- 更新日 : 2026年10月5日
年末調整は自分でできる?2026年(令和8年分)の変更点・確定申告との違いを解説
年末調整は会社の義務であり、従業員が個人で行うことはできません。
- 書類の準備は従業員自身が行う必要がある
- 令和8年分は基礎控除引上げなど改正点多数
- ミスや未対応は確定申告で控除を取り戻せる
Q. 年末調整を自分でできない場合はどうすればいい?
A. 確定申告(2月16日〜3月15日)を行うことで、各種控除を自分で申告できます。
年末調整は自分でできるのか、疑問に思う会社員は少なくありません。結論として、年末調整は会社の義務であり個人での実施はできませんが、必要書類の準備は従業員自身が行います。本記事では、年末調整と確定申告の違い、2026年(令和8年分)の改正点、起こりやすいミスまでを解説します。
年末調整は自分でできる?
年末調整は所得税法で雇用主に課された義務であり、従業員が個人で行うことはできません。自営業者やフリーランスなど個人で所得税を納める人は、年末調整ではなく確定申告で税額を精算します。
年末調整は会社の義務として法律に明記されており、正当な理由なく怠ると罰則の対象となります。そのため従業員を1人でも雇用していれば、会社は必ず年末調整を実施しなければなりません。
年末調整の位置づけと確定申告との違い
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税と実際の年税額との差額を、年末にまとめて精算する手続きです。年末調整が「先払い」した税額を精算する仕組みであるのに対し、確定申告は年間所得を自分で申告して税額を「後払い」する仕組みという点が大きな違いです。
年末調整の対象となる従業員
年末調整の対象は、12月31日時点で在籍しており、その年に支払を受ける給与等の収入金額が2,000万円以下の従業員です。この基準に該当しない人や、災害減免法の適用を受けている人などは年末調整の対象外となり、自分で確定申告を行う必要があります。
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年末調整の時期はいつ?
年末調整は「その年最後の給与を支払う時」に実施され、多くの企業では12月下旬に処理が行われます。準備は11月頃から始まることが多く、年末調整自体は原則としてその年最後に給与を支払う際に行います。年末調整後、翌年1月には源泉徴収票の交付や法定調書の提出などの手続きがあります。
年末調整の流れ(11月〜翌1月)
大まかなスケジュールは下記のとおりです。
- 11月初旬:従業員に各種証明書類の準備を依頼
- 11月下旬:従業員に各種申請書の記載を依頼
- 12月下旬:証明書・申請書を回収し所得税を計算
- 翌1月10日:税務署へ源泉所得税の納付(納期の特例を適用している場合は1月20日)
- 翌1月下旬:従業員への源泉徴収票の交付
- 翌1月31日:税務署への年末調整関連書類の提出
年末調整のより詳しい期限や、年末以外に実施されるケースについては下記記事もあわせてご確認ください。
確定申告の実施時期との違い
確定申告は毎年おおむね2月16日から3月15日までの期間に行われ、年末調整とはスケジュールが異なります。年末調整で控除しきれなかった分やミスがあった場合は、この確定申告期間に自分で申告して取り戻すことができます。
年末調整に向けて会社員が準備すべき書類は?
年末調整で各種控除を受けるには、従業員自身が複数の証明書や申告書を用意する必要があります。会社任せにできる部分と、自分で準備すべき部分を区別しておくことが大切です。
提出が必要な証明書一覧
証明書は保険会社などから10月下旬〜11月にかけて郵送されるため、紛失しないよう早めに保管しておきましょう。
| 対象 | 従業員が準備する証明書 |
|---|---|
| 生命保険、介護医療保険、個人年金保険、地震保険 | 保険料控除証明書 |
| 国民年金保険 | 社会保険料控除証明書 |
| 小規模企業共済等 | 小規模企業共済等掛金払込証明書 |
| 住宅ローン控除申請 | 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書、年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書 |
なお、令和8年度税制改正により、23歳未満の扶養親族がいる場合は新生命保険料に係る一般生命保険料控除の限度額が4万円から6万円に引き上げられ、令和8年分(2026年分)の年末調整から適用されます。保険料控除証明書を確認する際は、この特例の対象になるかもあわせてチェックしましょう。
提出が必要な申告書一覧(令和8年分の様式変更点)
令和8年分についても、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」を使用します。なお、令和8年度税制改正により、基礎控除額や扶養親族等の所得要件などが見直されています。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)
- 前職の源泉徴収票(該当者のみ)
この変更は、令和8年度税制改正による基礎控除の引き上げや扶養親族等の所得要件の見直しなどに伴うものです。
なお、19歳以上23歳未満の親族を対象とする「特定親族特別控除」は、令和7年度税制改正で創設され、令和7年分から適用されています。令和8年分については、特定親族特別控除の対象となる親族の合計所得金額の範囲が見直され、一定の所得金額の親族についても所得に応じた控除を受けられる仕組みとなっています。
令和8年分の年末調整では、大学生年代の親族などの所得見積額を確認し、特定親族特別控除の対象となるかを確認することが重要です。基礎控除のみを受ける従業員でも提出が必要な書類のため、回収漏れがないよう注意しましょう。
参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁
年末調整でよくあるミスは?
