• 作成日 : 2022年2月4日

現物給与とは?具体例や価額、課税の有無について分かりやすく解説!

現物給与にはどのようなものがあり、その価額がどのように決められているのかをご存知でしょうか。一般的には社員の給料は現金で支払いますが、食事、通勤定期券、住宅の提供など、現金以外のものを現物で支給することもできます。

現物給与の種類や価額、課税されるものと非課税となるものについて、具体例をあげてわかりやすく解説します。

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現物給与とは?

現物給与とは、金銭以外で受ける経済的利益のことです。通常、給与は現金で支給しますが、ときには食事や制服、通勤定期券を現物支給することもあるでしょう。所得税法では、自社商品を値引販売する場合や社員に社宅を割安で提供する場合など、物や権利を無償または低価額で提供する場合の経済的利益が、現物給与の対象となります。

所得税法における現物給与の対象になるものは、主に以下の4つのケースがあります。

  1. 物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益
  2. 土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
  3. 福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益
  4. 個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益

引用:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

法律によって現物給与の範囲が異なることにも注意しましょう。

労働基準法では、労働の対償として使用者から支払われるすべてのものを賃金としています。現物で支給する場合に、代金を従業員から徴収する場合には、原則として賃金にはなりませんが、徴収金額が実際の費用の3分の1以下など低額なときには、徴収した金額と実際の費用の3分の1との差額が賃金とみなされます。

また、住宅の貸与など労働者のための福利厚生施設は賃金とはみなされません。結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金などについても原則として賃金には該当しませんが、就業規則や労働協約、労働契約などによって支払い条件が明確に定められている場合には、賃金に該当します。食事の供与は、原則として福利厚生とみなし、賃金とはしないことになっています。しかし、福利厚生とみなすには、食事の供与による利益の客観的な評価額が僅少なもので、賃金の減額を伴わず、就業規則や労働協約などで明確な労働条件の内容になっていないことが条件となります。

多くの企業で、給与は銀行などの口座振り込みとしています。しかし、労働基準法24条では、賃金は通貨で支払うことが原則です。企業が口座振り込みにより給与を支払うには、労働者の同意と口座振込を行うための労使協定(労働者の過半数で組織する労働組合や労働者の過半数を代表する者と結んだ書面による協定)を締結しなければならないため、注意が必要です。

賃金の一部を現物支給する場合にも、労働者の過半数で組織する労働組合との労働協約が必要となります。労働基準法では現物給与を原則認めていないため、労働協約なしに通勤定期券や自社商品や製品などを現物支給することができないことに注意しましょう。

現物給与の具体例

現物給与の対象になるものにはさまざまなものがあります。現物給与の代表的な具体例を見てみましょう。

【現物給与の具体例】

  • 食事、食事代補助
  • 通勤定期券
  • 記念品
  • 会社の商品・製品、商品・製品の値引き販売
  • 商品券、カタログギフト
  • ユニフォーム
  • 無償または低価額の社宅や寮、家賃補助
  • 社員食堂、保養所などを利用できる権利
  • 社員旅行、社員のレクリエーション費用
  • レジャークラブ、スポーツクラブ、ゴルフクラブの入会金や年会費など
  • 人間ドックの会社負担
  • 個人的債務の免除または負担による経済的利益
  • 冠婚葬祭のご祝儀、見舞金、香典など

現物給与は原則として通貨に換算して、従業員の給与所得として課税されますが、通勤定期券のように一定の範囲内で非課税となるものがあります。以下のものは、性質上金銭による給与とは異なるため、例外的な取り扱いが定められているので注意しましょう。

  1. 職務の性質上欠くことができず、主に使用者側の業務遂行上の必要性から支給されるもの
  2. 換金性に欠けるもの
  3. 換金性の点で評価が困難なもの
  4. 受給者側に物品などの選択の余地がないもの
  5. 政策上特別の配慮を要するもの

引用: No.2508 給与所得となるもの|国税庁

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現物給与の価額は?

食事や住宅などの現物給与の価額はどのように決めればよいのでしょうか。所得税を計算する上での給与収入に含まれる価額と健康保険や厚生年金保険標準報酬月額に含まれる価額に分けて解説します。

現物給与の価額の決め方

所得税法における現物給与は、その価額を通貨に換算して従業員の給与収入に算入します。

例えば食事の提供であれば、「食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税」されることになります。

引用:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

従業員の弁当を企業が取り寄せて支給する場合には、企業が弁当を注文した業者に支払う金額から従業員が負担した金額を控除した金額、社員食堂で企業が食事を支給した場合には、食事を作るためにかかった費用の合計額から従業員が負担した金額を控除して計算します。

食事、住宅や寮、通勤定期券など現物給付に関する非課税となる範囲についての計算方法は、国税庁のホームページに詳しい説明があります。所得税が非課税となる現物給与の代表例は口述しますが、費用の種類や従業員の負担割合によっても価額の計算方法が異なるため、必ず確認しましょう。

