- 更新日 : 2026年9月4日
育休の延長はできる?条件や必要な手続き、会社への伝え方を解説
育休は、保育所への入所不可などの条件を満たせば最長2歳の誕生日前日まで延長できます。
- 延長は1歳6ヶ月・2歳まで段階的に申請
- 会社は原則、育休延長を拒否できない
- 2025年4月から延長手続きが厳格化
Q. 育休延長に必要な書類は何ですか?
A. 育児休業給付金支給申請書・賃金証明書類・延長理由の証明書類が必要です。2025年4月以降は「延長事由認定申告書」と「保育所申込書の写し」も追加で必要です。
育休(育児休業)は、保育所が決まらない、配偶者が病気になったなどの事情があれば、育休延長の申請によって取得期間を延ばせる制度です。本記事では、育児休業延長の条件や必要な手続き、育児休業給付金・社会保険料への影響、会社への伝え方まで、企業のバックオフィス担当者向けに解説します。
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育休の延長はできる?
育休(育児休業)は、条件を満たせば1歳6ヶ月または2歳の誕生日前日まで延長できます。育児・介護休業法では、育休の延長は例外的な措置として位置づけられており、保育所への入所が困難な場合や養育予定者の傷病などの事情が必要です。
そもそも育休(育児休業)とは
育休(育児休業)とは、育児・介護休業法に基づき、子どもが1歳になるまで取得できる休暇制度です。出産後は産後8週間の産休があり、産休終了後に育休が始まる流れになります。
育休を取得するには、原則として子どもが1歳6ヶ月になるまで雇用契約が継続する見込みであることが条件です。ただし、入社1年未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者は、労使協定によって対象外とすることが可能です。育休期間と延長期間、給付金の関係は次のとおりです。
子どもの年齢育休の状況給付金
| 子どもの年齢 | 育休の状況 | 給付金 |
|---|---|---|
| 1歳になる前日まで | 育休 | 育児休業給付金 |
| 1歳6ヶ月になるまで | 延長可能期間 | 育児休業給付金 |
| 2歳の誕生日前日まで | 再延長可能期間 | 育児休業給付金 |
育休を延長できる条件
育休の延長が認められるのは、次のようなやむを得ない事情がある場合です。育休延長の条件を事前に把握しておくと、従業員からの相談にも落ち着いて対応できます。
- 保育所等の申込みを行っているが、入所できる見込みがない
- 子どもを養育予定だった配偶者が死亡、けが、病気などで養育が困難になった
- 婚姻の解消などにより、子どもを養育する者と別居になった
- 新たな妊娠により6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、または産後8週間を経過していない
これらの理由がある場合、まず1歳6ヶ月まで延長でき、状況が変わらなければ再度申請することで、最長2歳の誕生日前日まで再延長が可能です。1歳の時点で一気に2歳まで延長することは認められていません。また、育休延長は育休終了後に復職の見込みがあることも前提となります。
パパ・ママ育休プラス制度を利用した延長
パパ・ママ育休プラス制度を利用すると、子どもが1歳2ヶ月になるまで育休を取得できます。夫婦で育休を分担して取得することを促す制度で、通常の育休延長とは別の枠組みです。
制度を利用するには、次の4点をすべて満たす必要があります。
- 夫婦ともに育休を取得すること
- 配偶者が子どもの1歳の誕生日の前日までに育休を取得している
- 本人の育休開始予定日が子どもの1歳の誕生日以前である
- 本人の育休開始予定日が配偶者の育休の初日以降である
なお、育休期間中の日数には土日等の休日も含まれるため、育休の途中に休日があっても育児休業等日数として扱われます。
育休の延長が認められないケース
育休の延長は、保育所に申込みさえすれば必ず認められるわけではありません。次のようなケースでは延長が認められないため注意が必要です。
- 無認可保育所などへの入所申込みのみを行っている場合
- 保育所の入園申込日が1歳の誕生日以降となっている場合
- 保育所の入園希望日(利用開始日)が1歳の誕生日の翌日以降となっている場合
- 市区町村へ問い合わせた際に「年度途中の入園は難しい」「定員超過で次回も入園が困難」などの説明を受け、入園申込みを行わなかった場合
また、延長には証明書類の添付が必須のため、従業員が必要書類を用意できない場合も延長は認められません。
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育休を延長している人はどれくらいいる?
