• 更新日 : 2026年10月5日

アルバイトの給与支払報告書を提出しないとどうなる?義務・罰則・バレる理由を解説

Pointアルバイトの給与支払報告書は提出不要?

アルバイト・パートへの給与支払報告書の提出は、雇用形態に関係なく法律で義務付けられています。

  • 未提出は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 税務署・マイナンバーで未提出は必ずバレる
  • 30万円ルールは退職者のみ適用の例外規定

Q. 年収103万円以下のアルバイトでも提出は必要?

A. 原則として必要です。所得税・住民税の非課税基準と提出義務は連動しておらず、給与支払実績があれば金額にかかわらず提出義務があります。ただし、年の中途で退職した従業員について、前年中の給与支払額が30万円以下の場合には、給与支払報告書の提出を省略できます。そのため、給与の支払額が少なければ必ず提出不要と考えるのではなく、退職者に該当するかどうかも確認する必要があります。

アルバイトやパートの給与支払報告書について、どこまでの範囲で提出すべきか判断に迷うことはありませんか。雇用形態が多様化する中、給与支払報告書の適正な提出は企業のコンプライアンス遵守を示す重要な業務です。結論から言うと、アルバイトであっても給与支払報告書の提出は法律で定められた義務であり、提出しなければいずれ発覚します。この記事では、提出しないとなぜバレるのか、罰則やリスク、誤解の多い30万円ルール、2025年度税制改正後の最新の提出義務について解説します。

アルバイトの給与支払報告書は提出しないと違法?

給与支払報告書の提出は、地方税法第317条の6において給与支払者である事業主に課せられた義務です。前年中に給与の支払いを行った事業主は、支払いを受けた者の住所地の市区町村長に対し、給与支払報告書を提出しなければなりません。この規定に、従業員の雇用形態による区別はなく、正社員・アルバイト・パート・日雇いなど、すべての給与所得者が対象です。

参考:地方税法|e-Gov 法令検索

アルバイト・パートも対象となる理由

給与支払報告書は、市区町村が個人の住民税額を算定するための根拠資料です。アルバイトやパートであっても、給与所得を得ている以上は住民税の課税対象者となり得ます。企業がすべての従業員の所得を正確に報告することで、市区町村は適正な課税を行うことができ、従業員一人ひとりの公平な納税につながります。

【2026年最新】年収の壁が変わっても給与支払報告書の提出は必要

所得税がかからない年収でも、給与支払報告書の提出義務はなくなりません。2025年度税制改正により、所得税の非課税ラインはいわゆる「103万円の壁」から「160万円の壁」に引き上げられましたが、これは所得税に関する変更であり、住民税の基準とは別の話です。

住民税の非課税ラインは、所得や扶養親族の人数などによって異なります。令和8年度分の個人住民税では、給与収入のみで扶養親族がいない場合、給与収入110万円以下が非課税となる自治体があります。さらに、令和8年度税制改正により、令和9年度分および令和10年度分の個人住民税では給与所得控除の最低保障額が引き上げられるため、給与収入のみで扶養親族がいない場合の非課税ラインは119万円となります。ただし基準額は自治体によって異なるため、自社の従業員がどのラインに該当するかを一律に判断することはできません。

所得税・住民税いずれについても、非課税となるかどうかは給与支払報告書の提出義務とは連動しません。支払った給与の金額や税額の有無にかかわらず、給与の支払い実績があれば提出義務がある点を理解しておく必要があります。

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給与支払報告書の提出対象となる従業員の範囲は?

給与支払報告書の提出対象となるのは、前年中に給与・賞与等の支払いをしたすべての従業員です。これには、年の途中で退職した従業員や、乙欄適用者、他の会社で年末調整を受けている従業員も含まれます。

短期・日雇いアルバイトの取り扱い

短期間の雇用契約であるアルバイトや、日雇いの従業員であっても、給与を支払った場合は提出対象です。従業員の入れ替わりが激しい業種では、対象者の把握漏れが起きやすいため、特に注意が必要です。給与台帳と照らし合わせ、支払い実績のあるすべての従業員をリストアップする作業が欠かせません。

年末調整の対象外とした従業員も含む

年収が2,000万円を超える、2か所以上から給与を受けているなどの理由で、年末調整の対象としなかった従業員についても、給与支払報告書の提出は必要です。年末調整の有無と、給与支払報告書の提出義務は別の話です。自社が支払った給与額を正確に記載し、摘要欄に「年調未済」と記載して提出します。

アルバイトの給与支払報告書が提出不要になる30万円ルールとは?

