• 更新日 : 2023年7月7日

適性検査とは?spiとの違いや、就活でのテスト対策・落ちる理由について解説

適性検査とは?spiとの違いや、就活でのテスト対策・落ちる理由について解説

適性検査とは、求職者の能力や性格を定量的に把握するため採用選考で課されるテストです。新卒採用試験でSPIを受けたことがある方も多いかもしれません。当記事では、適性検査の概要やSPIとの違い、対策方法、落ちる理由などについて解説します。これから採用選考を受ける方や、採用活動を実施する人事担当者は、ぜひ参考にしてください。

就活(新卒・転職)での適性検査とは?

新卒や転職などの就職活動において、適性検査を受けたことがある方も多いかもしれません。ここでは、適性検査の概要とともに、実施する目的や実施するケースなどについて紹介します。

企業が適性検査を実施する目的

そもそも適性検査とは、新卒や転職などの就活において、採用選考を受ける際に面接などとあわせて実施されるテストです。新卒採用試験でSPIなどを受けたことがある方も多いことでしょう。

企業が適性検査を実施する目的は、求職者の能力・スキルや性格・適性を定量的に判断するためです。適性検査には能力検査と性格検査があり、能力や性格を数値で客観的に判断できます。適性検査を実施することで、求める人物像や社風とのミスマッチを最小限に防ぐことが可能です。

適性検査を実施する主なケース

適性検査を実施する主なケースには、新卒採用や中途採用があります。特に、新卒採用では同時並行で一度に多くの採用活動を進めなければならないため、客観的に判断できる適性検査はよく用いられる手法です。中途採用においても、企業が求める人物像に合致しているか、能力やスキルが基準を満たしているかを判断する目的で実施されます。

採用活動以外では、昇進試験の一環として適性検査が行われるケースもあるでしょう。いずれのケースでも、適性検査は能力や性格を数値化し、公平公正に判断するための重要な手法となっています。

適性検査とSPIの違い

適性検査は、能力や性格を数値化し客観的に判断するためのテストです。ここでは、SPIとの違いについて解説します。

SPIとは?

「SPI」は「Synthetic Personality Inventory」の略で、総合人材サービスを手掛ける株式会社リクルートの研究開発部門を擁する株式会社リクルートマネジメントソリューションズが開発した総合適性検査です。

SPIの内容は、働くために必須の知的能力を測る「能力検査」と、求職者の人となりを把握する「性格検査」の2つに大別されます。SPIを通して、求職者の能力や性格を定量的に測定・把握が可能です。

SPIは適性検査の一種

その有用性の高さから、現在では多くの企業や組織がさまざまな適性検査を開発・提供しています。そんな適性検査の中で、最もポピュラーものの一つがSPIです。

適性検査の一種であるSPIは、2023年3月期実績で利用社数年間15,500社、受検者数217万人に上っています。

社会人として必要とされる能力や性格といった資質を測定する適性検査として、広く一般に利用されているのがSPIです。

企業の約88%が適性検査を実施している

現在では、採用選考における適性検査の実施は、面接と並んで一般的な手法です。2020年の調査では、採用選考でSPIを始めとした何らかの適性検査や筆記試験を実施している企業は87.8%に上っています。

画一的な手法に抵抗のある方もいるかもしれませんが、能力・スキルや性格・適性を客観的に把握できる適性検査は、多くの人事担当者が「非常に参考になる」と評価しているのが現状です。実施企業では一般的に、適性検査の結果を「いわゆる足切り」「優秀な人材や適正な人材のピックアップ」「面接の補助資料」として活用しています。

ミスマッチを防止し公平公正な採用活動を実現するためにも、適性検査は今後ますます重要になるでしょう。

適性検査には2つのタイプがある

前述の通り、適性検査は「性格検査」と「能力検査」の2つに大別されます。その特徴を一つずつ見ていきましょう。

性格検査

性格検査では、受験者の指向性や物事に取り組む姿勢、職務や組織への適応力などを測定できます。求職者の性格をいくつかのパターンに分類することができるため、会社が求める人物像に近い人材をピックアップすることが可能です。また、ミスマッチによって職場に馴染めないといった事態を防止し、早期離職を最小限に抑えることができるでしょう。

