• 更新日 : 2025年10月31日

社会保険料の計算方法は?シミュレーション・年収別早見表つき|2025年最新

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毎月の給与明細を見ると、控除の欄に健康保険料や厚生年金保険料といった項目があります。これらが社会保険料です。社会保険は、私たちが病気やケガ、失業、老後といった人生のリスクに備えるための公的な保障制度であり、そのための費用を加入者(従業員)と事業主(会社)が分担して支払っています。

社会保険料の計算方法は一見複雑に思えますが、仕組みを理解すれば、ご自身の正確な手取り額を把握できます。この記事では、社会保険料の計算方法の基本から、具体的な計算シミュレーション、年収別の目安まで詳しく解説します。

そもそも社会保険料とは

社会保険料とは、私たちが病気やケガ、失業、老後などに備えるための公的な保険制度の保険料を総称したものです。会社員の場合、一般的に以下の5つの保険料を指します。

保険の種類 内容
健康保険料 業務外の病気やケガ、出産、死亡に備える保険
介護保険料 介護が必要になった際にサービスを受けるための保険(40歳から支払義務あり)
厚生年金保険料 老後の生活や、障害・死亡に備える年金制度
雇用保険 失業した際の給付や、育児・介護休業中の給付、自己能力開発時の給付を受けるための保険
労災保険料 業務中や通勤中のケガ、病気、障害、死亡に備える保険

このうち、給与から天引きされるのは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4つです。労災保険料は、全額を会社が負担するため、従業員の給与からは天引きされません。

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給与から天引きされる社会保険料の計算方法

月々の給与から天引きされる社会保険料のうち、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は給与額そのものではなく、標準報酬月額という基準額を使って計算します。一方、雇用保険料は毎月の総支給額に料率をかけて計算する、という違いがあります。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、社会保険料を計算しやすくするために、従業員の月々の給与を一定の範囲(等級)で区切ったものです。原則として、4月・5月・6月に支払われた給与額等を元に等級が決定します。算定に含まれるのは基本給だけでなく、残業手当、役職手当、通勤手当など、会社から現金または現物で支給される報酬のほとんどが含まれます。この標準報酬月額に、各保険の料率を掛けることで、保険料が算出されます。

健康保険料の計算式

健康保険料は、以下の式で計算します。従業員と会社で半分ずつ負担(労使折半)します。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率

例えば、協会けんぽ東京支部(2025年度)の保険料率は9.91%です。この場合、従業員の自己負担分はその半分の4.955%(約4.96%)となります。料率は加入する健康保険団体や都道府県ごとに異なるため、ご自身の加入する健康保険の種類や勤務地の料率を確認しましょう。

介護保険料の計算式(40歳以上の場合)

40歳以上65歳未満の方は、健康保険料に上乗せして介護保険料を支払います。計算式は以下の通りで、こちらも労使折半です。

介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率

2025年度の介護保険料率(全国一律)は1.59%です。したがって、従業員の自己負担分は0.795%となります。この料率は定期的に見直されます。

厚生年金保険料の計算式

老後の備えとなる厚生年金保険料の計算式は以下の通りです。こちらも労使折半となります。

厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率

厚生年金保険料率は2017年9月以降、18.3%で固定されています。従業員の自己負担分はその半分の9.15%です。ただし、これは現行の制度における保険料率であり、将来的に制度改定が行われる可能性があります。

雇用保険料の計算式

雇用保険料は、標準報酬月額ではなく、毎月の給与総額(税金などが引かれる前の額)に料率をかけて計算します。

雇用保険料=給与総額×雇用保険料率

雇用保険料率は事業の種類(一般の事業、農林水産・清酒製造の事業など)によって異なり、従業員と会社の負担割合も異なります。例えば、2025年度の一般の事業の場合、労働者負担は0.55%です。

賞与(ボーナス)天引きされる社会保険料の計算方法

賞与(ボーナス)からも、月々の給与と同じように社会保険料が天引きされます。計算の基礎となるのは、標準賞与額です。

標準賞与額とは

標準賞与額は、税引前の賞与総額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。例えば、賞与が543,210円だった場合、標準賞与額は543,000円となります。ただし、健康保険は年度の累計賞与額が573万円、厚生年金は1ヶ月あたりの賞与額が150万円という上限があり、それを超えると社会保険料の算定はされません。

社会保険料の計算式

標準賞与額が確定したら、あとは月々の保険料と同じ料率を掛けて計算します。

  • 健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率
  • 介護保険料 = 標準賞与額 × 介護保険料率(40歳以上の場合)
  • 厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率
  • 雇用保険料 = 賞与総額 × 雇用保険料率

ここでも、雇用保険料のみ「標準賞与額」ではなく、実際の「賞与総額」で計算する点に注意が必要です。

社会保険料の計算シミュレーション

より具体的なケースで、社会保険料がいくらになるのかをシミュレーションしてみましょう。社会保険の料率は例年2〜3月頃に確定しますが、今回は2025年度の料率を用いて計算の流れを解説します。