参考:
No.2508 給与所得となるもの|国税庁
No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき|国税庁
No.2594 食事を支給したとき|国税庁
No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

現物給与は健康保険や厚生年金の標準報酬月額にも含まれる

健康保険料や厚生年金保険料を計算するときに使う標準報酬月額には、現物給与の価額が含まれます。食事と住宅の現物給与は、厚生労働大臣が都道府県ごとにその価額を定めて公表していますので、標準報酬月額を算定する際には、最新の情報を入手して計算しましょう。

【令和3年4月からの現物給与の価額】
現物給与の価額
引用:全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)令和3年4月~|日本年金機構

食事の費用の一部を従業員が負担することもあるでしょう。従業員の負担した食事費用の金額が現物給与の価額の3分の2未満の場合には、現物給与の価額と負担額との差額を報酬に算入します。従業員の負担した食事費用の金額が現物給与の価額の3分の2以上の場合は、報酬には算入しません。

住宅の家賃等を従業員が負担している場合には、3分の2要件の取り扱いはなく、現物給与の価額と従業員が負担した金額の差額が報酬に算入されます。

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現物給与に所得税は課税される?

現物給与には、所得税が課税されるものと非課税となるものがあるため注意が必要です。現物給与は原則として通貨に換算して、従業員の給与所得として課税対象となりますが、現物給与が非課税となるケースも多くあります。その代表となる具体例を見ていきましょう。

所得税が非課税の現物給与

所得税が非課税となる現物給与の代表例には以下のものがあります。これ以外にも非課税となるものが多数あります。詳しくは国税庁のホームページでも確認できますが、専門的な知識も必要とするため、税理士などの専門家にも相談し、確認を怠らないようにしましょう。

1.通勤手当

通勤定期券は、「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」を条件に、1か月当たり15万円までのものが非課税になります。新幹線も対象になりますが、グリーン料金は対象外です。

2.食事代

食事の提供は、従業員が食事の価額の半分以上を負担し、かつ、会社で負担した金額が1か月当たり3,500円(消費税抜き)以下であれば、非課税です。この要件を満たさない場合、会社が負担した金額は給与として課税対象になります。なお、残業や宿日直をした場合の食事の現物支給は全額福利厚生費として計上できるため、従業員に無料で支給しても非課税です。

3.社宅・社員寮

従業員に社宅や社員寮を貸与する場合、従業員が一定の方法により計算した1か月当たりの家賃(賃貸料相当額)以上の金額を企業に支払っていれば、非課税になります。賃料相当額の計算方法は、以下の①~③の合計額です。

①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
➁12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

引用:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

従業員に社宅や社員寮を無償で貸与すると、賃貸料相当額が給与として課税対象になります。従業員が賃貸料相当額以下の家賃を負担している場合には、従業員から受け取った家賃と賃貸料相当額との差額が課税対象になります。ただし、従業員が賃貸料相当額の50%以上を負担していれば、従業員から受け取った家賃と賃貸料相当額との差額は課税対象になりません。

4.社員旅行費用

社員旅行費用は、「従業員に供与する経済的利益の額が少額」であり、「強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないもの」と認められる場合に、原則として非課税になります。

参考:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

ただし、旅行の期間が4泊5日以内(海外旅行の場合は、外国での滞在期間が4泊5日)、かつ、旅行参加人数が全体の50%以上である必要があります。

研修旅行など業務上直接必要となる旅行は、観光などレクリエーションとなる部分を除き、給与として課税されないことも覚えておきましょう。

参考:
No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
No.2594 食事を支給したとき|国税庁
No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

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現物給与の計算方法について、詳細は専門家に相談しよう

現物給与とは、金銭以外で受ける経済的利益のことです。所得税法では、物や権利を無償または低価額で提供する場合の経済的利益が、現物給与の対象になります。また、現物給与は、健康保険料や厚生年金保険料を計算する際の標準報酬月額を算定する際にも、一定のルールによりその価額を通貨に換算して報酬に算入します。

所得税法、労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法など、法律によって現物給与の範囲や金額が異なることにも注意しなければなりません。

現物給与には、所得税が課税されるものと非課税となるものがあり、非課税となる金額の範囲や計算方法は、費用の種類や従業員の費用の負担割合によっても異なるため、注意が必要です。

食事、社宅や社員寮、通勤定期券など現物給付に関する計算方法は、国税庁のホームページに詳しい説明があります。しかし、専門的な知識を必要とするため、税理士などの専門家に相談し、必ず確認するようにしましょう。

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よくある質問

現物給与とはなんですか?

現物給与とは、金銭以外で受ける経済的利益のことです。所得税法では、物や権利を無償または低価額で提供する場合の経済的利益が、現物給与の対象になります。 詳しくはこちらをご覧ください。

現物給与の具体例について教えてください

現物給与の対象には、食事、通勤定期券、ユニフォーム、会社の商品・製品、社宅・寮、社員旅行費用などさまざまなものがあり、非課税となるものも多くあります。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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