- 更新日 : 2026年3月31日
健康保険未加入のリスク
会社に勤めている間は、自分では何もしなくても、会社の社会保険に自動的に加入することになります。しかし、会社を退職したら自分で国民健康保険等の加入手続きを行わなくてはなりません。
転職先が決まっていれば、数週間は国民健康保険に加入しなくてもいいと思っている方もいるかもしれませんが、転職までの期間が例え1日だったとしても、また、その間に病院にかからなかったとしても、国民健康保険に加入して保険料を納めなくてはいけません。国民健康保険は任意ではないのです。加入しなければ法令違反になります。
今回は、健康保険未加入のリスクについて考えたいと思います。
病気になったときは全額負担
会社を退職すると14日以内に市町村や国民健康保険組合へ国民健康保険加入の手続きを行いますが、これを怠り、未加入のままだとどのようなリスクがあるのでしょうか。
離職して無職だったとします。国民健康保険に未加入のまま、病気やケガで病院にかかった場合、当然保険証はないので自由診療となり、全額負担しなければいけません。
また、保険診療の場合、病気ごとに診療の内容や処方できる薬などが決まっているので、どの病院へ行っても金額に大きな差がないと思っていいでしょう。しかし、公的な医療保険が適用されない自由診療は治療の内容や費用に制限がないため、医療費が高額になってしまいます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
社会保険・労働保険の手続きガイド ‐入社・退職・異動編‐
入社や退職に伴う社会保険の手続きは多岐にわたり、ミスが許されません。特に厚生年金や健康保険は従業員の将来の給付や医療に直結するため、正確な処理が求められます。
手続きの不備でトラブルになる前に、本資料で社会保険・労働保険の正しい手順や必要書類を確認しておきませんか?
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
高齢者の社保手続き総まとめ
高齢の従業員を雇い続けるとき、厚生年金・健康保険・介護保険は年齢ごとに区切りが異なり、給与計算ミスの原因になりがちです。
本資料では、保険料徴収の区切りや70歳到達時の届出、社会保険の適用拡大までを早見表とFAQで整理しています。
社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選
社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。
本資料では社会保険手続きでよくあるミスをシーン別に取り上げ、対処方法をステップにわけて解説しています。
離職した翌日から保険料が発生
離職後、しばらくして国民健康保険加入の手続きに行ったとします。この場合、手続きに訪れた日からの保険料が発生するのではなく、会社を辞めた翌日に遡って保険料を徴求されます。つまり、未加入の期間を滞納期間とみなされ、支払い請求されてしまうのです。
ただし、遡れる期間には限度が決められており、国民健康保険料の場合は2年、国民健康保険税の場合は3年となっています。これは根拠となる法律が異なっているためで、国民健康保険料は「国民健康保険法」、国民健康保険税は「地方税法」によって定められているためです。
また、時効(市町村が徴求する権利の消滅)については、国民健康保険料の場合は2年、国民権法保険税の場合は5年と、それぞれ異なっています。
しかしながら、保険料の督促状などが届くと時効が中断されることもあり、2年もしくは5年を過ぎても必ずしも時効消滅とはなりません。
健康保険は日本国民の義務
では、病院に行かなければ加入しないでもいいのでしょうか。そういうわけではありません。日本は国民皆保険制度を採用しており、これは、国民全員が公的医療保険制度の下にいることを表しています。
健康保険の加入は法律で定められた義務ですから、加入するべき者が加入しなければ、義務を怠った場合の罰則があります。それぞれの市町村において条例で定めている場合には、10万円以下の過料が課される場合もあります。
それだけではありません。もしも偽りやその他不正な行為により保険料を免れていたなら、免除されていた金額の5倍を過料として科することも場合によっては認められます。
未加入者や滞納者の問題は年々深刻化しており、徐々に厳しくなっています。場合によっては保険料よりも高くなる諸々の罰則があり得るのです。
事業者が未加入の場合
個人が健康保険に加入する必要があるように、企業も社会保険などに加入する義務があり、これを怠るとしかるべき罰則があります。法人または常時5人以上を使用する個人事業所(一定業種を除く)は、事業主の意思に関係なく、健康保険に加入しなければなりません。
また、近年においては罰則が強化されています。
企業が健康保険に未加入だった場合には、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。ただし、以下の者は健康保険の適用外です。
- 臨時の雇用者(2カ月以内の期間で雇用された者、日々雇い入れられる者)
- 季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される者
- 臨時的事業のため6カ月以内の期間を定めて雇用される者
国民健康保険未加入のリスクは大きい
経済的な理由から国民健康保険への不加入者が増えているようです。病気にならない、なっても病院に行かないと自分が思うだけではすまない行為です。
健康保険への加入は保険料を納めるのに見合うメリットがあります。病気になってほんとうに経済的に医療費が払えないと心配するような場合でも、さまざまな制度で生活を守るように仕組みが組まれているのです。
国民の義務でもあると同時に、自分の生活を守る制度として健康保険の仕組みを知り、未加入のリスクをおかさないように注意しましょう。
よくある質問
国民健康保険に加入せず、病気になったらどうなりますか?
治療は自由診療となり、本人が治療費を全額負担しなければいけません。詳しくはこちらをご覧ください。
離職してからしばらくして、国民健康保険に加入した場合はどうなりますか?
手続きをした日からの保険料が発生するのではなく、会社を辞めた翌日からさかのぼって保険料を徴求されます。 詳しくはこちらをご覧ください。
会社が健康保険に未加入の場合はどうなりますか?
企業が健康保険に未加入だった場合は、一定の場合を除き、6 カ月以下の懲役または50 万円以下の罰金に処せられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 社会保険業務
社会保険料の定時決定と随時改定の違いは?適用条件・優先順位・手続き注意点を解説
定時決定と随時改定の違いとは? 定時決定は年1回の一斉見直し、随時改定は固定的賃金の変動時に都度行う標準報酬月額の改定手続きです。 定時決定は毎年7月、4〜6月給与が基準 随時改定…
詳しくみる -
# 社会保険業務
育休手当の雇用保険の加入期間は?2人目、3人目はどうなる?
育児休業(育休)を取得している期間は、基本的に雇用保険料が免除されます。 育休は、労働者であればだれもが取得できる権利ですが、育休中は働いていないため無給です。雇用保険料は、働いた…
詳しくみる -
# 社会保険業務
「有給を公休にされた」は違法?変更ルールや対応方法を解説
「せっかくの有給休暇が公休にされてしまった……」。そんな経験はありませんか?有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利ですが、企業によって「公休」として扱われてしまうことがありま…
詳しくみる -
# 社会保険業務
社会保険の資格取得届とe-Gov電子申請手続きのやり方
社会保険の資格取得届は、社会保険の取得義務が発生した場合に提出する書類です。資格取得届を提出するのは、社会保険の適用事業所が新たに従業員を雇った場合、および勤務形態の変更により社会…
詳しくみる -
# 社会保険業務
雇用保険被保険者証はいつもらえる?タイミングやもらえない・届かない時の対処法を解説
雇用保険被保険者証(雇用保険証)は、転職や給付金申請の際に必要な重要書類ですが、「いつ受け取ったのか記憶にない」「手元に見当たらない」という方が非常に多い書類です。 原則として、こ…
詳しくみる -
# 社会保険業務
扶養とは?所得税と社会保険の観点から解説!
所得税の扶養控除や社会保険の扶養など、「扶養」という言葉をよく聞くと思います。そもそも「扶養」という言葉は、所得税でも社会保険でも同じ意味で使われているのでしょうか? 今回は、「扶…
詳しくみる