前提条件
  • 勤務地:東京
  • 加入保険:協会けんぽ(全国健康保険協会)
  • 年齢:35歳(介護保険料なし)
  • 月給(総支給額):315,000円(基本給28万円、通勤手当1.5万円、残業手当2万円)
  • 標準報酬月額:320,000円
月の社会保険料(自己負担額)
  1. 健康保険料:320,000円 × 9.91% ÷ 2 = 15,856円
  2. 厚生年金保険料:320,000円 × 18.3% ÷ 2 = 29,280円
  3. 雇用保険料:315,000円 × 0.55% = 1,732円
    合計:15,856 + 29,280 + 1,732 = 46,868円

この場合、月の給与から天引きされる社会保険料は 46,868円 となります。

社会保険料の年収別早見表

ご自身の年収に対して、年間でどれくらいの社会保険料を負担しているのか、目安を知りたい方も多いでしょう。以下に、年収別の社会保険料(自己負担額)の概算をまとめました。

前提条件
  • 勤務地:東京都
  • 加入保険:協会けんぽ(全国健康保険協会)
  • 年齢:40歳未満(介護保険料なし)
  • 事業内容:一般の事業
  • 賞与:年2回(給与2ヶ月分)
  • 2025年度の保険料率で計算
年収 月収の目安 健康保険料(年間) 厚生年金保険料(年間) 雇用保険料(年間) 社会保険料合計(年間)
300万円 21.4万円 約152,000円 約280,700円 16,500円 約449,200円
400万円 28.6万円 約194,700円 約359,600円 22,000円 約576,300円
500万円 35.7万円 約249,400円 約460,600円 27,500円 約737,500円
600万円 42.9万円 約304,000円 約561,500円 33,000円 約895,500円
700万円 50.0万円 約346,900円 約640,500円 38,500円 約1,025,900円

※上記はあくまで概算です。実際の金額は、通勤手当や残業手当の額、健康保険組合ごとの料率の違いによって変動します。特に標準報酬月額の等級が変わると保険料が大きく変動する場合があるため注意が必要です。

社会保険料の計算に便利な自動計算ツール・サイト

自分で計算するのが難しい、あるいはもっと正確な金額を知りたい場合は、公的機関のサイトを活用するのが便利です。

その他、給与情報を入力するだけで、社会保険料や税金を自動で計算してくれるシミュレーションツールを提供している民間のサイトもあります。

社会保険料が変わるタイミング

一度決まった社会保険料は、ずっと同じ金額ではありません。原則として年に1回見直されるほか、給与が大幅に変動した際にも改定されます。保険料が変わる主なタイミングは3つです。

1. 定時決定(算定基礎届)

毎年1回、7月1日時点の全被保険者を対象に行われる定期的な見直しです。会社は、その年の4月・5月・6月に支払った給与の平均額を「算定基礎届」として年金事務所に提出します。この届出内容に基づき、新しい標準報酬月額が決定され、その年の9月分から翌年8月分までの社会保険料に適用されます。

2. 随時改定(月額変更届)

昇給や降格などにより、固定的賃金(基本給や役職手当など)に変動があり、その後の3ヶ月間の給与平均額と現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合に行われる見直しです。この手続きを「随時改定」といい、会社が「月額変更届」を提出します。改定後の保険料は、給与変動後の4ヶ月目から適用されます。

3. 資格取得時決定

会社に入社して、新たに社会保険の被保険者資格を取得した際に行われる決定です。入社時の雇用契約などで定められた給与(報酬月額)をもとに標準報酬月額が決まります。この標準報酬月額は、原則として次の定時決定(8月)まで適用されます。

社会保険料に関してよくある質問

最後に、社会保険料の計算に関してよく寄せられる質問にお答えします。

個人事業主の社会保険料はどうなる?

個人事業主やフリーランスは、会社員が加入する厚生年金や健康保険ではなく、「国民年金」と「国民健康保険」に加入します。

計算方法も全く異なり、国民年金は所得にかかわらず定額(年度によって変動)、国民健康保険は前年の所得をもとに自治体が計算します。全額自己負担となる点が大きな違いです。

会社は社会保険料をいくら負担している?

会社は、従業員が負担する健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料とほぼ同額を負担しています(労使折半)。加えて、雇用保険料の会社負担分(労働者負担分より大きい)と、労災保険料(全額会社負担)も支払っています。労使折半の原則では従業員と同額の負担となりますが、加入する健康保険組合の特性や労災保険料などが加わることで、会社の負担が従業員負担より大きくなる場合があります。

社会保険料の計算方法を理解して、手取り額を把握しよう

社会保険料の計算は、一見すると多くの要素が絡み合い複雑に感じられるかもしれません。しかし、その中心にあるのは「標準報酬月額(または総支給額)」と「保険料率」という2つのシンプルな要素です。

この記事で解説した計算の仕組みや、保険料が決まるタイミングを理解することで、給与明細の数字が持つ意味がより深くわかるようになります。社会保険は、万が一の際に私たちを守ってくれる大切なセーフティーネットです。その仕組みを正しく理解し、ご自身の収入やライフプランを考える上での参考にしてください。

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