• 更新日 : 2026年10月8日

12月に支給する賞与での年末調整のやり方は?

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Point12月の賞与で年末調整を済ませられる?

その年最後の支払いであれば賞与で処理し、後に給与がある場合も会社の判断で選べます。翌年1月払いの賞与は、翌年分の精算に回ります。

  • 年内最後の支払いなら賞与で行う
  • 賞与額と12月給与を見積もって計算する
  • 見積もりがずれるとやり直しが生じる

令和8年分は改正後の基礎控除額で年税額を計算します。

年末調整は、1年の最後の給与支払となる12月給与で行われることが一般的ですが、12月支給の賞与で行われる場合もあります。やり方自体は賞与でも給与でも大きく変わりませんが、賞与年調とする際は12月給与の金額をあらかじめ見積もっておくといった準備が必要です。

今回は12月支給の賞与で年末調整を処理する方法と注意点、令和8年分の改正への対応、賞与年調を忘れた場合の処理方法を解説します。

12月支給の賞与で年末調整を処理する場合とは?

年末調整は、毎月1回の給料支払のうち、その年最後となる12月の給料支払で行われます。しかし12月に賞与が支給される場合、その賞与で処理することもあります。

該当するのは次の2つの場合です。

  • 賞与が年の最後の支給になる場合
  • 任意で12月賞与を選ぶ場合

詳しく見ていきましょう。

賞与が年の最後の支給になる場合

給与の支払日が月の前半にある会社では、12月に支給する賞与が年の最後の支給になります。5日や10日が給与支払日であれば、12月分の給与は翌年1月に支払われるためです。

12月中に支払われるのは11月分の給与で、その後に賞与を支給すると、賞与が1年間の最後の支給になります。給与支払日が10日、賞与支給日が15日の会社であれば、支給の流れは次のようになります。

支給日 支給するもの 年末調整の扱い
12月10日 11月分の給与 行わない
12月15日 賞与 この時点で行う
翌年1月10日 12月分の給与 翌年分として処理する

年末調整は、支給されるものが賞与か給与かにかかわらず、その年最後となる支給で行うとされています。したがってこのケースでは、12月支給の賞与で年末調整を行うことになります。

なお、年末調整の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与と賞与です。支給日が翌年1月にずれ込む賞与は、その年ではなく翌年分の年末調整で精算します。

任意で12月賞与を選ぶ場合

12月の賞与支給よりあとに給与の支払日がある場合でも、賞与で年末調整を行うことが認められています。本来はその年最後の支給である12月給与で行うところ、会社の判断で賞与を選べる仕組みです。

どちらで行うかによって、見積もる範囲と精算の時期が変わります。

項目 12月賞与で行う 12月給与で行う
精算の時期 12月上旬から中旬 12月の給与支給日
見積もる金額 賞与額と12月給与 12月給与のみ
やり直しの可能性 生じやすい 生じにくい

賞与で年末調整をするか給与で行うかは、会社が任意で決められます。ただし賞与を選ぶと、まだ支払っていない12月給与の額を見積もって計算することになるため、見積もりの精度が結果に影響します。

参照:No.2662 年末調整のしかた|国税庁

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賞与での年末調整は給与とどう違う?

賞与でのやり方自体は給与での年末調整と変わりません。異なるのは、まだ確定していない金額を見積もって計算する点です。従業員本人の所得と配偶者の所得の両方で見積もりが必要になります。

賞与額を見積もって申告書に記入する

従業員は、賞与がいくら支給されるかわからないうちに、賞与を含む1年間の所得を見積もって記入することになります。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に、所得を記入する欄があるためです。

この欄の金額によって基礎控除の額が決まるため、見積もりがずれると控除額も変わります。多くの従業員から質問が寄せられることが予想されるため、記入方法をあらかじめ案内しておきましょう。

見積もりの目安として、次のような情報を示すと記入が進みやすくなります。
  • 11月までの給与の累計額(給与明細で確認できる)
  • 前年の賞与額(大きな変動が見込まれない場合)
  • 12月給与の見込み額

参照:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

配偶者の所得も見積もりで記載する

配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合は、配偶者の1年間の所得も見積もりで記載します。賞与年調は12月前半など早い時期に準備するため、配偶者の所得が確定していないことが多くなります。

配偶者の勤務先から源泉徴収票が届くのは翌年1月以降になることもあるため、給与明細をもとに見積もってもらう形になる場合もあります。見積もりに使える資料は次のとおりです。

  • 直近の給与明細に記載された支給額の累計
  • 前年の源泉徴収票(勤務先や働き方が変わっていない場合)
  • 配偶者の勤務先が示している賞与の支給予定額

見積もり方法とあわせて、金額が違っていた場合の修正方法も周知しておきましょう。年末調整後に所得が確定して控除の区分が変わる場合は、年末調整のやり直しか確定申告で対応することになります。

参照:No.2523 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表|国税庁

12月の賞与における年末調整で気をつけること

賞与年調では、見積もりの精度とスケジュールの組み方が年末調整の結果に影響します。あわせて、税制改正があった年は判定に使う金額が変わる点にも注意が必要です。

見積もりがずれるとやり直しが生じる

賞与支給後に給与の支払いがある場合、12月給与を見積額で計算することになるため、実際の支給額とずれるとやり直しが生じます。年末調整では、1年間の給与と賞与を合わせた総支給額をもとに所得税を計算するためです。

