- 更新日 : 2024年3月8日
セカンドキャリアとは?年代別の目的や具体例、企業が採用するポイントを解説
セカンドキャリアとは、第二の人生における職業を意味する言葉です。人生の大きな節目を迎えた人が自身のキャリアについて向き合い、将来を見据えたキャリア設計を意識するという動きが広がっています。
ここでは、30代・40代・50代と年代別のセカンドキャリアのポイント、採用の際の注意点について解説します。
目次
セカンドキャリアとは
セカンドキャリアとは、「第二の人生における職業」を意味する言葉です。もともとは、プロスポーツ選手の引退後のキャリアを指して使われた用語でした。また、会社を定年退職したあとや、出産や育児を終えた人の、「その後の生活」を指して使われることもあります。セカンドキャリアとは、人生の大きな節目を迎えた人が、自身のキャリアについて向き合う言葉なのです。
「人生100年時代」と呼ばれる現代では、セカンドキャリアは将来を見据えたキャリアアップ、キャリア設計という意味で使われることも増えてきています。ライフステージを意識しながら、人生を豊かにするため、セカンドキャリアを意識する風潮が広まっています。
年齢別のセカンドキャリアの目的・具体例
セカンドキャリアを考える際、年代別に意識するべきポイントが異なります。一般的な傾向として、年齢別のセカンドキャリアの目的・具体例について紹介します。
30代のセカンドキャリア
30代は、これまでの若手社員から一皮むけて、責任を負うポジションに就く年齢です。入社後10年近く経過すれば、チームリーダーや係長など、現場で中心的な役割をこなしていることが多いでしょう。心身ともに充実し、現場での専門性を磨いたり、管理職などのマネジメントに興味を抱いたりと、30代は職場でのキャリアの一層の飛躍に情熱を持つ年代です。
また、30代は、結婚や出産、育児などの人生の節目を迎える人も多くいます。そのため、生活スタイルの変化に合わせてキャリアを見直す人もいるでしょう。30代は、これまでのキャリアを見直しし、自身の長所や積み重ねたスキルを活かしてさらなるステップアップを図るためのキャリアの転身にも役立ちます。
40代のセカンドキャリア
40代は、ベテランとも呼ばれる年代であり、役職に就く人も少なくありません。しかし、中には「このままでいいのか」と、セカンドキャリアを考える人も多くいます。転職や別分野への挑戦をするのであれば、「40代のうちに」と焦りを感じる人もいるでしょう。
40代のセカンドキャリアは、50代・60代を見通してのスキルアップがポイントです。子どもがいる世帯であれば、増加する学費に備えて年収アップを図りたいと考える人も多くいるでしょう。自身の興味がある分野に関する新たなスキルを獲得し、長期的なキャリアを築くための挑戦ができる年代でもあります。
50代のセカンドキャリア
50代のセカンドキャリアの大きな目的は、定年後の働き方です。企業によっては、早期退職制度の対象となることもあります。60代、定年後を見据え、将来どのように働きたいのかを考えなければならない年代であり、社会的なつながりをもとめ転職をするケースもあります。
企業がセカンドキャリアを採用するメリット
セカンドキャリアの採用により、経験豊富な人材が持つ熟練のスキルを自社に取り入れることが可能になります。また、採用の幅を広げることで、人手不足や人材不足の解消につながるといったメリットが期待できます。
熟練の経験や知識を活用できる
中堅~シニア層のセカンドキャリアの人材は、さまざまな経験を有しています。これまでの日本企業の採用では、若手人材のほうが「育つ」「伸びしろがある」と重視される傾向がありました。セカンドキャリアの採用は、こうした若手を育てる観点とは別のものです。経験や知識が豊富な人材を積極的に採用することで自社に新しい風を取り込み、職場の活性化を図ることを期待する企業もあります。
また、違う業界や職種から転職してきた人材であっても、長年の社会人経験で培ったものをもとに活躍するケースが少なくありません。仕事上の経験・知識が豊富だからこそ、企業にとってセカンドキャリアの人材は貴重な存在といえます。
人手不足や人材不足の解消につながる
セカンドキャリアの採用は、人手不足の解消につながります。採用が難しい職種や、慢性的に人手不足の職種の場合、セカンドキャリアの人材を採用の候補にいれることで、採用の対象範囲を広げることができます。
