• 更新日 : 2025年1月28日

産休は何ヶ月目から取れる?早めに入る方法は?給付金や手続きを解説

産休は、妊娠8ヶ月半(妊娠34週目)から取得できます。

しかし実際には、産休をいつから取得できるかについては、出産予定日を基準にして考えるのが一般的です。

そこで本記事では、産休取得開始日の考え方や、前倒しで取得する方法などを詳しく解説します。

合わせて、前倒しで産休を取得した場合の給付金(出産手当金など)の影響についても解説します。

従業員の産休をスムーズに進めるために、人事担当者の方も、これから出産を迎える方も、ぜひ参考にしてください。

産休は何ヶ月目から取れる?

通常の単胎妊娠の場合、産休(産前休業)は8ヶ月半(妊娠34週目)から取得できます。

多胎妊娠(双子など)の場合は、母体への負担が大きいため、6ヶ月半(妊娠26週目)から取得可能です。

次項で、出産予定日を基準とした考え方、具体的な産休期間、そして簡単に期間を計算できるツールについて詳しく解説します。

出産予定日からカウント

産休は、妊娠期間の月数ではなく、出産予定日からカウントします。

具体的には、産前休業は出産予定日の6週間前から取得できます。

ただし、双子など多胎妊娠の場合は、母体への負担が大きいため、出産予定日の14週間前から取得可能です。

このように、産休の開始時期は、出産予定日を基準に決まると覚えておきましょう。

産休(産前産後休業)の期間

産休は、下記の産前休業と産後休業を合わせた期間を指します。

  • 産前休業:出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から出産日当日まで
  • 産後休業:出産日の翌日から8週間

たとえば、出産予定日が2024年10月1日の場合、産前休業は2024年8月21日から10月1日まで、産後休業は2024年10月2日から11月26日までとなります。

産後休業は、法律で定められた就業禁止期間であり、必ず取得する必要があります。

一方で、産前休業は、本人の希望により取得するかどうかを選ぶことが可能です。

産前・産後休業、育児休業の自動計算ツール

産休期間は、出産予定日によって変動するため、計算が複雑に感じるかもしれません。

そこで、厚生労働省の「妊娠出産・母性健康管理サポート」では、産前・産後休業、育児休業の期間を自動で計算できるよう下記のツールが用意されています。

産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算|厚生労働省

上記の自動計算ツールを使えば、出産予定日を入力するだけで、産休期間や育休期間の目安を簡単に把握できるため、ぜひ活用してみてください。

【アンケート】産休前、妊娠何ヶ月まで働いていた?

保険クリニックのアンケート結果によると、産休に入るまで働いていた期間は、妊娠8ヶ月までが最も多く、全体の約6割を占めています。

続いて、妊娠6ヶ月〜7ヶ月が約2割、妊娠5ヶ月以前が約1割となっており、多くの方が安定期に入ってから、体調と相談しながら産休に入る直前まで就業していることがわかります。

次に、「妊娠中は1日平均で何時間勤務していましたか?」という質問に対して、約53%の方が8時間以上の勤務をしていることがわかりました。

また、8時間以上の勤務をしている方の勤務形態は、下記の通りです。

勤務形態割合
正社員76.2%
契約社員64.7%
派遣社員42.5%
パート・アルバイト18.1%

中でも、9時間以上勤務していた方の95.7%は、正社員という結果でした。

これまでのアンケート結果から、つわりなどの体調不良が落ち着く安定期以降も、無理のない範囲で通常のフルタイム勤務を継続する方が多いようです。

なお、妊娠を会社に報告した後の弊害としては、下記のようなものがあるようです。

  • 退職や契約打ち切りの話をされた
  • 休む可能性があるからと、いつもの仕事をさせてもらえない
  • 上司や同僚の理解が得られなかった

これらの意見から、妊娠報告は早めに、かつ上司や同僚と十分にコミュニケーションを取りながら進めるのが重要であることがわかります。

産休を1ヶ月前倒しでとることはできる?

