• 作成日 : 2022年10月28日

日雇いアルバイトでもマイナンバーの提出が必要?取得する側の注意点も解説!

日雇いアルバイトや派遣労働者であっても、扶養控除等を受ける際にはマイナンバーカードが必要です。マイナンバーは勤務先の企業に提出が義務付けられているほか、副業で納税義務が発生した場合には税務署へ提出しなければなりません。今回は日雇いアルバイトとマイナンバーをテーマに、基礎知識や情報の悪用を防ぐポイントを解説します。

日雇いアルバイトでもマイナンバーの提出が必要?

日雇いアルバイトは正規雇用の従業員と比べると雇用期間が短く給与も低いため、勤務先にマイナンバーの提出が必要ないと思われがちです。しかし、年末調整所得控除などを受ける際に記載が必要となるため、マイナンバーを提出しなければなりません。年末調整に関わる書類であってもマイナンバー記載の要否が異なるため、一覧で確認してみましょう。

年末調整で提出する書類マイナンバー記載の要否
給与所得者の保険料控除申告書不要
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書不要
給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書納税者本人のマイナンバー:不要
配偶者のマイナンバー:必要
給与所得者の扶養控除等申告書納税者本人のマイナンバー:必要
扶養親族のマイナンバー:必要

令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
税務関係書類については、個人情報保護の観点からマイナンバーの記載を不要とする見直しが行われました。そのため、源泉徴収票や年末調整に関わる書類にはマイナンバーの記載は原則不要です。

例外的に、扶養控除等申告書については前年度と変更がない場合であっても、原則マイナンバーを記載しなければなりません。しかし、給与支払者が従業員等のマイナンバーを記載した帳簿などを備えており、下記の条件を満たす場合のみ記載を省略することが可能です。

  1. 前年度と変更がない
  2. 給与支払者と従業員との間で記載を省略する旨の合意がある
  3. 余白に「給与支払者に提供済みのマイナンバーと相違ない」旨を記載する
  4. 給与支払者が既に提供を受けている従業員等のマイナンバーを確認する
  5. 確認した旨を扶養控除等申告書に表示する

引用:令和4年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
参考:源泉所得税関係に関するFAQ|国税庁

日雇いアルバイトのマイナンバーの提出方法は?

日雇いアルバイトが勤務先にマイナンバーを提出するには、いくつかの方法があります。身分証明を兼ねてマイナンバーカードを提出するのが望ましい方法ですが、マイナンバーカードを取得していない場合でも代替手段があるため安心です。ここでは具体的な提出方法を紹介します。

マイナンバーカードのコピー

マイナンバーカードを取得済みであれば、マイナンバーカードのコピーを提出するのが最も確実です。顔写真付きのマイナンバーカードであれば本人確認も兼ねられるため、別途身分証明書等を用意する必要もありません。

マイナンバーカードは、行政手続きのオンライン窓口である「マイナポータル」を利用する際に必要です。さらに、将来的には健康保険証の代わりにもなるため、早めに取得するとよいでしょう。取得するタイミングによっては普及のための施策である「マイナポイント」なども付与されるため、情報をこまめにチェックしておくと、お得にマイナンバーカードを取得することが可能です。

なお、マイナンバーカードの有効期限は「発行日から申請者の10回目の誕生日まで」となっています。引き続き利用する場合は更新手続きが必要なので注意しましょう。

マイナンバーカードのコピー
参考:マイナンバーカード|総務省

マイナンバー付きの住民票のコピー+顔写真付きの身分証明書

マイナンバーカードを取得していない場合は、マイナンバーの記載がある住民票の写しを取得し、勤務先に提出しましょう。なお、請求者からの申し出がない限り、マイナンバーの記載は省略されます。住民票を取得する際に必ずマイナンバーの記載を希望する旨を申し出てください。ちなみに交付手数料は1通300円で、有効期限は定められていません。提出先の判断によりますが、一般的には取得後3ヶ月以内とされているため注意が必要です。

