• 更新日 : 2026年6月5日

【2026年】社会保険の扶養とは?年収の壁についても解説

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Point社会保険の扶養はいくらまで?

配偶者の健康保険・厚生年金の被扶養者となれば、保険料の負担なく医療や年金の保障を受けられます。

  • 年収130万円以上になると扶養を外れ、自身で社会保険に加入する
  • 従業員51人超の企業では月収8.8万円(年収約106万円)以上で加入対象に変わる
  • 令和8年度改正により所得税の扶養判定は年収136万円以下へ広がる

社会保険料は給与の約12〜15%が控除されるため、手取りの変化に留意しましょう。

配偶者の収入で生活している専業主婦などは、自分では社会保険に加入しなくてもよい場合があります。社会保険被保険者である配偶者の扶養に入ることで、自分自身は社会保険料を納付しなくても健康保険を使えたり、年金を満額で受け取れたりします。

年収130万円までの人は扶養に入ることができ、それを超えると扶養から外れます。

令和8年度税制改正では所得税の扶養判定基準や給与所得控除が見直されており、税法上の扶養の範囲も変わっています。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

参照:令和8年度税制改正の大綱|財務省

社会保険の扶養とは?

社会保険の扶養とは、被保険者の家族が自ら保険料を支払わなくても、健康保険や厚生年金の保障を受けられる制度です。一定の要件を満たす場合に被扶養者として認定され、要件を外れた場合は自分自身で社会保険に加入する必要があります。

保険料の負担なく医療・年金の保障が受けられる制度

社会保険の扶養は、自分自身が社会保険の被保険者にならなくても医療や年金で不利益を被らずに済む制度です。社会保険被保険者の扶養に入ることで、自分が社会保険の被保険者とならなくても、被保険者のように各医療機関で保険診療を受けられたり、国民年金保険料の支払い義務がない第3号被保険者として扱われたりすることができます。

定められた要件を満たす場合に社会保険の扶養に入ることができ、要件を満たさなくなった場合は扶養から外れなくてはなりません。

税法上の扶養との違い

扶養には「社会保険の扶養」以外に、「税法上の扶養(税の扶養)」があります。

社会保険の扶養は「社会保険料の免除・被保険者資格の付与」を目的とした制度であり、税法上の扶養は「所得税の計算における控除」を目的とした制度です。

税法上の扶養とは、扶養家族がいる場合に一定額が所得から差し引かれ、扶養控除の対象になることを指します。

それぞれ判定基準となる年収の計算方法も異なるため、どちらの扶養に入れるかは別々に確認する必要があります。

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年収の壁:令和8年(2026年)の最新基準は?

「年収の壁」とは、年収がある一定額を超えると税金や社会保険料負担が増え、手取り収入が減少する境界ラインを指します。扶養を維持できるかどうかの判断基準ともなり、働き方に大きく影響します。

令和8年(2026年)時点で主な「年収の壁」とされる基準額は次の通りです。

※社会保険に関する要件(106万円・130万円の壁)は税制改正の対象外です。所得税に関する数値は令和8年度税制改正大綱をもとにしており、最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。最新の情報は国の公式情報をご確認ください。

100万円の壁(住民税)

年収が100万円を超えると原則として住民税の課税対象になります。非課税でいられるラインが年収約100万円前後にあるため、この額を超えるとわずかながら手取りが減ります(自治体により異なる場合あり)。

106万円の壁(社会保険)

年収が約106万円(月収8.8万円)を超えるパート・アルバイトは、一定条件下で自分自身が社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければならなくなる基準です。

以下の5要件すべて満たす場合に配偶者の扶養を外れて本人が厚生年金・健康保険へ加入する必要があります。

厚生年金・健康保険へ加入する5要件(すべて満たす場合)
  1. 従業員数51人以上の企業に勤務
  2. 週20時間以上勤務
  3. 月額賃金8.8万円以上
  4. 継続雇用見込み2ヶ月超
  5. 学生ではない

この基準を超えるといわゆる「社会保険の扶養」から外れることになり、保険料負担が生じます。

130万円の壁(社会保険の被扶養者資格)

年収130万円未満であれば、上記106万円の条件に該当しない限り配偶者の健康保険の被扶養者として認められる収入上限です。

年収が130万円以上になると原則として扶養家族から外れ、健康保険・年金の第3号被保険者資格(保険料負担なしで厚生年金に加入扱いとなる資格)を失います。

※60歳以上や障害者の場合はこの上限が180万円未満に緩和されます。

※被扶養認定の対象者が19歳以上23歳未満の場合はこの上限が150万円未満に緩和されます。

130万円を一時的に超えた場合の対応(事業主証明)

