• 更新日 : 2023年11月8日

年末調整の金額はいくら戻ってくるか

年末調整の金額はいくら戻ってくるか

冬が近づくと気になってくる「年末調整」。給与に年末調整結果を反映して、還付金を従業員に支給する会社も多いでしょう。毎年、冬のちょっとしたお小遣いのように感じている従業員も多いのではないでしょうか。

気になる年末調整の金額ですが、場合によっては還付でなく徴収するケースが発生することもあります。つまり、「不足金額を給与から差し引く」ことがあるのです。

今回は年末調整の仕組みを確認したうえで、今年の年末調整の金額は還付なのか徴収なのか、そしていくらになるのか試算をしてみましょう。

年末調整ではなぜ金額の還付が多く起きるのか

年末調整の金額を試算する前に、まずは年末調整の意味を確認しましょう。

年末調整には、「毎月の給与から天引きして納付してきた源泉所得税と1年間の給与総額をもとに正確に計算した源泉所得税額との差額を精算して年間の控除額を正しく反映させる」目的があります。

毎月の給与から天引きする所得税(源泉徴収)の金額は、前年の年末調整時に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に基づいて決定されます。

所得税には扶養控除の他にも複数の所得控除制度がありまが、その控除制度の適用の多くは、その年が終わる頃に申告し、年間の源泉所得税を修正するかたちで精算します。これが年末調整です。

なぜ年の終わりに「あとから申告」するのかというと、年の終わりまで実際に控除される正確な金額がわからない場合がほとんどだからです。

たとえば、「生命保険料控除」「地震保険料控除」などは、10~11月頃に各保険会社から送られてくる保険料控除証明書という書類を提出して初めて正確な控除額の適用を申請することができます。この保険料控除証明書により、「今年に支払った払込実績(年末までの支払い予想含む)」が確認できるのです。

このように、年末調整では「あとから控除額を申請」することが多いためその控除額を正しく適用した結果、「還付」が発生するケースが多いということになります。

還付でなく徴収されることもある

払いすぎていた所得税を従業員に還付することが多い年末調整ですが、不足金額を徴収するケースもあります。下記のような場合、年末調整の結果「不足金額の徴収」が発生する可能性があるので確認しておきましょう。

年の途中で扶養家族が減った場合

前年の年末調整時に申告した「扶養家族」の人数が、その年の途中で減少することがあります

たとえば、10月まで扶養していて11月で1名扶養家族が減った場合、扶養家族の控除は「その年の12月31日」時点での扶養家族の人数で計算するため、その年のはじめから扶養していないのと同じ計算になります。

逆に年の途中で扶養家族が増えた場合は、その年の初めから扶養していたのと同じく、控除の対象となります。

賞与額が想定より高額になった場合

賞与が高額になった場合、想定年収(想定の課税所得額)より実際の課税所得額のほうが多い、ということになり追加徴収になる場合があります。その年の会社や個人の成果で賞与額にかなり大きな変動がある会社の場合、このケースにあてはまることが出てくるかもしれません。

勤めている会社の源泉所得税の徴収方法が「11か月分の徴収+年末調整」の場合

源泉所得税の徴収方法として、「12か月分の徴収+年末徴収」ではなく、「11か月分の徴収+年末調整」を行っている会社は多いでしょう。

年末調整は、その年の最後に支払う給与から行うことになっているため、12月に支払われる最後の給与や賞与で行うのが一般的です。

12月に支払う給与で年末調整を行う場合には1か月分の徴収が起きていないため、結果として年末調整で控除適用額を差し引いても「徴収」が発生するケースは少なくありません。

年末調整で還付される金額を試算してみよう

年末調整において還付・徴収が起きるケースとその意味について考えてみて、一旦シミュレーションをしてみると、還付になるか徴収になるかを予想できるようになります。

実際には年末調整では「還付が起きればお得」「徴収が起きれば損」ということではなく、正しくその年の所得税を計算し直した調整結果である、ということは覚えておきましょう。


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