- 更新日 : 2023年6月23日
ビジネスで使える「アイスブレイク」とは?効果や活用例を解説!
ビジネスにおいて、コミュケーションを円滑にするための手法はいろいろありますが、ビジネスシーンで手軽に取り入れることができるものに「アイスブレイク」があります。今回は、アイスブレイクの意味、効果など基本的な事項のほか、具体例や注意点について解説していきます。
目次
アイスブレイクとは?
アイスブレイクは、英語で「氷を溶かす」という意味であり、緊張した固い雰囲気を和ませるという意味で用いられています。ビジネスシーンでは、初対面の人同士が出会うときや、会議や研修などの場面で、緊張感を和らげてコミュニケーションを円滑にするために行う手法や活動のことを意味しています。
アイスブレイクは、参加者の関係性や目的に応じて、後述するように、自己紹介や名刺交換、ゲームやクイズ、雑談などの手法があります。
アイスブレイクを使用するビジネスの場面
ビジネスシーンにおいて、実際にアイスブレイクを使用する場面について詳しくみていきましょう。
ミーティング
ミーティングでもアイスブレイクが活用されることがあります。出席者が初対面の場合のようにお互いのコミュケーションが不足している場合などは、ミーティングにおいて本音が出ないことが少なくありません。
例えば、部署を超えたプロジェクトチームを立ち上げ、ミーティングをする場合などが挙げられるでしょう。こうした場合、出席者同士が打ち解けるため、ミーティングの本題に入る前に自己紹介や名刺交換とともに、趣味、好きな食べ物、最近観た映画など、「一言テーマトーク」をアイスブレイクとして設けることが効果的です。
ただし、あくまで本題のミーティングで実のある議論ができることが目的です。ミーティングでのアイスブレイクは、通常5~10分程度で行われることが一般的でしょう。
研修
研修では、アイスブレイクを行うことで、参加者の気持ちを盛り上げ、学習意欲や集中力を高めることができます。また、参加者同士の個性や特徴を知ることで、相互理解や協力性を深める効果もあります。
研修でよく行われるロールプレイもアイスブレイクの一つであり、現実に起こるシチュエーションを想定して「役割(role)」と「演じる(play)」というゲーム的な特徴があります。研修のテーマ、参加者の人数にもよりますが、比較的、時間を長めに設けることも多く、10~15分程度で行われることが一般的です。
講演やセミナー
講演やセミナーでは、アイスブレイクを行うことで、聴衆の興味や関心を引き付け、話し手との親和性や信頼性を高めることができます。また、聴衆の緊張をほぐし、積極的な挙手や発言につなげることもできます。
自己紹介や自分のテーマに関するエピソードを話すことは、講演やセミナーでよく行われていることですが、これらもアイスブレイクです。また、聴衆に質問を投げかけたり、聴衆に手を挙げさせたりすることもアイスブレイクとしてよく用いられる手法です。テーマによっては、聴衆に簡単な体操やストレッチをさせることもあります。
採用面接
採用面接では、アイスブレイクを行うことで、応募者の緊張をほぐし、リラックスした状態で面接に臨んでもらうことができます。また、応募者との距離を縮め、本音を聞き出すことにも役立ちます。
エントリーシートや履歴書に記載された堅苦しい事項ではなく、応募者の好きな食べ物や映画などに関する話題、応募者気になる最近の出来事やニュースに関する話題、趣味や特技に関する質問などは、アイスブレイクとしては効果があります。ただし、時間的には1~3分程度、本題となる質問に割り込ませるのがよいでしょう。
商談
商談では、アイスブレイクを行うことで、相手の緊張をほぐし、信頼関係を築くことができます。相手のニーズや課題を引き出し、商談の成功につなげるという効果も期待できます。相手の会社や業界に関する質問など堅めのテーマから、最近の出来事やニュースに関する話題、相手の好きなスポーツや芸能人などに関する話題のように柔らかめのアイスブレイクが考えられます。
商談成立につなげるためのものであり、相手方との親密度によって適切なアイスブレイクを選ぶことが大切です。
アイスブレイクの効果