また、本人確認や年齢確認のために身分証明書の提示を求められるケースも珍しくありません。マイナンバーカードが無い場合は、運転免許所やパスポートなど顔写真付きの身分証明書も合わせて提出しましょう。

通知カードのコピー+顔写真付きの身分証明書

平成27年10月のマイナンバー制度導入後に順次郵送された「通知カード」でもマイナンバーの確認が可能です。マイナンバーカードを取得していない場合は、通知カードのコピーを勤務先に提出しましょう。なお、通知カードは令和2年5月25日に廃止され「個人番号通知書」に置き換わっています。個人番号通知書は、マイナンバーを証明する書類としては認められていないため注意が必要です。個人番号通知書しか無い場合は、マイナンバーカードかマイナンバーの記載がある住民票の写しを取得しなければなりません。

通知カードはマイナンバーカードとは異なり身分証明書としては利用できないため、顔写真付きの身分証明書も合わせて提出してください。

通知カードのコピー

マイナンバーカード通知カード個人番号通知書
マイナンバーの提示
身分証明書の提示が必要
×
マイナンバーを証明する書類としては認められない

参考:通知カード|総務省
参考:個人番号通知書|総務省

派遣の場合はマイナンバーの提出が不要!

マイナンバーは社会保障や税務関係の申請時に必要となるため、派遣社員であっても給与支払者である派遣元企業には提出しなければなりません。一方、給与支払者でない派遣先企業にはマイナンバーの提出は不要です。万が一派遣先企業にマイナンバーの提出を求められても、応じる必要はありません。対応に苦慮した場合は、派遣元企業に相談しましょう。

日雇いアルバイトがマイナンバーを提出しないとどうなる?

マイナンバーは税務関係や社会保障の手続きで必要となるため、給与が発生したり社会保険に加入したりする際に提出を求められるのが一般的です。一方で、マイナンバーの提出は義務ではないため、拒否することもできます。拒否することで法的に罰せられることもありません。マイナンバーの未提出を理由とした不利益な扱いは法律で禁止されているため、マイナンバーの提出を拒否したからといって、給与が支払われなかったり解雇されたりといったこともないでしょう。

一方、税務関係や社会保障関係の書類にはマイナンバーの記載が法律で義務付けられているため、企業は従業員にマイナンバーの提出を求める必要があります。求めにもかかわらずマイナンバーが提出されない場合は、企業は提出を求めた経緯や事実を記録し保存することで、義務違反でないことを関係機関に説明しなければなりません。

行政機関はマイナンバーの記載がない書類も受領しますが、処理に時間がかかったり手間がかかったりするため、特段の理由がない限りマイナンバーの提示を求められたら速やかに提出するようにしましょう。

日雇いアルバイトがマイナンバーを提出すると副業がバレる?

マイナンバーは所得税等の情報と紐づいていることから、マイナンバーを提出することで副業がバレるのではないかと心配されている方もいることでしょう。結論から言うと、マイナンバーを提出することで副業がバレることはありません。なぜなら、マイナンバーに紐づく情報を行政機関から会社に通知されることはないからです。加えて、会社から行政機関へ納税額等を問い合わせることも禁止されています。事実、デジタル庁のWebサイトには「マイナンバー制度の導入により副業を行っている事実が新たに判明するものではありません」と明記されているため、安心してください。

引用:よくある質問:マイナンバー制度について(総論)|デジタル庁

日雇いアルバイトがマイナンバーを提出すると個人情報を悪用される?

マイナンバーは個人情報と密接に結びついているため、「社会保障」「税」「災害対策」の手続きのために行政機関等に提出する場合を除いて、むやみに他人に提供することは避けた方がよいでしょう。しかし、会社にマイナンバーを提出したからといって直ちに個人情報が明らかになるわけではありません。企業が正当な理由なくマイナンバーを取り扱うことは、法律で禁止されているためです。行政機関もマイナンバーに紐づく個人情報を第三者に提供することはありません。マイナンバーの提出によって個人情報が悪用される可能性は極めて低いので、安心してください。

企業が日雇いアルバイトのマイナンバーを取得する際の注意点は?

