• 作成日 : 2023年3月10日

慶弔金とは?種類や相場・慶弔見舞金制度を導入するメリットを解説

慶弔金とは?種類や相場・慶弔見舞金制度を導入するメリットを解説

慶弔見舞金制度は福利厚生の一環として、従業員の慶事や弔事にお祝い金や弔慰金・見舞金などの支給を行う制度です。結婚祝い金や出産祝い金傷病見舞金災害見舞金といった種類があります。

社会通念上、妥当な金額でなければならず、高額である場合は課税されます。トラブルを防ぐため、慶弔見舞金制度導入の際は規定を設ける必要があります。

慶弔金(慶弔見舞金)とは?

従業員に対して会社からお祝い金や香典・見舞金などを支給する制度を慶弔金制度や慶弔見舞金制度と言います。給料や賞与とは別に、従業員や従業員家族に喜ばしいことや不幸ごとがあった場合に、一定の金額の支給を行う制度です。結婚や出産、死亡、被災などが支給事由に該当します。

慶弔金と弔慰金の違い

慶弔金は慶事の際に支給するお祝い金と弔事の際に支給する香典、さらに災害に遭った場合に支給する見舞金を含めて指す言葉であるのに対し、弔慰金は弔事の際に支給する金銭のみを指す言葉です。

慶弔金は福利厚生の一環として支給されるのに対し、弔慰金は弔意を表す目的で支給されます。

慶弔金と香典の違い

慶弔金は従業員に慶事・弔事があった際に支給するお祝い金・香典・見舞金などを指す言葉であるのに対し、香典は霊前に供える金品を指す言葉です。香典は通夜や葬式が行われる際に線香の代わりとして備えるもので、一般的には葬祭に参列するときに持参します。慶弔金は会社が従業員に福利厚生で支給するため、必ずしも葬祭に合わせる必要はありません。

慶弔金の種類

慶弔見舞金制度を導入している企業の多くが支給している慶弔金の種類には、次のものがあります。

結婚祝い金

結婚祝い金は従業員本人や従業員の家族の結婚に際して支給する慶弔見舞金です。結婚するのが従業員本人である場合は初婚であるか・再婚や再々婚であるかによって、結婚するのが従業員家族である場合には従業員との関係によって異なる金額を支給することが一般的です。

出産祝い金

出産祝い金は従業員本人や従業員の配偶者が出産する際に支給する慶弔見舞金です。出産した子供が第1子であるか、第2子以降であるかによって支給金額が異なる場合があります。また夫婦とも従業員である場合どちらか片方にしか支給しないという規定にしている場合もあります。

弔慰金(本人)

弔慰金(本人)は従業員本人の死亡に際して支給する慶弔見舞金です。多くの会社では勤続年数や役職、雇用形態などによって金額を変えて支給を行います。

弔慰金(家族)

弔慰金(家族)は従業員家族が死亡した際に支給する慶弔見舞金です。一般的には配偶者や子供が死亡したときは高額、祖父母が死亡した場合は相応の金額というように、従業員と亡くなられた方との関係によって異なる金額が支給されます。

傷病見舞金

傷病見舞金は従業員本人が病気やケガで療養する場合に支給します。私傷病であるか、業務上や通勤での病気やケガであるかによって支給金額は異なる場合があります。また必要とされる療養期間の長さによっても支給金額に差をつけている慶弔見舞金制度もあります。

災害見舞金

災害見舞金は災害に遭った場合に支給対象となる慶弔見舞金です。台風で家財道具が流されたり、火事で自宅が消失したりした場合などに支給を受けることができます。自然災害か人的災害か、損害の大きさなどのさまざまな基準により、定められている金額が支給されます。

慶弔金の相場

慶長期見舞金の相場は以下の通りです。

結婚祝い金
本人の場合
10万円
子供の場合
1万円
出産祝い金
本人の場合
5万円
配偶者の場合
3万円
弔慰金(本人)
10~100万円
弔慰金(家族)
配偶者の場合
10万円
子供の場合
5万円
両親の場合
3万円
祖父母の場合
1万円
傷病見舞金
5千円~1万円
災害見舞金
3~5千円

