• 更新日 : 2026年8月4日

子ども・子育て拠出金とは?会社負担の計算方法・拠出金率・端数処理をわかりやすく解説

Point子ども・子育て拠出金とは何か?

子ども・子育て拠出金は、厚生年金加入者を雇用する事業所が全額負担する法定の拠出金です。

  • 2025・2026年度の拠出金率は0.36%で据え置き
  • 従業員の子どもの有無にかかわらず全員が算定対象
  • 端数処理は事業所全体の合算後に1円未満を切り捨て

Q. 子ども・子育て支援金との違いは?

A. 拠出金は事業所の全額負担、支援金は2026年4月開始の労使折半制度で別制度です。

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子ども・子育て拠出金(旧称:児童手当拠出金)は、事業所が全額負担する法定の拠出金であり、児童手当や保育支援など次世代育成に関わる財源として活用されています。社会保険料と一括で納付されるため、人事労務担当者が正確な仕組みと計算方法を把握しておくことは業務上不可欠です。本記事では、拠出金の対象・負担者・拠出金率の推移・計算例・端数処理のルール、さらに2026年から始まった子ども・子育て支援金との違いまでをまとめて解説します。

子ども・子育て拠出金とはどのような制度?

子ども・子育て拠出金とは、子育て支援や児童手当の財源を事業者の負担によって確保する制度です。厚生年金保険に加入する被保険者を使用する事業所が対象となり、従業員の子どもの有無にかかわらず全員分を算定・納付しなければなりません。なお、2015年以前は「児童手当拠出金」という名称でした。

子ども・子育て拠出金の用途はどこに使われるか

子ども・子育て拠出金は、国が管理する子育て関連の財源として、以下の事業に充てられています。

用途 主な内容
児童手当 0歳〜18歳年度末まで対象。3歳未満1万5,000円、3歳以上高校生年代1万円(第3子以降3万円)。偶数月(年6回)に前2カ月分を支給
地域子ども・子育て支援事業 放課後児童クラブ、延長保育事業、病児保育事業 など
仕事・子育て両立支援事業 企業主導型保育事業(多様な就労形態に対応)、保育待機児童の解消支援
保育の運営費 0歳〜2歳児相当分の保育費用

参考:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」|こども家庭庁

参考:こども家庭庁「参考資料」|こども家庭庁

参考:全国保育士養成協議会「仕事・子育て両立支援事業の概要(企業主導型保育事業)」|全国保育士養成協議会

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子ども・子育て拠出金の仕組みはどうなっている?

子ども・子育て拠出金は、負担者・対象条件・納付方法の3つの要素で成り立っています。社会保険料とは異なり、事業所が全額を負担する点が最大の特徴です。

子ども・子育て拠出金の負担者

子ども・子育て拠出金の費用は、厚生年金保険に加入する被保険者を雇用する事業所が全額負担します。従業員個人が拠出金を負担することはなく、事業所のみが納付義務を負います。

対象となるのは、会社員や公務員など70歳未満の厚生年金保険被保険者を雇用する事業所です。個人事業主や自営業者は原則として厚生年金保険に加入できないため対象外ですが、5人以上の従業員を常時雇用する個人事業所(農林漁業・サービス業の一部を除く)は強制適用事業所に該当し、厚生年金保険への加入が義務付けられます。

子ども・子育て拠出金の対象条件

子ども・子育て拠出金の対象は、子どものいる従業員に限定されません。厚生年金保険に加入しているすべての被保険者が算定対象となります。

児童手当の財源という性格上、子育て中の従業員のみが対象と誤解されがちですが、独身者・既婚者・子どもの有無を問わず、厚生年金保険の加入者であれば全員が拠出金の算定対象です。そのため事業所は、厚生年金保険加入者に支払った給与・賞与のすべてをもとに拠出金を算定・納付する必要があります。

