• 作成日 : 2022年8月5日

夜勤の仮眠時間の理想は?16時間夜勤で仮眠なしは違法?

夜勤の仮眠時間の理想は?16時間夜勤で仮眠なしは違法?

深夜に及ぶ夜勤で労働時間が長時間になる場合、仮眠時間が問題となることがあります。例えば、16時間に及ぶ夜勤で仮眠時間が与えられない場合、法律上違法なるのでしょうか。今回は、仮眠時間の付与について、労働基準上の扱いについて解説していきます。

夜勤における仮眠の位置づけ

仮眠とは、短時間の睡眠をとることです。その間、労働はしていないわけですが、労働基準法では、仮眠はどのように位置づけられているのでしょうか。

夜勤での仮眠は労働時間に含まれる?

実は、労働基準法には、仮眠について時間帯や長さについての規定は特段ありません。また、休憩時間とは別の時間に仮眠時間を付与する義務はありません。

仮眠時間を労務の提供義務のない時間と捉えると、休憩時間と解すことができ、夜勤業務では、実際に休憩時間に含めている企業もあります。

労働基準法上、休憩については、「労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない」と定めています(法34条)。

休憩は、労働者が休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間のことであり、業務の都合によって分割して付与する場合、5分や10分など、実質的に休息の意味がない場合でなければ、労働基準法違反とはなりません。

しかし、休憩時間は、労働から離れることが保障されていなければなりません。会社の就業規則などで仮眠時間は、仮眠室や休憩室にいなければならないなどの定めがあれば、場所の拘束を受けていることになります。

これは、仮眠中に業務の必要があれば、対応をすることを前提としており、休憩とは認められません。

では、労働時間に含まれるのでしょうか。法律上の労働時間の定義が問題となってきます。次項で詳しくみていきましょう。

拘束時間・労働時間・休憩時間の定義

会社の就業規則では、始業時刻と終業時刻が定められています。休憩時間を含めてこの間の時間を「拘束時間」と呼んでいます。

すると、労働時間は、休憩時間を除いた時間ということになりますが、実は単純に判断できるわけではありません。

労働基準法上の「労働時間」とは、条文上、明確な定義はありませんが、通説・判例・行政解釈では、「労働者が使用者の指揮命令(監督)下に置かれている時間」と定義されています。

仕事の準備や後始末のための時間や実際には作業をしていないものの就労場所に待機している時間がありますが、必要があれば直ちに対応することが前提となっています。これは「手待ち時間」と呼ばれ、実質的には使用者の指揮命令下にあるため、休憩時間ではなく、労働時間とされます。

休憩時間は、前述のように労働から離れることが保障されている時間です。

夜勤の場合の仮眠室などでの仮眠時間は、手待ち時間と類似しており、労働からの解放が保障されていない場合は労働時間となります。

16時間の夜勤で仮眠なしは違法?

仮眠室などでの仮眠時間が労働時間とされるのであれば賃金支払義務が生じるため、仮眠時間を設けないケースも考えられます。

夜勤時間が16時間など二昼夜に及ぶ場合、別に休憩時間があっても、食事などに充てる1時間程度では、疲労が蓄積して明け方には睡魔に襲われることもあるでしょう。

しかし、労働基準法では仮眠時間についての規定はなく、休憩時間で対応するしかありません。労働時間が8時間を超えるため、1時間の休憩時間が付与されていれば、適法ということになります。

ただし、深夜も含めて長い待機時間が発生するタクシーやバス運転手などの車庫待ちなどの運転者については、運転者の健康だけでなく、公共交通の安全という観点から、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が策定されています。

そこでは、1日についての拘束時間が18時間を超える場合における仮眠時間に関しては、仮眠設備において夜間4時間以上の仮眠時間を確実に与えるよう要請されています。

夜勤での仮眠時間の目安

仮眠時間については、車庫待ちなどの運転者についての改善基準告示のほかには、法的な規制はありません。看護師や介護士など、深夜に及ぶ勤務が常態となっている業務の場合、仮眠時間の目安はあるのでしょうか。

夜勤4時間の場合

通常、深夜とは22時以降を指しますが、4時間であれば、休憩時間で対応できるでしょう。日本看護協会では、10分程度の短い仮眠でも一定の効果があるとしています。

夜勤8時間の場合

日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、夜勤の実労働時間が8時間を超える場合、連続2時間以上の仮眠を推奨しています。

参考:公益社団法人日本看護協会|看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン

夜勤16時間の場合

夜勤16時間というのは二昼夜ということになりますが、日本看護協会では「16時間夜勤の場合は、2~3時間の休憩時間が望ましい」としており、2交代制の夜勤には休憩時間と仮眠時間が設けられ、仮眠は前述のように最低でも2時間以上とるのが一般的です。

夜勤の仮眠時間ついて知っておこう!

夜勤の仮眠時間について解説してきました。労働基準法上は、特に仮眠についての規定はないため、事業所によって対応は異なっていると思われます。

しかし、手待ち時間のように仮眠中も業務への対応を求められる場合は労働時間であり、賃金の支払いが必要となります。

法的な規制がないにしても、労働者の心身の疲労と業務の事故リスクを考慮すれば、適切な仮眠時間は付与することが大切です。

株式会社親交設計 市村 啓子 様

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よくある質問

夜勤での仮眠は労働時間に含まれますか?

使用者の指揮命令下ある場合は、労働時間と扱われます。詳しくはこちらをご覧ください。

16時間の夜勤で仮眠なしは違法ですか?

労働基準法上は、違法ではありません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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