能力検査

能力試験では、受験者が働く上で最低限必要となる基礎的な能力を有しているかを測定できます。基礎的な能力とは、どのような仕事にも共通して求められるベースとなる能力です。主に言語分野と非言語分野の問題が出題され、知識や技能の習得能力、理解能力、処理能力、論理的思考能力などが測定されます。能力検査を実施することで、企業が求める水準を満たしているか否かを確認可能です。

適性検査のテスト形式(受験方法)

従来、適性検査は対面での筆記試験が一般的でした。しかし、近年ではコロナ禍の影響などでWeb試験も増えています。ここでは、それぞれの特徴を紹介しましょう。

筆記試験

適性検査の最も一般的なテスト形式は、筆記試験です。通常、採用選考を受ける企業に出向き、面接前もしくは同日に実施されます。マークシート形式で実施されるのが一般的です。Web試験とは異なり採点結果はその場で確認できず、実施主体の拠点に記入済みのマークシートが到着して数時間から数日後に結果が出ます。

筆記試験ではマークシートを塗りつぶす必要があるため、シャープペンシルは不向きです。必ず鉛筆を用意してください。試験によっては鉛筆ではなくボールペンが必要となるため、筆記試験を受ける際は計算・メモ書き用のシャープペンシルと、マークシート用の鉛筆もしくはボールペンを必ず携行しましょう。

Web試験

コロナ禍の影響などにより、近年増えているのがWeb試験です。Web試験にはテストセンターに出向いて備え付けのパソコンで受験する方法と、自宅等のパソコンからインターネット経由で受験する方法の2つの形式があります。

テストセンターの場合は、採用選考を受ける企業が指定した会場から、都合の良い会場と日時を予約して受験するのが一般的です。なお、性格検査は予約前に自宅等のパソコンで実施し、残りの能力検査をテストセンターで受験するという流れになります。

一般的に、採点結果はその場でダウンロードでき、1年以内であれば結果を他の企業に送信することも可能です。

所要時間の目安

適性検査は、制限時間が設けられているのが一般的です。短い時間に一定量の問題を解かなければならないため、適性検査は時間との勝負といえます。ここでは、SPIを例に所要時間の目安を紹介しましょう。

SPIの所要時間は、テストセンターとペーパーテストで異なります。テストセンターおよびペーパーテストの制限時間下記の通りです。

  • テストセンター性格検査:30分
    能力検査:35分
  • ペーパーテスト
    性格検査:40分(300問)
    能力検査:70分(言語問題:30分/40問・非言語問題:40分/30問)

テストセンターの場合、1問ずつ時間制限があり、一定時間が経過すると未回答でも次の問題に進んでしまいます。前の問題に戻ることもできません。さらに、問題数や難易度は、回答率や回答時間に応じて受験者ごとに異なるため注意しましょう。

適性検査の種類と特徴

ここまで、多くの企業や組織がさまざまな適性検査を開発・提供していると紹介しました。ここでは、主要な適性検査について、その特徴を解説します。

SPI3

「SPI」は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが開発した総合適性検査です。1974年の誕生以来数度のバージョンアップを重ね、最新版は2013年のSPI3となっています。

SPIには検査対象者に応じて複数の種類があり、新卒採用者向けはSPU3-Uです。中途採用者向けはSPU3-Gと呼ばれ、SPU3-Uより難易度が高めに設定されています。

SPIは言語問題・非言語問題からなる能力検査と性格検査からなり、5~10択問題が中心です。試験時間は前章をご参照ください。

玉手箱

「玉手箱」は日本エス・エイチ・エル株式会社が開発した総合適性診断システムです。新卒採用で課されるWeb試験では、SPIと並んでポピュラーな適性検査となっています。

言語理解・計数理解からなる知的能力と、パーソナリティの両面から測定が可能です。診断結果は、紙ベースのIMAGES検査6尺度のフォーマット、もしくは入社時に見ておくべき9特性のフォーマットで報告されます。

テスト形式はWeb試験で、3~5択問題が中心です。基本的には新卒者を対象とした適性検査で、試験時間は49分となっています。

CAB・GAB

「GAB」は「Graduate Aptitude Battery」の略で、玉手箱と同様日本エス・エイチ・エル株式会社が開発した総合適性診断システムです。GABは知的能力と、パーソナリティの両面から測定が可能で、新卒総合職の採用を目的としています。