繁忙期の残業など一時的な事情で年収が130万円以上になった場合でも、事業主が「労働契約上の年間収入は基準額未満であり、一時的に収入が増加したものである」旨を証明することで、引き続き被扶養者として認定される仕組みが設けられています(令和5年10月〜)。

ただし、この特例は連続して2回までを目安とされており、常態的な収入増には適用されません。また、あくまで「労働契約内容による年間収入が基準額未満」であることが前提条件です。

また、2026年4月以降は、労働契約時の収入見込みで扶養認定の判断が可能となっています。この場合には、残業代などを含まない労働契約時の年収で判断するため、予見可能性が高くなり、働き控えを抑制する効果が期待されています。

参照:「年収の壁」への対応|厚生労働省

103万円の壁 → 136万円・178万円へ(所得税・扶養控除の判定)

令和7年度税制改正(2025年分) で、扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件が48万円以下から58万円以下に引き上げられ、給与収入のみの場合の上限が103万円から123万円になりました。

さらに令和8年度税制改正(2026年分) で、同要件がさらに62万円以下に引き上げられ、給与収入のみの場合の扶養判定ラインは136万円以下となります。

なお、所得税が発生しはじめるライン(課税最低限)については、給与所得控除の最低保障額の引き上げもあわせて、合計所得が489万円以下の方の場合は目安として178万円まで引き上げられる見込みです(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)。

ただし基礎控除の特例加算額は所得水準によって段階的に異なるため、一律に178万円となるわけではありません。

適用時期の注意点
  • 令和8年度改正による所得税の扶養判定基準の変更は令和8年分以後の所得税から適用されます。月次の源泉徴収税額表への反映は令和9年1月支払分以降となるため、令和8年分については年末調整での精算となります。個人住民税については令和9年度分からの適用となります。

150万円の壁 → 169万円へ(配偶者特別控除の満額適用)

配偶者の年間所得が一定額以下の場合に受けられる配偶者特別控除(扶養者の税負担軽減措置)は、給与所得控除の最低保障額に連動して満額適用ラインが変わります。

令和7年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたことで、配偶者特別控除(38万円)の満額適用ラインは年収150万円から160万円になりました。

さらに令和8年度税制改正では、給与所得控除の最低保障額が令和8年・9年の特例として74万円(本則69万円+特例5万円)に引き上げられることで、配偶者特別控除の満額適用ラインは年収169万円以下まで拡大される見込みです。

配偶者年収が169万円を超えても段階的に控除額が減少し、約207万円まで一定の控除が受けられます(207万円以上で控除額ゼロが目安。正確な額は給与所得控除の計算方法によります)。

これらの年収の壁を超えるか否かで、扶養内に留まるか社会保険へ加入するか、また扶養者の税負担がどう変わるかが決まります。

令和8年度改正により「103万円→136万円」(扶養控除の判定ライン)、「150万円→169万円」(配偶者特別控除の満額ライン)への引き上げが見込まれており、給与収入の非課税・控除枠が段階的に広がっています。

一方で「106万円」「130万円」の壁については社会保険の範囲であり、令和8年度税制改正の対象外です。社会保険料負担発生の境界として引き続き注意が必要です。

特に106万円の壁は適用範囲の拡大によって影響を受ける人が増えており、今後の見直しも検討されています。

社会保険適用拡大の流れ(2022年以降の変更点)

短時間労働者への社会保険適用は2022年・2024年と段階的に拡大されており、現在は従業員51人以上の企業で所定の要件を満たすパート・アルバイトが加入対象です。今後もさらなる拡大が議論されており、人事担当者は制度の変化を継続的に把握する必要があります。

2022年10月

厚生年金・健康保険の適用対象が、それまで「従業員数501人以上」の企業から、「101人以上」の企業にまで拡大されました。

従来は大企業のパート従業員のみが106万円の壁の対象でしたが、中堅規模(101~500人)の事業所で働くパート・アルバイトも、要件を満たせば社会保険加入が義務化されました。

2024年10月

さらに適用範囲が広がり、対象企業規模が「51人以上」まで引き下げられました。この結果、従業員51~100人の事業所でも、週20時間以上・月収8.8万円以上等の条件を満たすパート従業員は社会保険に加入する必要があります。

これらの適用拡大により、「106万円の壁」に該当して社会保険に加入しなければならないパート労働者の範囲が大幅に増えました。人事担当者は自社の従業員規模区分が変更対象に該当していないかを確認し、該当する場合は労働者への周知や加入手続きを適切に行う必要があります。