育休を延長する割合は、保育所に入れなかった女性を中心に一定数存在しています。実際の数値は、厚生労働省の調査結果から確認できます。
厚生労働省の調査結果でみる育休延長の実態
厚生労働省の「令和3年度雇用均等基本調査」によると、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育休を取得し復職した労働者がいた事業所のうち、保育所に入所できず育休を延長した利用者がいた事業所の割合は次のとおりです。
| 利用者あり | 利用者なし |
|---|---|
| 32.9% | 67.1% |
このうち、子どもが1歳の時点で育休を延長した者がいる事業所の割合は次のようになっています。
| 男女とも利用者あり | 女性のみ利用者あり | 男性のみ利用者あり |
|---|---|---|
| 0.1% | 29.3% | 0.0% |
さらに、子どもが1歳6ヶ月の時点で育休を延長した者がいる事業所の割合は次のとおりです。
| 男女とも利用者あり | 女性のみ利用者あり | 男性のみ利用者あり |
|---|---|---|
| 0.0% | 12.6% | 0.0% |
この調査結果からは、育休延長の利用がほぼ女性に偏っており、男性の育休延長利用は極めて少ないことがわかります。
育休延長に必要な手続き・書類は?
育休延長の手続きは、従業員からの申し出を起点に、育児休業給付金の延長申請と社会保険料免除の延長申請という2つの手続きに分かれます。それぞれ提出先や必要書類が異なるため、順を追って対応することが重要です。
STEP1:従業員から育休延長の申し出を受ける
まず、延長を希望する従業員から申し出を受けます。申請は、原則として延長を開始したい日の2週間前までに受ける必要があります。たとえば1歳から半年間延長する場合は、1歳の誕生日の2週間前が目安です。
申請時に必要な書類は、主に次の3つです。
- 育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など賃金額や支払状況を証明する書類
- 育児休業延長に必要な確認書類(延長理由により内容が異なる)
STEP2:育児休業給付金の延長申請を行う
従業員から申し出を受けたら、育休手当(育児休業給付金)延長の申請を行います。前述の書類に加え、延長理由を証明する書類の提出が必要です。
申請書類の提出先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。提出期限を過ぎると給付が途切れる可能性があるため、スケジュール管理を徹底しましょう。
STEP3:社会保険料免除の延長申請を行う
育休延長が正式に決まったら、社会保険料免除の延長申請も行います。手続きは育休開始時と同様に、日本年金機構へ育児休業等取得者申出書を提出します。この申請により、健康保険・厚生年金の保険料が全額免除されます。
社会保険料免除の延長申請は、1歳から1歳6ヶ月、1歳6ヶ月から2歳の誕生日前日に延長するときの両方で必要です。申請を怠ると免除期間が延長されないため注意しましょう。
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き|日本年金機構
会社は育休の延長を拒否できる?