原則として、産休(産前休業)を1ヶ月前倒しで取得することはできません。

産前休業は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できると法律で定められています。

しかし、妊娠中の体調によっては、本来産休を取得できる時期よりも前に仕事を休まなければならないケースもあるでしょう。

そのような場合、会社が柔軟に対応してくれることもありますが、有給休暇や病気休暇・傷病手当金などを利用する方法もあります。

次項で、具体的な対応について解説します。

会社と相談、就業規則の確認

妊娠中の体調不良などで、本来の産休開始日よりも前に休む必要がある場合は、まず会社に相談するとともに、就業規則を確認してみましょう。

会社によっては、妊娠中の従業員に対する特別な休暇制度や配慮措置を設けている場合があります。

なお、男女雇用機会均等法では、妊娠中の女性労働者に対する事業主の義務として、健康診査受診のための時間の確保、医師等の指導事項に従った業務軽減措置の実施などを定めています。

就業規則に明記されていなくても、個別の事情に応じて柔軟に対応してくれる可能性もあるでしょう。

相談する際には、医師の診断書があると、会社側も状況を理解しやすくなります。

有給休暇の利用

体調不良などで産休開始日よりも前に休む場合、有給休暇を利用することも1つの方法です。

有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利であり、妊娠中の体調不良を理由に取得することも可能です。

ただし、有給休暇の日数には限りがあるため、残りの日数を確認し、産休開始までの期間をカバーできるかどうかを考慮する必要があります。

傷病休暇・傷病手当金の利用

体調不良が長引き、有給休暇を使い切ってしまった場合や、医師から就業が困難と診断された場合は、病気休暇や傷病手当金の利用を検討しましょう。

病気休暇は、会社が独自に設けている休暇制度であり、就業規則で定められている場合に利用可能です。

傷病手当金は、健康保険から支給される給付金であり、病気やケガで仕事に就けない場合に、生活を保障する目的で支給されます。

妊娠中の体調不良が原因で仕事に就けない場合も、医師の診断書があれば、傷病手当金の支給を受けられる可能性があります。

ただし、傷病手当金の支給には一定の要件を満たす必要があり、出産手当金との併給はできないため注意しましょう。

産休を1ヶ月前倒しにしたら出産手当金はもらえる?