ここでは、改めてアイスブレイクの効果について整理しておきます。代表的な効果としては、緊張を緩和できる、相互理解が深まる、MTG参加者の発言がしやすくなる、という3つを挙げることができるでしょう。
緊張を緩和できる
アイスブレイクは、初対面の人や商談相手と接するときに、お互いの緊張感をほぐしてスムーズにコミュニケーションできる状態にするものです。緊張は、本来のパフォーマンスを発揮できないだけでなく、相手にも不快な印象を与える可能性があります。アイスブレイクを行うことで、緊張を緩和し、リラックスした雰囲気を作ることができます。
相互理解が深まる
アイスブレイクは、相手の名前や所属、役割などの基本的な情報を知るだけでなく、相手の性格や趣味などの個人的な情報も知ることができます。これにより、相手に対する理解や共感が深まり、信頼関係を築くことができるとともに、自分自身も相手に自己紹介をすることで、自分の存在感や魅力をアピールすることにつながります。
MTG参加者の発言がしやすくなる
アイスブレイクは、参加者同士の距離感を縮めることで、会議やワークショップなどの場において、発言しやすい環境を作ることができます。アイスブレイクでは、参加者が自分の意見や感想を言ったり、他の参加者に質問したりすることが促されます。これにより、参加者は積極的に発言する姿勢や態度を身につけることができます。
また、参加者同士のコミュニケーションが活発になることで、新たなアイデアや気づきが生まれる可能性も高まるでしょう。
アイスブレイクの具体例やトピック
これまでアイスブレイクの具体例をいくつか挙げましたが、さらに詳しくみていきます。
自己紹介
自己紹介は、アイスブレイクの定番です。相手に自分の名前や所属、役割などの基本情報を伝えるだけでなく、自分の特徴や好きなこと、得意なことなどを話すことで、相手に印象づけることができます。自己紹介のトピックとしては、以下のようなものがあります。
- 自分のニックネームや由来
- 自分の出身地や旅行したことのある場所
- 自分の趣味や好きな音楽・映画・本など
- 自分の夢や目標
- 自分の強みや弱み
- 自分の面白いエピソードや失敗談
自分の趣味や興味
自分の趣味や興味を話すことで、相手と共通点を見つけたり、新しい話題を提供したりすることができます。自分の趣味や興味に関するトピックとしては、以下のようなものがあります。
- 最近ハマっていることや、やってみたいこと
- 最近読んだ本や観た映画、ドラマ、アニメなど
- 最近聴いた音楽やおすすめのアーティスト、曲など
- 最近食べたものやおすすめのレストランなど
- 最近学んだことや知りたいこと
面白い経験
面白い経験を話すことで、相手に笑いを提供したり、自分の人柄や価値観を伝えたりすることができます。面白い経験に関するトピックとしては、以下のようなものがあります。
- 子どもの頃や学生時代の思い出
- 仕事やプライベートで起こった珍事件や奇跡
- 旅行や出張で訪れた場所や出会った人
- ペットや家族、友人とのエピソード
- 趣味やスポーツで挑戦したことや成果
夢や目標
夢や目標を話すことで、相手に自分の将来のビジョンや志向性を伝えることができます。夢や目標に関するトピックとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 自分がなりたい職業や役割
- 自分が達成したいことや挑戦したいこと
- 自分が訪れたい場所や体験したいこと
- 自分が学びたいことや習得したいこと
- 自分が影響を与えたい世界
最近話題になっている出来事
最近話題になっている出来事を話すことで、相手と時事問題や流行について意見交換したり、知識を増やしたりすることができます。最近話題になっている出来事に関するトピックとしては、以下のようなものがあります。
- 政治や経済、国際問題などのニュース
- 芸能やスポーツ、文化などのエンタメ情報
- ファッションや美容、健康などのトレンド
- ゲームやアプリ、SNSなどのテクノロジー
- グルメや旅行、ショッピングなどのおすすめ
クイズや質問