実務上、特に誤解が多いのが、支払額30万円以下の退職者は提出不要という例外規定です。この規定はあくまで前年中に退職した従業員のみに適用され、年末時点で在籍している従業員には適用されません。

提出不要の条件は退職者のみ

この例外規定が適用されるのは、あくまで前年中の退職者に限られます。年末(12月31日)時点で在籍している従業員については、この規定は適用されません。例えば、年間の給与支払額が20万円であっても、年末時点で在籍していれば給与支払報告書の提出は必須です。

年間給与支払額が30万円以下

上記の退職者という条件を満たした上で、その退職者に対する前年中の給与支払総額が30万円以下である場合に、市区町村への提出を省略できます。ただし、これは提出義務が免除されるだけであり、法令順守の観点から、社内での支払記録は適切に保管しておく必要があります。また、この基準を採用するかどうかは自治体によって対応が異なる場合があるため、提出先の市区町村の基準を事前に確認しておくことが望まれます。

アルバイトの給与支払報告書を提出しない会社はなぜバレる?

税務署と市区町村は連携しているため、源泉徴収票と給与支払報告書の情報を突合することにより、未提出や虚偽がある場合に把握できる体制になっています。

税務署と市区町村の情報連携

事業主は税務署に源泉徴収票を、市区町村に給与支払報告書を提出します。これらの情報が突合されるため、提出漏れがあれば発覚します。

マイナンバーによる所得の把握

マイナンバー制度の導入により、行政機関は個人の所得情報をより正確に把握できるようになりました。これにより、異なる会社からの給与なども名寄せされ、申告漏れが判明しやすくなっています。

従業員自身による申告や問い合わせ

従業員が確定申告をしたり、住宅ローンや保育園の申請などで所得証明が必要になったりした際に、会社からの給与支払報告書が提出されていないことが発覚するケースも少なくありません。

アルバイトの給与支払報告書の提出を怠った場合のリスクは?

正当な理由なく給与支払報告書を提出しなかった場合、または虚偽の記載をした報告書を提出した場合、地方税法第317条の7の規定により、提出義務者である事業主やその担当者に対して、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。提出義務があるにもかかわらず給与支払報告書を提出しなかった場合には、地方税法第317条の7による罰則の対象となる可能性があります。

税務調査の対象となる可能性

給与支払報告書の提出状況は税務当局も把握しています。不提出や記載内容の不備が続くと、企業の経理処理全般に対して疑念を持たれ、税務当局が実施する調査の選定要因の一つとなるため注意が必要です。

従業員からの信頼損失

給与支払報告書が提出されていない場合、通常1〜2ヶ月後に市区町村から「住民税申告のお願い」といった通知が届くことがあります。このような事態は、従業員に多大な迷惑をかけるだけでなく、ずさんな会社という印象を与え、企業と従業員との信頼関係を大きく損なう原因となります。

給与支払報告書の提出方法と電子申告義務化の最新基準は?

給与支払報告書は、郵送、光ディスク等、電子申告(eLTAX:地方税ポータルシステム)のいずれかの方法で提出できます。近年は電子申告が義務化される事業者の範囲が段階的に拡大しているため、自社が対象になるかを確認しておく必要があります。

前々年に税務署へ提出した源泉徴収票の枚数が100枚以上の事業者は、郵送での提出ができず、電子申告または光ディスク等による提出が義務付けられています。この基準は令和9年(2027年)提出分からは「30枚以上」に引き下げられる予定であり、これまで対象外だった中小規模の事業者にも電子申告の義務化が及ぶことになります。対象基準は今後の税制改正で見直される可能性があるため、最新の公表情報を確認することが重要です。

会社がアルバイトの給与支払報告書を提出してくれない場合の対処法

もし、ご自身の勤務先が給与支払報告書を提出しているか不安な場合は、まず経理や人事の担当者に確認してみましょう。

会社が給与支払報告書を提出していない場合、市区町村が他の資料などから所得を把握できないと、住民税の課税に必要な情報が不足する可能性があります。その場合には、市区町村から住民税の申告を求められることがあります。必要に応じて、給与明細や源泉徴収票など、給与収入を確認できる資料を用意して、市区町村に相談しましょう。なお、給与支払報告書の未提出によって、必ず追加の税負担や延滞金が発生するとは限りません。

アルバイトの給与支払報告書も忘れずに提出を

今回は、企業の担当者様向けに、アルバイトやパート従業員の給与支払報告書に関する提出義務と、2025年度税制改正後の最新の注意点を解説しました。

雇用形態にかかわらず、給与を支払った全従業員の情報を正確に市区町村へ報告することは、企業の法的義務です。特に、年収の壁の改正後は所得税と住民税の基準額が異なる点、退職者に対する30万円ルールの適用条件、電子申告義務化基準の引き下げは誤解や見落としが生じやすい部分なので、正確な理解が求められます。

適正な提出は、罰則リスクを回避するだけでなく、従業員からの信頼を確保し、健全な企業経営を維持するための基本です。eLTAXなどの電子申告も活用しながら、効率的で正確な業務遂行を心がけましょう。


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