残業代の変動や臨時の手当があると、見積額と実額の差が大きくなりがちです。二度手間を避けるため、次の点を確かめてから計算に入りましょう。

  • 12月給与の残業時間の見込み
  • 12月中に支給予定の臨時手当の有無
  • 賞与額が確定しているかどうか

やり直しが必要になった場合、税務署へ法定調書を提出する翌年1月31日までであれば、社内で再計算して精算できます。

スケジュールは書類の到着時期から逆算する

賞与計算と年末調整の処理を同時に進めるため、スケジュールには余裕が必要です。ただし早すぎると、保険料控除申告書に添付する控除証明書が従業員の手元に届いていないことがあります。

控除証明書が届く時期の目安は次のとおりです。

控除証明書の種類 届く時期の目安
保険料控除証明書(生命保険料や地震保険料など) 10月中旬から下旬頃
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 10月下旬から11月上旬頃

11月上旬までに書類を配布し、11月下旬を提出期限とすると、12月上旬の賞与計算に間に合わせやすくなります。

なお、10月から年内に納付した国民年金保険料の控除証明書は翌年2月上旬に届きます。該当する従業員には、領収証書で対応してもらう方法もあります。

基礎控除の引上げ分は12月の年末調整で精算する

令和8年分の年末調整では、引上げ後の基礎控除額と改正後の給与所得控除で1年分の税額を計算し、11月までに源泉徴収した税額と精算します。令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はなく、改正前の源泉徴収税額表で計算しているためです。

控除額が広がる改正のため、精算額が例年より大きくなることがあります。使用する表や適用の時期は次のとおりです。

項目 令和8年分の扱い
基礎控除・給与所得控除の引上げ 12月に行う年末調整で反映する
年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表 改正後の表を使用する
源泉徴収税額表 改正前のまま(改正後は令和9年1月以後の支払分)
ひとり親控除の38万円への引上げ 令和9年分以後のため対象外

賞与年調でも扱いは同じです。12月1日以後に支給する賞与で年末調整を行えば、改正後の控除額が適用されます。

あわせて、通勤手当と食事の支給は令和8年4月1日以後の支給分から非課税限度額が引き上げられています。4月以降の支給分を課税として処理していないか、年調前に確かめておきましょう。

扶養親族等の所得要件は12月1日以後の支払分から

扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年12月1日以後に支払う給与から適用されます。12月に支給する賞与も対象になるため、賞与年調では改正後の要件で判定します。

区分 改正前 改正後(令和8・9年分)
扶養親族・同一生計配偶者 58万円以下
(給与収入123万円以下)
62万円以下
(給与収入136万円以下)
勤労学生 85万円以下
(給与収入150万円以下)
89万円以下
(給与収入163万円以下)

この改正で新たに扶養控除等の対象となる親族がいる従業員には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。申告書に記載する事項自体に変更はありませんが、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載してもらう必要があります。

賞与年調では書類の回収が早い時期になるため、この点も配布時にあわせて案内しておきましょう。

参照:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

賞与での年末調整を忘れた場合の対応方法

賞与で年末調整をする予定だったものの処理を忘れていた場合、対応方法は2つあります。12月賞与の後に給与の支払いがあるかどうかで分かれます。

12月給与で年末調整を行う

12月賞与支給後に12月給与を支払う場合は、その給与で年末調整を行います。賞与での処理を予定していても、後に給与の支払いがあれば、そちらに切り替えられます。

この場合、賞与額はすでに確定しているため、見積もりの精度を気にする必要がなくなります。結果として、賞与で処理するより計算が正確になることもあります。

切り替える際は次の点を確認しましょう。

  • 賞与の源泉徴収税額が正しく計算されているか
  • 申告書に記入された見積額を実額に直したか
  • 12月給与の支給額が確定しているか

単独年調で処理する

12月の賞与支給がその年の最後である場合は、給与や賞与の支給手続きとは別に年末調整を行います。この方法は「単独年調」と呼ばれます。

支給とは切り離して年末調整の計算だけを行い、過不足額を精算する流れです。

  1. 確定した賞与額と給与額をもとに年税額を計算する
  2. すでに源泉徴収した税額との差額を求める
  3. 還付が生じる場合は翌年1月の給与に上乗せするか、現金で支払う
  4. 不足額を徴収する場合は翌年1月の給与から差し引く

源泉所得税の納付期限は翌年1月10日で、納期の特例の適用を受けている場合は1月20日です。この日までに精算を済ませておけば、納付額に反映できます。

また、税務署へ法定調書を提出する期限と、市区町村へ給与支払報告書を提出する期限はいずれも1月31日です。単独年調を行う場合も、この日までに源泉徴収票の作成を終えておきましょう。

参照:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

12月に支給する賞与での年末調整のやり方を理解しよう

12月に支給する賞与で年末調整を行うのは、給与の支払日が月の前半にあって賞与が年の最後の支給になる場合と、会社が任意で賞与を選ぶ場合です。やり方の大枠は給与での年末調整と変わりませんが、確定していない金額を見積もって計算する点が異なります。

従業員は賞与額を知らないうちに申告書を記入することになるため、記入方法を事前に案内しておきましょう。配偶者の所得についても同様の見積もりが必要です。

賞与の後に12月給与を支払う場合、実際の支給額が見積額とずれると年末調整をやり直すことになります。控除証明書の到着時期から逆算してスケジュールを組み、見積もりの前提を確かめてから計算に入りましょう。

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よくある質問

どんな場合に12月支給の賞与で年末調整を行うのですか?

月の前半に給与支給日があり12月支給の賞与が1年の最後の給与・賞与支払となる場合や、認められている賞与での年末調整(賞与年調)を行う場合です。詳しくはこちらをご覧ください。

賞与で年末調整を忘れていた場合、どうすればよいですか?

賞与支給後の年内に給与支給がある場合は給料での年末調整としたり、給与・賞与とは別に年末調整(単独年調)だけを行ったりして対応します。詳しくはこちらをご覧ください。


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