を作成します。保管は3年間です。
また、特別教育修了証を発行することで、自社の労働安全衛生対策のアピールに役立てることができます。
目次
労働安全衛生法による特別教育とは?
労働基準法「第5章 安全及び衛生」とは、第42条に「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の定めるところによる。」という規定があります(※第43条から第55条までは「削除」)。
また、労働安全衛生法第59条第3項では、「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。」と定めています。なお、派遣労働者に対する特別教育は、派遣元ではなく派遣先が実施義務を負っています。
そして、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)では、第36条の特別教育を必要とする業務、第37条の十分な知識・技能を有する労働者は特別教育の一部または全部を省略可能であること、第38条の特別教育の記録(受講者、科目など)を3年間保存することを定めています。
労働安全衛生法による特別教育修了証の書き方は?
先にも述べた通り、労働安全衛生規則第36条では特別教育が必要な業務について定められています。同規則同条の業務のうち、一部の業務では科目や教育範囲、受講時間が定められています。
こうした点を考えると、特別教育修了証には、受講科目、受講者の情報(氏名・生年月日)、修了証の交付日、受講者の記録を管理するための修了番号を記載するのが一般的です。
労働安全衛生法による特別教育修了証の無料テンプレート
外部の研修機関などで特別教育を受講する場合には、その機関が定めた修了証がありますが、自社内で特別教育を実施し、修了証を交付する場合には修了証のデザインも含め自社で作成しましょう。
下記のURLから特別教育修了証のテンプレートをダウンロードできますので、ご活用ください。
ワード:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4504/
エクセル:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4508/
労働安全衛生法による特別教育の進め方
労働安全衛生規則第38条には、「事業者は、特別教育を行つたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない。」と定めています。
記録の様式については特に規定はありませんが、実施者、受講者の氏名・所属、受講科目、受講日、受講時間数などの基本事項は記載しましょう。
以下に特別教育の実施に際してのポイントを説明します。
特別教育の実施ルール
安全衛生に関する特別教育は事業者が行うこととされています。したがって、実施に要する費用(講習会費、講習会出席旅費、宿泊が必要であれば宿泊費など)は、事業者が負担しなければなりません。
また、特別教育は原則として所定労働時間内に実施することとなっており、その実施時間は労働時間として含まれます。特別教育を法定労働時間外に行った場合は、出席者に対して割増賃金の支払いが必要となります。
特別教育ではどんなことを教えるのか
労働安全衛生規則第39条で指定する業務については特別教育に関する必要事項が安全衛生特別教育規程に定められています。それ以外の業務については、次のような教育内容が一般的です。
- 機械や原材料などの危険性または有害性の確認と正しい取扱方法
- 安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能や取扱方法
- 作業手順
- 作業開始時の点検
- 業務により発生の可能性がある疾病の原因と予防法
- 整理、整頓、清潔の保持
- 事故発生時の応急措置と退避
- その他業務の安全・衛生に必要な事項
特別教育はどこで受ける
特別教育は、自社で実施する方法と外部機関の講座を受講する方法があります。自社の事業規模や講師の手配などの準備を考慮し、どちらが効率的かを判断しましょう。
- 自社で受講
規模が大きい会社や受講する従業員が多い会社の場合、外部研修と異なり受講料や交通費などの経費が発生しない分、自社で受講する方が効率的です。知識と経験が豊富な従業員を講師にしたり、講習会用DVDを活用したりすることもできます。
- 外部で受講
安全衛生特別教育は、外部の教育機関でも実施しています。各都道府県労働局が登録した教育機関では、定期的に特別教育を行っています。
特別教育を実施しないとどうなる?
安全衛生特別教育を実施しないと、罰則の適用以外にもさまざまな事態が生じます。
- 法令違反による罰則
労働安全衛生法第119条の規定により、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。
- 罰則以外のリスク
法令違反の発覚に伴う社会的信用の失墜、業務の安全・衛生に関する知識や技術の不足による労働災害の発生、従業員のキャリア形成の停滞などのリスクも生じます。
さらに、法律で定められた教育を実施しなかったことに対する従業員の不信や不満がつのり、離職などの事態も予想されます。
特別教育証明書は安心安全確保の証明書
安全衛生特別教育は、労働者を危険な機械操作や有害物質から守るために必ず実施しなければならない教育です。事業者は、特別教育が義務だからやるという考えではなく、労働者の安全や衛生に関する取り組みを第一に考えて積極的に行いましょう。また、特別教育の実施で、企業評価の向上を図るとともに従業員の確保に生かすことも忘れてはなりません。
法律上の定めはありませんが、特別教育修了証を発行することは自社の安全衛生対策をアピールすることにつながります。受講した労働者も修了証をもらうことで仕事へのモチベーションアップになるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
人事評価とは?意味や目的、作り方を解説!
人事評価とは、あらかじめ決められた一定期間の従業員の能力や働きぶり、パフォーマンスなどを評価することです。 この記事では、人事評価の意味、人事考課との違い、人事評価の目的や必要性、評価制度の導入方法、評価期間の人事評価の進め方、人事評価制度…
詳しくみる育休はいつまで?期間や給付金、延長の条件、職場の復帰日の決め方を解説
育休(育児休業)は男女問わず取得できる制度で、子どもが原則1歳になる前日まで取得できます。本記事では、育休の取得期間や育休手当、育休を延長するために満たさなければならない条件について解説します。また、復帰日の決め方や従業員の育休復帰までに会…
詳しくみるアクティブリスニングとは?意味や手法・効果について解説
アクティブリスニングとは「積極的傾聴」のことで、コミュニケーションスキルの一つです。元々はカウンセリングの手法でしたが、近年は従業員の育成、社内環境の円滑化、業務スキル向上など、ビジネスでも活用されるようになりました。本記事では、アクティブ…
詳しくみるやりがい搾取とは?何が悪い?起こりやすい業界・職場
アルバイトや管理職など従業員の離職率悪化、業務効率低下といった問題が継続的に発生している場合、従業員の長時間労働、低賃金での雇用などが原因になっていることがあります。この記事では、やりがい搾取の発生が国内企業で課題とされている理由、問題にな…
詳しくみる懲戒解雇とは?解雇要件および解雇の手続きについて解説!
企業が従業員を懲戒解雇により退職させるには、懲戒解雇の要件に該当するとともに、法律に定められた解雇の手続きを踏む必要があります。 何をしたら懲戒解雇ができるのかは、会社の就業規則などに定めが必要です。ここでは、懲戒解雇と普通解雇の違いや懲戒…
詳しくみる協調性のある人とは?特徴や採用時に見るポイント
協調性とは、物事を成し遂げるために他人と協力できる能力を言います。自分と同じ意見・考え方であるか否かに関わらず、目標に向かって互いに協力して行動できる能力を意味します。企業に属して働く上で協調性は非常に重要な能力です。他人の手助けができる、…
詳しくみる