- 更新日 : 2024年12月18日
31連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
31連勤のきつさは、身体的な疲れだけでなく、精神的な自由を失うことで生活そのものが疲弊してしまう点にあります。
本記事では 「31連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
31連勤は違法?
31連勤が違法かどうかは、企業が「法定休日」をどのように設定しているかによって異なります。
1.週1日の休日を与える場合
この場合、最大で12連勤までが理論上可能と考えられます。31連勤は明らかに12日を超えていますので、法定休日が適切に確保されていないと判断され、違法とです。
2.4週間(28日間)で4日以上の休日を確保する場合
この場合は、最大48連勤まで理論上可能とされています。31連勤は48日以内ですので、直ちに違法とはいえません。
ただし、いずれの場合も健康管理や労働者保護の観点から、長期的な連勤は望ましくないといえます。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
※労働基準法第41条では、管理監督者(監督・管理の立場にある者や機密業務を扱う者)には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。ただし、健康管理の観点から、一般の従業員と同じような配慮が求められます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
31連勤はきつい?その理由とは
31連勤ともなると、身体的な疲労と精神的な負担が重なり、心身に深刻な影響を与えます。
1か月間休みなく働き続けることで、日々の疲れが蓄積していき、体力の限界が試される状態になります。たとえ十分な睡眠を取っているつもりでも、身体のだるさが抜けず、次第に慢性的な倦怠感が伴うようになります。この状態では、どんなに頑張ってもエネルギー不足を感じることが増え、日常的な動作や判断に支障をきたすことがあります。
精神的な面では、「休めない」というプレッシャーや「この生活がいつまで続くのか」という先の見えない不安が、日々のストレスを増幅させます。31日間も連続して働き続けると、自分の時間が完全に奪われたように感じ、自分自身の生活や楽しみを見失うことがあります。
その結果、気分が沈みやすくなり、やりがいや達成感を感じる余裕がなくなることも珍しくありません。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
過労死ラインは何時間?人事労務担当者が気をつけること
過労死ラインとは、健康被害に発展するリスクが高まる時間外労働の時間のことです。発症前1ヶ月間に100時間、2~6ヶ月間を平均し月80時間の時間外労働があると、業務と疾病との関連が強くなるとされています。この記事では、過労死や過労死ラインの定…
詳しくみる有給休暇の理由の書き方は?私用じゃダメ?おすすめの例文やテンプレートも紹介
有給休暇を申請するとき、理由の書き方に悩んだことはありませんか?本記事では、有給休暇の理由をどう書くべきか、適切な表現やNG例を交えながら詳しく解説します。体調不良や家庭の事情、私用のためなど、会社側に伝えやすいおすすめの理由や、理由を聞か…
詳しくみる就業規則変更届の書き方・記入例・提出方法 – 様式についても解説!
就業規則変更届とは、就業規則を変更する際に労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。厚生労働省から要件を満たした様式が提供されていますが、法令で規定された書式等はありません。この記事では軽微な修正でも届け出が必要なのか、逆に変更箇所…
詳しくみる中小企業も例外なし!1ヶ月60時間超の時間外手当割増率は50%以上
割増賃金とは?1か月60時間超の時間外手当割増率は50%超! 2023年以降、中小企業向け適用猶予がなくなる! 上記の表に記載の通り、法定時間外労働が月60時間を超えた場合、60時間を超えた時間分については「1.5倍」の割増率で割増賃金の支…
詳しくみる30連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
30連勤は、健康面、精神面、そして生活面すべてに悪影響を及ぼす働き方です。法的に問題がない場合でも、働き続けることによるデメリットは非常に大きく、労働者だけでなく企業側にも深刻なリスクが伴います。適切な休息を確保しなければ、健康を害するだけ…
詳しくみる週3日勤務のパートの有給休暇は何日?計算方法・企業の正しい対応を解説
週3日勤務のパートでも、有給休暇は法律で定められており、一定の条件を満たし、入社後6ヶ月を経過すれば5日以上取得できます。有給休暇の付与日数は勤務日数に応じて決まり、週3日勤務の場合は最大で年間11日です。 本記事では、有給休暇の計算方法や…
詳しくみる