子ども・子育て拠出金の納付方法

子ども・子育て拠出金は、毎月日本年金機構から届く社会保険の納入告知書を使い、健康保険料や厚生年金保険料と一括で納付します。

納入告知書には領収済通知書・領収控・納入告知書(納付書)・領収証書が同封されており、書類を切り離さずに金融機関へ持参して納付します。また、以下の方法でも納付が可能です。

  1. 口座自動振替(預金口座振替依頼書を提出。利用可否は管轄の年金事務所に要確認)
  2. ATMでの納付
  3. Pay-easy(ペイジー)によるネット決済(パソコン・スマートフォン・ATMで24時間365日対応)

子ども・子育て拠出金の拠出金率はいくら?

2025(令和7)年度・2026(令和8)年度ともに、子ども・子育て拠出金率は0.36%で据え置きとなっています。直近の改定は2020(令和2)年4月で、0.34%から0.36%に引き上げられました。

拠出金率の推移は以下のとおりです。

年度 拠出金率
2015(平成27)年 0.15%
2016(平成28)年 0.20%
2017(平成29)年 0.23%
2018(平成30)年 0.29%
2019(令和元)年 0.34%
2020(令和2)年 0.36%
2021(令和3)年 0.36%
2022(令和4)年 0.36%
2023(令和5)年 0.36%
2024(令和6)年 0.36%
2025(令和7)年 0.36%
2026(令和8)年 0.36%

出典:国立国会図書館デジタルコレクション「少子化対策の諸財源」|国立国会図書館

法律で定められた拠出金率の上限は、2025年度(令和7年度)より従来の1,000分の4.5から1,000分の4.0へ引き下げられています。実際の適用率は政令で定められ、正式決定後は毎年4月1日以降に日本年金機構の公式サイト「大切なおしらせ」で確認できます。

参考:子ども・子育て拠出金率が改定されました|日本年金機構

子ども・子育て拠出金の計算方法は?

子ども・子育て拠出金の計算は、被保険者ごとに「標準報酬月額 × 拠出金率」および「標準賞与額 × 拠出金率」を算出し、全員分を合算した後に1円未満の端数を切り捨てます。被保険者個々に端数処理を行わない点が重要です。

標準報酬月額

標準報酬月額とは、従業員に毎月支払われる報酬を月単位で標準化した金額です。実際の報酬月額を日本年金機構が定める等級表に当てはめ、該当する等級の金額を使用します。次の項目が報酬に含まれます。

  • 基本給
  • 役職手当
  • 勤務地手当
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 残業手当
  • 休日出勤手当 など

標準賞与額

標準賞与額とは、事業所から支給される税引き前の賞与額をもとに算出する金額です。標準賞与額は1,000円未満の端数を切り捨てて計算します。なお、年4回以上支給される賞与については標準報酬月額の対象に含まれるため、取り扱いの違いに注意が必要です。

標準報酬月額・標準賞与額の上限はどう定められているか

標準報酬月額と標準賞与額には、保険の種別ごとに上限が設けられています。

保険の種別 上限の基準
健康保険 年度内の報酬累計額573万円を上限
厚生年金保険・子ども・子育て拠出金 支給1回あたり150万円を上限

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは?|日本年金機構

子ども・子育て拠出金の計算例は?

子ども・子育て拠出金は、被保険者ごとに算出した金額を合算した後、1円未満の端数を切り捨てる形で処理します。個人ごとではなく事業所全体の合算後に端数処理を行うことがポイントです。

以下は、従業員A・B・Cの3名がいる事業所の計算例です(拠出金率0.36%)。

従業員 標準報酬月額 標準賞与額
Aさん 360,000円 535,000円
Bさん 260,000円 476,000円
Cさん 240,000円 0円(賞与なし)

① 毎月の給与に係る拠出金(事業所合計)

(360,000×0.36%)+(260,000×0.36%)+(240,000×0.36%)=3,096.0円→ 3,096円

② 賞与支給月の拠出金(事業所合計)

(535000×0.36%)+(476000×0.36%)=3639.6円→3639円(1円未満を切り捨て)

※給与・賞与それぞれについて、被保険者ごとに端数処理するのではなく、全員分を合算した後に1円未満を切り捨てます。

子ども・子育て拠出金の実際の納付額はどこで確認できる?