年末調整では、扶養関係の記載ミスや控除証明書の紛失など、同時期に大量処理を行うがゆえのミスが起こりがちです。特に令和8年分は所得要件の改正が重なるため、例年以上に確認が必要です。
扶養控除関係のミス(令和8年分の所得要件緩和に注意)
令和8年分からは、扶養控除等の対象となる親族の合計所得金額要件が「58万円以下」から「62万円以下」に緩和されます。これまで所得要件を超えていた家族でも、改正後は控除対象になる可能性があるため、扶養親族の所得見積額を再確認しましょう。
共働き家庭で夫婦が同じ子どもを重複して扶養に入れてしまうケースも、依然として起こりやすいミスの一つです。
控除証明書の紛失・記載漏れ
証明書の添付が漏れていると、該当する控除が受けられません。保険料控除証明書などは電子データでの提供も増えているため、紙・データいずれの形式でも紛失しないよう管理しましょう。
源泉徴収票の「乙欄」にチェックが入っていると年末調整は受けられない?
源泉徴収票の「乙欄」にチェックが入っている場合、その勤務先では年末調整を受けることができません。乙欄は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人が対象になる区分です。
甲欄・乙欄の違いとは
甲欄・乙欄の区分は、国税庁の源泉徴収税額表に基づき、源泉所得税の計算方法を決めるものです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 甲 | 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人が対象。1社からのみ主たる給与を受け取っている場合はこちらに該当。 |
| 乙 | 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人が対象。2社以上から給与を受け取り、従たる給与に該当する場合はこちらにチェックが入る。 |
給与を1社からのみ受け取っている人は、その給与が「主たる給与」となるため、扶養控除等申告書を提出していれば年末調整を受けられます。2社以上から給与を受け取っている人は、「主たる給与」を受け取っている会社に申告書を提出することで年末調整を受けることになります。
令和8年分の源泉徴収税額表の変更点
令和8年分の源泉徴収税額表では、基礎控除の見直しに伴い「源泉控除対象親族」の算定方法が変更されています。給与計算システムを利用している場合も、支給額に変更がなくても算出される所得税額が変わることがあるため、事前の確認が必要です。
年末調整を受けられない場合やミスした場合はどうする?
年末調整を受けられなかった場合や、年末調整でミスがあった場合は、確定申告を行うことで控除を受けられます。年末調整は個人で実施できませんが、確定申告は自分で行える手続きです。
自分で控除を受ける場合は確定申告
扶養控除等申告書を提出していない人、給与を2社以上から受け取っている人、その年に支払を受ける給与等の収入金額が2,000万円を超える人は、必ず確定申告が必要です。確定申告の具体的な手順は下記記事で詳しく解説しています。
年末調整を忘れた・ミスした場合も確定申告
必要書類を紛失した場合や期限に間に合わなかった場合も、確定申告で控除を受けられます。確定申告は年末調整の後に実施されるため、年末調整でのミスを取り戻す機会として活用できます。なお、年末調整と確定申告の両方を行った場合は、確定申告の情報が優先されます。
乙欄チェックで年末調整を受けられない場合も確定申告で控除可能
源泉徴収票の乙欄にチェックが入り年末調整を受けられなかった場合も、確定申告を行えば各種控除を受けることができます。扶養控除等申告書を提出していないことが原因であるケースが多いため、まずは提出状況を確認しましょう。
参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
必要な手続きを理解し、自分でできる範囲を押さえて年末調整をミスなく進めよう
年末調整は会社の義務であり従業員が個人で行うことはできませんが、証明書や申告書の準備は自分で行う必要があります。2026年(令和8年分)は基礎控除の引き上げや扶養控除等の所得要件緩和など改正点が多いため、最新の様式や要件を確認しましょう。乙欄該当やミスがあっても、確定申告で控除を取り戻せる点も押さえておくと安心です。
よくある質問
年末調整は自分でもできますか?
年末調整は「会社の義務」なので個人で行うことはできません。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の時期はいつですか?
年末調整は「その年の最後の給与を支払った時」に実施される手続きなので、多くの会社が12月に行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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