• 更新日 : 2022年3月18日

12月支給の賞与で年末調整を処理する場合の方法と注意点

12月支給の賞与で年末調整を処理する場合の方法と注意点

年末調整は、1年の最後の給与支払となる12月給与で行われることが一般的ですが、12月支給の賞与で行われる場合もあります。年末調整のやり方自体は、賞与でも給与でもあまり変わりませんが、賞与年調とする際は12月給与金額をあらかじめ見積もっておくといった、準備が必要です。今回は12月支給の賞与で年末調整を処理する場合の方法と注意点、また賞与年調を忘れた場合の処理方法を解説します。

12月支給の賞与で年末調整を処理する場合とは?

年末調整は、一般的に毎月1回の給料支払のうち、その年最後となる12月の給料支払で行われます。しかし12月に賞与が支給され、この賞与で年末調整の処理がなされることもあります。どのような場合に、12月支給の賞与で年末調整が行われるのでしょうか?次の2つの場合が考えられます。

賞与の支給が最後になる場合

1つ目は、賞与の支給が年の最後になる場合です。5日や10日のように給料支払日が月の前半にあるような会社では、12月分の給料日は翌年1月になります。代わりに12月中には、11月分の給料が支払われますが、このような会社では12月に支給される賞与が、1年間の最後の給与・賞与支給になります。

年末調整は、支給されるのが賞与であるか給与であるかに関係なく、従業員に対して年の最後となる支給で行うとされています。12月に入ってまず11月分の給料が支払われ、その後に12月賞与が支払われて12月分の給料支払は翌年1月である場合は、当然12月支給の賞与で年末調整を行うことになる点を理解しておく必要があります。

任意で年末調整を12月賞与で行う場合

2つ目は、任意で年末調整を12月の賞与支給で行う場合です。年末調整は、賞与であるか給与であるかにかかわらず、年の最後となる支給で行われる手続です。12月の賞与支給よりあとの12月中に給与支払日がある場合、本来その給料で年末調整が行われます。しかし、12月に賞与が支給される場合は、12月賞与で年末調整を行うことが認められています。賞与で年末調整するか、給与で行うかを、会社が任意で決めることができます。

12月に支給する賞与での年末調整のやり方

12月に支給する賞与で年末調整を行う場合でも、やり方は給与での年末調整と大きくは変わりはありません。しかし、12月給料での年末調整では、不要な賞与額の見積もりが必要になるという違いがあります。

年末調整では、従業員に控除申告書への記入・提出をしてもらう必要があります。基礎控除申告書には、各従業員の基礎控除額を求めるため、賞与を含む1年間の給与所得額を記入する欄が設けられています。賞与で年末調整を行う場合には、従業員は賞与がいくら支給されるかわからないうちに賞与を含む1年間の給与所得額を見積もって、記入・提出しなければなりません。

この1年間の給与所得額については、多くの従業員から質問が寄せられることが予想されます。スムーズに年末調整を行うためには、あらかじめ質問内容を想定したり、詳細なやり方をアナウンスしておいたりする配慮が必要です。

また1年間の給与所得額の見積もりは、配偶者についても必要とされます。賞与で年末調整を行う場合、12月前半などの早い時期に準備されることが考えられます。配偶者の1年間の給与所得額もまだ確定していない場合が多く、配偶者の1年間の給与所得額がわからないという問い合わせをよくされる可能性があります。見積もり方法や金額が違っていた場合の修正方法などを周知させることも必要です。

12月の賞与における年末調整で気をつけること

12月賞与における年末調整で特に注意したいのが、賞与支給後に給料の支払がある場合です。12月賞与が年の最後の支給とならない場合でも任意で賞与で年末調整を行うことは認められていますが、金額が未確定のうちに年末調整処理を進めなければならないことに注意が必要です。

年末調整では、1年間の給与と賞与を合わせた総支給額をもとに、その年の所得税を計算します。賞与額が決定していなかったり賞与支給後の12月中に給与支払があったりする場合には見積額での計算となりますが、見積もりが正確でないと年末調整の結果も違ってきます。修正が必要になると年末調整をやり直さなければなりません。二度手間とならないよう、賞与額や12月給与額を見積もる際は、正確に行うことが求められます。

また12月賞与で年末調整を行う場合は、スケジュールの設定にも注意が必要です。賞与計算と同時に年末調整の処理を行わなければならないため、スケジュールは十分に余裕を持たせることが大切です。しかし、早過ぎると保険料控除申告書に添付させる保険料支払証明書等が従業員の手元に届いていないことが考えられます。余裕を持たせすぎてもあまりよくないため、注意が必要です。

予定していた賞与年調を忘れた場合の対応方法

賞与で年末調整を忘れていた場合には、2つの方法での対応が可能です。1つ目は、12月賞与支給後に12月給与を支払う場合の方法で、給与で年末調整を行うものです。

2つ目は、12月の賞与支給がその年の最後である場合の方法です。給与や賞与の支給手続きとは別に年末調整を行う方法で、「単独年調」と呼ばれます。

12月に支給する賞与での年末調整のやり方を理解しよう

年末調整は、12月分の給料だけでなく、12月に支給する賞与で行うことがあります。1つ目のケースは、給料支給日が月の前半にあって12月賞与の支給が年の最後の給料・賞与の支給になる場合、2つ目のケースは任意で12月分の給料ではなく12月賞与で行う場合です。

賞与で年末調整を行う場合は、1年間の給与所得額の見積もりに気をつけることが必要です。従業員は賞与額を知らないうちに控除申告書を記入しなければならないため、どう書けばよいのかと質問されることが予想されます。対応に手間取らないよう、事前に準備しておきましょう。

また、12月賞与のあとに12月分の給料を支払う場合に、12月分給料額が想定より多かったり少なかったりすると年末調整の結果と合わなくなります。その場合は、年末調整をやり直さなければならないことにも気をつけましょう。

よくある質問

どんな場合に12月支給の賞与で年末調整を行うのですか?

月の前半に給与支給日があり12月支給の賞与が1年の最後の給与・賞与支払となる場合や、認められている賞与での年末調整(賞与年調)を行う場合です。詳しくはこちらをご覧ください。

賞与で年末調整を忘れていた場合、どうすればよいですか?

賞与支給後の年内に給与支給がある場合は給料での年末調整としたり、給与・賞与とは別に年末調整(単独年調)だけを行ったりして対応します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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