• 更新日 : 2022年3月22日

寄付金控除は年末調整の対象? ふるさと納税についても解説

寄付金控除は年末調整の対象? ふるさと納税についても解説

NPO法人への寄付など、寄付金を支払った場合は寄付金控除が受けられます。しかし年末調整の対象ではないため、別途確定申告が必要です。年末調整だけで確定申告をする必要のない方がふるさと納税を行った場合には、確定申告不要で控除が受けられる特例制度もあります。今回は、寄付金控除の対象となる寄付や控除される額について解説します。

年末調整で寄付金控除を受けられる?

通常、会社勤めの方の場合は年末調整の際に各種控除が適用され、税金の過不足分の清算が行われます。しかし、配偶者控除、扶養親族控除、社会保険料控除などは年末調整で適用されますが、寄付金控除は年末調整の対象ではありません。そのため会社勤めの方であっても、別途、確定申告を行う必要があります。

そもそも寄付金控除とは

寄付金控除とは、地方公共団体やNPO法人などに対して、寄付をした場合に受けられる所得控除の一種です。近年では、ふるさと納税を行う人も多く、このふるさと納税も寄付金控除の対象になります。

たとえば、あなたがあるNPO団体の呼びかけに共感し、3万円の寄付を行ったとします。その3万円を確定申告で寄付金控除として申告することで、一定の計算式によって算出された金額が所得から差し引かれ、結果として所得税を算出する際の基となる課税される所得金額が少なくなります。つまり、寄付金控除を行うことによって支払うべき所得税が減るため、税金の還付が受けられる可能性が高くなるのです。

寄付金控除の対象となる寄付

寄付金控除の対象となる寄付金には、主に以下のようなものがあります。

  • 都道府県、市区町村(ふるさと納税など)
  • 公益社団法人、公益財団法人
  • 独立行政法人、一部の地方独立行政法人
  • 社会福祉法人
  • 一定の政治活動に関する政治献金
  • 認定特定非営利法人(認定NPO法人)
  • 国立大学法人、大学法人、学校法人、日本赤十字社など

学校の入学に関するお金や、寄付をした本人に利益が及ぶと判断されるものは寄付金控除の対象としては認められません。また、政治資金規正法に反するものも、対象には含まれません。

参考:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

年末調整で手続きできる控除

年末調整で適用される所得控除は、以下のものがあります。

これらは、年末調整時に会社から配布される申告書に必要事項を記入すれば、控除が適用されます。

年末調整のみで控除の申告が終わる方もいますが、医療費控除、寄付金控除、雑損控除を受ける場合には、確定申告が必要です。

以下のようなケースに該当する方は、確定申告をすることで控除が受けられる可能性があるため、控除の金額や条件に該当するかをよく確認しましょう。確定申告を自分ですることで、減税効果が期待できます。

【確定申告で申請する控除】
※それぞれの控除の適用には、一定の要件があります。

ケース控除の種類
病気の回復のため必要な医薬品を購入した医療費控除
ふるさと納税を利用した寄付金控除
自然災害により住んでいる家が損害を受けた雑損控除

確定申告の手続き期間は、例年2月中旬から3月中旬です。当てはまる支出がある場合は、確定申告で控除を申請しましょう。

寄付金控除はどのような手続きで受けられる?

寄付金控除を受けるには、支払った寄付金の証明書などを確定申告書に添付し手続きを行います。

確定申告を行うのが億劫だという方もいるかもしれません。確定申告で申請する控除が「ふるさと納税」の寄付金控除のみの方は、「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告なしで寄付金控除が受けられます。

確定申告不要、ふるさと納税のワンストップ特例制度とは

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」とは、会社勤めの方が、確定申告不要でふるさと納税の寄付金控除を受けられる制度のことをいいます。ポイントは、「ふるさと納税以外の控除は年末調整のみで完結し、そのほかに確定申告を行う必要がないこと」「ふるさと納税をした自治体が5つ以下であること」です。

ワンストップ特例制度では、まずふるさと納税を行う際に、ワンストップ特例申請書をふるさと納税先の自治体に提出します。自治体はこれをもとに控除に必要な情報を、納税者が住む市区町村に連絡。ふるさと納税をした翌年度の住民税が減額となる仕組みです。

年間のふるさと納税の納税先が5つ以下

ワンストップ特例制度では、利用できる自治体は5つまでです。この場合、納税先が5自治体以下であれば6回以上ふるさと納税を行っていても、ワンストップ特例制度を利用できます。