出産手当金は、法律で定められた産前休業期間(出産予定日の6週間前)から支給されるため、自己都合で前倒しにした期間は支給対象外となります。

たとえば、出産予定日の8週間前から休業した場合、最初の2週間は出産手当金の対象外です。

また、有給休暇を利用して産休を前倒しにした場合も、有給休暇期間中は給与が支払われるため、出産手当金は支給されません。

一方で、医師の診断により就業が困難と判断され、傷病手当金を受給する場合は、出産手当金との調整が必要です。

傷病手当金と出産手当金は同時受給ができないため、産前6週間より前の期間において、就業不可能である診断がなされた場合には、傷病手当金の申請を行うことが一般的です。

従業員が産休を1ヶ月前倒しでとる際に会社が行うこと

従業員が予定より早く産休に入る場合、会社としてやるべきことがいくつかあります。

次項で、会社がやるべきことを具体的に解説します。

業務の調整やリソースの再配置を行う

従業員が産休を前倒しで取得する場合、まずは業務の調整やリソースの再配置を行う必要があります。

具体的には、休業する従業員の業務内容を把握し、他の従業員に業務を分担するか、代替要員を確保するなどの対応を検討します。

業務の引継ぎ期間を十分に確保するためにも、早めに業務の棚卸しを行い、引継ぎ事項を明確にしておきましょう。

また、代替要員の確保が必要な場合は、派遣社員の活用や部署内での人員配置の変更などを検討します。

引き継ぎがスムーズにいくようサポートする

業務の調整と並行して、引継ぎがスムーズに進むようサポートすることも大切です。

引継ぎ期間中は、休業する従業員と後任者との間で十分なコミュニケーションが取れるように配慮し、必要に応じて引継ぎのための時間や場所などを確保しましょう。

具体的には、仕事の手順などをまとめたマニュアルの作成や、OJTの実施などを検討します。

また、後任者がわからないことを聞けるように、産休に入る従業員の連絡先や連絡可能時間帯なども聞いておきましょう。

産休取得に必要なものを早めに依頼する

通常の産休手続きと同様に、産休取得に必要な書類を従業員に早めに依頼することも重要です。

具体的には、出産予定日を証明する書類(母子健康手帳のコピーなど)や、産休開始日などを記載した申請書などを提出してもらいます。

前倒しで休業する場合でも、これらの書類は後々の手続きで必要となるため、早めに準備してもらうことで、手続きをスムーズに進められます。

出産に関わる給付金の申請を行う

出産に関わる給付金(出産手当金など)の申請手続きは、従業員本人が行うのが一般的ですが、会社が手続きを代行する場合もあります。

会社がこれらの給付金の申請を代行する場合、従業員から必要な書類(母子健康手帳のコピー、医師の診断書、申請書など)を預かり、健康保険組合などに申請を行いましょう。

前倒しで休業した場合、給付金の支給開始時期が通常とは異なる可能性があるため、事前に健康保険組合などに確認し、適切な時期に申請手続きを行う必要があります。

産休中の社会保険料の免除手続きを行う

従業員が産休を取得する場合、会社は社会保険料の免除手続きを行う必要があります。

前倒しで休業する場合でも、免除される期間は法律で定められた産前産後休業期間に基づいて計算されるため、手続き自体は通常通り行います。

ただし、自己都合で前倒しにした期間は、社会保険料の免除対象とはなりません。

なお、社会保険料の免除手続きが遅れた場合でも、2年間は遡って申請できますが、賃金台帳や遅滞理由書など、追加の書類が必要となる場合があります。

そのため、早めに準備をして手続きを進めておくのが無難です。

産後に何ヶ月で職場復帰できる?

法律上、産後8週間は就業が禁止されていますが、医師の診断を受け、本人が希望する場合は、産後6週間を経過すれば職場復帰が可能です。

ただし、帝王切開で出産した場合など、通常分娩よりも回復に時間がかかる場合は、医師から就業許可が下りるまでに時間がかかる可能性があります。

なお、早期に復帰する場合は、復帰後の勤務時間や業務内容、保育園の状況などを伝え、スムーズに職場復帰できるように早めに会社と相談をしておくのがおすすめです。

会社によっては、育児時間や短時間勤務制度など、育児と仕事を両立するための制度が設けられている場合もあるので、事前に確認してみましょう。

産休・育休に関わる申請書類のテンプレート

産休・育休を取得する際には、会社への申請手続きが必要です。

そこでマネーフォワード クラウドでは、産休・育休を取得する際に必要な書類のテンプレートをご用意いたしました。

次項で、それぞれの申請で使える無料のテンプレートを紹介いたしますので、必要に応じてご活用ください。

産休申請書テンプレート

産休(産前産後休業)を取得する際には、「産休申請書」を会社に提出する必要があります。

産休申請書には、出産予定日、産休開始日と終了予定日、氏名、所属部署などを記載します。

下記に産休申請書の無料テンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。

産休申請書の無料テンプレートはこちら

なお、会社によっては独自の様式を使用している場合もあるため、事前に会社の担当部署に確認しておきましょう。

育児休業申請書テンプレート

育児休業を取得する際には、「育児休業申請書」を会社に提出する必要があります。

育児休業申請書には、育児休業の開始日と終了予定日、養育する子どもの氏名・生年月日、申請者の氏名・所属部署などを記載します。

下記に育児休業申請書の無料テンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。

育児休業申請書の無料テンプレートはこちら

なお、育児休業申請書に関しても会社によって独自の様式を使用している場合があるため、事前に確認しておきましょう。

産休について正しく理解し、安心して出産を迎えるための準備をしよう!

産休は出産予定日から逆算し、通常は出産予定日の6週間前(妊娠34週頃)から産前休業、出産日の翌日から8週間が産後休業となります。

多胎妊娠の場合は、産前休業が14週間前(妊娠26週頃)からです。

体調不良で産休開始前に休業したい場合は、会社に相談したり、有給休暇や病気休暇などを利用したりなどを検討しましょう。

本記事を参考に、産休について制度を正しく理解し、安心して出産に臨みましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事