• 作成日 : 2023年3月17日

雇用保険被保険者離職証明書の書き方は?離職票との違いや提出方法も解説

雇用保険被保険者離職証明書の書き方は?離職票との違いや提出方法も解説

雇用保険に加入していた労働者が失業した場合、再就職までの生活保障として基本手当を受給することができます。

しかし、給付を受けるためには雇用保険被保険者離職証明書が必要です。

この記事では、雇用保険被保険者離職証明書とはどのような書類なのか、また、その書き方のほか、離職票との関係についても解説していきます。

雇用保険被保険者離職証明書とは?

そもそも雇用保険被保険者離職証明書とは、どのような書類なのでしょうか。名称も含め、わかりにくい仕組みとなっています。

雇用保険被保険者離職証明書が必要な場合

雇用保険被保険者離職証明書(通称、離職証明書)は、その言葉の通り、雇用保険の被保険者の離職を証明する書類のことです。

雇用保険は、雇用保険法に基づく社会保険であり、保険給付の種類は多岐に亘ります。その主たるものは被保険者である労働者が失業した場合の基本手当(いわゆる失業給付あるいは失業手当)です。

再就職するまでの生活保障として支給されるものですが、雇用保険法ではその支給要件として、離職者が所定の被保険者期間を満たしていることが求められます。

また、基本手当の支給額は、その離職者が退職前に事業所から支払われていた給与がベースになるため、ハローワークでは金額を確認する必要があります。基本手当の支給期間(所定給付日数)は、離職理由によっても異なります。

離職証明書は、基本手当の支給要件の確認や支給額及び支給期間などの決定のために必要な事項を記載した書類であるとともに、離職者本人がハローワークで基本手当を受給するために提出する離職票を交付してもらうために提出するものです。

事業所では、雇用保険被保険者資格喪失届とともに作成し、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に事業所所轄のハローワークに提出しなければなりません。

すでに再就職先が決まっている場合は、基本手当の支給対象とはならないため、離職証明書については本人が59歳未満で希望しなければ作成する必要はありません。

なお、離職証明書は、カーボン用紙で次のような3枚綴り(A3サイズ)になっています。

①事業所控(1枚目)
②安定所控(2枚目)
③本人用(「離職票-2」1枚目)

事業所がハローワークに3枚綴りの離職証明書を提出すると、賃金台帳、出勤簿、退職届などと突き合せて確認のうえ、受理印を押印した①事業所控(1枚目)と③本人用(「離職票-2」3枚目)とともに「資格喪失確認通知書(離職票-1)」が交付されます。

このように離職証明書として綴られていた3枚目が「離職票-2」になり、資格喪失確認通知書が「離職票-1」として交付されるわけです。

そして事業所は、この2つの離職票を離職した本人に手渡しまたは郵送することになります。

離職票との違い

上記のように離職証明書と離職票の関係は多少、煩雑ですが、離職者が基本手当を受給するには、2つの離職票が必要となります。

離職証明書は離職による基本手当の支給要件を確認するための証明書であり、離職票はそれが証明されたことにより交付される書類という位置づけになるでしょう。

離職者は、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みをおこなった後、2つの離職票(「離職票-1」には基本手当の振込先金融機関を記入)を提出し、受給資格の決定を受けます。その後、受給者説明会を経て失業の認定がなされ、基本手当の受給という流れになります。

退職証明書との違い

退職証明書は、労働者が退職し、使用者に一定事項について証明書を請求した場合、遅滞なく交付することを労働基準法が義務づけている書類です(法22条)。転職先が労働者の前の職場での状況を知るために提出を求めることがあります。

労働者が請求できる証明事項は以下の通りです。また、元の使用者は請求しない事項を記入してはならないとされています。

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(退職の事由が解雇の場合は、その理由を含む)

※退職証明書と離職票については、こちらの記事もご覧ください。

雇用保険被保険者離職証明書の書き方

離職証明書は、事業所が作成するものですが、どのように書けばよいのでしょうか。記載事項、注意点についてみていきます。

雇用保険被保険者離職証明書に記載する内容

離職証明書の記載事項には、次のようなものがあります。

① 被保険者番号
雇用保険被保険者番号を記載します。

② 事業者番号
自社の事業所番号を記載します。

③ 離職者氏名
離職した従業員の氏名を記載します。

④ 離職年月日
雇用保険被保険者資格喪失届に記載した
離職年月日と同じ日付を記載します。

⑤ 事業所の名称・所在地・電話番号
自社の名称・所在地・電話番号を記載します。

⑥ 離職者の住所または居所
離職した従業員の離職時点の住所を記載します。

⑦ 離職理由
離職証明書には離職理由が列挙されており、そこから該当するものを選んで○を付けます。また、用紙下部にある「具体的事情記載欄」に離職理由についての具体的事情を記載します。

⑧ 被保険者期間算定対象期間
退職した従業員が「一般被保険者・高年齢被保険者」として離職した場合はA欄に、「短期雇用特例被保険者」として離職した場合はB欄に被保険者期間算定対象期間を記載します。