住民税から税額控除される

ワンストップ特例制度では、支払ったふるさと納税の金額を市区町村で計算し翌年度の住民税から控除します。所得税の控除はありませんが、所得税の控除額も住民税から控除されるしくみになっており、多くの場合確定申告と同等の控除が受けられるでしょう。

年末調整の還付金のように、直接現金は戻ってきませんが、住民税が減額となるため結果として減税につながります。なお、控除額の上限は総所得金額の30%となるため、注意が必要です。

確定申告を行う人は利用できない

ワンストップ特例制度を利用できるのは、確定申告を行う必要がない人のみです。個人事業主や、年収2,000万円を超える従業員など、もともと確定申告が必要な人は利用できません。さらに、医療費控除や住宅ローン控除の申請を行う場合や、ふるさと納税以外に寄付金控除に当てはまる寄付金がある場合は、ワンストップ特例制度ではなく、確定申告を行います。

ワンストップ特例制度の申請書を提出したが、後日医療費控除やふるさと納税以外の寄付金控除に該当することになり、確定申告に切り替えるケースもあるでしょう。この場合にはワンストップ特例の適用が受けられなくなり、確定申告時にすべてのふるさと納税の金額を寄附金控除に含めて申告しなければならなくなりますので、注意しましょう。

ワンストップ特例制度の申請方法や必要書類について詳しく知りたい方はこちら

確定申告で寄付金控除を受ける場合

ワンストップ特例制度の要件に当てはまらない場合は、確定申告で寄付金控除を申請します。

寄付金額を証明する書類を用意する

手続きでは、寄付金額を書類に記入するだけでなく、寄付金の金額を証明する書類の添付が必要です。証明書は通常寄付をした先の団体から送られてきます。

寄付金控除で控除される額

寄付金控除の額の計算方法は2種類あります。いずれかの低い金額から、2,000円を差し引いた額が寄付金控除額として適用されます。

  • 対象の年に寄付をした総額
  • 対象の年の総所得金額(所得金額の合計額)の40%

税額控除を選択する場合

寄付金控除には2種類あり、以下に当てはまる寄付金は、所得金額から控除する「所得控除」と課税される所得金額から算出した所得税額から直接控除する「税額控除」のどちらか有利な方を選択できます。

  • 政治活動関連への寄付金
  • 認定NPO法人への寄付金
  • 公益社団法人への寄付金

税額控除の計算方法は以下の通りです。

(対象の年に支払った寄付金の総額ー2000円)×40%※政党への寄付金は30%=控除額

※控除される額には所得金額、所得税額に応じて上限があります。

詳しくはこちらもご覧ください。


税額控除の場合は、控除額が所得税から直接控除されるため、大きな減税効果があります。所得控除と税額控除のどちらかを選択することができますが、どちらのほうが効果が大きいかは、所得金額や寄付金の金額によって異なります。詳細について知りたい方は、最寄りの税務署に確認するとよいでしょう。

寄付金控除を受ける際の注意点

寄付金の寄付先によっては、寄付金の金額を証明する書類以外の提出が求められます。

政治活動に関する寄付の場合

政治活動に関する寄付金は、選挙管理委員会からの確認印のある「寄付金(税額)控除のための書類」をあわせて添付する必要があります。もし、確定申告の期日までにこの書類が間に合わない場合は、寄付金の受領証のコピーを添付し、後日書類を手に入れ次第税務署に提出します。

団体の適格が求められる場合

特定公益増進法人や、特定公益信託その他一定の団体に対する寄付はその団体が適格であることの証明書や認定書の写しの提出が必要になります。寄付した団体によって必要書類がことなるため、よく確認するようにしましょう。

ふるさと納税や寄付を行った場合は寄付金控除の手続きをしよう

寄付を行っても、ただ寄付するだけでは所得税から寄付金控除は受けられません。会社勤めであっても、年末調整のあとに確定申告を行うことで、所得税の控除が受けられます。
また、ふるさと納税以外の控除は年末調整のみで完結し、そのほかに確定申告をする必要がない場合は、ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告なしで減税効果が得られます。上記で紹介した条件を確認し、忘れずに手続きしましょう。

よくある質問

年末調整で寄付金控除を受けられますか?

寄付金控除は年末調整の対象外です。寄付金控除を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。会社勤めで年末調整を行っている場合でも、個人で確定申告を行うことで寄付金控除を受けられます。詳しくはこちらをご覧ください。

ふるさと納税で寄付金控除を受けるには、どうすればよいですか?

ワンストップ特例制度の利用と確定申告の二つの方法があります。ふるさと納税の寄付金控除以外に確定申告を行う必要がなく、一定の条件に当てはまる場合は、ワンストップ特例制度の利用がスムーズです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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