今後の見直し動向

さらに今後の見直し動向として、政府は企業規模要件(51人以上)と賃金要件(月8.8万円以上)を撤廃し、短時間労働者への社会保険適用を一層拡大する方針を打ち出しています。

2025年6月に年金制度改正法が成立し、賃金要件の撤廃と企業規模要件の段階的撤廃が決定されました。賃金要件に関しては2026年10月に撤廃予定となっており、企業規模要件に関しても2027年10月以降は36人以上規模にまで緩和される予定です。企業規模要件は2027年10月以降も段階的に緩和され、2035年10月には完全撤廃される見通しとなっています。

参照:社会保険加入の要件|社会保険適用拡大特設サイト

年収の計算方法は「社会保険の扶養」と「税法上の扶養」で異なる

社会保険の扶養では失業給付や傷病手当金・通勤手当なども年収に含めて判定しますが、税法上の扶養ではこれらを含みません。

同じ給与額でも扶養の種類によって「年収」の範囲が異なるため、判定時はそれぞれの計算ルールを確認することが必要です。

社会保険の扶養
  • 雇用保険による失業給付や育児休業給付金、健康保険による傷病手当金などが年収の計算に含まれます。
  • 通勤手当や交通費を含んで年収を計算します。
税法上の扶養
  • 雇用保険による失業給付や育児休業給付金、健康保険による傷病手当金などは年収の計算に含まれません。
  • 通勤手当や交通費を含まずに年収を計算します。

社会保険の扶養内で働くメリットは?

扶養内で働く最大のメリットは、自分で社会保険料を負担しなくても健康保険や年金の保障を受けられる点です。保険料分だけ手取りが増えるほか、国民年金の第3号被保険者として扱われるため、将来の年金受給にも影響しません。

働いただけ収入が増える

メリットの1つ目は、社会保険料の負担がない分だけ収入が増えることです。社会保険に加入すると自分自身で保険料を支払うことになり、給料から控除されます。そのため手取額が減りますが、扶養に入っていれば社会保険料の負担はありません。給料から社会保険料が控除されないため、働いただけ収入が増えます。

被扶養者としての優遇を受けられる

メリットの2つ目は、被扶養者として優遇を受けられることです。健康保険では被扶養者は保険料を負担せずに、各医療機関で保険診療を受けられます。国民年金では、保険料を支払う義務のない第3号被保険者として扱われます。国民年金第3号被保険者である期間は保険料納付済期間とされ、満額の年金を受け取ることができます。

社会保険の被扶養者になる手続きは?

被扶養者の認定手続きは、扶養者が勤務する会社を通じて行います。事実が発生した日から5日以内に所定の書類を提出する必要があり、手続きが遅れると健康保険が利用できるようになる時期も遅れる場合があります。

提出書類
・健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者関係届
添付書類
・被扶養者の戸籍謄本(抄本)か住民票の写し
・収入を確認できる書類(退職証明書や雇用保険被保険者離職票の写しなど)
提出方法
・電子申請・郵送・窓口持参のいずれか
提出先
・郵送する場合は事務センター
・窓口に持参する場合は事業所所在地を管轄する年金事務所
提出期限
・事実があった日から5日以内

社会保険の扶養から外れるとどうなる?

年収が一定基準を超えると扶養から外れ、自分自身で社会保険に加入して保険料を負担することになります。給与の約12〜15%相当の保険料が控除されるため手取りは減り、会社の扶養手当が支給されなくなるケースもあります。

社会保険料はいくら支払う?

扶養から外れて自分自身で社会保険に加入すると、社会保険料を負担することになります。社会保険料は、給与の約12~15%です。

会社から扶養手当をもらえなくなる?

会社によっては、社会保険の扶養から外れた家族を扶養手当支給の対象外とします。扶養手当は会社が独自に定める給料手当の一つで、支給条件も自由に決められます。社会保険の扶養家族に対して扶養手当を支給する会社では、社会保険の扶養から外れると扶養手当ももらえなくなります。

年収と扶養の関係を示す「○○円の壁」に注意しよう

令和8年度税制改正により、税法上の扶養判定ラインや配偶者特別控除の満額適用ラインが引き上げられました。一方で社会保険の「106万円」「130万円」の壁は引き続き存在しており、社会保険料負担発生の境界として注意が必要です。

人事労務担当者はこれらの変化を正しく把握し、社員への情報提供や制度対応を適切に行うことが求められます。扶養内で働くことのメリット・デメリットも踏まえつつ、従業員が安心して働けるよう支援していきましょう。

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