また、人材不足で悩んでいる企業も多いでしょう。これまで、働き方や条件、スキルなどで自社の重要な業務を任せられる人材が見つからなかったケースでも、セカンドキャリアという新たな市場にアプローチすることで、これまでとは異なる人材を採用することが可能です。
企業がセカンドキャリアを採用する際の注意点
セカンドキャリアの採用では、入社後に活躍してもらうため、以下の点に気を配りましょう。
誰もが働きやすい環境を整備する
柔軟な働き方は、セカンドキャリアの人材の活躍の場を広げます。たとえば、女性の結婚や出産後のセカンドキャリアの採用では、勤務体系や勤務時間が選べるといったフレキシビリティが効果的です。リモートワークやワーケーションなど、働く場所にこだわらない就業体系は、ワークライフバランスを重視する人材の採用につながります。
特に、シニア層などのセカンドキャリアを採用する場合には、環境整備を通じて仕事の負荷を減らすことが重要です。現場業務のシステム化、デジタル化などを図ることによって、従業員の体力的な負担を軽減することができます。パソコンやアプリといった業務上のシステムの扱いに慣れていない人材に対しては、入社後の研修を充実させましょう。
勤務体系や制度、働く環境など、さまざまな観点から、働きやすい職場づくりに取り組むことが重要です。
評価制度を見直す
シニア・ミドルのセカンドキャリアでは、専門性が重視されやすい傾向にあります。即戦力人材は、どの企業にとっても欲しいところでしょう。しかし、評価ポイントに「ポテンシャル」や「マネジメント能力」などを加えることで、自社が求める人材の活躍の場が広がります。
シニアのセカンドキャリアのなかにも、「新しい分野に挑戦したい」という意欲を持っている人もいます。セカンドキャリア人材を想定した、評価制度や配属体制を構築しましょう。
企業の力となるセカンドキャリア
少子高齢化や働き方の多様化といった流れを受け、セカンドキャリアへの注目度が高まっています。経験豊富で知識のあるセカンドキャリア人材は、企業にとって即戦力となる可能性を秘めているのです。
一方、キャリアに求めるものは、人それぞれ異なります。働き方や職場環境の整備を通じて、さまざまな人が働きやすい職場づくりを実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ブラック企業とは?特徴や見分けるポイントを解説
ブラック企業とは、労働者を劣悪な環境のもとで働かせる企業です。この記事ではブラック企業の定義や特徴、労働者によるブラック企業の見分け方とともに、対義語のホワイト企業について解説します。自社がブラック企業にみなされると人材確保に大きな支障が生…
詳しくみるアンゾフの成長マトリクスとは? 企業事例や経営戦略をわかりやすく解説
アンゾフの成長マトリクスとは、成長戦略の方針を策定するフレームワークのことです。市場と製品の2つの軸に分け、さらに「既存」と「新規」で区分した4象限のマトリクスを指します。本記事では、アンゾフの成長マトリクスの4つの戦略の概要、多角化戦略の…
詳しくみるリファラル採用とは?意味や進め方とデメリット、成功のポイントを解説
リファラル(referral)採用とは、自社の社員から会社に人材を紹介してもらう採用手法です。採用コストを大きく削減できる一方、候補者が採用に至らなかった場合に、紹介者と候補者が気まずい関係になるなど難しい面もあります。 本記事では、リファ…
詳しくみるスメハラとは?具体例や職場でできる対策、伝え方について解説
香りやにおいの感じ方は、人それぞれです。もちろん多くの人が明確に悪臭と判断するような場合もありますが、人によってにおいの感じ方はさまざまでしょう。 本記事では「スメハラ」について解説します。スメハラの具体例や、職場で可能な対策、スメハラの上…
詳しくみる労働生産性とは?定義や上げるメリット解説!
労働生産性とは、従業員1人当たり、または労働時間1時間当たりどのくらいの生産性を生み出したかを数値化した指標のことです。 労働生産性には、物理的な量を表す物的労働生産性と、付加価値を表す付加価値労働生産性の2種類があります。本記事では、労働…
詳しくみるデジタルネイティブとは?年齢や世代の特徴、指導方法、次の世代を解説
デジタルネイティブとは、物心ついたときからインターネットが普及していて、使えるのが当たり前の世代を指します。情報検索に優れ、SNSを活用してつながりを作るのが得意な一方、なかには対面コミュニケーションや自分で物事を考えるのが苦手という面もあ…
詳しくみる