- 更新日 : 2024年10月8日
パワハラした社員に始末書の提出を求めてよい?書き方や無料テンプレートも
社内でパワハラ行為があった際、どういう対応を取ればよいかわからない方もいるでしょう。本記事では、始末書の書き方や記載すべき内容や無料テンプレートの紹介、始末書要求がパワハラとなるケースなどについて触れていきましょう。
目次
パワハラした社員に始末書の提出を求めてよい?
パワハラ行為が確認された場合、加害者である社員に始末書の提出を求めることは適切な対応の一つです。これは、問題行動を正式に記録し、反省を促すとともに、再発防止への意識を高める効果があります。
ただし、始末書の提出を求める際は、就業規則や社内規定に基づいて適切に行う必要もあります。
パワハラの始末書の書き方・記載内容は?
パワハラの始末書は、主に以下の項目について記載します。
パワハラの発生日時
具体的な日付と時間を記載します。パワハラが複数回にわたる場合は、主要な出来事を時系列で記述しましょう。「2024年9月15日 14:30頃、会議室にて」のように明確な情報を記載することが重要です。これによって、事実関係を正確に把握し、適切な対応を考えることができます。
パワハラの状況内容
パワハラ行為があった場合、どのような言動や行為だったか、その場の状況や背景も含めた説明が必要です。例えば、「部下の提案に対して、他の社員の前で『そんな馬鹿な案は聞いたことがない』と大声で叱責した」など、具体的な記述が求められます。ただし、自己弁護や言い訳は避けなければならないので、注意が必要です。
反省など
自分の行為がパワハラに該当することを認識し、深く反省していることを示します。ここでは、単なる形式的な謝罪ではなく、自分の言動が相手にどのような影響を与えたかを理解し、真摯に反省していることを表現しましょう。
例えば、「自分の言動が相手の尊厳を傷つけ、職場環境を悪化させたことを深く反省しています」などの記述が適切です。
今後の防止策
同様の問題が再発しないよう、具体的な改善策や行動計画を記述します。例えば、「ハラスメント防止研修への参加」「部下とのコミュニケーション方法の改善」「ストレス管理の徹底」などの具体的な対策を考え、記述するのが妥当です。また、上司や人事部門と定期的に面談を行い、改善状況を確認する旨を記載するのも効果的と言えるでしょう。
備考
害者への謝罪の状況や、職場環境改善に向けた自主的な取り組みなど、関連する情報や補足事項があれば記載します。ここでは、自分の行動改善に向けた積極的な姿勢を示すことが重要です。
パワハラの始末書の無料テンプレート
パワハラの始末書を書く人の大半は、初めてのことで書き方がわからないかもしれません。
そこで、無料のテンプレートを使っての作成をおすすめします。
テンプレートにそって必要事項を記載すれば、内容に抜け漏れがない報告書を書けるでしょう。
始末書の強要が逆にパワハラになる可能性も?
最後に、パワハラの始末書の作成を強要することが、パワハラになる可能性について解説します。
正当な理由がない場合
始末書の提出を求める際は、明確かつ正当な理由が必要です。単なる個人的な感情や自己中心的な判断で始末書を要求することは、パワハラとみなされる可能性があります。
例えば、業務上のミスや規則違反などの具体的な事実がない場合、始末書の提出を強要することは適切ではありません。
脅迫や嫌がらせの意図がある場合
始末書の提出を求める際の態度や言葉遣いが、脅迫や嫌がらせと受け取られる可能性がある場合、それ自体がパワハラとなるでしょう。例えば、「始末書を書かなければ降格させる」といった脅迫的な言動は、明らかにパワハラに該当します。始末書の提出を求める際は、冷静かつ客観的な態度で行うことが重要です。
不合理な頻度や内容を強要する場合
軽微なミスや些細な問題に対して、過度に頻繁に始末書を要求したり、不合理に詳細な内容を強要したりすることは、パワハラとみなされる可能性があります。
始末書の提出を求める際は、問題の重大性に応じた適切な頻度と内容であるべきです。
たとえば、日常的な業務上のミスに対して毎回始末書を要求するような行為は、不適切と判断される可能性が高いです。
職務とは関係のない内容である場合
始末書の内容が、職務や業務とは直接関係のない個人的な事項に及ぶ場合、それはプライバシーの侵害やパワハラとなる可能性があります。
始末書の内容は、あくまでも職務上の問題や行動に関するものに限定すべきです。
たとえば、社員の私生活や個人的な信条に関する内容を始末書に記載させることは、明らかに不適切です。
組織的な嫌がらせとみなされる可能性がある場合
特定の社員に対して、他の社員と比べて不当に多く始末書の提出を求めるなど、組織的な嫌がらせとみなされる可能性がある場合は、パワハラに該当する恐れがあります。
始末書の提出を求める際は、公平性と一貫性を保つことが重要です。
たとえば、同様の問題行動に対して、特定の社員にのみ始末書を要求するような差別的な扱いは避けるべきです。
パワハラの始末書は再発防止策の一つ
パワハラの始末書は、単なる処罰や謝罪の手段ではなく、再発防止のための重要なツールの一つです。ただし、始末書の提出だけでなく、継続的な教育や職場環境の改善など、総合的なアプローチが必要となります。また、適切に作成された始末書は、加害者の反省を促し、問題行動の具体的な改善策を明確にすることが可能です。他にも、組織全体のハラスメント防止意識を高める契機にもなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
リーダーに必要なスキル・能力とは?具体的な役割や特徴を紹介
優れたリーダーに恵まれると、そのチームのメンバーは能力を発揮し、成長し、相乗効果によりチームの成果もより大きなものとなります。リーダーの役割と使命は何か、条件やスキルには何が求められるのでしょうか。 リーダーの意味や役割、条件、リーダーに向…
詳しくみる逆パワハラとは? 3つの要件と具体例、発生した場合の対処法を解説
逆パワハラとは、上司が部下から受けるパワーハラスメントのことです。部下が上司からの注意や指導に反発して仕事をしない、あるいは過剰な反発をするといった行為が該当します。今回は、逆パワハラの意味や該当しているかどうかを判断する3つの要件のほか、…
詳しくみる復職制度とは?カムバック、ジョブリターンの意味やメリット、注意点を解説!
日本の総人口の減少と少子高齢化の進展にともなう労働力人口の減少により、採用に頭を悩ませる企業の数が増加しています。そのような中、過去に退職した従業員を再雇用することで必要な人材を確保する対応が注目を浴びています。 今回は、退職した従業員を再…
詳しくみる業績改善提案書の書き方は?無料テンプレート・例文つき
業務改善提案書は、業務の効率化や問題解決を目指して提案を行う際に提出する重要な書類です。適切な内容に書かれた提案書は、企業全体のパフォーマンス向上や問題解決の糸口となることがあります。この記事では、提案書を提出する理由や基本的な書き方、具体…
詳しくみるMBOとは?意味や目標管理の仕方をわかりやすく解説
人事労務に携わっている方なら一度は耳にしたことがるであろう「MBO」。ですが、改めてその意味を聞かれると「目標管理制度や評価制度なのでは?」という理解の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、MBOの意味や歴史、目標設定のポイント、…
詳しくみる心理的安全性とは?理論や高いことのメリットを解説
円滑な組織開発には、組織内におけるコミュニケーションの方法や内容によって大きく変化します。「組織内で誰もが発言・行動しやすい環境である」ことが重要と説いているのは、近年注目を集めている「心理的安全性」という理論です。 この記事では、心理的安…
詳しくみる