慶弔金を受け取る方法

多くの会社で慶弔金の支給は従業員からの申請に基づいて行われます。慶弔金支給申請書を準備し、従業員から申請を受け付けて支給します。会社からの働きかけがあるかどうかは慶弔見舞金の種類などによって異なりますが、従業員の個人的な事情には会社は関与しないため、従業員から申し出る必要があります。

慶弔金の支給を受ける際は慶弔見舞金支給申請書に必要事項を記入し、会社の担当者に提出します。慶弔見舞金を申請する場合に添付が求められる証明書類には、次のようなものが挙げられます。

  • 結婚祝い金: 婚姻届のコピーや結婚式の招待状
  • 出産祝い金: 出生届や出生証明書のコピー
  • 弔慰金: 死亡届や埋葬許可証のコピー
  • 傷病見舞金: 診断書のコピー
  • 災害見舞金: 罹災証明のコピー

慶弔見舞金制度を導入するメリット

慶弔見舞金制度を導入して従業員にお祝い金や香典・見舞金などを支給するにはコストがかかります。従業員数によってはそれなりの負担となることが見込まれ、予算化して出費に備えておくことも必要です。費用がかかる慶弔見舞金を導入することには、どのような効果が期待できるのでしょうか?企業が慶弔見舞金制度を導入するメリットをご説明します。

福利厚生になる

慶弔見舞金制度導入のメリットには、まず福利厚生の充実が挙げられます。福利厚生とは従業員のために会社が費用を支出して行うサービス提供を指します。従業員のモチベーションアップや勤労意欲向上、会社への満足度を上げるといった効果があります。

非課税で扱える

従業員に支払う給料や賞与は所得税の課税対象になりますが、慶弔見舞金は非課税です。社会通念上、妥当と認められる金額の範囲内で従業員に支給する慶弔見舞金に所得税はかかりません。所得税非課税になり、税負担が軽減できます。

慶弔見舞金制度を導入する際の注意点

慶長期見舞金制度を導入する際は、以下の点に注意しましょう。

規定を作成する

慶弔見舞金制度は規定を作成して就業規則に盛り込むことが重要です。規定がないと慶弔見舞金を支給する基準が不明なため、トラブルになる可能性があります。支給・不支給の決定や金額が申請者や承認者によって異なるという誤解が生まれたり従業員が不公平感を持ったりしないようにするため、きちんと規定を作成する必要があります。規定に記載すべき事項は、次の通りです。

  • 支給対象者:勤続1年以上の正社員 など
  • 支給金額:従業員本人が死亡した場合10万円 など
  • 支給条件:結婚祝い金の場合は1度目の結婚に限る など
  • 申請方法:必要事項を記入した申請書を人事部に提出 など

課税対象になる場合は?

慶弔見舞金は社会通念上、妥当と認められる金額の範囲内であれば非課税として扱われますが、高額になると課税の対象となります。課税される場合は所得税計算に算入する必要があります。

慶弔見舞金の規定をあらかじめ作成しておきましょう!

慶事や弔事があった従業員に対して支給する金銭のことを、慶弔見舞金と言います。結婚祝い金や出産祝い金、弔慰金、傷病見舞金、災害見舞金といった種類があり、従業員本人が結婚する場合は5万円というように、支給事由に対して定められている金額を支給します。

慶弔見舞金を導入すると福利厚生の充実に繋がるほか、非課税で取り扱えるというメリットもあります。ただし社会通念上で妥当と認められる範囲を超えて高額な慶弔見舞金支給を行うと課税処理が必要になるため、注意しなければなりません。

規定なしで慶弔見舞金の支給を行うと、トラブルが生じる恐れがあります。支給事由や金額が明確になっていないため、不公平な運用を疑う従業員が出てくる恐れがあるためです。トラブルを未然に防ぐため、きちんと規定を作成して慶弔見舞金制度を導入しましょう。

よくある質問

慶弔見舞金とは何ですか?

慶事や弔事があった従業員に対して、お祝い金や香典、見舞金として支給する金銭です。詳しくはこちらをご覧ください。

慶弔見舞金にはどんな種類がありますか?

結婚祝い金や出産祝い金、弔慰金、傷病見舞金、災害見舞金などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

慶弔見舞金に税金はかかりますか?

社会通念上、妥当と認められる金額の範囲であれば非課税ですが、高額になると課税が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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