税務関係や社会保障関係の手続きにマイナンバーが必要なので、企業は従業員にマイナンバーの提出を求めなければなりません。しかし、マイナンバーは様々な個人情報と結びついているため、厳格に取り扱う必要があります。ここでは、企業がマイナンバーを取得する際の注意点を説明します。

取得目的を明確にする

まず、マイナンバーを取得する目的を明確にしましょう。企業は税務関係・社会保障関係の手続きにマイナンバーが必要なので、その旨を従業員に説明してください。同意が得られなかった場合は、マイナンバーの提出を拒否する旨の書面を提出してもらいましょう。

本人確認を徹底する

マイナンバーカードではなく住民票の写しや通知カードのコピーを提出された場合は、必ず本人確認を行ってください。運転免許所やパスポートなどの顔写真付きの身分証明書が用意できない場合は、健康保険証や年金手帳などを2点以上確認する必要があります。

なお、配偶者控除・扶養控除を受けるために配偶者・扶養親族のマイナンバーを提出された場合、配偶者や扶養親族の本人確認は不要です。

参考:本人確認に関するFAQ|国税庁

適切に保管する

取得したマイナンバーは取扱規程を作成し、適切に保管しなければなりません。誰でも閲覧できる場所に保管することは法令違反なので、必ず鍵のかかる書庫に保管してください。鍵は担当者が管理し、開閉時には開閉記録を付けるようにしましょう。なお、法令に則った特定のシステムであればクラウド環境への保存・管理も認められています。

定められた範囲内で利用する

マイナンバーは「社会保障」「税」「災害対策」に関する手続きのためだけに利用するよう定められているため、これを逸脱した利用は法令違反となります。法令で定められた範囲内で利用し、利用時には記録を残すようにしましょう。

保存期間を過ぎたら適切に破棄する

利用が済んだマイナンバーは適切に破棄しなければなりません。税務関係・社会保障関係の書類もそれぞれ法律で保存期間が定められているため、期間が過ぎたものは速やかに破棄しましょう。紙媒体は焼却または溶解処分、電子データは専用ソフトで削除します。なお、破棄方法や日時は必ず記録に残すようにしてください。

日雇いアルバイトでも原則マイナンバーの提出が必要

日雇いアルバイトや派遣労働者におけるマイナンバーの取り扱いを解説しました。日雇いアルバイトであっても、給与の支給を受けたり社会保険に加入したりする場合はマイナンバーを提出しなければなりません。派遣労働者も同様で、派遣元企業へはマイナンバーの提出が必要です。一方、給与支払者でない派遣先企業には、マイナンバーを提出する必要はありません。

マイナンバーの提出は義務ではありませんが、手続きを円滑に進めるために特段の理由がない限り提出するようにしましょう。マイナンバーを提出したからといって、副業がバレたり個人情報が悪用されたりすることはありません。

マイナンバーは様々な個人情報と結びついているため、取得する側も十分注意して取り扱う必要があります。取得の目的を明確にして、従業員に説明しましょう。合意が得られたら必ず本人確認を行った上で取得してください。なお、取得したマイナンバーは法令に従い保管・利用・破棄しなければなりません。労使双方で理解を深め、適切に取り扱いましょう。

よくある質問

日雇いアルバイトでもマイナンバーの提出が必要?

税務関係や社会保障関係の手続きで必要となるため、日雇いアルバイトであっても原則マイナンバーを提出しなければなりません。義務ではありませんが、手続きを円滑に進めるためになるべく提出するようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

企業が日雇いアルバイトのマイナンバーを取得する際の注意点は?

取得の目的を明確にして、従業員に説明してください。取得する際は必ず本人確認を行いましょう。取得したマイナンバーは、法令に則り適切に保管・利用・破棄する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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