A欄の場合、「離職日の翌日」欄があります。④の離職年月日の翌日を記載します。

⑨ ⑧の算定対象期間における賃金支払基礎日数
算定対象期間の賃金支払の基礎となった日数を記載します。

⑩ 賃金支払対象期間
賃金支払対象期間(賃金締切日の翌日から次の賃金締切日まで)を記載します。

⑪ ⑩の基礎日数
⑩の賃金支払対象期間において、賃金支払いの基礎となる日数を記載します。

⑫ 賃金額
賃金が月給や週給など一定期間で定められている場合、時間外手当なども含め、その期間のすべての賃金をA欄に記載します。

賃金が、労働日数や時間、出来高などによって定められている場合には、B欄に記載したうえで、通勤手当などの手当が支給されていればA欄に記載します。

⑬ 備考
未払い賃金や休業期間がある場合などに記載します。

⑭ 賃金に関する特記事項
毎月支払われている賃金以外に、3カ月以内の期間ごとに支払われる特別の賃金があれば、支払日、名称、支給額を記載します。

雇用保険被保険者離職証明書を作成する際の注意点

離職証明書を作成する場合の一般的な注意点についてみていきます。後掲の記載例を参考にご覧ください。

一般被保険者や高年齢被保険者の場合、離職証明書のA欄⑧の被保険者期間算定対象期間は、離職日の翌日から遡って期間を区分して記入します。

例えば、12月31日に離職した場合、離職日の翌日は「1月1日」になり、下に続く記入欄では「12月1日~離職日」「11月1日~11月30日」「10月1日~10月31日」というように原則として離職前2年間(高年齢被保険者では1年間)について順次記入します。

ただし、⑨の算定対象期間における賃金支払基礎日数が11日以上の月が12カ月以上(高年齢被保険者では6カ月以上)ある場合は、それ以前の期間を省略することができます。

なお、離職証明書2枚目「安定所控」の左側の「離職の日以前の賃金支払状況等」欄と、右側の「離職理由」欄のいずれも下部には離職者本人が署名する欄があります。

事実と相違ない旨を本人に確認してもらい、本人の署名が必要です。ただし、帰郷など、やむを得ない理由で署名が得られない場合は、その理由と事業主氏名を記載することになります。

基本手当の所定給付日数や支給開始時期は離職理由によって異なってくるため、本人が納得せずに離職証明書を作成するとトラブルに繋がる可能性もあります。

雇用保険被保険者離職証明書の記入例

次に離職証明書の記載例をみてみましょう。前述の記載内容と注意点と併せてご覧ください。この記載例は3枚綴りの1枚目(事業所控)です。

雇用保険被保険者離職証明書の記入例

雇用保険被保険者離職証明書の提出方法と注意点

事業所が離職証明書を作成し、ハローワークに提出する場合、基本手当の支給要件や離職証明書の記載内容を確認するため、一定の書類の提出を求められます。

雇用保険被保険者離職証明書を提出する際に必要な書類

ハローワークには、離職証明書とともに次の書類を持参する必要があります。

① 支給の内訳と交通費がわかる賃金台帳または給与明細書(記載した期間すべて)
② 出勤簿またはタイムカード(記載した期間すべて)
③ 賃金台帳
④ 離職理由の確認できる書類のコピー

④の離職理由の確認できる書類については、具体的には離職理由によって、下記のような書類を準備することになります。

自己都合・・・・・・・・退職願、労働者名簿 等
解雇・・・・・・・・・・解雇通知書、労働者名簿 等
退職勧奨・・・・・・・・退職願、労働者名簿 等
定年・・・・・・・・・・就業規則、再雇用に係る労使協定書 等
契約期間満了・・・・・・契約書

雇用保険被保険者離職証明書を入手するには?

厚生労働省のサイト「ハローワークインターネットサービス」では、雇用保険被保険者資格取得届や雇用保険被保険者資格など、様々な帳票をダウンロードすることができます。

しかし、離職証明書はA3サイズのカーボン用紙であるため、サイトで入手することはできません。

したがって、直接、ハローワークの窓口で入手するか、切手を貼付した返信用封筒を同封して郵送で送付を依頼するか、いずれかの方法になります。

作成の流れや提出方法を知って、正しく手続きをしましょう!

雇用保険被保険者離職証明書が必要な場合や離職票との関係のほか、その書き方について解説してきました。

事業所では、雇用保険被保険者資格喪失届とともに作成し、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に事業所所轄のハローワークに提出することになっています。また、必要な添付書類も複数あります。

退職者が生じた時に慌てないよう、基本的な書き方や提出方法は知っておくとよいでしょう。

※雇用保険被保険者資格喪失届の書き方についてはこちらの記事をご覧ください。

よくある質問

雇用保険被保険者離職証明書とは何ですか?

基本手当の支給要件の確認や支給額及び支給期間などの決定のために必要な事項を記載した書類です。詳しくはこちらをご覧ください。

雇用保険被保険者離職証明書の入手方法について教えてください

直接、ハローワークの窓口で入手するか、切手を貼付した返信用封筒を同封し、郵送で送付を依頼するか、いずれかの方法になります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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