マークシート方式の筆記試験の場合、制限時間は90分です。パソコン受験方式のWebGABは、制限時間80分となっています。言語理解は長文読解がメインとなっており、5択問題が中心です。短い文章問題がメインのSPIより難易度が高いといわれています。

同じく日本エス・エイチ・エル株式会社が開発した「CAB」は「Computer Aptitude Battery」の略で、SEやプログラマーなどのコンピュータ職の採用を目的としています。

マークシート方式の筆記試験の場合、制限時間は95分です。パソコン受験方式のWebCABは、制限時間75分となっています。幅広い資質が測定されるGABとは異なり、CABでは言語理解が出題されません。その分、計数理解に重きを置いた出題内容となっています。

OPQ

「OPQ」は「Occupational Personality Questionnaires」の略で、玉手箱やCAB・GABと同じく日本エス・エイチ・エル株式会社が開発した適性検査です。総合適性診断に含まれているパーソナリティ検査のみを行いたい場合は、OPQもしくはWebOPQを実施しましょう。

マークシート方式の筆記試験の場合、制限時間は30分です。パソコン受験方式のWebOPQは、制限時間25分となっています。

詳細な測定結果とともに、入社時に見ておくべき9つの特性、将来のマネジメント適性、8つの職務適性について予測が可能です。

TG-WEB

「TG-WEB」は、株式会社ヒューマネージが開発した適性検査です。従来型と新型があり、どちらで実施するかは企業によって異なりますが、現在の主流は従来型となっています。

従来型の試験は、他の適性検査とは異なる比較的難しい問題が出題されます。制限時間は言語問題12分、計数問題18分、英語問題15分の計45分です。一方、新型の試験は、比較的易しい問題が短時間に数多く出題されます。制限時間は言語問題7分、計数問題8分、英語問題15分の計30分です。

TG-WEBは、従来型と新型で問題形式や難易度が大きく異なります。一度受けたことがあっても、別の企業では全く異なる内容が出題される可能性もあるため、十分注意しましょう。

適性検査の問題・例題

前章では、主要な適性検査の概要について解説しました。ここからは、SPIを例に、実際に出題される問題や例題を紹介します。

能力検査の問題例

ここでは、能力問題の例題をご紹介します。能力問題は言語分野と非言語分野に分かれるため、一つずつ見ていきましょう。

  • 言語分野
例題1下線部のことばの意味を考え、意味が最もよく合致するものを1つ選びなさい

火を消すこと

  1. 火事
  2. 火気
  3. 消火
  4. 発火
  5. 放火

答え:C

  • 言語分野
例題2あるネットカフェでは2時間以上利用すると料金が最初の1時間は5%、2~3時間目は10%、4時間目以降は20%引きとなる。1時間1,000円の部屋を7時間利用する時、利用料金は合計いくらか。

  1. 5,600円
  2. 5,350円
  3. 5,550円
  4. 5,950円
  5. 5,700円

答え:D

最初の1時間:1,000円 × 0.95 = 950円
2~3時間目:1,000円 × 0.9 = 900円
4時間目以降:1,000円 × 0.8 = 800円
合計金額:950円+900円×2時間+800×4時間=5,950円

性格検査の問題例

続いて、性格検査の例題をご紹介します。

例題3以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。最も近い選択肢を1つ選んでください。

  1. A. 一人で旅行するのが好きだ
    B. 皆で旅行するのが好きだ
  1. A. 買い物ではよいと思ったらすぐ買ってしまう
    B. 気に入っても一度店を出て考え直す
  1. A. 勝負は時の運だ
    B. 勝負は努力の結果だ
  1. A. 気が合うのは想像力のある人だ
    B. 気が合うのは実行力のある人だ
  1. A. うそも方便である
    B. うそはついてはいけない

【選択肢】

Aに近い
どちらかといえばAに近い
どちらかといえばBに近い
Bに近い

適性検査で落ちる理由

適性検査に落ちる確率は企業の方針によって異なるため一概にはいえませんが、結果が著しく悪いといわゆる足切りを受ける可能性があるでしょう。人気の高い大手企業の場合、7~8割以上の正答率が通過のボーダーラインといわれています。

