- 更新日 : 2022年2月14日
年末調整の金額はいくら戻ってくるか

冬が近づくと気になってくる「年末調整」。1月の給与に年末調整結果を反映し、還付金を従業員に支給する会社が最も多いですね。毎年、冬のちょっとしたボーナスのように感じている方も多いのではないでしょうか。
気になる年末調整の金額ですが、場合によっては還付でなく徴収が起きることもあります。つまり、「不足金額を給与から差し引かれてしまう」ことがあるのです。
今回は年末調整の仕組みを確認した後で、今年の年末調整の金額は還付なのか徴収なのか、そしていくらになるのか試算をしてみましょう。
目次
年末調整ではなぜ金額の還付が多く起きるのか
年末調整の金額を試算する前に、まずは年末調整の意味を確認しましょう。
年末調整には、「毎月仮で納付してきた源泉所得税に対して適用できる年間の控除額を正しく反映させる」意味があります。
毎月の所得税天引き(源泉徴収)金額は、前年の年末調整時に提出する「扶養控除申告書」に基づいて決定されます。所得税には扶養控除の他にも複数の控除制度があるのですが、その控除制度の適用の多くは、その年が終わる頃に申告し年間の源泉所得税を修正するかたちになります。それが年末調整です。
なぜ年の終わりに「あとから申告」するのかというと、年の終わりまで実際に控除される正確な金額がわからない場合がほとんどだからです。
たとえば、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」などは、10~11月頃に各保険会社から送られてくる保険料控除証明書という書類を提出して初めて控除の適用を申請することができます。この保険料控除証明書により、「今年に支払った払込実績(+数か月の支払い予想含む)」を証明できるということです。
このように、年末調整では「あとから控除額を申請」することが多いために、その控除額申請を正しく適用した年末調整の結果は「還付」が起きる場合が多いということになります。
還付でなく徴収されることもある
多めに払いすぎていた金額の還付を受けることが多い年末調整ですが、不足金額が徴収される可能性もあります。たとえば下記のような場合に、年末調整の結果「不足金額の徴収」が起きる可能性が出てきますので確認しておきましょう。
年の途中で扶養家族が減った場合
前年の年末調整時に申告した「扶養家族」の人数がその年の途中で減った場合です。
たとえば、10月まで扶養していて11月で1名扶養家族が減った場合でも扶養家族の控除は「その年の12月31日」時点での扶養家族で計算され、その年のはじめから扶養していない計算になります。逆に年の途中で扶養家族が増えた場合は、その年の初めから扶養していたものとして控除対象になります。
賞与額が想定より高額になった場合
賞与が高額になった場合、想定年収(想定の課税所得額)より実際の課税所得額のほうが多い、ということになり追加徴収になる場合があります。その年の会社や個人の成果で賞与額にかなり大きな変動がある会社に勤めている場合などはこのケースにあてはまることが出てくるかもしれません。
勤めている会社の源泉所得税の徴収方法が「11か月分の徴収+年末調整」の場合
源泉所得税の徴収方法として、「12か月分の徴収+年末徴収」ではなく、「11か月分の徴収+年末調整」を行っている会社もあります。
その分、1か月分の徴収が起きていないので、結果として年末調整で控除適用額を差し引いても徴収が起きる可能性があります。
年末調整で還付される金額を試算してみよう
年末調整において還付・徴収が起きるケースとその意味について考えてみて、一旦ご自身でシミュレーションをしてみると、還付になるか徴収になるか予想をつけていくこともできるようになります。
実際には年末調整では「還付が起きればお得」、「徴収が起きれば損」ということではなく、正しくその年の所得税を計算しなおした調整結果である、ということは覚えておきましょう。
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