- 更新日 : 2025年10月10日
傾聴とは?意味や仕事での実施・活用方法を解説 | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
最近、「傾聴」という言葉を聞く機会が増えてきました。傾聴はコミュケーションの質を大きく左右すると言われており、ビジネスシーンでも傾聴を重視することで大きな効果が期待できます。この記事では、傾聴の意味などの基礎知識のほか、ビジネスシーンでの活用方法、トレーニング方法などについて解説していきます。
目次
傾聴とは?
そもそも傾聴とは、どのような意味なのでしょうか。ここでは、その意味、歴史的な位置づけ、ビジネスにおける意義、共感との違いについてみていきましょう。
傾聴の意味
「傾聴」とは、相手の話を注意深く聞き、理解しようとすることです。傾聴は、単に耳を傾けるだけでなく、相手の気持ちや考えを理解しようとする姿勢が重要です。傾聴により、相手が自分の考えや気持ちを伝えやすくなり、コミュニケーションがスムーズになります。
傾聴の歴史的な位置づけ
「傾聴」の研究の歴史は意外と古く、約130年前、フロイトの時代に遡ります。心理療法としては、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャース(1902年~1987年)が「積極的傾聴(Active listening)」を提唱しました。これは、「来談者中心療法」と呼ばれるものであり、最近、注目されている傾聴を主軸とした心理療法です。
ビジネスにおける意義
ビジネスにおいて傾聴力が必要な理由として、信頼関係の構築、営業力や交渉力の向上、コミュニケーションエラーの回避、人事や管理職のベーシックスキルとなりつつあることが挙げられます。傾聴は、相手を深く理解することによって、ビジネス上では信頼関係が構築されやすくなります。信頼関係があるからこそ、業務が円滑に進むことが期待できるでしょう。
共感との違い
傾聴は、「相手の話に耳を傾け、相手の気持ちに沿って話を聴くこと」です。聴き手が相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら体が傾くほど、熱心に身を入れて聞くことを意味します。
これに対し、共感とは、文字通り「共に感じる」ということです。相手が持っている感情とつながり、一緒に笑ったり、泣いたり、喜んだりすることを意味します。また共感とは「相手が持っている思いや考えを理解し、肯定すること」でもあります。
傾聴におけるロジャーズの三原則
ロジャーズの三原則とは、前述のアメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが提唱した「傾聴」の3つの構成要素を表すものです。「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」の3つが構成要素とされています。
共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、共感しながら理解しようとすることを意味します。
無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴くことを意味し、話を否定せず、なぜそう考えるようになったのか、肯定的な関心を持って聴くことが重要であるとされています。
自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくいときは分かりにくいことを伝え、真意を確認することを意味します。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反することになります。
ビジネスにおいて傾聴を活用するシーン・方法
実際のビジネスでは、どのようなシーンで傾聴を活用することができるでしょうか。また、その際の方法としてどのような点がポイントとなるのでしょうか。
ビジネスにおいて傾聴を活用するシーン
「傾聴」はビジネスにおいて、様々なシーンで活用することができます。例えば、顧客とのコミュニケーション、交渉、営業、顧客サポートなどで傾聴が役立ちます。
顧客とのコミュニケーションでは、傾聴を通じて顧客のニーズや要望を正確に把握することができます。顧客が話している内容をしっかりと聴き、共感的理解を示すことで、顧客は自分の意見が理解されていると感じ、より多くの情報を提供するようになります。これにより、ビジネス上の提案やサービスの改善に役立つ情報を得ることができます。
交渉や営業でも傾聴は重要です。相手の話をしっかりと聴き、共感的理解を示すことで、信頼関係が築けます。信頼関係があるからこそ、交渉や営業が円滑に進むことが期待できます。また、傾聴を通じて相手のニーズや要望を正確に把握することができれば、適切な提案や交渉ができるようになります。
顧客サポートでも傾聴は役立ちます。顧客からの問い合わせやクレームに対応する際に、傾聴を通じて顧客の問題や不満を正確に把握することができます。また、共感的理解を示すことで、顧客は自分の問題が理解されていると感じ、安心して対応を待つことができます。
このように、「傾聴」をビジネスシーンで活用することにより、双方の信頼関係が構築できるだけでなく、ビジネス上の提案やサービスの改善に役立つ情報を得ることができます。
ビジネスにおいて傾聴を活用する方法
「傾聴」をビジネスにおいて活用する方法としては、次のような点が重要になります。
- 相手の話をしっかりと聴く傾聴の基本は、相手の話をしっかりと聴くことです。相手が話している内容を理解し、共感的理解を示すことで、相手は自分の意見が理解されていると感じ、より多くの情報を提供するようになります。
- 質問をする相手の話を聴いた後、質問をすることで、さらに詳しい情報を得ることができます。質問は、相手の話を理解するために必要な情報を得るために行います。質問する際には、相手の話に対する共感的理解を示すことが重要です。
- フィードバックをする相手の話を聴いた後、フィードバックをすることで、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断にたどり着くように促すことができます。フィードバックする際には、相手の話に対する共感的理解を示すことが重要です。
傾聴力を鍛える方法 – そもそも傾聴力はトレーニング可能?