子ども・子育て拠出金の金額は、日本年金機構から送付される保険料納入告知額・領収済額通知書で確認できます。通知書には健康保険料・厚生年金保険料と並んで「子ども・子育て拠出金」の項目が個別に記載されています。

健康保険料や厚生年金保険料は事業所と被保険者が折半して負担しますが、子ども・子育て拠出金は事業所が全額を負担する税金として区別されています。折半負担の保険料よりも金額は小さいものの、確実に計上・納付することが求められます。

子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金の違いは?

子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金は、名称が似ていますが全く別の制度です。混同しやすいため、実務担当者は両者の違いを正確に把握しておく必要があります。

子ども・子育て拠出金は企業が全額負担する制度であり、厚生年金の適用事業所に対して徴収されます。そのため、従業員の給与から控除されることはなく、給与明細に表示される項目でもありません。一方、子ども・子育て支援金は健康保険制度を通じて徴収され、事業主と従業員が労使折半で負担します。

2つの制度の主な違いを以下の表にまとめます。

項目 子ども・子育て拠出金 子ども・子育て支援金
開始時期 2015年(旧制度は1972年〜) 2026年4月〜
徴収方法 厚生年金保険料と一括納付 健康保険料に上乗せして徴収
負担者 事業所が全額負担 事業主と従業員が労使折半
給与明細への記載 なし(従業員負担なし) あり(従業員負担分を控除)
算定基礎 厚生年金の標準報酬月額・標準賞与額 健康保険の標準報酬月額・標準賞与額

従来の拠出金(全額会社負担)はなくならず継続されます。2026年からは、それに加えて支援金(労使折半)が新たに徴収されるため、企業にとっては実質的に負担が追加されることになります。

子ども・子育て拠出金に関する実務と担当者の工数負担

マネーフォワードでは、従業員の産休や育休に関する実務に携わる担当者を対象に、一連の手続きにおける課題についての調査を実施しました。

社会保険料免除手続きや個別試算に伴う業務負担

育児休業に関する一連の手続きの中で特に工数がかかる、または判断が難しい業務を尋ねたところ、最も多かったのは育児休業給付金の申請書類作成と提出で43.2%、次いで社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続きが42.3%でした。また、育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明が29.8%、従業員への個別周知および休業意向の確認が29.1%、復職後の短時間勤務に伴う社会保険変更等の手続きが21.8%と続いています。

子ども・子育て拠出金は、社会保険料と一括で納付する仕組みです。そのため、従業員のライフステージ変化に伴う社会保険関連の手続きや、それに付随する計算業務、従業員への説明対応などを正確に行うことは、人事労務の現場において相応の手間を要する実務となっています。

出典:マネーフォワード クラウド、特に工数がかかる、または判断が難しい業務【産休・育休に関する調査データ】(回答者:866名(有効回答:従業員の産休・育休に関する実務に関与する674名)、集計期間:2026年3月実施)

子ども・子育て拠出金を正確に把握して確実な納付につなげるために

子ども・子育て拠出金(旧称:児童手当拠出金)は、厚生年金保険加入者を雇用するすべての事業所が全額負担する法定の拠出金です。従業員の子どもの有無にかかわらず算定対象となり、拠出金率(2025・2026年度ともに0.36%で据え置き)を標準報酬月額・標準賞与額に乗じて計算します。端数処理は個人単位ではなく事業所全体の合算後に行う点を押さえましょう。また、2026年4月から始まった子ども・子育て支援金とは別制度であるため、混同しないよう注意してください。拠出金率の最新情報は日本年金機構の公式サイトで定期的に確認することをおすすめします。

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