適性検査は、対策を行うことである程度通過率を高めることが可能です。ここでは、適性検査に落ちる主な理由について解説します。

企業が求める人物像に合致していない

能力検査で高得点を記録しても、性格検査の結果が企業の求める人物像と合致していない場合は落とされる可能性があります。例えば、チャレンジ精神が求められる会社と、緻密な行動が求められる会社では、重視する性格検査の傾向が異なるのが一般的です。

このような場合、たとえ合格してもミスマッチが起こり、入社後に能力を最大限発揮できない可能性があります。就活においては、自身の特性と求める人物像が合致した企業を探すことが重要です。

企業が求める基準に到達していない

能力検査において、企業が求める基準に達していなかった場合は、いわゆる足切りを受ける可能性があります。特に、新卒採用など一度に多くの採用選考が行われるような場合は、能力検査のスコアはシビアに判定されるでしょう。

一方で、能力検査は対策を行うことである程度スコアを引き上げられます。スコアが低いと対策を怠った積極性の低い求職者と判断されかねないため、しっかりと対策を行うことが重要です。

全問回答できなかった

時間が足りなくなり全問回答できなかった場合も、適性検査に落ちる可能性があります。合否を判定するための判断材料が不足してしまうためです。

また、全問回答できないと本番に弱い、処理能力が低い求職者であると判断されかねません。事前に参考書等でしっかりと対策し、時間配分に気をつけて最後まで回答することが重要です。

回答に矛盾がある

性格検査の回答に矛盾があった場合、不合格となってしまう可能性があります。例えば、自分を良く見せようと虚偽の回答を行った場合は、回答に矛盾が生じる可能性が高まるでしょう。

そもそも、適性検査にはライフスケールという判断基準があり、虚偽の回答がわかるようになっています。ライフスケールのスコアが高いと不合格になる可能性が高くなるため、性格検査は正直に回答することが重要です。

適性検査のテスト対策法

前章でも触れたとおり、適性検査は対策を行うことで、通過率を引き上げることが可能です。ここでは、適性検査のテスト対策法を紹介します。

問題の傾向を事前に把握しておく

適性検査で出題される問題は、中学校から高校で習う程度の内容が一般的です。しかし、初見では回答し難い問題もあるため、参考書等で事前に問題の傾向を把握しておくとよいでしょう。

また、筆記試験とWeb試験ではテストの形式が大きく異なります。特に、Web試験は1問ごとに時間制限があり、前の問題に戻れないといった特徴があるため、事前にテスト形式を確認して本番で慌てないようにしましょう。

重点的に対策して苦手分野を無くす

適性検査の能力検査は、国語の問題が出題される言語分野と、数学の問題が出題される非言語分野が出題されます。苦手分野がある場合は、重点的に対策を行い苦手分野を克服しましょう。

適性検査のボーダーラインは正答率7~8割以上といわれています。適性検査をパスするためには、苦手分野をなくして失点を最小限に抑えることが重要です。

制限時間を意識する

適性検査を受ける際は、制限時間を常に意識しましょう。正答率にこだわるあまり、最後まで回答できないと、正確な判断が行われずに不利になるためです。

一般的に、適性検査は比較的短い時間で多くの問題を解かせるような設計になっています。最後まで回答できないと、処理能力が低いと判断されかねません。正答率だけにこだわらず、少し考えてわからない問題は飛ばして次に進むという判断も重要です。

しっかりと対策を行い適性検査に挑もう!

今回は適性検査について解説しました。適性検査とは、新卒や転職などで採用選考を受ける際に、能力や性格を定量的に測定するため実施されるテストです。新卒採用試験でSPIを受けたことがある方もいるかもしれません。

なお、SPIは1974年に株式会社リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査の一種です。数度のバージョンアップを重ね、現在は2013年に公開されたSPI3が最新となっています。

適性検査で課されるのは、仕事で求められる能力やスキルを測る能力検査と、求職者の人となりを把握するための性格検査の2種類です。能力検査は、参考書等で対策することである程度スコアを引き上げられます。当記事を参考に、しっかりと対策を行い適性検査に挑みましょう。


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