傾聴力はトレーニングすることが可能です。傾聴力を鍛える方法として、次のようなものがあります。
傾聴の練習
傾聴力は練習によって高めることができます。日常生活やビジネスシーンでのコミュニケーションでも、意識して傾聴の練習をすることが重要です。相手の話をしっかりと聴き、共感的理解を示すことで、傾聴力が高まります。
ロールプレイ
ロールプレイを通じて、傾聴力を鍛えることができます。ロールプレイでは、実際のビジネスシーンを想定して、相手役と会話をすることができます。ロールプレイを通じて、傾聴の練習ができるだけでなく、実際のビジネスシーンでも役立つコミュニケーションスキルが身につきます。
フィードバックを受け取る
傾聴力を鍛えるためには、フィードバックを受け取ることも重要です。周囲の人からフィードバックを受け取り、自分自身の傾聴力について客観的に評価することができます。フィードバックを受け取った後は、その内容を参考にして、傾聴力を高めるための改善点を見つけ出しましょう。
最近注目されている傾聴の意味や仕事での実施・活用方法を知っておこう!
傾聴の意味などの基礎知識のほか、ビジネスシーンでの活用方法、トレーニング方法などについて解説してきました。傾聴力はトレーニングによって高めることができるので、日々のコミュニケーションでも意識して傾聴力を高めるよう心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
勤務態度はどう評価すべき?具体的な項目や方法、ポイントを解説
勤務態度とは、仕事に対する責任感や協調性、積極性など、働くうえでの姿勢や行動全般を指す言葉です。 社員一人ひとりの勤務態度が、企業の成長に大きな影響を与えることは言うまでもありません。しかし、勤務態度をどのように評価すればよいか悩んでいる企…
詳しくみる高度プロフェッショナル制度で労働生産性は向上!?過労死・自殺の問題は? | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
高度プロフェッショナル制度とは何か?導入の目的は? 高度プロフェッショナル制度(ホワイトカラーエグゼンプション)は特に米国のホワイトカラーで広範に実施されている制度で、「時間外・休日労働の規制(いわゆる36協定の規制)」「時間外・休日・深夜…
詳しくみるKPIツリーとは?KGIとの違いや作り方、具体例、活用方法を解説 | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
KPIツリーとは、最終目標であるKGI(重要目標達成指標)を達成するために、指標となるKPI(重要業績評価指標)を使って樹状に可視化したものです。最終目標に到達するために何を実施し、どの程度の業績を上げればよいかが一目でわかるため、行動を具…
詳しくみるデジタル人材とは?職種や必要スキル、人材育成・採用ポイントを解説
デジタル人材とは、AIなどの最新技術に精通したDX推進を担う人材を指します。企業の成長のため、社内体制の刷新やビジネスモデルの変革、新しいサービスの開発などに携わります。 市場変化の激しい現代において、自社のサービスを理解したうえでDXを推…
詳しくみる職務とは?職責との違いや類義語、職務経歴書の書き方を解説
職務、職責、業務などの言葉は、いずれも仕事に関するものです。しかし、その意味は必ずしも明確ではありません。それぞれの言葉が具体的に何を指すのか、どのように使い分けるべきなのかを理解することは、職務経歴書を作成する際にも役立ちます。 この記事…
詳しくみるチームワークとは?なぜ必要?高める方法やメリットを解説!
近年、ビジネスを取り巻く環境の変化によりチームワークを高めることが重視されるようになりました。チームワークを強化することで「個人ではできないこと」を成し遂げられるようになるほか、モチベーションも向上などの組織的なメリットもあります。適材適所…
詳しくみる