クイズや質問をすることで、相手に興味を持ってもらったり、楽しく会話したりすることができます。クイズや質問に関するトピックとしてどのようなものがあるか、挙げておきます。
- 一般常識や雑学などの知識問題
- 性格診断や占い、心理テストなどの自己分析問題
- あなたはどっち派?といった二者択一の好み問題
- 仮定法やif文、シチュエーションなどの想像力問題
- なぞなぞや謎解きなどの論理力問題
アイスブレイクを行う上での注意点
アイスブレイクは、手軽に活用することができますが、やり方を間違うと、マイナス効果になることもあります。注意点を確認しておきましょう。
個人的な話題や感情的な問題に踏み込み過ぎない
アイスブレイクは、相手と親しくなるための手段であり、目的ではありません。相手のプライバシーや感情を尊重し、個人的な話題や感情的な問題に踏み込み過ぎないようにしましょう。例えば、以下のような話題は避けるべきです。
- 家族や恋人、結婚、子育てなどの個人的な事情
- 政治や宗教、人種、性別などの敏感な問題
- 病気や死、不幸、トラウマなどのネガティブな話題
- 金銭や収入、貯金、借金などの経済的な話題
- 自慢や批判、嘘、誇張などの不誠実な話題
他人に会話を強要しない
アイスブレイクは、参加者が自発的に会話を楽しむことができるようにすることが大切です。他人に会話を強要したり、無理やり発言させたりすることは避けましょう。例えば、以下のような行為は控えるべきでしょう。
- 参加者に無関心や不快感を示されても無視する
- 参加者に質問攻めにしたり、追及したりする
- 参加者に自分の意見や考えを押し付けたり、否定したりする
- 参加者に無理な回答や行動を求めたり、強制したりする
- 参加者に失礼や侮辱・嫌がらせをしたり、からかったりする
参加者全員が関与できる話題を提供する
アイスブレイクは、参加者全員が関与できる話題を提供することが重要です。参加者の年齢や性別・職業・趣味などのバックグラウンドを考慮し、共通の興味や関心がある話題を選びましょう。以下のような話題はおすすめです。
- 今日の天気や季節、服装などの身近な話題
- 映画や音楽、アニメなどのエンタメ関連の話題
- スポーツや旅行、グルメ、ペットなどの趣味の話題
- 仕事や勉強、夢などの将来の話題
- 面白いエピソードや失敗談、自己紹介などの参加者の話題
時間は長過ぎない程度に留める
アイスブレイクは、短時間で行うことが効果的です。時間が長くなると、参加者の疲労や飽き・集中力の低下などが起こりやすくなります。また、本来の目的や内容に入る時間が減ってしまう可能性もあります。実際にアイスブレイクを使用する場面にもよりますが、長くても数十分程度に留めることが望ましいとされています。
アイスブレイクの時間を決める際には、以下の点に注意しましょう。
- 参加者の人数やバックグラウンド
- アイスブレイクの目的や内容
- アイスブレイク後の予定や流れ
- アイスブレイクの難易度や楽しさ
これらの要素に応じて、アイスブレイクの時間を調整することが大切です。例えば、参加者が多い場合や、アイスブレイク後に長時間の研修や会議がある場合は、短めに設定することがおすすめです。逆に、参加者が少ない場合や、アイスブレイク後に自由な交流がある場合は、少し長めに設定することもできます。
いずれにしても、制限時間を守るようにしましょう。制限時間を決めておくことで、参加者の緊張感や意欲を保つことができます。時間が押しても無理に延ばしたり、途中で切り上げたりしないことが大切です。参加者に不快感や不信感を与えることになりかねません。
アイスブレイクって何?ビジネスでの重要性を知っておこう!
アイスブレイクの意味、効果などのほか、具体例や注意点について解説してきました。ビジネスシーンでコミュケーションを円滑にするための手法として、アイスブレイクは手軽に取り入れることができます。注意点をよく理解し、効果的にアイスブレイクを行っていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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