会社は従業員から育休延長を求められた際、原則として拒否できません。育児・介護休業法上の権利であり、会社都合での拒否は法令違反となる可能性があります。
企業側にできることは、延長要件を満たしているかどうかを確認書類に基づいて判断することです。要件を満たしていない場合は延長が認められませんが、要件を満たしているにもかかわらず会社の判断のみで拒否することは認められていません。
会社への育休延長の伝え方は?例文つきで解説
育休延長を会社へ伝える際は、電話などで直接相談したうえで、内容を文書やメールで補足するのが望ましい進め方です。連絡先は直属の上司と総務部の担当者が基本になります。
伝える際のポイント
育休延長の相談は、可能であれば出社または顔を合わせた形で伝えるのが丁寧です。近年はオンライン会議システムも普及しているため、対面が難しい場合はビデオ通話を活用する方法もあります。
電話でのやり取りのあとにメールで詳細を伝える場合は、失礼のない文面を心がけましょう。上司や総務担当者へいきなりメールのみで連絡するのはマナーとして避け、電話連絡のあとに補足としてメールを送るのが基本です。
会社へのメール例文
メールで育休延長を伝える際の例文は次のとおりです。状況に応じて内容をアレンジして使用してください。
件名:育児休業の延長のお願いについて
〇〇様(上司/総務部担当者の名前)
先ほどは電話で失礼いたしました。あらためて文章にて、育児休業延長の希望についてご説明差し上げます。
〇月〇日に職場復帰の予定でしたが、保育所に入園できないことが確定いたしました。そのほかの預け先も検討し探したものの、両家の父母ともに都合がつかず、期日までに預け先を確保することができませんでした。
そのため、〇月〇日まで半年間、育休を延長させていただきたく存じます。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
〇〇(自分の名前)
2025年4月以降、育児休業給付金の延長手続きは厳格化した?
2025年(令和7年)4月から、保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の延長手続きが厳格化されました。背景には、入所の意思がないまま延長目的で保育所へ申込みを行うケースが自治体で問題視されていたことがあります。
新たに必要になる書類
これまでは市区町村が発行する入所保留通知書などで延長要件を確認していましたが、2025年4月以降は保育所等の利用申込みが速やかな職場復帰のために行われたものであることが追加で必要になりました。これに伴い、延長時の育児休業給付金支給申請書には、次の書類の添付が必須となります。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に保育所等の利用申込みを行ったときの申込書の写し
これまでどおり、市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書等)も引き続き必要です。書類が一つでも不足していると延長が認められない可能性があるため、担当者は最新の様式を従業員へ案内しておくことが重要です。
育休の延長申請や手続きに関する企業の実態
株式会社マネーフォワードでは、自社において従業員の産休・育休に関する実務に関与している担当者を対象に、手続き業務に関する調査を実施しました。育休の延長においても給付金や社会保険料の手続きが発生しますが、企業側はどのような点に負担を感じているのでしょうか。
最も負担が大きいのは給付金や社会保険の手続き
育児休業に関する一連の手続きの中で、特に工数がかかる、または判断が難しい業務として最も割合が高かったのは「育児休業給付金の申請書類作成と提出」で、43.2%でした。次いで「社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続き」が42.3%となっています。
また、「育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明」も29.8%の担当者が負担に感じており、従業員への説明や計算業務に課題があることがわかります。
手続き負担の軽減にはテンプレートが求められている
手続き負担を軽減するためにどのような支援が最も必要だと感じるかという問いに対し、最も割合が高かったのは「従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート」で、35.6%でした。
育休の延長や各種申請においては、従業員とのコミュニケーションや書類作成に多くの工数がかかるため、実務に直結するテンプレートを活用して手続きを効率化することが重要です。
育休手続きに使えるテンプレート一覧
育休の申請書(申出書)や育児短時間勤務時の申出書を従業員が作成する際は、テンプレートを用意しておくと便利です。書式や記載内容のばらつきを防げるため、人事担当者と従業員の双方にとって役立ちます。
<育児休業申請書(ワード)>
<育児短時間勤務申出書(ワード)>
<育児短時間勤務申出書(エクセル)>
育休の延長は可能!制度を正しく理解しておこう
育休(育児休業)は、条件を満たせば1歳6ヶ月または2歳の誕生日前日まで延長でき、会社は原則として育児休業延長を拒否できません。ただし2025年4月以降は育児休業給付金の延長手続きが厳格化されており、必要書類の不足は延長不承認につながります。人事担当者は申し出から給付金・社会保険料の延長申請までを漏れなく行い、テンプレートも活用しながら正確な手続きを心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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